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傑作の予感! 発売直前「シムシティ」インプレッション
本作にはウィル・ライト氏も魅了?! オーシャン・クィグリー氏インタビュー
(2013/3/5 00:00)
本作にはウィル・ライト氏も魅了?! オーシャン・クィグリー氏インタビュー
今回、体験取材に合わせて、エレクトロニック・アーツで本作のリードクリエイティブディレクターを務めるオーシャン・クィグリー氏へのインタビューを実施することができた。
クィグリー氏は欧州滞在中ということでネット電話を通じ、複数媒体合同のグループインタビュー形式となった。万人が楽しめるよう設計された本作独特のテイストも確認できる内容となっているので、楽しみにしている方は是非目を通してみてほしい。
──2003年に発売された前作「シムシティ4」から10年となるが、今作には実際にどれくらいの開発期間を投じましたか?
オーシャン・クィグリー氏:ノンストップでおよそ4年間ですね。はじめは小さなチームからスタートし、次第に大きなチームでの開発となりました。ただ、基本的なコンセプトは「シムシティ4」が終わった直後から考え始めていましたよ。
──開発で最も時間をかけたのはどこでしょうか?特にインターフェイスの部分は力が入っているように思えましたが。
オーシャン・クィグリー氏: インターフェイスに関しては、「シムシティ4」でも同じ部分を担当していた開発歴15年というベテランの開発者が手がけています。ただ、最も注力したのは基礎となるシミュレーションエンジンの部分、それから、その結果を可視化するグラフィックスの部分です。
──その注力した部分についてさらに教えてください。
オーシャン・クィグリー氏: リアル感を得られるようにするということを最も重視しました。自分たちでシミュレーションエンジンを構築し、都市に住む人々を抽象的にではなく、具体性のある形で存在させるということです。街についても、単なる地図ではなく、中身があるものを実現することを重視しました。
──自分でプレイして、1番楽しいところはどこですか?
オーシャン・クィグリー氏: 私にはアーティストとしてのバックグラウンドがあり、その影響かもしれませんが、自分で想像したような美しい街を作り、そこで活動する人々の姿を見ることを特に楽しんでいます。
──マルチシティ(地域に複数の都市がつくれる)要素についてはどのように考えて開発しましたか?
オーシャン・クィグリー氏: それぞれの都市の本物っぽさを増すためです。都市がつながることで、都市ひとつが孤立して存在するのではなく、人やモノが互いに行き交うようになります。今作のためのシミュレーションエンジンのはたらきで、それぞれの都市の影響が地域全体に伝播し、個別の都市を何かに特化することも可能になりました。それによって、一緒にプレイする友達と役割分担をして、それぞれに違う役割を果たすことが意味のあるものになったと思います。
──中洲タイプの地形で始めたら使える平地が少なく大変苦労しました。土地の選択によってはかなり難易度が変わるようですが、そのあたりのポリシーはどうでしょうか。
オーシャン・クィグリー氏: 確かに平地で開発しやすい地区や、山ばかりで建物を作りにくいかわりに、沢山の資源が眠って地区など様々な地形があります。中洲のような地形では橋をかける必要が出てきたりと、地形によってプレイが変化していくようになっています。
──前作からの大きな変更点として、今作では地形を変更することができないようになっていますが、その意図は?
オーシャン・クィグリー氏: ひとつの理由は、市長のゲームとしてより本物らしくすることです。プレーヤーは神ではないわけですね。市長だから道を引いて区画整理をする、でも神のように山を作ったり削ったりはできないというわけです。もうひとつの理由は、地域の地形、資源配置などをゲームデザイナーの手に委ねることで、プレーヤーに適切な課題を与えるというゲームバランスを提供するためです。
──「偉業」を達成するのはかなり大変なようですが、いわゆるゲーマーではない人でも目標にできるのでしょうか?
オーシャン・クィグリー氏: 本作は、未経験の人でも簡単に始められつつも、少しづつ要素を加えていくことで、次第に難しいことにも挑戦できるようにデザインされています。もちろん「偉業」はハードコアゲーマーにとっても最終チャレンジとして手応えのあるものになっていますし、ゲームの知識やスキルが必要です。ですが時間をかけて習熟していくことで、ノンゲーマーでも達成できるような内容になっていると思います。
──今回のプレイでは地震が多く悩まされましたが、災害はランダムに発生するものですか?
オーシャン・クィグリー氏: どの災害が起こるかはほぼランダムに決まります。例えば原子力発電所があれば、原子力災害が起きる可能性があり、学校が無ければ犯罪者が増えるといった傾向はあります。ただ、今回地震が多かったというのは、きっと運が悪かったんでしょうね(笑)。
──本作を作るにあたって、都市工学や社会学などの学問分野の研究、応用はあったのでしょうか?
オーシャン・クィグリー氏: 都市を機能させる様々な分野について研究を行ないました。上下水道、医療、消防などなどのシステムなどをゲームの中で表現しています。社会学についてはシミュレーションモデルに反映されています。例えばお金を稼ぎ、店でショッピングをすれば幸福になりますが、店がなければショッピングができず不幸になり、街を出て行くような感じです。
──以前数日間行なわれたβテストではどのようなフィードバックを得ましたか?
オーシャン・クィグリー氏: まずはバグフィクスから、経済システムとゲームバランスの調整、そしてサーバーの安定化などです。またプレイ内容をチェックして、ゲームでうまくいっているところ、うまくいっていないところの確認なども行なっています。プレーヤーのテレメトリーデータを収集していますので、発売後もそれを元にゲームシステムの改良などを継続的に行なって行きたいと考えています。
──具体的すぎる質問で申し訳ないですが、道路をアップグレードする操作が非常に手数を必要として面倒なのは、なんともなりませんか?
オーシャン・クィグリー氏: 今のところ、1個づつアップグレードしていく方法しかないです。考えておきます(笑)。
──MODサポートが公表されていますが、どういった種類のものがMODで作成できるのでしょうか?
オーシャン・クィグリー氏: 具体的なポリシーはまだですね。今のところは製品を出荷することに全力を注いでいまして、まずは出荷してプレイをしてもらい、状況が安定してきたら改めて詳細を発表したいと考えています。
──最近、プレイステーション 4が発表されましたが、それ向けの計画はありますか?
オーシャン・クィグリー氏: いえ、本作は本当に“PCゲーム”で、マウスとキーボード向けにデザインされているものです。現在は春に向けてマッキントッシュ版を準備しているところですが、現時点ではコンソール版の制作についての計画はありません。
──今回、シリーズの生みの親であるウィル・ライト氏と対談もされていますが、その中で、特に本作を作ってよかったと思えたことは何でしょう?
オーシャン・クィグリー氏: 正直なところ、「シムシティ4」の時は「シムシティ3000」とあまり代わり映えがしなかったということで、ライト氏の関心を惹くことができませんでした。しかし今回、全く新しいやり方で「シムシティ」を再構築したことで、ライト氏が非常に関心を持ってくれ、喜んでもらえたことが印象的でした。街をズームインするとひとりひとりのシム市民が生活を営んでいるところを見ることができ、街の息吹が感じられるというところに特に魅了されたようでしたね。
──ありがとうございました。