スクエニ、「ヴァナ★フェス2010 ~8周年だョ!全員集合」の詳細をレポート
レベルキャップの開放から、全ジョブの追加要素、新NM、サーバー統合、「メイジャンの試練」など盛りだくさんな内容を一挙紹介!


2月28日開催

会場:日本青年館大ホール

入場料:無料


 株式会社スクウェア・エニックスは、プレイステーション 2/Xbox 360/Windows用MMORPG「ファイナルファンタジー XI(以下、FF XI)」のオフラインイベント「ヴァナ★フェス2010 ~8周年だョ!全員集合」を開催した。会場となった日本青年館には開場前から招待券の当たった1,100余人の幸運なファンが長蛇の行列を作った。「FF XI」のオフラインイベントは1年半年ぶり。今回は参加できなかったファンのために、ストリーミングで会場の様子が生中継された。

 イベントは「スペシャルトークセッション」と、ミニライブなどで構成されており、2部構成のトークセッションでは、「禁断の地アビセア」など3つの追加コンテンツ、レベルキャップの開放、ジョブのバランス調整、サーバー統合など盛りだくさんの内容が紹介された。またプレイステーション 3/Windows用の新作MMORPG「ファイナルファンタジー XIV(以下、FF XIV)」のβテストについての情報も発表された。「FF XI」の追加コンテンツと「FF XIV」については、こちらの速報記事を参照してほしい。

 この記事では、速報では伝えきれなかった会場の様子や、トークセッションの詳しい模様をお伝えする。


イベントは田中氏の「8周年だよ!」の掛け声に客席全員が「全員集合!」と答えてスタートしたステージの構成もセットもどことなく「8時だョ!全員集合」のオマージュ。ファンには感涙もの会場の「日本青年館」は「8時だョ!全員集合」の収録場所だった。会場がここに決まったのが、ドリフ風味の理由だそうだ




■ 開場前から長蛇の行列。1年半ぶりのオフラインイベントだけにファンの期待度もMAX!

幸い雨はやんで、開場の1時間以上前から長蛇の行列ができた
ロビーには、関連商品の販売ブースが設けられた。早々に完売している商品もあった
田中氏らがサインをしたポスターも。ここで記念撮影をしているファンも多かった。

 今回の「ヴァナ★フェス」の会場は日本青年館。ここはかつて大人気お笑い番組「8時だョ!全員集合」の収録に使われていたことがある。そのため、「ヴァナ★フェス」もどことなくドリフ風味の構成になっていた。会場には海外メディアなどの外国人もいたが、来場者プレゼントの手ぬぐいを鉢巻きにして、一緒に盛り上がっていた。

 オープニングには、プロデューサーの田中弘道氏がはっぴを着て登場。「8周年だョ!」の掛け声に、客席が「全員集合!」と返す「ドリフ」そのままのオープニングでスタートした。その他にも、「スペシャルトークセッション」はドリフのコントに使われる小学校風のセット、「FF XIV」の発表では田中氏とゲストの植松伸夫氏が、ドリフの「ヒゲダンス」をしながら登場するなど、ドリフを知っている世代には懐かしい演出がそこかしこに登場した。

 イベントのメインコンテンツとなる「スペシャルトークセッション」は2部構成で行なわれ、田中氏ほか5名の運営、開発陣が登場した。セッションはテーマごとに区切って行なわれ、「アルタナの神兵」に登場する新しい要素や、まったく新しい追加コンテンツ「禁断の地アビセア」、「アビセアの死闘」、「アビセアの覇者」、新しいノートリアスモンスター(NM)など「FF XI」の新要素が続々と発表された。特にレベルキャップの開放などの大きな発表では、その都度会場が歓声と拍手に包まれた。

 トークセッション以外には、植松氏主宰のバンド「Tokyo Business Men(TBM)」による「FF XIV」のミニライブや、「The Small Onions」の「FF XI」ミニライブも行なわれた。また、ゲーム内で行なわれる宝くじ「モグボナンザ」のリアルバージョンで、インゲームアイテムが当たる「ノマドモグボナンザ」の抽選会も行なわれた。

 司会進行は、自身も「FF XI」のコアプレーヤーで、これまでのイベントでも司会を担当した声優の小西克幸氏が、アシスタントの“もっちー”こと望月一善氏とともに勤めた。


トークセッションのセットは学校風。わかる人にはわかるドリフの定番ネタだ司会進行を勤めた声優の小西克幸さん。「FF XI」のコアプレーヤーで、これまでのイベントでも司会を勤めてきた背景のロッカーに描かれていた相合傘は、一緒に開発をしている2人が喧嘩しないように仲良く仕事してね(笑)という意味がこもっているのだそうだ
左から、プロデューサーの田中弘道氏、「FF XI」ディレクター小川公一氏、バトルディレクター松井聡彦氏、プランナーの伊藤泉貴氏、プランナーの藤戸洋司氏、グローバルオンラインプロデューサーのSage Sundi氏



・「アルタナの神兵」ミッションと「過去三国クエスト」について

 「アルタナの神兵」のミッションは、3月23日のバージョンアップを含めて、あと2回で完結する。また、「過去三国クエスト」は次々回のバージョンアップで完結すると発表された。

 ミッションの報酬は、「これまでのミッションの報酬に劣らないものを用意している」(小川氏)。長いミッションの末に手にできるものだけにそれなりのものを用意しているとのことだが、今の所は耳装備になりそうな雰囲気を小西さんとの会話から匂わせていた。また、「過去三国クエスト」でも報酬が用意されているが、こちらは記念品的な意味合いの強い装備になるようだ。


「細かく見ていかないとわからないですが、あの人がとか、あの武器を持っているのは、とかそういう人たちが会議をしている様子です」(小川氏)「ズヴァール城最深部、王の間へ至る回廊です。後ろの鎧の人を覚えておくと、後ほど正体がわかるかも」(小川氏)過去の世界にあったはずの彗星が、現代の「サンドリア」上空に出現

・「カンパニエ」について

 「アルタナの神兵」のメインコンテンツともいえる「カンパニエ」については「スヴァール城外郭(S)」、「ズヴァール城内郭(S)」、「王の間(S)」の3エリアが新たに開放される。「闇の王」との戦いは「いつでもというわけではないですが、非常に手ごわい存在になると思います。久しぶりに王としての威厳を取り戻しますね(笑)。力を合わせて頑張って倒してください」(伊藤氏)。

 また新たな「勲章」の開放と、報酬の追加が行なわれる。報酬には、「カンパニエ」に登場するNPC専用ウェポンスキルのうち人気のある3つのウェポンスキル「グローリースラッシュ」、「タルタロストーパー」、「ウリエルブレード」をユーザーにも開放する。特に「ウリエルブレード」の映像が流れた時には、客席から大きな拍手が起こった。「ものすごく強力なウエポンスキルなので、当面はカンパニエ限定となっています」(伊藤氏)ということだが、今後は通常の戦闘でも使えるようにするか、強いまま「カンパニエ」限定のウェポンスキルにするかは現在検討中だそうだ。

 これらの技は技そのものではなく、「レリック」や「ミシック」のように専用の技が撃てる武器として用意される。「極力多くの武器種を用意したいが、武器種に関してはごめんなさいということになるかもしれない。変則的ではあるけれど、全ジョブがカバーできるように」と伊藤氏。


新たな姿になった「闇の王」
カンパニエの新たな報酬となる装備品
グローリースラッシュタルタロストーパーウリエルブレード

・「メイジャンの試練」について

 「メイジャンの試練」はレベル75のプレーヤーを対象にした新しいクエスト群の総称で、今後の成長要素の主力となっていくものだ。成長要素は大きく「武器系」、「防具系」、「生活スキル系」、「冒険スキル系」、「第3の最強武器系(仮)」の5つに分かれている。

 「武器系」、「防具系」はクエストをクリアすることで、武器や防具を強化することができる。「生活スキル系」は移動や「合成」、「錬成」などの能力を装備品に付与していく。「冒険スキル系」はプレーヤーの能力を強化する、既存の「メリットポイント」のようなもの。「第3の最強武器系(仮)」は「レリック」、「ミシック」に続く最強の武器を作るための系統だ。

 クエストは「Magian Moogle(メイジャンモーグリ)」から受ける。会場では、プレーヤーが「メイジャンモーグリ」に武器を渡してクエストを受ける映像が紹介された。特定の武器(今回は片手剣)を渡すと、その武器に対応したクエストが表示されるので、どういった能力を付与したいのかを考えてクエストを選択する。クエストをクリアすると、希望した能力が付与された新しい武器となって戻ってくる。この手順を繰り返して武器を強化していくことで、最終的には1つの系統に対して80種類ほどのバリエーションが生まれる。マイナーな強化を含むと片手剣だけで500パターンもの成長バリエーションが存在するというのだから驚きだ。

 現状の最強装備である「レリック」と「ミシック」については、別系統の独立した強化ツリーが用意されている。「以前からレリックの性能を見直して欲しいという声をいただいておりまして、他の武器が強くなったり、新しい武器が出る中で何もしないのはさすがにありえないと思ったので」(小川氏)。「通常の武器のクエストよりも、難易度の高いクエストがオファーされますが、チャレンジする価値が強さになるのではないかと思います」(藤戸氏)。

 初回のバージョンアップでは「武器系」と「第3の最強武器系(仮)」の一部のクエストが実装される。残り3つの項目は次回以降のバージョンアップで順次実装されていく。「クエストは並行していくつも受けることができるので、ぜひチャレンジしてみてください」(藤戸氏)とのことだ。


「メイジャンモーグリ」に片手剣を渡して、クエストを受ける

・レベルキャップの開放

 田中氏からは、レベルキャップの開放が発表された。唐突にバトルシーンの映像が流され、敵に勝ったキャラクターたちが75から76へとレベルアップすると、その意味を悟った来場者から大きな歓声があがった。「FF XI」で75というレベルキャップが決定されたのは、その強さに合わせて「ノートリアスモンスター」のバランスをとっていたため、レベル上限が上がると敵が弱くなってしまうといった理由や、その後に追加される戦略性の高いコンテンツの報酬を作るために、プレーヤーの強さの上限を決める必要があったためだ。そのため、2003年12月に75への引き上げが行なわれた後は長い間レベルキャップは外されなかった。代わりに「メリットポイント」という成長要素が導入されていた。それだけに今回の開放の驚きは大きい。

 「今まではレベルキャップは75のままで、コンテンツの充実を先に行なってきました。でももうほとんどのノートリアスモンスターも攻略された感があったので、ちょっと行き詰まり感があったのではないかと思い、レベルキャップを開放することにしました」(松井氏)。

 1度は「メリットポイント」を増やす方向で行った方がいいのではないかという話にもなったそうだが、開発的に課題を解決するめどがたったことで、レベルキャップの開放という方向に決まった。レベルキャップが開放されることで「メリットポイント」の増加については休止されるが、「キャップの開放を無限に上げていくわけにはいかないので、再び上限に達したときには、その時に入るアビリティ等に対するメリットポイントの追加はやっていきたいと思っています」(松井氏)ということで、すでにレベルキャップ解放後の「メリットポイント」の再拡張も視野に入れているようだ。

 しかしレベルキャップを開放することで、ゲームバランスが崩れてしまうのでは、という懸念はある。「皆さんの頭の中には、開放して『やった!』という気持ちもあると思うのですけれども、メリットポイントのことだったり、あとは狩り場ですよね、あるいはレベルの上限が上がってしまったら、メインジョブの専売特許の部分がサポジョブに食われてしまうのではという心配は当然あると思います」(Sundi氏)。

 そうした懸念について松井氏は、特定のアビリティについてはそのメインジョブの専売特許として残して置きつつ、「コンバート」などは開放していくとのことだ。「サポートジョブの可能性を増やしていきたいので、プレーヤーは強くなってもいいと思います。その代り強い敵も用意しますし、強い装備品も用意します。ですから皆さんどんどん強くなって、増えた選択肢を楽しんでいってもらいたいなと思います」(松井氏)と、「サポートジョブ」へのアビリティの開放をむしろ前向きにとらえている様子が伺えた。

 また、レベルキャップの開放に合わせて既存エリアの敵の再配置も行なわれる。「例えば、プロマシアエリアのレベル制限を撤廃して再利用するとかですね」(伊藤氏)。レベルキャップの上限は99で、段階的に実装される。初回のキャップは80で、実装は次々回のバージョンアップの予定だ。100にならないのは、UIが3ケタに対応していないからだという。


「侍」が「サンバ」を使う「白魔道士」が「コンバート」を使うレベルキャップの開放は、「FF XI」の戦闘を一新させるかもしれない




■ トークセッションレポート2「ジョブ調整」はエンドコンテンツで役に立てるような方向へ

 今までのジョブのバランス調整は、パーティーを組んでレベル上げをするのに向かないジョブに対して、できるだけパーティーに参加できるようにという視点で行なわれてきた。しかし今回発表された調整では、充実してきたハイエンドコンテンツをプレイする際に、役割がないという事態をなくす方向で調整が行なわれる。レベル上げという手段から、レベルアップ後の遊びという目的への方向性の転換となる。

 具体的には「足止め」などの、モンスターを無力化する行為を、特定のジョブだけの能力に限定するのではなく、より広い範囲のジョブに開放することも検討されている。「ジョブの特徴をなくしたいわけではなく、エンドコンテンツに達した時に、私のジョブでは参加できないということがないようにできるだけやっていきたいと思っています」(松井氏)ということだ。

アレキサンダー
オーディン

・召喚士

 新召喚獣「アレキサンダー」と「オーディン」が追加される。この2体は「アストラルフロウ」発動中にのみ召喚が可能で、1度召喚すると大技を1発放って帰ってしまう。「『FF III』の召喚獣に近い感じですが、その代わりちょっと強力な召喚効果にしてあります」(松井氏)。

 「アレキサンダー」はパーティー全体のダメージを軽減する「絶対防御」を使う。「オーディン」は「斬鉄剣」で有効範囲内にいる複数の敵に、雑魚モンスターならば一撃必殺のダメージを与える。「オーディン」はMPの残り度合いに応じてダメージが変動するので、MPがない状態で呼ぶとミスが増える。「強いというオーディンやアレキサンダーのイメージを壊さないようにやっていきたいと思います」(松井氏)。レベルキャップの上限が上がった後には、新召喚獣なども検討されているようだ。

・からくり士

 からくり士の使う「オートマトン」が戦闘不能になりやすいので、その部分が強化される。いくつかの「アタッチメント」や、「白兵戦フレーム」、「汎用フレーム」などの防御力やダメージ軽減率の見直しが行なわれる。また、将来的にはもっと短い間隔で出すようにしたいとのことだ。からくり士本体も、格闘スキルを「C」から「A程度」まで引き上げる。「せっかく何種類もマトンがあるので、それぞれの特徴を伸ばしていきたい、白兵戦用のホワイトキャンサーなどは将来ナイトに匹敵する盾として使えるようになるかもしれないです」(松井氏)。

・狩人

 アタッカーとしての性能を上げていきつつ、敵対心を自分自身でコントロールできる手段が追加される。「例えば、遠隔攻撃の飛距離をちょっと遠くするとか、命中率をそのままに与ダメを少し抑えて敵対心を降下させるなどの形を考えています」(松井氏)。また、現状の装備品には、あまり「狩人」らしくないものが多いので、「狩人が自分の能力を考えて選んだ時に、もう少し狩人らしいものが装備できるようにしたいです」(松井氏)。

・獣使い

 汁のパフォーマンスを見直して、今よりも気軽に「よびだす」でペットを呼び出せるようになる。また呼び出し時間の延長や、ペットオリジナルの技を追加も検討している。また、自分への敵対心をペットに移して、敵対心をコントロールするアビリティや、「あやつる」ことのできるモンスターの追加も予定されている。

・モンク

 現在は、多くのアビリティが使いたいときに使うものになっているので、もう少し周囲の状況に合わせてタイミングよく使う技や、パーティーメンバーの様子を見て使うような技が追加される。「例えばタイミング良く使えば敵の行動を阻害するようなものや、強力な敵と戦う際に手数の多さがアダになってしまう所があるので、それを軽減するようなアビリティを追加したい」(松井氏)。

・赤魔道士

 現状でも強いジョブなので、この強さを維持したまま、他の魔道士が追いついてくるのを待つような調整になる。「パーティープレイの際に、もっと自由に動ける時間を増やして。その間にできるようなことをしたい。赤魔道士としての強さが足りないとしたら、そこをフォローしていったりしたいです」(松井氏)。

・暗黒騎士

 「ちょっと間違うと自滅してしまうほど、すごい瞬発力の持ち主です(笑)」(松井氏)というクセのあるジョブで、大きな特徴である「暗黒魔法」があまり使われていない。そのため、「暗黒魔法」の使い勝手を良くしたり、高消費するMPの回復手段を増やしたりすることで魔法を使うというジョブの特性を生かせる方向で調整が入る。

・竜騎士

 「サポートジョブ」が後衛のジョブだと、連れている飛竜が回復魔法の「ヒールブレス」を出せるために、「サポートジョブ」が限定されているが、開発としてはそこを問題視しており「他のサポートジョブでも、ヒールブレスが使えていいのかな。あるいはヒールブレス以外のものも使えてもいいのかな、と考えています」(松井氏)。また、ジョブの特性である「ジャンプ」にも新しい種類を追加する予定があるようだ。

・侍

 「アタッカーとして性能の高いジョブなので、このポジションをレベル99まで維持できるように調整しつつ、他のアタッカージョブが侍に追いついていけるようにしたいと考えています」(松井氏)。侍に関しては例えば「石火之機」を「サポートジョブ」でも使えるようにすることを検討しているなど、強いジョブだけに他のアタッカーとの調整に主眼が置かれていた。侍に関しては、遊び方の幅が広がるような追加を考えていきたいとのことだ。

・戦士

 いろいろなジョブを作るための、基本となるオーソドックスなジョブ。「挑発というアビリティを持っているので、それがもっと特徴的なアビリティになるような動きができるような調整をしたい」(松井氏)。パーティー全体のフォローや、パーティーがぼろぼろになった時に「戦士」がいるとなんとかできる、というアビリティが追加される。

・白魔道士

 「昨年の今頃に色々な調整が入って、そのせいもあって立ち回りがテクニカルで色々できるぶん、忙しいジョブになってしまいました」(松井氏)という白魔道士。回復だけに忙殺されることなく、「例えば回復魔法を使うことで、MPのいらない攻撃魔法が打てるようなアビリティを追加したり」という方向で検討が行なわれている。

・シーフ

 パーティーメンバーや状況に依存することが多いジョブ。人の動きに合わせて動くのは面白くもあるが、「たまにはシーフが先に動くことでパーティーの動きが円滑になるような、そういうアビリティを持たせて上げたい」(松井氏)。また、ハイエンドコンテンツではダメージソースとして力不足な部分があるので、与ダメージの強化も検討。他にもシーフの役割として敵対心のコントロールがあるが、そのために自分への敵対心をあげるようなアビリティや、パーティーにとって良い状態を維持するような能力などが考えられている。

・学者

 アビリティを組み合わせて魔法を使うジョブだが、その組み合わせが多すぎると大変になってしまう。そこでレベルキャップの開放に合わせて専用魔法の追加が検討されている。パーティメンバーに対する敵対心の状況が現在どのようになっているかがわかるような、軍師的なイメージのアビリティが追加されるようだ。

・ナイト

 「盾としてのポジションはかなり盤石になってきたと思いますので、このポジションを99まで守っていただきたいと思います」(松井氏)。敵が強くなるぶん、盾としての性能のバランスは見ていくというが、現状では「かばう」が上手く機能していない部分があるので、例えば、一定時間だけダメージを肩代わりするのではなく、切れた後もフォローができるようなウェポンスキルを検討している。「かばうはナイトらしいアビリティなので、もう少し活躍できるようにしたいです」(松井氏)。

・忍者

 もう少し敵対心を上げられるようなウェポンスキルの導入が検討されている。「挑発」のようなものではなく、「パーティーメンバーと協力して、かつそれがパーティーメンバーの行動を妨げないといったような形を検討していますが、手順が複雑になってしまうのでまだまだ考えているところです」(松井氏)。また、「空蝉」をアイコンで残り枚数が確認できるようになりそうだ。

・吟遊詩人

 パーティーメンバに歌をかけにいくと、自分にかけたい歌がかけられない、という問題を解決できるようなアビリティが入る。「自分にかけた歌の効果を上書きしないような仕組みを作って、多少効果時間を延ばすような能力をあげたいと思っています」(松井氏)。防御力が低く一撃死してしまう局面が少なくないため、そこについてもフォローが入るようだ。また、「1つの楽器で複数の曲を弾けるような新しい仕組みに作り変えていきたい」と語った。

・青魔道士

 新しい「青魔法」が導入される。「封印してあるものも含めて50個以上あります」(松井氏)と種類も多い。中には、HNMから覚えるような魔法もいくつか入るようだ。また、セットした青魔法の組み合わせで得られるジョブ特性に二刀流を加えることで、「サポートジョブ」の選択肢を広げる検討も行なわれている。

・コルセア

 「ファントムロール」というアビリティ群が特徴的なジョブ。「ロール」で11が出ると最高の効果を得られるが、12以上ではペナルティがつく。松井氏は「もう少し11目指してギャンブルして欲しいかなというのがあります。逆に11がでたらやった!となるように、ささやかなボーナスをあげようと思っています」と語る。パーティーの中ではアタッカーとして活躍できるようなウェポンスキルが追加される予定だが、そこにも「コルセア」らしいギャンブル要素が加味されるようだ。

・踊り子

 最近のコンテンツでは友軍にNPCがいることが多いので、そのNPCたちも回復できるように「ワルツ」をパーティーメンバー以外にもかけられるようになる。TPがないと能力が発揮できないため、戦闘開始時に動きがもたついてしまう部分も改善するため、アビリティが追加される。

・黒魔道士

 「ガンガン魔法を打って、魔法を使うのが楽しくて仕方がないという方向に持っていきたい」(松井氏)。レベルキャップの開放とともに「ついに、いよいよ、とうとう(笑)、メテオを使うことができるようになります」(松井氏)。ただし「メテオ」が本当に使える魔法なのか、それとも単なるネタ魔法になってしまうのかは自分の目で確認して欲しいとのことだ。




■ トークセッションレポート3 新NMにジョブエモーション、新調度品の設定イラストも公開

・STF報告。STFの活動で不正行為の影響は減少。3月には人数の少ないサーバーを統合

 Sundi氏からは、スペシャルタスクフォースの報告が行なわれた。「いもづるくん」などによる継続的な対策が効果を奏してきた。またワンタイムパスワードの導入やIPアドレスのブロックなどで、状況は良くなっているが、いまだ根絶という所には至っていないが、経済への影響はほぼなくなってきている」と報告。そういった一定の成果が見えたことから、3月のバージョンアップと同時に人口が少なくなったワールドを統合すると発表した。

 現在「FF XI」は32のサーバーが稼働しているが、人口が少なくパーティーが組みにくくなっているサーバーを統合して24にスリム化する。


サーバー統合で整理されるサーバーと、今年のロードマップ

・新NMなど、その他の追加要素を紹介

 トークセッションの最後は、今後のバージョンアップで登場する予定のものを、まとめて紹介する「今後のあれこれ」のコーナーだ。

現在はイベントの最中にしか入れない謎多き場所「ウォークオブエコーズ」が新たな狩り場に?

・「ウォークオブエコーズ」がハイエンドコンテンツへの入り口に

 「ウォークオブエコーズ」は、「アルタナ」ミッションのストーリー終盤に現われる、イベントでのみ見ることのできるエリア。今までは自由に探索することができなかったが、今後のバージョンアップでこのエリアへ入れるようになる。

「ミッションを進行させるために訪れることになりますが、新たに用意されるハイエンドコンテンツの入り口もここにあります」(小川氏)。レベルキャップの開放とともに、新たな狩り場として用意される場所で、攻略性の高いコンテンツとして導入の準備が進んでいるらしい。同じ高レベル向けのコンテンツだが、「アビセア」とは違う方向性のコンテンツになるので、「両方楽しんでいただけるかと思います」(小川氏)とのことだ。

・新しいノートリアスモンスターが続々登場

 今後はバージョンアップごとに、強いNMを入れていきたいと伊藤氏が報告。映像では、ドラゴンや妖精、甲殻類などの巨大なNMが映像で紹介された。


新しいNMは巨大な敵がそろっている

・イベントと報酬も盛りだくさん

 5月の「練武祭」では新規の調度品が2種類登場する。1つは和風の兜、もう1つは日本刀の飾り台だ。また「冒険者さんありがとうキャンペーン」では、お祝衣装を用意。「これを着つつ、ワイワイとクラッカーでも打ち鳴らしてもらえたらなあと思います」(田中氏)とのことだ。また、8周年記念の「モグボナンザ」も予定されている。

イベントで追加される装備と、8周年記念の「モギボナンザ」の景品

・「錬成」を使う新しい装備品や調度品を追加

 「錬成あれこれ」のコーナーでは、藤戸氏が「錬成」の将来的な方向性を説明した。「これまでのレシピの追加は、各合成スキルに対して少しずつ全般的にやってきたのですが、今後はそれを錬成の方にシフトさせていこうと思っています」(藤戸氏)。「合成」もキャップに到達してしまうと、スキルを上げる楽しみがなくなってしまうので、それに変わるものとして前述のような方向が必要だと説明した。

 「支援生産やHQ製品を作る行為も近いものはあるが、それだけではちょっと弱い。では単純にスキル100や100以上のレシピを追加していけばいいのかというと、全合成に対して行なわなければならないので、無駄な合成も増えてきてしまうので難しい。だったら、思い切って新しい仕組みを用意して、合成職人の人たちがもっともっと輝けるようにしたほうがいいかなと」(藤戸氏)。「ガレーキッチン」のような調度品や、「エヴォリス」のような、「合成」には入れられなかったけれど、性能のいい装備品などをどんどん追加していくという予定だ。

 また、もっちー氏が「属性杖を8本持つのが大変なので、1本にまとめてほしい!」と要望した。藤戸氏が「属性杖は隠し効果があったりといろいろ強力なので、仮に1本にまとめたとしても全部がくっつくかどうかわからないですよ(笑)」と返すと、「いけますよ!」とさらにプッシュ。藤戸氏は「ちょっと持って帰らせてください」と検討を約束した。

 「エヴォリス」についても「選べる性能が少ない」と意見したところ、「前回の実装で入ったものがすべてではないのです。徐々に性能は増やしていきます」と藤戸氏。次回のバージョンアップでも新しいものが追加されるのだそうだ。また「エヴォリス」はもともと気軽につけてもらうという意図で導入されたのに、現状ではかなり取りづらいため、それを緩和してもっと手に入りやすくするために、次回のバージョンアップで「トレジャー・キャスケット」でも入手できるように変更される。


今後追加される調度品の設定イラスト

・ジョブごとに特性を生かした動きをする「ジョブエモーション」

 デザイナーの確保ができたため、以前からあったアイデアがようやく動き出したという「ジョブエモーション」は、ジョブごとの固有のエモーションだ。「どういった形で入手するか、取得した後は他のジョブでも使えるようにするかなど、まだ決めなくてはならないことが多く動きもこれから作っていくところですが、和むような要素も今後は追加していきたい」(小川氏)。会場では、デザイナーが休日出勤を繰り返して作ったという「シーフ」と「戦士」のエモーションが紹介された。「シーフ」はジャンプしながら煙幕を投げて消える動作、「戦士」は指をボキボキ鳴らしたあと、相手を挑発するような仕草で、会場からは笑いが起こっていた。

「シーフ」と「戦士」のジョブエモーション

 最後に6人が「FF XI」のこれまでと、未来に対する思いを語った。

Sundi氏: ついに「FF XIV」が見えてきて、「FF XI」はどうなってしまうのだろうと心配していた皆さんもいらっしゃるとは思いますが、今日の発表を受けて、また新しい始まりというか、することがあまりにも増えて安心してくださったのではないかと思います。また「FF XIV」に関しても同様に業者対策やその他運営についても万全を期するため今後も頑張っていきたいと思います。

藤戸氏: 本当にいろいろいとコンテンツが充実してきて、ちょっともう自分でもどこまで入っているかわからなくなってきたので、また最初からプレイしているんです。今年に入ってから「戦士」がレベル30、踊り子がその半分までいってます。タルタルでやると言ったら「ハードモードへようこそ」と言われていたんですが(笑)、すごく遊びやすくなっていて、そこからもう50とか75とかレベルキャップの開放も一緒に体験して、ここが足りないとかもっとこうすればいいのにといったことをフィードバックできるかなと。「FF XIV」が始まりますけれど、「XI」も並行して強化していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

伊藤氏: 今年は「アビセア」と「ウォークオブエコーズ」などまだまだ新しいバトルコンテンツを用意していくつもりですので、より楽しくより熱いバトルをこれからも入れていきます。よろしくお願いします。

松井氏: 8周年ということで、とても感動しています。よくここまで続いたなあと思いますし、今日来てくださった皆さんもありがとうございます。ジョブの調整や色々な物の実装は頑張りますので、これからも「XI」をよろしくお願いします。

小川氏: 「アトルガン」以来、ロードマップをとうとう発表してしまいました。発表してしまったからには、守れるように頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

田中氏: 最近「ルガディン」とか「ララフェル」というのが自分の中で普通になってきていましたが、やっぱり「タルタル」だったり「ガルカ」だったり「エルヴァーン」だったりするのは重要だと思います。これからもずっと続けていきますので「XI」をよろしくお願いします。




■ 「FFシリーズの楽曲で盛り上がったミニライブ。そして華々しいフィナーレ

 「シークレットボーナスステージ」では、新作「FF XIV」のオープニングムービーが会場限定で初公開された。さらにその後、スペシャルゲストとして音楽家の植松伸夫氏が登場した。植松氏は「FF XIV」のすべての楽曲を手掛けているが、自身で「FF」シリーズの全楽曲を担当するのは、1999年の「FF IX」以来だそうだ。今回手掛けた曲の数は実に80曲にものぼる。感想を聞かれて、「ファイナルファンタジーってタイトルが大きくて重いので、いい加減にやりにくい仕事だよね。他の仕事をいい加減にやってるわけじゃないけど(笑)。でも結構気合が入ったなあ」(植松氏)と仕事を振り返った。

 さらにTBMによる「FF XIV」の楽曲のミニライブも行なわれ、E3トレーラーに登場する曲や公式サイトで流れている曲など、全2曲が演奏された。最後に、「久しぶりにFFをまるまる1本やらせていただいて、力を入れました。まだ発表されていないテーマソングもあります。個人的にも非常に気に入ったものができましたので、楽しみにしておいてください」と「FF XIV」への意気込みを語った。

 後半に行なわれたミニライブでは、この日のために結成された「The Small Onions」が「FF XI」の5曲の楽曲を演奏した。ピアノとヴァイオリン、ベースが醸し出す洗練された曲調で、思い入れの深い曲を聴き、司会の小西さんも感動していた。

 また、イベント後半にはゲーム内アイテムが当たる「ノマドモグボナンザ」の抽選会が行なわれた。これはアカウントを持っているユーザーが事前に登録をしておく宝くじで、田中氏がボタンを押してルーレットの数字を止めた。当選者にはゲーム内のメールボックスへ、次回のバージョンアップ以降にアイテムが宅配される。

 最後は出演者全員が舞台に立って全員で1回目の閉幕を迎えた。ストリーミングの放送終了後に、今度は来場者のみを対象とした大抽選会が行なわれ、デスクトップパソコンや、CPUとマザーボードのセットなど豪華な賞品が当たった。そして2度めのエンディングで、イベントは幕を閉じた。

 フィナーレの後には田中氏ら開発陣8名の囲み取材が行なわれた。「FF XI」については、レベルキャップが開放されることで再び限界突破クエストが発生するが、「それほど難しくするつもりはありません。限界突破クエストはあることはありますが、サクサクとこなして頂こうと思っています。そんなに意地悪なことはしません」(松井氏)。今回のレベルキャップはまずはレベル80まで、その後は順次開放されていくことになる。松井氏によれば、レベル80以降のキャップ開放がどのような形になるかは未定だが、盛りだくさんな内容にしたいということで、1レベル上がるごとに新しい要素が入るような、中身の濃いレベルアップを目指していくそうだ。

 また、既存のHNMのレベルを上げる予定はないそうだ。よほどのことがない限り、レベル75制限などはつけないので、レベルが上がって、既存のNMは倒しやすくなる。ただその代わりにより強いNMのような新しい挑戦ができるコンテンツが実装されることになる。

 「赤魔道士」の売りともいえる「リフレシュ」をどのように「サポートジョブ」に開放していくかという質問に松井氏は、「リフレシュはサポートジョブにあげても構わないと思っています。代わりに、赤魔道士にもっと強いリフレシュをあげるとか、それが常時かかってても大変だよというくらいに派手なバトルになるはず(笑)」と、「FF XI」がまったく新しい展開にはいっていこうとしていることを示唆した。

 いままで最終装備と呼ばれていた装備へのフォローは「メイジャンの試練」のようなもので、上のレベルでも使えるようになるようなフォローをする。「メイジャンの試練」実装には既存の武器の救済的な意味もあるということだ。


植松氏とTBMは「FF XIV」E3トレーラーの曲など2曲を披露
ピアノの谷岡久美さん、ヴァイオリンの依田彩さん、ベースの水田直志さん
「ノマドモグボナンザ」の抽選風景。田中氏がボタンを押してルーレットを止めていった名残惜しいフィナーレイベント終了後には囲み取材が行なわれた


(C) 2002-2010 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

(2010年 3月 1日)

[Reported by 石井聡]