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【E3 2013】超美麗な2DアクションRPG「ドラゴンズクラウン」
システムの懐かしさと映像の新鮮さが入り混じる意欲作
(2013/6/13 18:09)
プレイステーション 3/PlayStation Vita用「ドラゴンズクラウン」は、神谷盛治氏が率いるヴァニラウェアが開発している2DアクションRPG。日本では7月25日にインデックスのゲームブランドであるアトラスから発売され、北米でもアトラスから8月6日に発売される。
本作は発売前から2Dグラフィックスの美しさが強調されている。今の時代、3Dで描いた方が何かと楽なのではと思うが、その中でもあえて2Dにこだわっているからこそ注目に値する。E3では英語版を試遊できたので、その感触をお伝えする。
HD画質で緻密に描かれた映像の衝撃
本作はサイドビューのダンジョンで敵を倒しながら進んでいくという内容で、言ってしまえば昔ながらのベルトスクロールアクションだ。ゲームのアクション性に革新的なものがあるというわけではない。
しかしゲームそのものの手触りは、意外なほど新鮮だ。期待の2Dグラフィックスは、神谷氏の柔らかいタッチのイラストがそのまま動き出したよう。彩色のセンスもそのまま活かして、世界観に溶け込むようなビジュアルになっている。筆者が神谷氏の大ファンだということを冷静になって差し引いても、ファンタジックな色彩で描かれた世界は素直に美しい。
またその映像自体も、HD画質で表現されているのはインパクトがある。ベルトスクロールアクション自体は昔からあるものだが、キャラクターから背景までがこれほど緻密に描かれた作品でプレイすると、印象も変わってくる。
2Dとはいえキャラクターは生き生きと、滑らかに動く。武器を変えると外見も変わる。「2Dで限界までやってみよう」という制作側の意気込みが感じられる。あえて陳腐な表現を使うと、「次世代ベルトスクロールアクション」という言葉が似合う作品だ。
アイテム集めが楽しいハック&スラッシュなテイスト
ゲームでは最初に、「ファイター」、「アマゾン」、「ドワーフ」、「エルフ」、「ウィザード」、「ソーサレス」の6つのクラスから自分のキャラクターを選択する。その後、最大4人同時プレイでダンジョンへと向かう。
ダンジョンでのバトルは先に述べたとおり、オーソドックスなスタイルのベルトスクロールアクションとなっている。クラスごとに能力の差は大きく、例えば「ソーサレス」は攻撃力は低いものの、敵を凍らせて動きを止めるといったサポート役ができたりするので、チームでのバトルは存分に楽しめる。
ダンジョンの最後にいるボスモンスターを倒すとクリア。手に入れたお宝には未鑑定のアイテムがあり、剣、杖といったカテゴリー以外の情報はわからない。お金を払って鑑定すると詳細が判明し、ステータスアップや特定の種類のモンスターへのダメージアップなどの特殊能力が付与された武器を入手できる。
ダンジョンに通って敵を倒し、キャラクターのレベルを上げつつ、良質な武器を探すというのがゲームの流れになる。ちなみに不要だと思ったら鑑定せずに売ってお金に変えられる。
アクションはシンプルだが、アイテム集めで繰り返し遊べるタイプのゲームになっている。ビジュアルだけで言えばPS3の高解像度でプレイしたいが、ダンジョンを1つ攻略するのは10分程度でも可能なので、どこでも取り出してすぐ遊べるPS Vitaにもマッチしたゲームだと言える。グラフィックスの品質にはほぼ違いが見られないので、プレーヤーの好みのプラットフォームを選んでいただきたい。
アトラスブランドの海外展開のこだわり
余談になるが、本作の北米展開を担当するIndex Digital Mediaの担当者に話を聞けた。同社は以前はAtlus U.S.A.という名前で活動しており、アトラスブランドのゲームを中心にワールドワイドで展開している。
日本のゲームを海外展開する際、翻訳は外部の翻訳会社に頼むのが一般的だが、アトラスブランドでは翻訳を自社で行なっているという。宗教的な要素の強い「女神転生」シリーズや、日本以外にはない学園物という文化を扱う「ペルソナ」シリーズも、ただ翻訳するだけでなく、現地の文化に即した形に翻訳したり、解説を追加したりすることで対応している。このこだわりが功を奏し、元々ニッチなJRPGのファン層を、徐々に広げることに成功しているという。
その下地もあり、「ドラゴンズクラウン」は開発段階から海外展開を見据えて、翻訳作業も平行して進められたことから、日本と北米でほぼ同時期の発売を実現した。テキストだけでなく、音声も英語に変更されている。会場では4人同時プレイが可能なPS3版が3台と、PS Vita版4台が用意されていたが、ほぼ常にプレーヤーで埋まっている状態だった。北米でどれだけの人気を集められるか、発売後も楽しみなタイトルだ。