Taipei Game Show 2010現地レポート

USERJOY Technology本社訪問レポート
全てがバトルフィールドとなるMMORPG「三国群英伝2 Online」
イケメン・美少女武将が闊歩するMMORPG「火鳳三国Online」

2月5日~9日開催

会場:台北世界貿易中心

入場料:大人 150台湾ドル
    子供 100台湾ドル


 USERJOY Technology(以下、USERJOY)は1995年にPCゲームメーカーとしてスタートした会社である。「幻想三国志」シリーズ、「三国群英」シリーズなどのRPGをつくりつづけており、台湾ユーザーからはPCゲームメーカーとしても評価されている会社だ。オンラインゲームの開発・運営を始めたのが2002年で、特に2005年からサービスを開始した「三国群英伝 Online」が大きなヒットとなった。

 USERJOYはPCゲーム開発時代からの世界観を受け継ぐオンラインゲームメーカーとして、他のオンラインゲームメーカーにはない強い個性を発揮している会社である。また、キューエンタテインメントと共同開発でPS3版のMMORPG「AngelLoveOnline」を作ったメーカーとしても知られる。今回、本社を訪問し、最新タイトルを中心に取材を行なった。

USERJOYは台北市郊外にある中山市にある。周囲のビルにはGamania、NC Tiwanなど多くのオンラインゲームメーカーがテナントとして入っている



■ PCゲームのノウハウ・世界観を活かしてオンラインゲームを展開。アイドル出演の麻雀ゲームも人気

USERJOY 1st Business Division Vice General Manager劉信氏
アイドル達が実写で登場する「搓麻雀 Online」

 今回の取材では、USERJOY 1st Business Division Vice General Manager劉信氏から話を聞いた。劉氏は最初にUSERJOYのこれまでの歩みを説明した。PCゲームメーカーとしてスタートしたUSERJOYは2002年からオンラインゲームの運営を開始したが、大きな転機を迎えたのが、「三国群英伝 Online」のヒットだという。

 「三国群英伝 Online」は2Dの横スクロール風のグラフィックスでフィールドを表現したMMORPGだ。プレーヤーは三国志演義をベースとした世界でいずれかの国に属し、他国のプレーヤーと戦いを繰り広げる。プレーヤーは馬に乗った武将となり、何人もの兵士を率いて戦場に飛び込んでいく。2Dのグラフィックスが生む独特の世界観と、大規模戦争の楽しさが多くのプレーヤーを魅了した。台湾のみならず、中国、日本、韓国、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ等様々な国でサービスが行なわれている。

 USERJOYは現在、「三国群英伝 Online」をはじめとしていくつもの自社タイトルを展開している。「三国群英伝 Online」の要素をパワーアップさせたMMORPG「三国群英伝2 Online」を2009年8月にサービスを開始し、2009年12月には三国志演義の武将達を大胆にアレンジした「火鳳三国online」のサービスをスタートさせた。この他、2008年8月にサービスを開始したアクションRPGも人気を集めている。ちなみに、「AngelLoveOnline 2」は日本では「エンジェル戦記」というタイトルで、キューエンタテインメントから2009年7月にサービスが開始された。

 オンライン麻雀ゲーム「搓麻雀 Online」でも多くの人気を獲得した。実在の台湾アイドル達を実写取り込みで登場させるという手法がユーザー達の心をつかんだ。現在はクライアント版だけでなく、WEBブラウザ版、Facebook版も運営を開始している。カジュアルゲームを展開したことで新しいユーザー層を獲得できたことも大きい。このゲームが皮切りになり、現在台湾で運営されている実写取り込みの麻雀ゲームでベスト3という人気を獲得している。

 USERJOYはキューエンタテインメントと協力し、「AngelLoveOnline」と「エンジェル戦記」をPS3で展開している。台湾でMMORPGをコンシューマ機で展開できたゲームメーカーは現在はまだほとんどいない。USERJOYでは「AngelLoveOnline」の開発で得た技術を活かし、今後のゲーム開発に関してはコンシューマ機への移植を視野においたコンテンツ開発を行なっている。2010年の年末には日本のゲーム会社と協力して作ったコンシューマ向けオンラインゲームを紹介できるとのことだ。日本のユーザーをターゲットにしたアクションRPGだという。

 現在、USERJOYは340人の社員がいて、開発チームは3つ。開発スタッフは240人ほどで、運営担当は30人ほどだ。開発チームは3つにわかれており、代表作としては1つのチームが「火鳳三国Online」と「搓麻雀 Online」で、第2チームが「三国群英伝2 Online」、そして第3チームが「AngelLoveOnline 2」だ。

 USERJOYの1st Business Division Vice General Manager劉信氏は「去年は3つの開発チームが同じような時期に集中してゲームを出すことになってしまった。今後は3つのチームがタイミングよくゲームを生み出す展開にしていきたい」と語る。現在、他にもいくつかのタイトルが開発中で、年末までにMMORPG「Twin Heroes」の続編など2~3のタイトルを発表予定だ。各作品の続編が多い印象だが、全く新しいタイトルも計画している。

 USERJOYは他国への進出も積極的に行なっており、中国、香港、そして日本に子会社を設立している。日本では「三国群英伝 Online」の他、中国の大承網絡技術有限公司が開発した「マスターオブマーシャル」、台湾のFUN YOURS Technologyが開発する「Le Ciel Bleu ~ル・シエル・ブルー~」のパブリッシングも行っている。今後は日本でも「三国群英伝2 Online」、「火鳳三国online」のサービスを検討している。サービス時期は現在は未定だ。

 劉氏は2つのタイトルの日本展開に対して、「USERJOY JAPANのスタッフともよく検討し、日本のユーザーの好みをリサーチし、研究してから出していきたい」と慎重な姿勢を強調する。スピードよりもコンテンツのカスタマイズ、日本のユーザーに向けてのカルチャライズを大事にしていきたいという。

 劉氏はユーザーへのメッセージとして「日本のユーザーには感謝しています。これからも面白く、新しく、楽しめるタイトルを提供していきます。よろしくお願いします」と語った。シリーズのテイストを活かし自社ブランドを時代に合わせてアップデートしていくUSERJOYという会社は、開発に関して独特のこだわりを持っているメーカーだと感じた。


【搓麻雀 Online】
女性のみならず、男性アイドルも登場する「搓麻雀 Online」。画面はブラウザ版で、クライアント版は様々な機能やカードゲームなど多彩なゲームも楽しめる



■ 1万人規模の大合戦。船や攻城兵器を使い、武将の力を借りて戦え! 「三国群英伝2 Online」

特定チャンネルのマップ全てが戦場になる。NPCも臨戦態勢になるという
船を操る戦い。「船長」の技量が問われることに

 続いて、日本でサービス予定の2つのタイトルを紹介していきたい。「三国群英伝2 Online」は前作、「三国群英伝 Online」の楽しさをさらにパワーアップし、兵を率い大きな戦いに参加できるMMORPGである。台湾では2009年8月にサービスを開始し、日本でも基本プレイ無料のアイテム課金制を予定している。サービス時期は未定だ。

 「三国群英伝2 Online」では魏・呉・蜀にわかれて戦う。三国志演義を追体験できるストーリー要素も充実しており、物語の要所には三国志演義の登場人物がボスとして立ちふさがる。プレーヤー達は協力してこれらを撃破していく。ボスを倒すことができれば行動範囲がさらに拡大していく。レベルアップだけでなく、三国志に参加しているような興奮が味わえる。

 プレーヤーが率いる兵士達のバリエーションも前作から大きく増加しており、見た目も2Dグラフィックスから3Dグラフィックスに大きく進化。より臨場感のある三国志演義の世界を体験できるようになった。「毎日イベントシステム」などレベルアップするためのクエストも充実している。

 「三国群英伝2 Online」の最大の楽しさは前作同様合戦にある。今作の最大のセールスポイントが「一万人が参加する戦い」だ。1週間に2回特定のチャンネルが「戦争チャンネル」に指定され、街などにすら安全地域のない敵対国家への戦争行為が可能になるのだ。この戦争時期には街のNPCすら攻撃対象になる。武将達は敵国の兵を見かければ襲いかかってくる。子供や老人などのNPCは敵対プレーヤーから逃げ回るようになるという。

 戦争時には敵国の街や城に攻め込み、PCやNPCと激しく戦いを繰り広げる。戦争の最前線となるだろう。敵対PCを撃退し、街のNPCを倒せば街や城を占拠することが可能で、戦争時期が終わった後も支配した国に所属しているプレーヤーには税率の優遇など様々な特典がある。

 三国志演義に登場する武将を倒すことができれば「武魂」というアイテムを手に入れることができる。このアイテムを手に入れることで倒した武将に変身できる。変身したプレーヤーは非常に強力なキャラクターとなり、専用スキルを発動できる。まさに一騎当千の戦いを体験できるようになるわけだ。大規模戦争時に大活躍できるシステムだ。

 この他ギルドで資金を集めることでギルドマスターが船や攻城兵器を購入し、使用するメンバーを任命できる。船は他のプレーヤーを運搬することも可能で、任命されたプレーヤーは船長として船を操縦する。船には弩砲と呼ばれる兵器をつけることができ、敵船だけでなく、岸の近くにいるプレーヤー、港なども攻撃できる。ギルドが集まれば「赤壁の戦い」のような船団がぶつかり合う戦いも体験できる。

 攻城兵器はロケット砲のような爆発力のある球を打ち出す大砲で、移動モードと射撃モードに変形する。船や攻城兵器をどう活用するかも戦いの鍵を握るだろう。この他にも戦争兵器ではないが、「天灯」という気球が遠くの地域をつなぐ乗り物として登場する。こういった奇妙なガジェットは作品に独特の味を加えてくれる。

 武将として兵を率い、敵国のプレーヤーと戦う。「三国群英伝2 Online」は前作の楽しさを大きくパワーアップし、多数の要素を詰め込んだ正当進化の作品だと感じた。3Dグラフィックスとなり、ユニークなシステムを盛り込んだ本作は前作とはひと味違ったより派手で豪華な戦いを体験できる作品だと感じた。


より要素を詰め込み、臨場感の高い戦いを目指す「三国群英伝2 Online」。ギルドマスターから任命されて特定の役割をこなすという要素も面白い
「三国群英伝2 Online」のスクリーンショット。プレーヤーキャラクターだけでなく彼らが率いる兵士も混じり合う密度の高い戦場は、前作を受け継ぎながらより派手な世界を作り出している




■ イケメン化、美少女化!? 衝撃的なアレンジの武将と世界に注目のMMORPG「火鳳三国Online」

プロデューサーの孫守頤氏。後ろのポスターの美女達にも注目
西洋と東洋を混ぜ合わせた独特の世界観

 「火鳳三国Online」はオリエンタルファンタジーともいえる東洋をベースに西洋のファンタジー要素を盛り込んだような独特な世界観が魅力のMMORPGだ。三国志の武将の一部が美女になったり、オリジナルの美少女キャラクターが登場したりと、思い切ったアレンジが面白い。台湾では2009年12月から基本プレイ無料のアイテム課金制の正式サービスがスタートしている。日本での展開時期は未定だ。

 プレーヤーは魏と蜀にわかれて戦うこととなる。呉は中立の立場として双方のプレーヤーに関わってくる。蜀は「正義と平和を信じる桃源郷」、魏は「領地の拡大を目指す帝国」と国の設定もユニークだ。「名将システム」というシステムがあり、プレーヤーキャラクターは30分に1度1分間三国志演義に登場する「名将」に変身できる。変身の条件は「対象の武将の部下になる」こと。より強力な武将に仕えることをめざし、主人を変えながらゲームを進めていくことになる。仕えることができるのは自国と呉の武将だが、ある特定の条件を満たすことで敵国の武将にも変身できるという。

 プレーヤーは「軍糧」という資源を持っており、PvPではこれを奪いあう。軍糧をたくさん集めることで、様々な宝や「官位」を購入することができる。PvPゾーンで敵国のキャラクターを倒すことでより強力なキャラクターに成長していくのだ。クエストの中には敵国に侵入するものも用意されており、戦いは必至だ。城を奪いあうギルド戦なども今後実装予定だ。この他、マップにランダムに武将が出現し戦うシステムも用意されている。

 ギルドはギルド専用クエストが用意されており、力を合わせて成功させることでレアアイテムがゲットできる。ギルドメンバーがパーティーを組むと特別な補助効果が発動したり、ギルドメンバー専用の戦闘スキルが使用できるようになる。ギルドには有料アイテムを買う「アイテムモール」と連動した機能があり、ギルドメンバーが有料アイテムを購入すると、使った金額の5%がギルドマスターにキャッシュバックされる。ギルドマスターは得たお金をギルドのために使うこととで、ギルド全体の結束を強められるというわけだ。リアルマネーが関係するこのシステムは独特だと感じた。

 この他、画面いっぱいの大きさの巨大ボスなどもいて、戦闘の楽しいゲームデザインとなっている。オークションシステムなど取引システムも充実している。面白いのが「闇市」というシステム。ここでは希に手に入る敵国の武器やアイテムを取引できる。この闇市を使うことで魏のキャラクターが蜀の武将関羽が乗る「赤兎馬」をゲットすることもできるという。闇市の実際的な機能は今後の予定だ。

 これ以外の実装予定のシステムとしては「モンスターコロシアム」がある。プレーヤーが1vs1でプレイできるミニゲームでモンスターを倒して得られるアイテムを使うことで「駒」としてフィールドに召喚、将棋やチェスのようにモンスターを動かして対戦するという。攻城戦など今後はさらに機能も充実してくる予定だ。

 「火鳳三国Online」はやはり三国志演義の大胆なアレンジが魅力だ。プロデューサーの孫守頤氏が「カプコンの『戦国BASARA』のような大胆なアレンジを心がけた」と語る武将達が面白い。美青年風、女性か、怪物そのものの外見、オリジナルの美少女キャラクターと、「どこまで原作から離れるのか」と期待させられる。話題を集めずにはいられないアレンジだ。彼らが活躍する世界はどんなものになるのだろうか。


左から、アイドルグループを目指したという魏の軍師の1人郭嘉、オリジナルキャラクターの芭蕉、なぜかヤンキー姿の周泰
巨大ボス、変身システムと、派手でにぎやかなシステムが入っている。ギルド機能にも注目したい
派手で美しい「火鳳三国Online」のスクリーンショット。三国志演義が題材だと思えないユニークな世界観だ

(2010年 2月 9日)

[Reported by 勝田哲也 ]