ニュース
【GDC 2013】「Candy Crush Saga」ポストモーテムレポート
Free to Playのビジネスモデルを成功へ導くための3つの方程式とは?
(2013/3/29 12:31)
現地時間の3月25日、アメリカのサンフランシスコでゲーム開発者向けカンファレンスGame Developer Conference(GDC)が開幕した。
今回はFree to Playサミットのセッションの中から、「Candy Crush Saga Postmortem: Luck in the Right Places」というセッションのレポートをお送りする。
このセッションはFacebookで人気を博しているF2Pのソーシャルパズルゲーム「Candy Crush Saga」が成功した理由を分析し、F2Pビジネスモデルのゲームの勝利の方程式を探る、というセッションだ。
巨人“Zynga”のタイトルを越えた。「Candy Crush Saga」というモンスタータイトル
「Candy Crush Saga」はF2Pモデルのパズルゲームだ。ブロックを入れ替えるる3マッチのパズルゲーム。爆発的に人気のあるタイトルで、Facebookの2013年2月のデイリーアクティブユーザー(DAU)ではZyngaの「FarmVille 2」を抜き1位を達成している。
リリースプラットフォームはFacebookだけにとどまらず、スマートフォンやタブレットでも配信されており、スマートフォンゲームの売り上げランキングでも上位に入っている。
開発元のKing.comが公開した資料によると、FacebookでのDAUは900万以上で、Facebookで最も遊ばれているゲームだという。プレーヤー層は女性が70%近く、男性は30%となっていて女性プレーヤーの方が多めになっている。全プレーヤーのプレイ時間を足すと、103,000年を超え、合計1兆個以上のピースが破壊されたという。
「Candy Crush Saga」を成功へと導いた3つの要素
Accessibility(どこからでもアクセスできること)
このタイトルはFacebookの他に、タブレットやスマートフォンでプレイできる。ゲームの進捗がインターネット上に保存されていて、Facebookのアカウントがあればインターネットに繋がっていればどこからでもゲームの続きをプレイできる。
リサーチ会社によると、モバイル・タブレットのゲーム市場はこの先も更に拡大を続けるという調査結果が出ており、特にスマートフォン市場の伸びしろは大きいという。この様に「モバイル分野も巻き込んでいくことが成功に繋がる」と話す。
Never Ending(終わりがないゲームデザイン)
「Candy Crush Saga」には数多くのステージが用意されている。それぞれのステージ毎にクリア条件が設定されており、クリア条件を満たすと次のステージへ進める。このステージは講演の時点で245個のステージが用意されていて、これからも更に増えていくという。
この様に終わりがないゲームデザインにすることで、ユーザーが飽きない限りゲームプレイが続いていく。
Campfire Index(ソーシャル要素の活用)
「Candy Crush Saga」はFacebookのソーシャルグラフを利用していて、友人の進捗状況やスコアを自分の記録と比較することができる。この仕組によりユーザーの競争心を刺激し、ゲームを続けるモチベーションに繋がるという。
「ソーシャル要素を活かす」、「終わりがないゲームデザイン」というのは他の多くのF2Pゲームにも導入されている手法なので、単体ではそれほど目新しさは感じられない。しかしこれらの要素に「どこからでもゲームの続きをプレイできる」という要素が加わると、2つの要素が絡み合いシナジー効果を生み出す。
ゲームに終わりがないのでプレーヤーとしてはどんどんゲームを進めて行きたいが、日常生活を送る以上ゲームから離れざるを得ない時がある。そしてゲームから離れると多かれ少なかれ熱は冷めてしまう。どこからでもアクセスできる環境があるとこの熱を維持し続けられる。ソーシャル要素についても同様だ。
これがゲームの継続率に繋がり、結果売り上げにも繋がるという仕組みだ。また高い熱を維持することでユーザーの感情を刺激し、よりゲーム内課金に繋げやすくなるというメリットもある。
ゲームシステムやインターフェイスの問題もあり、単純に全てのタイプのF2Pゲームにこれと同じ公式を使えるというわけではない。だが上手く応用すればビジネスとしてより成功に近づけるだろう。