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【特別企画】担当者が想いを込めて語る「クトゥルフの呼び声フラックス」の魅力
ミスカトニック大学、インスマウス、アザトース……。カードが生む濃厚な恐怖世界
(2014/1/21 00:00)
パーティーカードゲーム「クトゥルフの呼び声フラックス」の最大の魅力はカードから立ち上る世界観にある。「死体蘇生者ハーバード・ウェスト」、「ミスカトニック大学」、「闇の眷属」、「ヘンリー・アーミテイジ」……ラヴクラフト、そして「クトゥルフの呼び声」シリーズファンにはたまらないテキストがばんばん出てきて、テーブルの上に独特の幻想世界を作り出す。
今回、「クトゥルフの呼び声フラックス」の体験では、ゲーム巧者であるホビージャパンゲーム事業部輸入ゲーム事業課の北島氏とプレイできたことが、ゲームの楽しさを何倍にも膨らましてくれた。北島氏は非常に濃い「クトゥルフの呼び声」シリーズファンであり、ゲームをしながらアイテムやテキストに関して話ができるのが楽しかった。
「旧神の印(エルダーサイン)は結構強いですね」、「ピックマンはやっぱり食屍鬼とセットでしょう」、「ラヴクラフトは猫好きだったんですよね」などなど、ファンでしかわからない濃い話をしながらゲームプレイができる喜び。これこそが、「クトゥルフの呼び声フラックス」の“正しい”楽しみ方だろう。
本稿ではプレイレポートに続き、北島氏に本作ならではの楽しさを聞いてみた。加えて、海外のボードゲーム、カードゲームを発売するホビージャパンの輸入ゲームへの取り組みや、北島氏が分析する海外ボードゲーム、カードゲーム事情も聞くことができた。
「死体蘇生者ハーバード・ウェスト」が好き! ゲーム担当者インタビュー
――今回、「クトゥルフの呼び声フラックス」が日本で発売された経緯を教えてください。
北島氏: 当社では「フラックス」をすでに発売しておりまして、同じくLooney Labsが製作している「クトゥルフの呼び声フラックス」も発売することになりました。デザイナーはTRPGの「D&D」のシナリオなども手がけるキース・ベイカーが担当しています。
オリジナルの「フラックス」はファミリーでも楽しめるゲームですが、ゴールがアメリカの格言に合わせたアイテム収集だったり、イメージしにくい部分がある。「クトゥルフの呼び声フラックス」は「クトゥルフの呼び声」シリーズのファンにはたまらない要素に溢れていて、プレイしていてストーリーとして感じられる部分がある。より濃いゲームプレーヤーに向いた作品として、期待しています。
――北島さんのお気に入りのカードは何でしょうか?
北島氏: やはり「死体蘇生者ハーバード・ウェスト」はお話が好きですね。「ダンウイッチの怪」の「ウィルバー・ウェイトリ」もカードの絵柄が良いです。「クトゥルフの呼び声フラックス」はカード自体にも注目して貰いたいですね。「ペンギン」は「狂気山脈」に出てくるのですが、「奇形じみた巨大なペンギンが……」といった形で出てくるんですが、想像してもあんまり怖くない。こういうセンスの違いも含めて楽しんで貰えればと。
「クトゥルフの呼び声」シリーズに関しては、やはり海外のマニアが多く、ファンにたまらない要素を抽出してくる。「クトゥルフの呼び声」シリーズは当時の作家が様々な要素を共有して神話体系を作り上げていきました。現在でも様々な作品が作られています。
――プレイしてやはり1番面白いのは、どんどんルールが更新されていく点ですね。
北島氏: ちょっと混乱はしますけどね(笑)。「あれー今どういう状態だっけー」みたいな。こういうゲームは他にあまりないでしょうね。ドローや、プレイ、勝利条件すらどんどん変わっていってしまう。自分の中での勝ち方が見えてきても、他の人のカードでコロっと変わってしまう。
「これで勝ち!」と出したカードを奪われてしまうことすらある。こういったシチュエーションそのものが楽しい、というのが「フラックス」がパーティゲームとして面白い部分です。そして「クトゥルフの呼び声フラックス」は原作を知っていればさらに盛り上がる。「フラックス」の対象年齢は8歳以上ですが、「クトゥルフの呼び声フラックス」は13歳以上です。
全てがそうではないですが、「フラックス」のゴールの「タイム イズ マネー」で、「お金」と「時計」を場に出せば勝ちという感じで、わかりやすいんですが、原作を知っている人達とプレイする「クトゥルフの呼び声フラックス」のような“のめり込む”という感覚は薄い。より濃密なプレイが楽しめるゲームになっていると思います。
――オススメの楽しみ方は?
北島氏: 時間があるときに気軽に楽しんでください。このゲームは珍しく“途中参加”が可能なのです。山札から3枚取れば、すぐに参加できる。人数が多いほど状況の変化が激しくなり、面白くなります。
ゲームのルールはカードそのものに書いてあるので、すぐに覚えられ、「クトゥルフの呼び声」シリーズを知っていれば大いに盛り上がれる。“軽く、緩く”楽しめるゲームであり、楽しくプレイして欲しいと思います。そしてなにより「カードゲームの世界に新しい人を引き込んで欲しい」というのが、私達の想いです。
ゴール条件などは原作の要素を再現したもので、こういうときこそファンの出番です。「このゴールの意味は、こういった話から取られているんだ」、「このアイテムは原作ではこう使われているんだ」というように、自分の知識を語れる。映画やパロディ作品への広がりも楽しいと思います。