ゲームヤロウ、「鉄鬼」正式サービス先行体験レポート
1月27日より正式サービス開始、協力プレイが楽しめるキャンペーンモードを実装

1月22日収録

1月27日より正式サービス開始



 ゲームヤロウ株式会社は、Windows用オンラインメカニックアクション「鉄鬼」の正式サービスを1月27日より開始する。ビジネスモデルは、基本プレイ無料のアイテム課金。

 「鉄鬼」は、韓国GAMEHIが開発しているオンラインメカニックアクションだ。8種類のメカを使い、最大16対16で戦うことができる。狙撃型や偵察型、砲台に変形するタイプなど個性豊かなメカでの戦いと、攻撃時の武器描写やブースターを噴射してのダッシュなど細部にまでこだわりを感じさせる「メカ描写」が楽しい作品である。

 正式サービス時には「経験値アップ」や「予備弾倉」、機体の色を変更できる課金アイテムが発売されるだけでなく、新モード「キャンペーンモード」、新マップが追加される。また、機体獲得方法も従来のものから変更され、自分の望む機体を入手しやすくなった。今回は先行体験会からのスクリーンショットとともに紹介していきたい。


■ 課金アイテムはカラーリング、経験値増加など基本的なラインナップ。正式サービスでは機体の獲得方法も改善

右が課金ショップ「ヤーロショップ」のメニュー。ラインナップは必要最低限という印象で、ちょっと少なく感じた
軽量型のVANGUARD向けに追加された「AMG-35」。リロードも早く連射力に優れる

 「鉄鬼」の正式サービスで追加される課金アイテムは、ゲームヤロウの課金通貨「ヤーロポイント」を消費して購入できる。ヤーロポイントは基本的には1YR(ヤーロポイント)=1円でまとめて購入することでボーナスがつく仕組みだ。

 アイテムの価格としては「クランマーク変更」、「ニックネーム変更」が2,000YR、「クラン名変更」が1,500YR、「経験値30%アップ」が7日で700YR、15日で1,400YR、30日で2,000YR、メインウェポンの装弾数が50%増加する「予備マガジン」が7日で500YR、15日で1,000YR、30日で1,500YR、「リスポーン時間30%短縮」が7日で400YR、15日で800YR、30日で1,200YR、だ。機体のカラー変更は8種類用意されており、7日で200YR、15日で300YR、30日で500YRとなっている。

 「鉄鬼」は経験値を獲得し、階級を上げることで使用する機体が増える。経験値獲得アップアイテムは人気を集めるアイテムだろう。また、「サドンデスモード」はリスポーンして弾を補給する、ということができないため予備弾倉が重要になるだろう。ゲームバランス重視のためか、大きな威力を持つものの装弾数が少ないサブウェポンの予備弾倉は今回はなかった。

 カラーリングは迷彩パターンと色が固定された8種類のカラーが発売される。今回のラインナップはあくまで実在の兵器風の渋い色パターンとなっている。これまでにはなかった個性を付与することが可能だ。今後はさらにバリエーションを増やして欲しい。ツノやトゲなど外見にアクセントをつけるアバターパーツ、というのも期待したいところだ。

 メインウェポン、サブウェポンはゲーム内ポイントを使って購入する。今回はメインウェポンが5つ、サブウェポンが4つ追加された。軽量型のVANGUARD向けに追加された「AMG-35」は威力は低いが連射力、リロード速度に優れた武器だ。重量型のVINCEREは3連型の「MDC-7」が追加された。3つの砲が連続して動くアクションが楽しい、連射速度は遅めだが威力の高い武器だ。

 砲台に変形できるRAMPARTは4つの砲身を持つ「MMC-4」が追加された。連射速度と攻撃の威力のバランスが取れた武器で、人気を集めそうである。薬莢が排出される演出も楽しい。工兵型のIMPULS向けの「BEXU-9」はこれまでと同じバウンドして一定時間で爆発するタイプの弾だが、従来のものよりも連射速度に優れる。探索型のFORBIDDENは空爆要請ができる「AirHawk」が追加される。

 サブウェポンとしては、装弾数が増えた機関銃「SU-30」、強力なロケット砲「AMAL-5」、そして煙幕弾の「SMOKE-B」、閃光弾の「FLASH-B」が追加される。煙幕、閃光は装弾数こそ少ないものの、使い所を工夫することで味方への援護となるだろう。うまいプレーヤーがどう使うのか楽しみな武器だ。

 この他、正式サービス時のアップデートでは機体の取得方法が変わる。これまでは機体の取得順番が完全に決められていて、ユーザーからも不満の声が上がっていた。触ってみたい機体があるのに、それを得るためだけに他の機体でずっとプレイしなくてはならないため、プレイスタイルが強制的に固定されていたところがあった。

 今回は基本の機体である近接型のVANGUARD、強襲型のDUAL、狙撃型のBLITZ、仲間を回復できる整備型機体のVELOXの4つから1つを選び階級を上げることで次の獲得機体を選ぶ、という方式になった。4つの機体を全部取得した次に残りの4機体から1つを選ぶ、という形になる。プレーヤーが望んだ機体を入手できる自由度が大きく増したと言えるだろう。



機体のカラーリング。まだ8パターンだが、今後は種類がどんどん増えそうだ
新しい武器。装備したことで変化するシルエットにもこだわりたい

武器の追加により戦い方の幅が広がる。自分なりの戦い方を考えていきたい
サブウェポン。スモークやフラッシュをどう活用するか

■ 襲い来る敵を協力して撃退するキャンペーンモードと、新マップ「CROSS ROAD」

「SWIZEN防衛戦」のマップ。四方八方から敵が来る
空中戦艦から敵が下りてくる。船からの砲撃にも注意
新マップ「CROSS ROAD」。中央は大激戦地帯となりそうだ

 正式サービス時の最大の目玉が「キャンペーンモード」だろう。「鉄鬼」はこれまで対戦がメインだったが、キャンペーンモードでは最大8人の協力プレイができる。今回追加される「SWIZEN防衛戦」では、プレーヤーは様々な方向から襲ってくる敵を協力して撃退するのだ。

 「SWIZEN防衛戦」のルールとしては敵がマップの中心にある“コア”に向かって進軍してくるので、一定時間コアを守りきる、というものだ。ラウンド制になっており、難易度によってラウンドが変わる。最大10ラウンドで、10ラウンド目にはボスが待っているという。プレーヤーは1ラウンドにつき3回までリスポーンできる。どうやって戦うか、プレーヤー達の作戦が重要になるモードである。

 「SWIZEN防衛戦」の演出はなかなか凝っている。マップは島になっており、最初は空母型の敵艦が海岸線に接岸しそこからメカを落としてくる。空母についている砲台は攻撃しても撃破することはできないようだ。プレーヤー達は基地周辺で列をなして進んでくる敵を撃退することになる。

 敵のメカは蜘蛛のような小さなメカから重装甲の機体、サソリ型機体などこれまでにはなかったタイプのメカだ。弾道を描いて攻撃してくる曲射砲を撃ってきたり無謀に突っ込んでいくとたちまち倒されてしまう。ラウンドが進むと空中戦艦が登場し、そこからメカを降らせたりする。このモードの魅力は獲得経験値の多さである。より効率よく経験値稼ぎをするためには、プレーヤー達が力を合わせてできるだけラウンドをこなしていかなくてはならない。

 防衛の主力になりそうなのが砲台型のRAMPARTだ。敵の進軍を防ぐ機体として頼もしい。工兵型のIMPULSは正面からぶつかるには力不足だが基地に設置されている砲台を動かす能力がある。探索型のFORBIDDENが敵の進軍位置を教えてくれればとても助かるし、修理型のVELOXも欠かせない。8人でどう攻略していくか、挑戦しがいがありそうだ。

 キャンペーンモードにはSP(スキルポイント)というこれまでにないシステムが入っている。このポイントは敵を倒すと入手でき、消費することでキャンペーンモード中の機体性能をアップさせることができる。どこでどうポイントを使っていくかも攻略として大事だ。SPのメニューは「攻撃力強化」、「防御力強化」、「弾薬補給」、「コアEMP」、「レイジモード」がある。

 攻撃力・防御力の強化はラウンドを進めても継続されるので優先的に上げていきたい。SPを大量消費する「コアEMP」はコア周辺の敵機体に大ダメージを与えるシューティングゲームのボム的な攻撃だ。「レイジモード」はSP消費が1番多いが、攻撃力と防御力が一定時間2倍となるため、ここぞというときに使用したい。。ラウンド後半は敵がコアに殺到するピンチになる。貯めておいたSPを使っていかなくては乗り切れない場面も出てくる。どう戦うかは練習していきたいところだ。

 シミュレーションゲームで「キャンペーンモード」とよばれるものは複数のシナリオをプレイするモードだが、今回追加される「鉄鬼」のキャンペーンモードはこの「SWIZEN防衛戦」の1つのシチュエーションのみである。韓国では「PvEモード」と呼ばれているとのことで、現状では韓国版の呼び名のほうがしっくりくる。シチュエーションとしては楽しいが、何をどう守っているのか、自分たちは何のためにこの作戦を行なっているのか全くわからない。

 ストーリーや世界観の肉付けをもっとがんばって欲しい。また敵のAIに関しても闇雲に突撃してくる感じで、もう少しと言うところだ。先行している韓国ではこの他3つのシナリオが用意されているという。これらの実装も期待したいところだ。韓国のバージョンではゲームバランスはそれほど差がないが、武器の数は韓国版がずっと多く、「レジェンド機体」という特別な機体もあるという。

 ストーリー等の背景、バリエーションに関しては少し不満も感じるが、8人での協力プレイという要素が入ったことは高く評価したい。特にクランでの攻略は熱いものになりそうだ。対戦メインの「鉄鬼」が今後どういった方向性で進化していくか、今回のキャンペーンモードがその鍵となりそうだ。プレーヤー達の反応が楽しみである。

 今回はもう1つ、「CROSS ROAD」というサドンデスのマップが追加された。都市型マップで、広いフィールドが用意されており、中央は高架がかかっておりその名の通り道が立体的に交差している。この空間が激戦区になるのは必至だ。どのような戦いが繰り広げられていくのだろうか。

 「鉄鬼」は前回のボスモードといい、対戦型オンラインシューティングとして積極的に新しいアイデアを盛り込んでいる。オンラインで仲間と協力して敵の進軍を迎え撃つというシチュエーションは、コンシューマーゲームや欧米のMMORPGの昨今のトレンドとも言えるが、それらのアイデアを独自性を加えていち早く実現したところは高く評価したい。韓国産コンテンツはシステムやシチュエーションが似ている作品が多いが、他の作品とひと味違う「鉄鬼」のオリジナリティの高さは今後も応援したいところだ。プレーヤー達が新コンテンツをどう楽しむのか、注目したい。



敵がどんどん進軍してくる「SWIZEN防衛戦」。砲台型の機体が有効だが、シチュエーションや戦い方で他の機体も必要だ
左が守るためのコア。中央はIMPULSだけが動かせるターレット(砲台)だ。右はSPを使ったところ。機体の強化や敵の撃退をどうしていくかも重要だ

これまでにない新機体の敵キャラも登場。クリアするため多くのプレーヤーが攻略に燃えるだろう

新マップ「CROSS ROAD」。中央以外は障害物が多い。敵の意表をつく移動も考えたい

■ 「鉄鬼」プロデューサーインタビュー。今後の課題は世界観やストーリー要素の強化、マップバランスの改善

プロデューサーを務めるゲームヤロウパブリッシング事業本部の小野寺崇氏

 今回は新コンテンツ体験と共に、プロデューサーを務めるゲームヤロウパブリッシング事業本部の小野寺崇氏に話を聞くことができた。最初にオープンベータテストの感触は「弊社の予想を上回る好評でした、皆さんに感謝しています」と小野寺氏は語る。オープンベータテストで、最大同時接続者数1万人を達成した。メカもの、ロボット好きのユーザーの多さを実感したという。

 ゲームヤロウは「サドンアタック」が人気を集めているが、「サドンアタック」に比べても「鉄鬼」の人気は遜色なく、また「サドンアタック」のユーザーが「鉄鬼」をプレイし、「サドンアタック」のユーザーが一時的に減るのではないかと予想していたのだが、そうではなくこれまでとは違った新しいユーザーを獲得できたのは予想外だった。ゲームパッドへの要望も高い。「鉄鬼」は照準の補正などゲームパッドだけでプレイできるシステムも取り入れられており、今後はもっとゲームパッドでのプレイ環境を充実していく。

 今回のアップデートで小野寺氏が最も期待しているのが「キャンペーンモード」だ。対戦ではなく、協力プレイという要素はこれまでとは全く違うプレーヤー層にアピールできるのではないか。1つの目的に向けて仲間と協力するというシチュエーションはコミュニケーションや接続時間など、プレーヤーの環境も変化するのではないかと期待している。正式サービス時には公式ページに「クラン掲示板」が実装される。クラン募集・反省会など様々な使い方をして欲しいという。

 韓国では既にキャンペーンモードとして「SWIZEN防衛戦」を含めて4つのシチュエーションが入っている。今回の実装が1つのみなのは、「ストーリーの始まりとしてまずは最初のストーリーを印象づけたかった」ためだという。しかし、「SWIZEN防衛戦」では正直「敵が攻めてきた」という情報以上のストーリーは提示されていない。ストーリー要素、背景などは肉付けをしていくために様々なアイデアを考えているという。今後具体的な発表を目指して作業が進められている。

 「キャンペーンモードでは追いつめられるシチュエーションがあります。そのギリギリの瞬間を仲間と共に乗りきる達成感を味わって欲しい」と小野寺氏は語る。今後のコンテンツの増加は、ユーザーの反応を見てからというところだ。韓国で実装済みの残る3つのコンテンツもタイミングを見ながら実装していく。バランスなども考え丁寧に実装していきたいという。未実装の3つのシチュエーションの中には建物の中という閉鎖された空間での戦いなども用意されている。攻略方法がシチュエーションごとに変わると言うところもセールスポイントだ。

 今回のアップデートでは、日本オリジナル要素は実装されていない。ただし、機体の獲得方法の変化は日本の強い要望で実現できた。ユーザーからの要望が最も大きかった「機体獲得の自由度」を実現できたことが大きかったと小野寺氏は語る。VANGUARDの次はDUALその次はBLITZというように、経験値で獲得機体が完全に決められる仕様は日本でのオープンベータテスト開始直前に決まった仕様で、自由に機体を選べていたクローズドβテストに参加していたユーザーを中心に、多くのユーザーから不満の指摘があり、最優先で手を加えた部分だ。

 日本オリジナル要素として要望を出しているのは、最初のプレスカンファレンスで発表された、明貴美加氏と石垣純哉氏がデザインするオリジナル機体だ。実際の実装に関しては、まだこれから開発していくところでまだ時期も含めて具体的な発表はできないという。何個かデザイナー側からはアイデアを出してもらい、そこを検討しているところだ。デザイナーと連絡を取り合い、具体的なデザインを決めている時点だという。機体に関してはバックストーリーや獲得方法なども考えているという。

 ちなみに韓国では「レジェンド機体」というデザインや性能が通常とは違う機体が存在する。これらの機体は「カードシステム」により入手できる。カードシステムという名前でも、実際にはプレイすることで得られるカードを規定数を集めて機体と交換するという「クーポン」の様な扱いだ。このシステムがそのまま日本でも実装されるかは検討中だ。今後のアップデートのスパンは「積極的に行なう」という姿勢だが、具体的な明示はできないという。現在はまず韓国にあるコンテンツから取捨選択した形で実装していく方針だ。

 今後追加していく要素に関しては「鉄鬼」の雰囲気を活かした「戦争兵器」という雰囲気のラインナップを考えている。またパイロットの追加も予定されている。メカへのこだわりや細部のこだわりはGAMEHIスタッフが強くこだわっており、今後も作品のカラーを活かした要素を考えているという。

 「鉄鬼」の方向性に関して小野寺氏は「PvP、PvE、どちらも強めていきたい」と考えているという。競技性をアピールしながらも協力要素、オンラインゲームとしての楽しさも強めていく。反応によっては韓国とは違ったバランスも考えている。現状のキャンペーンモードでは1度クリアした後のプレーヤーのモチベーションの維持が課題になっている。日本では何度か挑戦すると特典がもらえる様なキャンペーンなども検討している。

 小野寺氏はゲームバランスに関して、機体については特定の機体が強すぎることもなくそれぞれの機体の個性が出ていると感じているが、マップに関しては手を入れていきたいと感じている。シチュエーションとしては現在は市街地が多く、もっと広大なマップも必要なのではないかと考えているそうだ。現在は狭いマップで機体がひしめき合うというシチュエーションが多く、見晴らしの良いマップも欲しいと考えているが、広いマップは狙撃型が有利になりすぎてしまうのでそこが悩みどころだという。

 現在の「鉄鬼」はプレーヤーが機体を得るために経験値を稼ぐという、ほぼ1つの目標しか提示されていない。全ての機体を獲得した時点でユーザーのプレイ意欲が減退しかねない。小野寺氏はキャンペーンモードの攻略要素が新しいユーザーの目標になるのではないかと考えている。このため、キャンペーンモードをクリアした報酬などがあればいいのではないかと、開発と協議を重ねている。「面白いマップ」という事に関しても積極的に働きかけているとのことだ。

 小野寺氏はユーザーへのメッセージとして「今回のキャンペーンモードの実装で遊びの幅が広がると思います。今後の『鉄鬼』にご期待下さい」と語った。まだ話せないが、様々なプランも進められているとのことで今後の発表を待ちたいところだ。


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(2010年 1月 25日)

[Reported by 勝田哲也]