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「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram」富澤祐介プロデューサーショートインタビュー

9月19日 収録

19日に行なわれた「劇場版魔法少女まどか☆マギカ 始まりの発表会」。悠木碧さん(鹿目まどか役)と水橋かおりさん(巴マミ役)をゲストに招き、発売日が明らかにされた

 9月19日、東京ゲームショウ2013のバンダイナムコブースにて行なわれたイベント「劇場版魔法少女まどか☆マギカ 始まりの発表会」。PlayStation Vita「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ The Battle Pentagram」が12月19日に発売されることが明らかにされるなど、各種情報や実機プレイなどがお披露目された。

 そのステージ後、富澤プロデューサーに少しお話を伺う機会を得られたので、ショートインタビューとしてお届けしよう。

――これは発表会でも展示されていたポスターですね。

富澤氏:本当にTGS直前に上がってきたものです。限定版のパッケージにもなりますので。

――発表会でもおっしゃってましたが、ポスターと世界観と、新型PS Vitaのピンクは本当にマッチしてますね。

富澤氏:そうなんですよ。同梱版を作りたいぐらいですね。このタイトルを購入される方には、ピンクもセットでそろえていただきたいと思いますし、限定版にはお菓子の魔女のクリーナーもつけてありますので、その辺もセットで楽しんでもらえればと思います。

――「ゴッドイーター」(GE)などのプロデュースをされている富澤さんが、前作から「まどか☆マギカ」のタイトルを担当されたのはどういった経緯だったんですか?

富澤氏:今は主に「ゴッドイーター」をメインで担当させていただいていますが、もともとバンダイ出身ということもありまして、「GE」前はキャラクターゲームを何本かプロデュースをしていましたので。魔法少女でいえば「魔法少女リリカルなのは」ですとか、「涼宮ハルヒの約束」ですとか……そういう流れもありますし、自分も好きで、前作のときは版元さんに3話の放映が終わった途端、企画書を持っていってという感じで、いきなり門を叩いてお付き合いをさせていただくことになりました。

 その流れで、「劇場版もあります」という話も聞いておりましたので、今回は、PSP版から「さらにこういったものがほしい」というユーザーさんからの要望も多かったアクションゲームで企画しました。これからも「GE」だけでなく、いろんなタイトルをプロデュースしていきたいと思っています。

――「GE2」と本作の制作時期がけっこうかぶっているようですが……。

富澤氏:それぞれのタイトルにとってのタイミングがたまたま近かったというのはありますね。ただ、PSP版でも「まどか☆マギカ」とタイアップさせていただいたりとか、クロスするユーザーさんもいらっしゃるかなと思いますので、今回、「GE2」と「まどか☆マギカ」で同じPS Vitaということで、携帯機で気軽に遊べるアクションというニーズは高いと思います。その中で2つのタイトルは似ているところもありつつ、アプローチとしては大きく変えていますので。

――「まどか☆マギカ」の場合は、2人のチームで動きつつ、5人の魔法少女との絆を高めるという形で進行しますが、「GE2」とは違った共闘感覚ですよね。

5人の魔法少女の絆値を高められるか!?

富澤氏:気軽に楽しめる共闘感覚としては近いものがあると思います。実はキーコンフィグで細かく設定すると、似たような操作感覚でプレイすることも可能です。まだ紹介できていませんが、かなり細かく設定できて、例えば連続して両方遊んでいただいても混乱しないで遊んでもらえるかと。

 とはいえ、「まどか☆マギカ」のコンセプトは、ステージでもお話したとおり、普段アクションゲームを遊ばない方でも、いきなり遊んでもらって派手な技が誰でも出せて、爽快な気分を味わっていただけるという点で、そこは絶対にキープしようと。これは企画の初期からチューニングの最大のポイントとして作っています。手触りがよく、5人の魔法少女それぞれの良さが感じられるものになっているなと感じていまして。

 一方、スタジオアートディンクさんに制作をお願いしていますので、やりこみ要素にも期待していただいていいのかなと。「まどか☆マギカ」の1カ月でワルプルギスを倒そう、そしてだめならまたループしよう、というストーリーの部分を含みつつ、さらにキャラクターを育てつつ、キャラクター同士を仲良くさせる、というifの部分にも踏み込んでみたというのが今回の企画ですね。

――5人の魔法少女たちの絆値を高めていって仲良くしていく、というコンセプトですが、これはストーリーの展開にも影響が出てくるものなのですか?

富澤氏:メインとなるシナリオはありますが、キャラクター同士の絆が高まるごとに、それぞれの組み合わせの会話が新たに追加されるという形ですね。あとは、バトルの時のボイスの掛け合いの内容も、最初は割とよそよそしかったりするんですが、どんどんと親密なものに……例えば、「あなただけは私が守る!」といった情緒的な、バトルやフィールドでの会話で“仲良し感”が感じていただけるよう、バリエーションが増えていくという。あとは、バトル自体も変化していくという要素もあります。

 とにかく、まずはお気に入りのキャラクター同士の絆値を高めてもらって、「ああ、こういう差が出てくるんだな」と実感していただいて、最後は全員の五芒星をちゃんと埋めていく遊びというものにハマっていただきたいと。その分、やればやるほど自分がスピーディーに動けたり、魔法を自由に、好きなだけ撃てたりするようになったり。自然にストーリーに載りながらやりこんでいっていただけるような作品を目指して制作しています。

――難易度的な部分も、得意な方はもちろん、苦手な方も遊べるよう間口を幅広くとってらっしゃるという感じですね。

富澤氏:そうですね。最後はボスキャラ連戦といった上級者向けのものなども用意してますし、それすらもさくさくクリアできるような「限界突破」的な成長も用意しているので、最終的なやりこみ要素という部分では、ノーダメージでどんどんコンボを繋げていってもらっていくといった自分なりの遊びを構築していくようなものをしっかり入れていこうとしていますので、「まどか☆マギカ」ファンの方も、アクションゲームファンの方もどちらも楽しめるレンジを持たせているつもりです。

――TVアニメ版を見ていた人は、こうしてゲーム化されるなどのチャンスで、変身しなかったまどかや、途中でリタイアしてしまった魔法少女のファンの方々の要望を昇華できる気がしますね。

富澤氏:ゲームではそうありたいな、ということもありまして。まどかに関しては、前作のゲームを企画するときにも、設定的にもそういったことがありえる、というところが一番カギだなと思っていて。

 前作ではアニメ版よりさらに悲惨なシナリオに持っていったんですが、今回は、「アクションゲームで気持ちよく自分が達成感を得たいのに、マイナスなことが起こるのは気持ちが悪い、物語を単純に楽しみたい」といった違ったレイヤーがそこにあると思うんですね。そこに今回は素直に沿わせてあげたい。ただ……もっと努力しないといけないことはあるよ、という意味での「まどからしさ」はしっかり用意しているので、まだ幸せの楽園の5人です、という物語にはなっていないかもしれませんが。ともあれ、間口の広いアクションから始めてもらって、よりやりこめば、さらにいい世界が待っているよ、という作りになっているので、気持ちよく遊んでいただけるものになったかなと。

――5人の魔法少女のゲームキャラクターとしての差別化、という部分はどんな意識で制作されていますか?

富澤氏:例えば、キャラクターごとに操作系統を変える、ということは今回やっていなくて、1キャラ覚えてもらえれば、あとはキャラをどんどん切り替えて遊んでもらえるよう、ライトに遊ぶ方の声に応えられるようにしています。

 そこは共通化していますが、キャラクターごとに遠距離中心であったりとか、コンボが苦手だったりといった軸は初期設定で持たせてありますし、成長させてもある程度差が出るように作っています。ですが、まずは原作でこのキャラクターはこうだよね、というところには沿った、ある意味素直なキャラわけをやっていますし。原作からしてうまく分けられていますしね。ですので、自分が操作してもいいですし、あとはバディとして使ったときの個性の組み合わせを考えて遊んで言ってもらえるように、部分的にはピーキーに設定しています。

 ただ、我々の想いとしては、最終的には全キャラクターをしっかり成長させて欲しい。個人としても絆としても……ということはありますね。

――ありがとうございました。

(佐伯憲司)