Taipei Game Show 2011レポート

台湾Gamania CEO Albert Liu氏インタビュー
台湾はセキュリティサービスが充実、新プラットフォームサービス「beanfun!」も開始



2月収録

会場:Gamania本社


 Taipei Game Showに合わせて、台湾大手メーカーのGamania Digital Entertainmentを訪問してきた。同社は日本でも「ルーセントハート」と「DIVINA」の2タイトルをヒットさせ、ガマニアジャパンが手がけたブラウザゲームも成功させるなど、日本でも大きな存在感を示しつつある。昨年は東京ゲームショウにも出展したため、ご記憶のゲームファンも多いだろう。

 今回は、同社を牽引するCEO Albert Liu(アルバート・リュウ)氏に同社の事業戦略について話を伺った。インタビューと同時に、Gamania本社での取材も行なっているので、そちらのレポートと合わせてお読みいただきたい。

【CEO室】
CEO室は来客者を驚かすアイテムがいつも揃えられている。棚には、自社タイトル「HERO 108」関連グッズがずらり。ライトアップされた冬期装備は昨年北極点を目指した時のものだという。「ドラえもん」藤子不二雄のサインも

【カスタマーサービスセンター】
ビルの1Fにあるカスタマーサービスセンターにはおもしろいアイテムがあった。アカウントハック対策用のアイテムで、予算、使い勝手に応じて4種類のソリューションが用意されており、担当者に相談に乗って貰いながらどれを導入するかを決めることができる。今の日本に足りないのはこういうサービスだと思う



■ 東京ゲームショウ後の手応え。次世代オンラインアクション「Core Blaze」は「まだ時間が必要」

Gamania Digital Entertainment CEOのAlbert Liu氏
Gamaniaは日本法人を通じて東京ゲームショウ2010に出展した
Gamaniaが2011年にリリースを予定している次世代アクションゲーム「Core Blaze」

編: 昨年の東京ゲームショウの出展から半年近くが経過しましたが、台湾を含めアジア各地でどのような反応がありましたか。

アルバート氏: 各地域からの媒体からの反応は良かったです。今後のタイトルへのユーザーの期待も大きいようです。

編: 一番期待されていたタイトルはなんでしたか?

アルバート氏: 地域ごとにはなるのですが、韓国では「Core Blaze」に興味があるとのことでした。このタイトルはアメリカやロシアや東ヨーロッパでも関心が高かったです。あとは各地のパブリッシャーからも高い注目を集めました。

編: 今回、Gamania本社で「Core Blaze」の取材を申し込んだところ、まだお見せできるものが無いといわれてしまいました。

アルバート氏: すいません(笑)。次世代のエンジンを利用して、新しいビジュアルを用いているため時間がかかっています。

編: 東京ゲームショウに続いて今回も「Core Blaze」をプレイできませんでしたが、現在の開発状況はいかがですか?

アルバート氏: もう少し開発期間が必要だと思います。

編: 東京ゲームショウでは、2011年中にサービス開始予定ということでしたが、大丈夫ですか?

アルバート氏: ノーコメントにさせてください(笑)。

編: TGS 2010では8タイトルを発表されましたが、その他で注目の高いタイトルは何でしょうか。

アルバート氏: 全部期待していきたいですが、新規プラットフォームへの参入という点で、「beanfun!」は新しいサービスが開始できると期待しています。「Core Blaze」に関しては引き続き期待感を持っています。日本市場においては、「Langrisser Schwarz」や「Tiara Concerto」の香港で開発している2作品を推していきたいです。中国市場では「Warrior of Dragon」が良いのではないかと思います。

編: ジョン・ウー監督とタイアップしている「Raign of Assassins」はいかがですか。

アルバート氏: 映画とのタイアップ作品ということもあり、こちらも期待感のあるタイトルです。既に中国ではCCB(クローズドクローズドベータ)を始めており、ユーザーからも良い感触を得ています。サービス開始予定は2011年の第2四半期を予定しています。

編: 日本市場での展開はいかがですか。

アルバート氏: 日本では原作の映画がまだ公開されていませんので、これから様子を見ながら挑戦していきたいと思います。



■ 台湾でスタートした新サービス「beanfun!」とは!?

Albert氏は自社サービスの「beanfun!」に関してかなり手厳しい
台湾で2010年からサービスがスタートした「beanfun!」。現状ではゲームポータルサイトだが、今後機能を拡充させていくという

編: Gamaniaの2010年を振り返って、昨年はどのような年になりましたか?

アルバート氏: 去年は各地域の成績もすごく良かったのです。連結売り上げも13%成長しました。また、新たなサービスプラットフォームとして「beanfun!」を始めました。「beanfun!」は2009年から市場の様子や意見を聞きながら調整し、2010年から各地域でサービスし始めました。大きな問題はありませんでしたが、まだGamaniaのサービスにマッチするプラットフォームにはなっていないと考えています。今年もさらに調整を加えながらユーザーにより良い形で提供していきたいと思います。Gamaniaはゲームの開発と運営の経験はありましたが、プラットフォームの開発経験は足りなかったため、この部分は今年も特に力を入れていきたいです。「beanfun!」を最高のメディアミックスプラットフォームとして提供していきたいです。

編: 「beanfun!」はかなり開発に時間が掛かっている印象ですが、「beanfun!」の定義から教えてください。これはGASHに変わるGamaniaの新たな課金プラットフォームなのですか?

アルバート氏: そうです。今まではGASHに加入してGamaniaのゲームを遊んで貰っていましたが、それが今は「beanfun!」になりました。GASH会員はすぐに移行できます。

編: 従来のGASHのサービスは、「beanfun!」上でそのまま利用できるのですか?

アルバート氏: システム上から見ますとGASHは弊社にとっては会員システムとなるのですが、「beanfun!」は1つのチャネルという概念で使っていきたいと考えています。ガマニアのホームエンターテインメントに関する考え方は、家の中ではリビングにある1台のモニターから、Beanfunを通じて、あらゆるチャネルにアクセスする姿を想定しています。いわゆるクラウドシステムの考え方で、「beanfun!」は将来の世界に対応できるプラットフォームに近づけていきたいです。

編: 現在「beanfun!」はPC向けのサービスですが、今後どういったハードウェアに対応していくつもりですか。

アルバート氏: すべての端末に対応できるようにしたいです。最初にPCからですが、今後iPhoneやAndoroidに対応できるようにし、将来的にはすべてのゲーム機に提供できるようにしていきたいです。

編: それは「Xbox LIVE」や「PlayStation Network」にも「beanfun!」を提供していきたいということですか。

アルバート氏: そうです。

編: iPhoneやAndroid端末等のスマートフォンへの「beanfun!」の対応はいつごろを予定していますか?

アルバート氏: 既に開発中ですが時期はわかりません。なぜなら今展開しているPC版がまだ私の承認を得ていないからです。モバイル版はその後ということになると思います。

編: 現状の「Beanfun」に対して不満があるようですね(笑)。

アルバート氏: 不満に関しては、今のユーザーインターフェイスの操作が不便だと思います。コミュニティサービスも貧弱です。まだまだ不安定な状態です。

編: 「beanfun!」が目指しているのは、アジアのFacebookのような存在でしょうか。

アルバート氏: Facebookと「beanfun!」はだいぶ機能が異なります。Facebookは単なる人と人とのコミュニティサイトですが、「beanfun!」はゲームを提供できるチャネルです。

編: しかし台湾ではFacebookでゲームで楽しんでいる人もたくさんいますよね?

アルバート氏: Facebookは人と人とが友達になってからゲームを遊びますが、Gamaniaにとってはみんながゲームをプレイしているという状況がすでにあり、そのユーザーは何のゲームをやっているのか、誰と友達になっているかについてコミュニケーションを提供していきます。「beanfun!」というサイト上で友達を作れるというわけではなく、ゲームの中で友達を作ることができます。また、「beanfun!」では、チャネルサービスとして他社のオンラインゲームも提供できますので、ゲームごとではなくより便利なアカウント管理のツールやセキュリティツールを提供できると思います。

編: 「beanfun!」を利用することで得られる具体的なメリットは何ですか?

アルバート氏: 「beanfun!」を提供する理由としては、たくさんのアカウントを覚えなくても、単一のアカウントでGamaniaのすべてのゲームにアクセスできます。また、ユーザーがゲームの中で勝ち得た名声やポイントなどを他の人に自慢できるようなスペースも提供します。ユーザーに達成感を与えたいです。Gamaniaは従来までゲームのサービスをメインにしていましたが、チャネリングサービスも行なうというイメージにしていきたいです。今後はさらに音楽を楽しめたり、ショッピングができるようなサービスを提供したいです。

編: 「beanfun!」のサービスは台湾以外の地域では提供されないのですか。

アルバート氏: 各地域の会員数にもよると思います。台湾では会員巣が非常に多いので、他の会社とGamaniaの会員数をシェアしながらお互いのメリットを受けるようなBtoBのサービスを提供できるのですが、母数が少ないと相乗効果を生み出せません。香港では今の会員ベースではやれるのですが、日本はまだ経過観察が必要だと思います。

編: 「beanfun!」は日本展開するのですか?

アルバート氏: 絶対に日本でもリリースします。2011年の年末頃になると思います。

編: それは台湾と同じような、オンラインゲームポータル、ソーシャルサービス、ショッピングサービスを含む、総合的なサービスを提供するプラットフォームとして提供するということですか?

アルバート氏: そこは各地域スタッフの意欲にもなるのですが、あまりそこについては難しく考えていません。同様のプラットフォームを提供しているところはたくさんありますし、基本的には台湾と同様のサービスを提供していきます。

編: 1Fのカスタマーサポートセンターで「beanfun!」向けにアカウントハッキング対策としてワンタイムパスワードを提供するパッケージを販売していましたが、台湾はしっかりしてるなと思いました。逆に言えばそれだけ台湾は被害が深刻だということですか?

アルバート氏: そうですね。なぜ台湾でこれだけセキュリティツールを提供しなければならないかということを言えば、やはり日本では悪質な攻撃やハッキングは少ないのです。ハッキングがあってもそれほど悪質ではないのです。他の地域のハッキングは悪質なものが多いです。その意味では中国は一番免疫力のある国ではないのかなと思います。

編: アカウントハックに対しては日本でも被害報告が相次ぎ、急速に関心が高まっています。しかし、メーカーサイドの対応状況はまちまちです。台湾ではいかがですか?

アルバート氏: 運営会社はユーザーの保護は当然考えなければならないでしょう。

編: アカウントハックの被害にあってしまった場合、補償措置などはあるのでしょうか。

アルバート氏: ユーザーからハッキング被害の報告を受けた場合、コンテンツごとの対応にはなりますが、運営側がユーザーに損がないような対応をいたします。ハッキングの被害にあって盗まれたりしたものをすべて回復できるわけではないのですが、ログを追跡してユーザーにとって損をなるべく減らす形で回復します。

編: ユーザーへの補償は必ず行なわれるのでしょうか。

アルバート氏: します。ユーザーの権利を絶対に保障する立場をとっています。



■ 台湾ゲーム市場について、台湾Gamaniaは「ドラゴンネスト」がヒット

SoftworldグループのChinesegamerの「天子傳奇」。同社は年に1度のペースでMMORPGをリリースし、中華圏で大ヒットさせている

編: 台湾ゲーム市場についてお伺いします。2010年の台湾ゲーム市場はどのような状況でしたか?

アルバート氏: 昨年1年、台湾市場はとても静かな1年でした。その中でも新しく台頭した企業もあるのですが、大手の立場が脅かされるような状況にはなっていないです。1番面白かったのは昨年台湾国内で新規にリリースされた台湾開発のタイトルが26%にもなったことです。

編: その中でヒット作はなかったのですか。

アルバート氏: 台湾市場ではそうです。市場全体から見ますとそれほどヒットしたタイトルはなかったのですが、強いて言えばガマニアの「ドラゴンネスト」と、Softworldの「天子傳奇」の2タイトルだと思います。

編: 「ドラゴンネスト」は日本でも人気のタイトルになっていますね。

アルバート氏: 「ドラゴンネスト」はガマニアの柱のタイトルになっています。同接は最大で7万人を達成しました。現在でも5万人くらいはキープしています。

編: Gamaniaの人気の高いタイトルを教えてください。

アルバート氏: 1位は「Lineage」です。2位は「メイプルストーリー」、3位は「ドラゴンネスト」、4位は「カートライダー」か「カウンターストライクオンライン」です。

編: 順序が変わらないですね。

アルバート氏: それほど変わらないですが、毎年1本ずつ新たなタイトルを柱に立てたいと考えています。

編: 台湾ゲーム市場のシェアは、以前としてSoftworldが1位ですか?

アルバート氏: そうですね。2010年はSoftworldが1位でしたが、近いうちにガマニアが頑張って1位になりたいですね(笑)。

編: 新規タイトルのグローバル展開がうまくいけば不可能ではないですね。

アルバート氏: もともとGamaniaとSoftworldは戦略や展開のスケジュールには異なります。Gamaniaは、開発に力を入れている会社として自社タイトルでSoftworldに対抗していきたいですが、それと同時にパブリッシングタイトルに力を入れることも重要です。良いサービスを提供すればユーザーがより一層遊んでくれるようになります。Softworldは台湾のみ自社で展開していまして、海外に対してはすべてライセンスアウトになります。しかし、Gamaniaは海外でも自社でサービスを行なっていきたいという考え方があります。

 また、開発しているタイトルに関しても違いがあり、Softworldは中国向けのタイトルが多いですが、ガマニアの開発ジャンルはヨーロッパ向けや日本向けのタイトルも幅広く開発しています。ガマニアの取っている戦略はSoftworldよりは難しい道だとは認識していますが、一歩一歩頑張っていきたいです。

編: Softworldグループの1番の収益源は、開発子会社ChineseGamerの自社開発タイトルですね。2010年は先ほどアルバートさんも仰った「天子傳奇」がまさにそうですが、あそこのメーカーは毎年のようにヒット作を生み出していますが、これについてどう思いますか。

アルバート氏: ガマニアにとっては、台湾市場においてSoftWorldはライバル関係ですが、海外においては協力関係が築けると考えています。ChineseGamersは毎年自社開発タイトルの新作を出していますが、従来のユーザーを取り込むようなタイトルというケースもあります。先方のやり方が良いか悪いかとはいえないのですが、経営方針の違いではないかと考えています。ガマニアのやり方はコンテンツの内容に応じてユーザーを吸収しています。そのため、ユーザー数ベースで考えればSoftworldより弊社のほうが多いと思います。一方で、Softworldの客単価は弊社のものよりも高いと思います。経営のやり方としては色々な手法がありますので良いとも悪いとも申し上げられないのですが、弊社は今のスタイルに自信を持っています。

編: 台湾での客単価はどれぐらいですか?

アルバート氏: 客単価の具体的な数字は先方も弊社も申し上げられないですが、一般論としては400から500台湾ドル(約1,200~1,500円)ぐらいになります。

編: 日本では客単価1万円を越えるタイトルも多いです。この状況をどのようにお考えですか。

アルバート氏: ガマニアジャパンの客単価は1万円には達していないです。イベントなどがある際には一時的に越えることはあるのですが、知っている限りは3,000円前後になります。

編: それでも台湾と比べて日本の客単価は高いと思うのですが、アルバートさんはどれぐらいの客単価が正常だと考えていますか?

アルバート氏: 台湾と日本の客単価の違いに関しては、どちらが高い低いとはいえないのですが、各地域の消費習慣や物価にも影響されると考えます。日本が高いというより、弊社の客単価が低い感じもします。ただ、弊社はこうした低めの客単価でも利益は出せます。客単価とどれほどの相関関係があるのかはわかりませんが、弊社でサービスしているタイトルの寿命は非常に長いです。客単価がどんどんどんどん高くなってくると、ゲームの寿命にも影響するのではないかと考えています。

編: 客単価を低くすればコンテンツの寿命が長くなり、ユーザーにとってもメリットがあるのではないかということですね。

アルバート氏: 高い客単価のユーザーも幸せに感じるかもしれませんので、絶対的な関係があるとは思いません。私は、客単価の多寡はゲーム内で買えるものに影響されると思います。何でも買えるということであれば、ゲームの中で楽しんだり遊べるコンテンツがなくなってしまい、ユーザーがすぐ飽きてしまうかもしれませんので、お互いに連動しているのではないかと考えています。



■ モバイル/スマートフォンへの対応について

モバイル/スマートフォン向けは依然として消極的。ブラウザゲームのみ日本法人を通じて新作を展開していく方針が語られた
GamaniaがFacebookに展開しているソーシャルゲーム「OPEN! CITY」。かなりシュールな育成シミュレーションゲームだ

編: 日本ではモバイル向け、スマートフォン向けのコンテンツが非常に充実しています。台湾ではどのような状況なのかということが1つと、Gamaniaがどういった取り組みをしているのかについて教えてください。

アルバート氏: 昨年の東京ゲームショウの際にも質問されましたよね。当時はまだまだ市場のトレンドがつかみきれていませんでしたが、あれからリサーチして2010年末にモバイル開発部門を設立しまして、色々研究しています。

編: ターゲットプラットフォームは何ですか。

アルバート氏: iPhoneとAndoroidです。iPhoneの方がやや開発が先行しています。

編: どのようなゲームコンテンツやエンターテインメントを提供しようと考えていますか。

アルバート氏: 今の方向性に関しては既に開発されているMMORPGのIPを利用して、iPhone版のアプリを作っていきます。オンラインゲームと連動できるようなコンテンツにします。

編: そのアプリケーションそのものはオンラインゲームですか?

アルバート氏: ダウンロード配信で、オンラインゲームとリアルタイムで通信できるようなものを想定しています。直接オンラインゲームのサーバーに接続するのではなく、スタンドアロンのコンテンツにはなるのですが、現在のオンラインゲームのパラメータに影響できるような連動を考えています。

編: 例えば装備を確認できたり、市場でお買い物ができたりといったオンラインゲームの一部機能を提供するようなイメージですか?

アルバート氏: 例えば、オンラインゲームで、ダンジョンである宝石を持ち帰って、装備品と合成することでその効果を高められるとします。その宝石をPCオンライン版のダンジョンで手に入れるのではなく、iPhone版のアプリでしか手に入れることができないという仕組みを設けようかと考えています。

編: なるほど。ターゲットとなるGamaniaのタイトルは何を想定されていますか。

アルバート氏: 最初にリリースする予定なのはiPhone版で「HERO:108」です。その他は企画順になります。

編: モバイル向けはいかがですか。

アルバート氏: 現在はオリジナルのモバイルコンテンツの開発は行なっていません。WEBゲームの開発は行なっています。

編: WEBゲームと言えば、Gamaniaさんが台湾で展開しているFacebook向けソーシャルゲーム「OPEN! CITY」を見せていただきましたが、サービス状況はいかがですか。また、その後ソーシャルゲームへの取り組みについてもいかがですか。

アルバート氏: 「OPEN! CITY」は既に登録アカウント数は20万人います。弊社の最初のソーシャルゲームになりますのでまだまだマーケティング手法が確立おらず、売り上げは良くないです。ただ、ソーシャルゲームは今後発展していく分野の1つになりますので今後も期待してください。

 WEBゲームに関しては、日本では既に「キングダムサーガ」と「Web恋姫†夢想」の2タイトルをリリースしました。「Web恋姫†夢想」は日本でも成功したタイトルと言われています。グループ内では韓国やアメリカでも「Web恋姫†夢想」をリリースできるような方向で調整しています。グローバル展開は「Web恋姫†夢想」だけで行なっていきます。「Web恋姫†夢想」の日本での盛況を見て、各地域でリリースしていきます。

編: 日本では「恋姫†夢想」というブランドがすでにありますが、海外ではそうではありませんよね。どのようなアプローチでグローバル展開していくのですか?

アルバート氏: 海外ではIPの認知度は大事です。韓国では三国志に人気があり、プレイキャラクタがすべて女の子ということにすごく興味をもたれたようです。アメリカとドイツのユーザーも「Web恋姫†夢想」にすごく興味があるみたいなのですが、なぜだか疑問ですね(笑)。

編: 日本ではさらに「ファントム・ブレイブ」や「パワードール」といったIPのWEBゲームの開発が進められていますが、本社サイドや他の地域で何かと企画は動いているのですか?

アルバート氏: オリジナルのWEBゲームタイトルで現地と共同開発しているのは日本のみです。日本には協力的で価値のあるオリジナルIPがたくさんあります。他の地域では無いわけではないのですが、良いIPが見つかっていなかったのでもしこれから見つけられればやれるかもしれません。

編: オリジナルのソーシャルゲームやWEBゲームを作ろうという動きは社内には無いということですか?

アルバート氏: いまだにGamaniaオリジナルのコンテンツでWebゲームの開発はなかったのですが、これからは期待していてください。日本からの提案で日本のIPで開発していたことから説明すると、元々IPを所有して共同開発するというのもGamaniaの1つの方向性になりますので、日本はそれにしたがって開発していただけです。社内の開発リソースはMMORPGをメインとしていたのですが、今後は変わるかも知れません。

編: ちなみに「OPEN! CITY」を日本展開する予定はありますか?

アルバート氏: まだ浅井(ガマニア代表取締役社長)から「興味がある」という連絡は来ていませんね(笑)。



■ Gamaniaの2011年の事業戦略。今後は欧米市場にも展開

出展予定は東京ゲームショウと、将来的にはE3。実はTaipei Game Showについても聞いているが、台湾ローカルのショウになってしまっているため出展するつもりは全くないという
Gamaniaの公式サイトでは、英語ページもあるほか、展開先に北米とヨーロッパが明記された

編: 2011年の目標を聞かせてください。

アルバート氏: 台湾・香港・日本の安定した成長を遂げることを期待しています。北米・ヨーロッパ・中国で運営の基礎固めを達成できることを目標にしています。今年の各地域でリリースされる開発タイトルの成功を期待しています。

編: 売り上げ目標はいくらくらいを考えていますか。

アルバート氏: 連結で20%以上の成長を達成できるように考えています。

編: 昨年の13%の成長からさらに伸ばすということですね。2010年の売り上げは50億台湾ドル(約150億円)くらいですか?

アルバート氏: 58.58億台湾ドル(約175億円)です。目標売り上げに関しては台湾政府の上場会社に対するルールで、売り上げの予測を出すときには1年の予測をはっきり出さなければならないので、細かい数字は申し上げられません。

編: 日本法人に対して期待していることは何ですか?

アルバート氏: ガマニアジャパンに対する期待はより大きなものになると思います。去年の第3四半期と第4四半期は2タイトルとも成功できましたので、このことでグループ全体の士気が上がることになりました。新しいタイトルの市場の反応やユーザーの反応が良かったので、昨年以上の成長を望んでいます。

編: そういえば欧米にブランチが設立され、本格稼働を開始しましたね。

アルバート氏: ヨーロッパと北米に関しては発展の初期状態といえると思います。今年の商品のリリーススケジュールも決まっており、夏に「ルーセントハート」をリリースする予定があります。アメリカでは既に「ルーセントハート」のCCBT(クローズクローズβテスト)を行ないましたが、アメリカのユーザーから一定の評価を得ました。

編: 北米・欧州のそれぞれのリージョンの目標を教えてください。

アルバート氏: 2つの地域については具体的な売り上げ目標を与えているわけではなく、運営の基礎をまず作ってもらいたいということです。各市場の色々なことを経験しながら運営体制を作っていきたいと思っています。

編: 最終的には日本法人のように独立して利益が出せる体制にしていきたいということですか。

アルバート氏: もちろんそうです。最終的にはガマニアジャパンぐらいの規模になってほしいのですが、オンラインゲームを運営するためには、まずは市場を深く理解しないと攻めていけない感じがします。

編: 最終的にはE3にもご出展されますか。

アルバート氏: 出展できるように頑張ります(笑)。ちょうど昨日の会議でE3に出そうと言ったところです。ですが、メインに考えているのは東京ゲームショウ(TGS)です。出展規模はその年の市場規模とユーザーニーズによって調整していきます。東京ゲームショウはメインに発信しているのはアジア地域です。これからグローバル化していくという点ではヨーロッパやアメリカに発信できるような商品も出さなくてはならないと考えています。ただ、ヨーロッパやアメリカはスタッフのリソースが足りない上に基礎固めの段階ですので、必ず今年や来年出すとはいえませんが、E3への出展も視野にいれています。

編: TGSに今年も出展するのですか?

アルバート氏: 出展することも考えています。このことを対外的に伝えたのは中村さんが初めてです。

編: TGSはアジアにするためということですが、アジアを重視するという点においてはTGS以外にも韓国、台北、香港、上海などの選択肢もありますよね。なぜTGSなのでしょうか。

アルバート氏: TGSは歴史の長いゲームショウですし、ハードウェアやソフトウェアの展示も多いです。アジアをメインにしていながらヨーロッパや北米メディアの注目も高い。グローバル展開を睨む上でプラスと考えました。弊社の日本法人も近年成長を遂げていますので、運営地域やユーザーに対するベネフィットを与えるという面も考慮されています。これからの状況に応じてその他の地域のゲームショウへの展開方法は考えていきたいです。

編: 最後に日本のユーザーさんに一言お願いいたします。

アルバート氏: 日本のユーザーにガマニアのタイトルを認めていただいてありがとうございます。日本のユーザーのご期待に沿えるタイトルを提供してまいりますのでご期待ください。

編: ありがとうございました。


(2011年 2月 28日)

[Reported by 中村聖司]