レビュー

「マリオテニス フィーバー」レビュー

前作から刷新された新たな「マリオテニス」。競技性を高めつつ、笑えるほど自由に!

【マリオテニス フィーバー】
2月12日 発売予定
価格:
パッケージ版 8,980円
ダウンロード版 7,980円

 任天堂は、Nintendo Switch2用テニスゲーム「マリオテニス フィーバー」を2月12日に発売する。価格はパッケージ版が8,980円、ダウンロード版が7,980円。

 本作は、前作「マリオテニス エース」の発売からおよそ7年ぶりの「マリオテニス」シリーズ最新作となる。シリーズ最多の38人というプレイアブルキャラクターが登場するほか、新要素「フィーバーラケット」がもたらす、さまざまな特殊効果による立ち回りが楽しめる。

 本稿では、そんな「マリオテニス フィーバー」を発売前にプレイさせていただいたので、早速レビューをお届けしていく。

【マリオテニス フィーバー 紹介映像】

アクション重視から競技性重視にシフト!

 本作は、アクション性を重視していた前作から、よりスポーツライクで競技性を高めたマリオテニスへと新生している。「エナジー」システム、「ねらいうち」、「ラケット破壊」、「加速」、「ブロック」の廃止、あるいは一部統合される形で、テニスならではの“ラリー”による駆け引きを主体とした。

 また、前作の要素であるキャラクター固有の必殺技「スペシャルショット」は、新たに「フィーバーショット」がその役割を引き継ぐ。これは新要素「フィーバーラケット」が登場したことで、キャラクター依存の必殺技が“持ち替えることができるラケットに依存”に変更されているからだ。これにより、「キャラクター」×「ラケット」の組み合わせというプレイスタイルを模索する楽しさが生まれている。

 それでは試合の前提から紹介していこう。「マリオテニス」と言えど、テニスはテニスなので大枠は通常のテニスをイメージしてもらっていいだろう。試合のレギュレーションに違いはあるものの、ボールをワンバウンド以内に打ち返せないとポイントになるほか、シングルスとダブルスでサイドラインが異なる点などもリアルのテニスと同じだ。

 ただし、本作にはテニスプレーヤーを「K.O.(ノックアウト)」できる要素が存在する。ボールを打ち返せず身体に当たってしまう、フィーバーショット着弾の衝撃に巻き込まれる、コートで発生した地形効果の影響を受ける(炎に触れてしまうなど)と、キャラクターの「HPゲージ」が減る。HPゲージが完全に無くなった時点でキャラクターはK.O.され、シングルスなら移動速度の低下、ダブルスなら休憩状態となり、1vs2の不利な状況に持ち込まれてしまうのだ。

 余談だが、K.O.自体は前作「マリオテニス エース」から続投している要素。しかし、耐久力はキャラクターではなくラケットに備わっていた。このラケットがねらいうちのアクションで3回ダメージを受けるか、スペシャルショットの一撃で破壊されると、試合続行不能のK.O.負けになるシステムであった。K.O.要素はHPゲージのように姿形を変えていても、テニスバトルのDNAは受け継いでいると言える。

HPゲージがなくなることによる「K.O.(ノックアウト)」

 試合中は「トップスピン」、「スライス」、「フラット」に加えて、ボタン押下の順番で打ち分ける「ロブ」、「ドロップショット」の2種、そしてチャンスボールに有効な「スマッシュ」がラリーを構築する。一見すると球種が豊富に思えるが、これらの基本ショットはいずれもA/B/Yボタンを使用するだけで打ち分けることができる。

 中でもラリーの核と言える球種は、トップスピン、スライス、フラットの3種だろう。極端な話、フリーマッチにおけるCOMの強さ「よわい」、「ふつう」程度であれば、これらの球種を打ち分けなくても十分試合が成立してしまう。

 筆者の肌感として球種の特徴がまだ頭に入っていない段階でも、“相手のいないところにただボールを打ち返す”くらいの意識で、直感的に試合を楽しめた。詳細については後述するが、「ストーリー」で球種の特徴を学んでから球種を打ち分けられるようになると、試合の楽しさに奥行きが出てくる。

「トップスピン」
「スライス」
「フラット」

 さて、球種についても簡単に補足しておきたい。トップスピン(Aボタン)は、打ち返した相手をコートの奥へと押し出し、スライス(Bボタン)は強力なショットを打ち返しても押し出されにくい守りの性質を持つ。フラット(Yボタン)は、もっとも速度の早いショットで、打つボールの位置が高いほど威力も高くなるというものだ。また、スマッシュもフラットと同じボタン操作で放つことができる。

 基本的にはこれらのショットを主軸に、ボールを高跳びさせるロブ(Aボタン→Bボタン)、手前に落とすドロップショット(Bボタン→Aボタン)などを絡めて、相手がカバーし切れないコート位置に打球を返していく。ラリーが長く続くほど、両者共にキャラクターが疲れて移動速度が遅くなるため失点しやすい。

 他にも細々としたテクニックが多数存在している。それゆえ、フィーバーラケット「なし」の試合では、クラシックスタイルのテニスゲームらしい打ち合いが体験できて、プレーヤーの操作テクニックこそがものを言うだろう。

コート前のラリーが続く際に使える「ロブ」
相手が後ろに下がっていると機能しやすい「ドロップショット」

新要素「フィーバーラケット」の多彩なコート干渉効果が面白い!

 新要素のフィーバーラケットには、コートを燃やして触れた者にHPダメージを与えるものから、インクによって相手の視界を遮るもの、しばらくの間打球のカーブが強化されたり透明になって姿を消したりできるラケットも登場している。相手プレーヤーへの妨害を重視するのか、それとも自身の強化を重視するかはプレーヤー次第。

 妨害効果の中では、バウンド地点を中心に炎を撒き散らす「ファイアラケット」が序盤で入手できて、これが中々強力な印象だ。炎に触れるとキャラクターが火傷し、強制的に走り回ってしまうので、ボールを取りこぼしやすい。炎が残る位置に打ち返されるとだいぶイヤらしい戦略である。

 放電トラップのビリキューを設置する「ビリキューラケット」も厄介。ビリキュー同士が雷で接続されて、コート内の移動が大きく制約されてしまう。雷に触れたキャラクターは一時的に感電して動きが止まる。ビリキューで進行方向を抑制するように雷のラインを構築してやれば、相手は戦いづらいことこの上ない。

「ファイアラケット」の火傷効果が厄介すぎる
「ビリキューラケット」で相手に移動の制約を与えるのも強力だ

 前項の妨害効果系フィーバーラケットは確かに強力だ。だが、同時に対抗手段も存在する。相手がフィーバーショットを放った直後、テニスボールがコートにバウンドする前に打ち返すことができれば、フィーバーショットの効果をボールに残したまま相手コートへ返せる「カウンター」扱いになる。

 前作では、スペシャルショットやねらいうちといった、強力なボールをタイミング良く打ち返すブロックが、これに近いものだった。しかし、本作のカウンターは瞬間的なタイミングが求められるほどシビアではない。“ボールがバウンドする前”と、プレーヤーの対処条件も緩やかになったのではないだろうか。

 試合中は対戦相手の「FVゲージ(フィーバーゲージ)」を視認できる上、フィーバーショット発動時の専用モーションなんかもわかりやすい。よって、コートの位置次第では、比較的対処しやすい場合もある。

 以上のようにカウンターされるリスクを考えると、自己強化系のフィーバーラケットも十分選択肢に入る。いくら強力な妨害効果も、そのまま跳ね返されたら今度はこちら側がピンチに陥ってしまうためだ。フィーバーショットの効果を跳ね返された上、相手にフィーバーショットを畳み掛けられたら目も当てられない……。

「アイスライケット」の効果を打ち返されて自分のコートが凍りついた例

 自己強化系の効果も実に様々なものが存在していた。中でもユニークなフィーバーラケットは「シャドウラケット」だ。使用すると、なんと自分の分身を作り出して共闘してくれる。「シングルスのはずなのに2対1だと……!?」と、正直驚きを禁じ得なかった。プレーヤーの数の差で有利を取るという発想が、「マリオテニス」で登場するとは思わない。試合中の実況も「も、もう一人出てきた!」と困惑気味だから余計に面白い。

 興味本位でダブルスの試合において、全員に「シャドウラケット」を持たせた。すると、フィーバーショットの発動でプレーヤー1人につき1体の分身が召喚されることから、理論値として最大8vs8の集団テニス試合が擬似的に実現できてしまったのだ。察しの通りコート上は大混乱必須だが、そんな混沌とした様子があまりに馬鹿馬鹿しくて、1人腹を抱えて笑っていた次第である。プレーヤー4人対戦で同じシチュエーションを体験してみれば、笑いの絶えないカオスな試合として盛り上がること請け合いだ。

 本作ではフィーバーラケットの登場によって、バトルテニスの意味合いが「コンバット」から「パーティ」に置き換わった気がする。相手のラケットを破壊する必殺技は、コート上に厄介なハプニングをもたらす“お邪魔要素”に等しく、殺伐とした戦いの空気は薄れたように思う。使用キャラクターのタイプと、そうしたコート上のハプニングを戦略的に取り入れた立ち回りが、ライバルに差をつける第一歩になり得るのだろう。

「シャドウラケット」
全員にシャドウラケットを持たせている
擬似的に最大8人の試合を作り出すことに成功した

お騒がせなワリオ&ワルイージは案の定やらかす。物語で主要テクを習得できる学習導線!

 本作のストーリーは前作未プレイでも問題ナシ。物語はキノコ王国で近々開催されるテニストーナメントの出場選手だったデイジー姫が体調を崩したことをキッカケに、ワリオとワルイージの発案を受けて「黄金のくだもの」を探しに行くところから始まる。

 日頃の行いからとてつもなく胡散臭く感じる2人の提案に、不安を感じたマリオたちだが、デイジー姫が元気を取り戻せるのならと、早速目的地に向かう。無事に黄金のくだものを見つけることには成功したものの、はなから金銀財宝が目的だったワリオとワルイージが、魔物の大群を遺跡から引き連れて逃げ戻ってきた。慌てて退却するマリオたち。しかしその途中、魔物の攻撃を受けて一行は「ベビィ」の姿に変えられてしまう。

 元の姿に戻るため、打倒魔物を掲げたマリオたちはキノコテニスアカデミーに入学して、テニスの力をイチから身につけていくことを決める。テニスラケットさえあれば、魔物の不思議な力を前にしても、マリオたちなら打ち返せるというキノピオの謎アイディアである。こうして、プレーヤーは物語を楽しみながら、「マリオテニス フィーバー」の基礎テクニックを実践的に習得していくことになる。物語のあらすじはこんな具合だ。

 前作で散々破壊したテニスラケットの可能性を信じ過ぎな気はするのだが、魔物の攻撃を受けるまでフライパンで戦っていたマリオのことだ。特殊なラケットならいけそうかも?と、キノピオの提案には妙な説得力が残る。これは筆者自身も、潜在的にマリオの可能性を信じているからなのかもしれない。

フライパンで戦うマリオ

 先に紹介したように、ストーリーは本作を初めて遊ぶプレーヤーに向けた、いわゆるチュートリアル系のコンテンツだ。基本ゲームシステムを網羅的に学べるだけではなく、多彩なミニゲームに挑戦して、ベビィマリオを育成していく遊びも用意されている。キノコテニスアカデミーでミニゲームと基本ショットの打ち分けやテクニックを実践的に習熟したら、卒業後は魔物退治の冒険に繰り出していく流れとなっている。

 アカデミー在学中は、クイズ形式でプレーヤーの知識が試されるような場面もあった。たとえば、「パワー」、「スピード」、「ディフェンス」といったキャラタイプの特徴に関するものや、コートごとの特徴についても聞かれる。アカデミー内の生徒たちから話を聞き出して、こうしたクイズにすぐ答えられるようにしておきたいところだ。

 アカデミー卒業後のワールドマップでは、各地を冒険しながら様々なシチュエーションのチャレンジがプレーヤーを待ち受けている。燃える飛行船の鎮火活動を行ったり、迷いやすい氷の城を探索したり、鍾乳洞で巨大なプクプクと戦ったりもした。

 これらはストーリーを楽しむための単なるミニゲームかと思いきや、実際に触ってみるとアカデミーで学んできた基本ショットの総まとめだった。球種の打ち分けはもちろんのこと、球種によって高さが異なることを利用したミニゲームもある。主要なフィーバーラケットの特徴と使い勝手も、ワールドマップに出てから学べる要素だ。そのため、プレーヤーがストーリーをクリアする頃には、本作の主要テクニックとノウハウを体系的に取得できていることだろう。

真剣勝負もパーティプレイも両立したモード構成で色々な「マリオテニス」が楽しめる!

 最後は「ミッションタワー」と「スペシャルゲーム」についても紹介しておきたい。ミッションタワーは、フロアごとのお題に沿ったミッションをクリアしていくコンテンツだ。

 ミッションごとに使用するキャラクター、ラケット、コート、ルールなどが全て異なる。また、タワー1つは全10フロア構成。プレーヤーは連続してミッションに挑戦していくが、ミッションを失敗できる回数は3回までと決まっている。3回失敗するとその時点でチャレンジは終了してしまうので要注意。

 本腰を入れないと苦戦する、それなりに手強いミッションも登場したので遊びの手応えはあった。色々な条件で挑戦するため、まだ未使用のキャラクターやラケットに触れられる良い機会とも言えそうだ。なお、こちらは最大2人での協力プレイにも対応している。

ミッションタワーは3つ登場する
3vs1でクッパと戦うミッション。…1人裏切った?

 スペシャルゲームは、特殊なコースとルールで遊べるゲームモードだ。最大4人で対戦する「スペシャル対戦」、課題ごとに目標ポイントの到達を目指す「チャレンジ」の2種類が存在する。本稿ではスペシャル対戦について軽く紹介しておこう。

 スペシャル対戦では、ラリーを続けてリングの中にボールを通してポイントを稼ぐ「リングショット」から、お互いのコートに出現するパックンフラワーにボールを食べさせて、相手コートを広げながら得点を狙う「フォレストコートマッチ」、試合中にバンパーが飛び出し、ボールも選手も跳ね飛ばされる「ピンボールマッチ」、スポットライトの当たったコートにボールを当てるとフィーバーラケットが出現する「ラケットファクトリーマッチ」、そして試合中に「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」の世界に突入する「ワンダーコートマッチ」の全5種類が収録される。いずれも4人でのマルチプレイに対応している。

 中でも特殊なのが、やはりワンダーコートマッチだろう。7ポイント先取制の試合をしていたら、コートの中央にワンダーフラワーが出現する。ボールが当たるとコートに異変が起きて試合のルールもガラリと変わるのだ。大量に出現するコロンポリンの中から光るコロンポリンだけを狙うものや、土管から出現するワンダーシードにボールを当てるものなど、どのようなルールに変化していくかはランダムとなる。

「ピンボールマッチ」
「フォレストコートマッチ」
「ワンダーコートマッチ」

 これらミッションタワーとスペシャルゲームは、真剣勝負から離れたパーティ性の高いカジュアル目なゲームモードだった。家族や友人たちと、気軽に本作ならではの“一風変わったテニス”が遊べるといった趣旨だろうか。スタンダードな対戦を所望するならフリーマッチ、試合中におしゃべりフラワーの実況が聞ける「トーナメント」も、対戦が白熱すると思う。もちろん、本作でもルームマッチやランクマッチといったオンラインプレイの醍醐味は健在である。

 ちなみにJoy-Con2をラケットに見立ててモーションコントロールする「スイングモード」は、球種の打ち分け方にある程度の慣れが必要だった。遊ぶ前にメインメニュー画面の「遊び方」から一通りのスイング方法を確認しておくことを強く推奨しておきたい。筆者はトップスピン、スライス、フラットの打ち分け方が全く分からず、ディスプレイの前で首を傾げながらただJoy-Con2をブンブン振り回しているだけの間抜けと化していた。それと、Joy-Con2にストラップを必ず着けて遊んでもらいたい。

 補足しておくと、スイングモードは一つのゲームコンテンツとして独立しており、オプション設定などからゲーム中の操作モードを切り替えられる訳ではない。他のモードではボタン操作によるゲームプレイが基本なので、その点については留意してほしい。本モードについても、最大4人でのマルチプレイに対応している。

「スイングモード」は打ち分けができないとCOM相手でも苦戦する
スイングの球種も記載されているので先にチェックしておこう

ワイワイ遊べて、クラシカルなテニスも楽しめる!

 マリオたちが中心のスポーツゲームのシリーズは、これまでも度々登場してきた。しかし、筆者は普段からスポーツをしないし、スポーツを題材としたゲームもほぼプレイしない。それは単にスポーツに興味がないというわけではなく、「細かいルールが分からないから楽しめなさそう」とブレーキを自分に掛けてしまうからにほかならない。

 だが、マリオのスポーツゲームに関しては“カジュアルに仕組み化されたスポーツが楽しめる”という一点において、いつも魅力的に映る。そして本作もまた、気軽に遊べるタイプのスポーツ系ビデオゲームに類する作品だと感じた。筆者の考え方に似通った期待感を感じている人がもしもいれば、「マリオテニス フィーバー」は期待通りのゲームだ。

 また、前作がアクションゲーム寄りとするのなら、本作はスポーツゲーム寄りの作風であることは明白だ。ゲームジャンルが変わったと言えるほどの作風の変化については、正直な話ユーザーの好みが大きく分かれる点である。とはいえ、前作が好きだったプレーヤーも、その名残りと要素を部分的に感じ取れるタイトルにはなっていると思う。

 本稿は発売前レビューの事情もあって、残念ながらオンライン対戦を楽しむことはできていない。ただし、プレイした上での率直な感想として、マリオテニスシリーズの裾野が広がっていくことに期待できるまとまり方をしているのは好ましく感じる。これなら家庭を持つ友人たちにおすすめできそうだ。発売後は、いちプレーヤーとして、末永く対戦プレイを楽しんでいきたい。