東京ゲームショウ2010レポート
ガマニアブース&ステージイベントレポート
新作「ファントム・ブレイブ」製作発表からジョン・ウー監督トークショーまで一挙に紹介
株式会社ガマニアデジタルエンターテインメントは、「TGS2010」を世界への足がかりと位置づけた大規模な出展とプロモーションを行なった。
会場の外には会社のロゴをかたどったオブジェが、エントランスには9月13日にオープンβテストが始まったばかりのWindows用MMORPG「DIVINA」の垂れ幕が下がり、ゲームキャラクターがプリントされた大きな袋を持った人の姿も目立った。海外のオンラインゲームデベロッパーがこれだけの規模で出展をするのは非常に珍しい。
16日の午前にブースのステージで開催されたプレスカンファレンスでは、台湾GamaniaCEOのAlbert Liu氏が挨拶を行ない、今回出展している8つのタイトルを紹介した。また、さらに新作タイトルとして日本一ソフトウェアの人気シリーズ「ファントム・ブレイブ」のオンラインゲーム化が発表された。
カンファレンスのステージイベントには、「レッドクリフ」かどの監督として知られるジョン・ウー氏の新作映画をゲーム化した「Reign of Assassins(レイン・オブ・アサシンズ)」のトークショーが催された。ゲストには映画監督のジョン・ウー氏と主演女優のペース・ウーさんが招かれ、ゲームプロデューサーのバロン・ロー氏とともに質問に答えた。
この日は午後から「DIVINA」のステージイベントが行なわれ、開発元のPlayCooの代表取締役社長Joyce Chang氏が作品紹介を行なった。「DIVINA」には田中理恵さんや堀井由衣さんらの声優が声を担当しているが、さらに釘宮理恵さんが加わることが発表された。
エントランスの階段下には、Gamaniaの巨大コーポレートIDが出現 | エントランスではOBT中の「DIVINA」の垂れ幕が出迎えてくれる |
■ 日本一ソフトウェアと提携して「ファントム・ブレイブ」をオンラインゲーム化
台湾Gamania CEOのAlbert Liu氏 |
午前中に行なわれたプレスカンファレンスの冒頭には台湾Gamania CEOのAlbert Liu氏が挨拶して、これからのの海外戦略について説明した。
台湾のゲームデベロッパー、Gamaniaは今年で設立から15周年を迎える。現在は台湾、日本、韓国、中国、アメリカ、ヨーロッパにそれぞれ運営拠点を置いて各地域にローカライズしたタイトルを発表している。
「すべてのプレーヤーたちに、Gamaniaの楽しいエンターテインメントを楽しんでいただきたいです」とアルバート氏。8つのタイトルを1つずつ紹介した後「将来これらのコンテンツは順次アジア各地域、欧米などでリリースしていく予定です」と展望を語った 今回出展されたのはパソコン向けのクライアントダウンロード型のゲームだったが、将来的には携帯やタブレットPCなどマルチプラットフォーム向けのゲームにも参入していくだろうと語った。「今後も世界中のプレーヤーに向けて、斬新で楽しめる作品をリリースしていきますので、ぜひご期待ください」と笑顔で宣言した。
ガマニアデジタルエンターテインメント(ジャパン)の代表取締役 浅井清氏 |
日本一ソフトウェアの代表取締役社長 新川宗平氏 |
今回のプレスカンファレンスのサプライズは、ガマニアが日本一ソフトウェアと提携して製作を発表した「ファントム・ブレイブ」のオンラインゲーム化。「ファントム・ブレイブ」は自由度の高いPS2用シミュレーションRPGとして2004年に発売された。2009年にはWii版が発売され、2010年10月28日にはPSP版も発売になる。
ステージには、ガマニアデジタルエンターテインメント(ジャパン)の代表取締役 浅井清氏と、日本一ソフトウェアの代表取締役社長 新川宗平氏が登場してこの提携についてコメントした。
新川氏コメント:
「ガマニアさんの豊富なオンラインゲームのノウハウをもとに、これから『ファントム・ブレイブ』は新たな展開を迎えます。ガマニアさんと日本一ソフトウェアのお互いの持ち味を生かして、このカップルでしかできないことをやりたいと思います。どうぞご期待ください」
浅井氏コメント:
「日本のコンテンツをガマニアを通じて世界展開していきたいと、ずっと考えていました。新川さんとは3、4前からお付き合いさせていただいて、何か一緒にやりたいという話はずっとしていたのですが、今回ようやく具体的に『ファントム・ブレイブ』を提携してやらせていただくことになりました。日本一ソフトウェアさんのゲームに対するこだわりと、ガマニアグループが持つオンラインゲームのノウハウを合わせることで、非常に面白いコンテンツができるのではないかと確信しております」
「ファントム・ブレイブ オンライン(仮)」は2011年中のサービスを目指してプロジェクトが進められている。将来的には日本以外の国へのサービスも行ないたいということだ。
Liu氏はGamaniaの最新作を映像とともに紹介した | サプライズとして発表された「ファントム・ブレイブ」のオンラインゲーム化 | Liu氏、浅井氏、新川氏の記念撮影 |
■ ジョン・ウー監督と主演女優ペース・ウーがゲストに登場。映画のオンラインゲーム化を語る
「レッドクリフ」などの大作で日本でも著名なジョン・ウー監督がゲスト出演 |
「Reign of Assassins」の主演女優ペース・ウーさん |
「Reign of Assassins」プロデューサーのバロン・ロー氏 |
新作発表の後は「Reign of Assassins」のステージイベントとして、ジョン・ウー監督と、女優のペース・ウーさん、ゲーム版「Reign of Assassins」プロデューサーのバロン・ロー氏によるトークショーが行なわれた。
「Reign of Assassins」は中国の明代を舞台にした武狭映画。Gamaniaがスポンサーとして参入しており、映画の撮影と同時進行でオンラインゲームの開発が行なわれた。映画について聞かれたウー氏は「登場人物それぞれの間の恩、恨み、情、徒といった感情が深く表現されているのではないでしょうか」とコメント。ただの武狭時代劇ではなく、非常に迫力のある映像と、予想もつかないストーリ展開が楽しめる作品だ。
ゲームと映画のクロスメディアはどんな経験になりましたか? という質問には「合作は非常に面白くて新鮮な経験になったと思います。映画とゲームがこのようにくっつくとは思っていませんでした。将来また機会がありましたら、クロスメディアと言う形をとってさらに多くの新しい可能性を発見したいと思っています。ゲームの中から違う角度のインスピレーションがあると思いますし、それを映画に活かしていけると思います」とウー氏。
ペース・ウーさんは女殺し屋として映画に登場する。「剣をふるって殺し合いをしたりします。実は今までこうした武狭の映画はあまり撮ったことがなかったので、毎日楽しんでいましたし、興奮しながら撮っていました」と感想を語った。
ゲーム版は映画の設定に基づいて設計されている。「ゲームの冒頭のシーンは映画のシーンと同じ場所がでてきます。実際のデザイン、服装や顔、武器も映画に基づいて設定されています。映画を観てからゲームをするもよし、ゲームをしてから映画を観るのもいいと思います。それぞれ『あ、これ知ってる』という感じになると思います」(ロー氏)。
「映画との合作は今回が初めてで私たちにとっても大きなチャレンジでした」とロー氏。開発は撮影と同時進行だったため「映画でまだできていない部分は開発が想像力を膨らませて製作しました。映画ができてくると、撮影現場にいって素材を見せてもらい、開発の参考にしました」(ロー氏)。ストーリーについては「映画のシナリオの精神に沿って作り、ゲームの中で映画を観たのと同じような感覚を抱いていただけると思います」(ロー氏)。
プロモーションムービーで使用できるクラスが紹介された | ||
映画「Reign of Assassins」のワンシーン | トークショーでは、観客も司会もペースさんの美しさにくぎ付け | 記念撮影。たくさんの中国や台湾系メディアが取材に訪れていた |
■ 「DIVINA」の声優に釘宮理恵さんを起用
「DIVINA」を開発したPlayCooの代表取締役社長Joyce Chang氏 |
「DIVINA」のステージイベントには、台湾PlayCooの代表取締役社長Joyce Chang氏を招いてのトークショーが行なわれた。Chang氏は「ダブルキャスト」や「ソウルメイト」、「モンスターキャスト」、「テリトリーシステム」など「DIVINA」のメインシステムを紹介した
質問コーナーでは「ソウルメイトはどうしてウサギとネズミなのですか?」といった疑問が出た。Chang氏によると「普通のゲームでキャラクターを選ぶと犬や猫になりますね。でも私たちのデザイングループはそこに気を使って、今までは違うスタイルを作ろうとしたのです。ウサギはとても可愛いですが、辛い思いをしているキャラクターでもあります。ネズミもとても可愛いキャラクターですね。プレーヤーと一緒に踊ったりします。これは実際にゲームの中に入って体験してみてください」ということだ。
他にも「DIVINA」のキャラクターボイスを担当する新しい声優として、釘宮理恵さんが発表された。Chang氏は最後に「私たちは『DIVINA』を作る時、まず可愛いゲームをつくること、そしてプレーヤーが気楽に楽しく遊べることを考えました。すでにオープンβテストが始まっています。ぜひ試してみてください」と集まった観衆に呼び掛けていた。
その後は、ゲーム内に登場する「クラリス」と「クラリア」というNPCのコスプレと、「ルーセントハート」のイメージキャラクター「ティア」と「カデナ」のコスプレ撮影会も行なわれた。
9月13日にOBTが始まったばかりの「DIVINA」。可愛らしいイラストと奥深い成長要素が人気で、サーバーが新設される人気だ | ||
「DIVINA」と「ルーセントハート」のキャラクターコスプレ |
■ ブースには日本初公開の「WARRIOR OF DRAGON」、「Soul Captor」などを合わせた8タイトルの試遊台
白ですっきりまとめられたブースでは「Langrisser Schwarz」、「DIVINA」、「Reign of Assassins」、「HERO:108」、「Soul Captor」、「WARRIOR OF DRAGON」、「Tiara Concerto」の8タイトルを試遊をすることができた。また、Gamaniaが初めてUnreal 3 エンジンを使って開発した新作「Core Blaze」はムービーが上映されていた。試遊を行なうと「DIVINA」に出てくる「ソウルメイト」のバルーンや、GamaniaのコーポレートIDをかたどったぬいぐるみ、カンバッジ、ストラップなどがもらえた。それぞれのタイトルの紹介は以下の通り。
ブース内に設けられた試遊台 | プレイすると、ガマニアマークのぬいぐるみなどのアイテムがもらえる | 「DIVINA」の「ソウルメイト」のバルーン |
・「Core Blaze」
初めてUnreal 3 エンジンで開発されたアクション性の強い大型タイトル。ムービーには4人でパーティーを組んだキャラクターが、派手なアクションでモンスターを倒す様子が描かれていた。
本作の特徴は、天候や昼夜などのようそでゲームの進め方が変わること。例えば雨が降っていれば川が増水して普通に渡ることができなくなるので、特別な方法を考える必要があるといった形だ。サービス開始は2011年の予定だ。本作については、17日にさらに詳しい情報をお届けできる予定なので、期待していて欲しい。
「Core Blaze」はプロモーションビデオでの出展となった | プロモーションビデオのスクリーンショット |
・「Langrisser Schwarz(ラングリッサー シュヴァルツ)」
名作シミュレーションRPG「ラングリッサー」をベースにした、オンラインリアルタイムシミュレーションRPG。原作ファンにはおなじみのクエストやシナリオを受け継ぎ、さらに新しい要素を加えている。プレーヤーキャラクターのデザインは一新し、今風のイラストで描かれている。
プレーヤーは「帝国軍」、「光の勢力」、「闇の勢力」のいずれかに所属して3つどもえで領土を争奪しあう。原作ゲームと同様に女神の質問に答えることで自分にあった「ジョブ」が提示される。他にも転職ツリーや、キャラクターごとに違う指揮範囲など原作の味を活かした作りになっている。
本作は、日本市場を意識したタイトルということもありゲームパッドでの操作が可能だ。試遊台にもゲームパッドが設置されていた。本作についても17日に更に詳しい情報をお届けする予定だ。
「Langrisser Schwarz」の試遊台 | キャラクターイラストは一新されたが、システムはオフライン版から要素を受け継いでいる |
・「Reign of Assassins」
上のトークショーでも紹介した、映画を原作にした武狭もののMMORPG。プレーヤーは殺し屋組織の一員となり、さまざまな調査の任務を依頼される。
上からの見下ろし視点と、横からの視点をシームレスに行き来することができる。ゲーム内の風景は映画を再現しており、設定も映画に準じているが、プレーヤーの選択次第で映画とは違う結末を迎えることができる。映画のストーリーを追う以外にも、サブクエストをこなしたりペットを育てたりといったプレイが可能。
面白いのは「救う」、「値切る」、「許しを求める」といったコマンドの存在。これらはプレーヤーがテクニカルポイントを貯めることで起こる特別なアクションで、例えば「値切る」ならNPCからアイテムを安く買えるようになるといった形で、映画の世界観をゲーム内で再現する要素となっている。
本作は2010年第4四半期に台湾で、その後中国、香港地域で順次サービスされる予定だ。日本での予定は決まっていない。
「Reign of Assassins」の中国名は「剣雨」 | キャラクターはかなり美形。視点によって違う雰囲気が楽しめる |
・「Tiara Concerto(ティアラコンチェルト)」
音楽をテーマにしたグラフィックの可愛いMMORPG。WASD移動ができるアクション性の高い戦闘が楽しめる。ダンジョンは4人パーティーで入るインスタンス形式。プレーヤーが楽器やアイテム、素材を集めることで、異次元のダンジョンにワープする。
本作の特徴は、楽器の演奏。プレーヤーは自分が持っている楽器と楽譜を使って、街角でコンサートを開くことができる。将来的には演奏コンクールができるようなシステムも入れる予定だそうだ。
今回の出展ではまだまだ開発中という印象で、参考出展程度の意味合いが強かったが、可愛いキャラクターやコミュニティ要素といった日本人が好む要素の多いゲームだけに、クオリティアップを期待して待ちたい。
試遊台では、インスタンスエリアでの戦闘を体験できる |
・「Soul Captor」
「ブライトシャドウ」の開発チームによる新作。「元神」というモンスターを倒して魂を集め、自分だけの「元霊」を育てていく。倒した「元神」は図鑑に収集することができ、それによってプレーヤーの能力を高めることができる。
こちらもまだ開発中のゲームで、サービスの予定は未定だ。
今回が初公開となる「Soul Captor」 | システムには「ブライトシャドウ」を思わせる部分もある |
・「WARRIOR OF DRAGON」
今回が初公開となる新タイトル。中国の古代神話をモチーフにしたMMORPGで、大規模な国家戦が楽しめるゲームだ。マウスクリックだけで遊べる手軽なゲームだが、飛び散る血しぶきなど戦闘のリアリティを重視した作りになっている。
神話をモチーフにしたゲーム。大規模対人戦が売りだが、試遊台ではNPC戦闘が体験できる |
・「HERO:108」
Gamaniaが欧米向けに作った子供向けのオンラインゲーム。同名のアニメも製作しており、世界47カ国のCartoon Networkで放送された。iPhoneやFacebook向けのミニゲームとしてマルチプラットフォーム向けに展開されている。
「HERO:108」のスクリーンショット。子供が楽しく遊べるようなシステムが色々と採用されている。 |
(C)2010 Gamania Co.,Ltd.All Rights Reserved.
□東京ゲームショウ2010のホームページ
http://tgs.cesa.or.jp/
□「ガマニアデジタルエンターテインメント」のホームページ
http://www.gamania.co.jp/
(2010年 9月 16日)