Bethesda Softworks、「The Elder Scrolls Online」のデモを実施

「The Elder Scrolls V: Skyrim」DLC第1弾「Dawnguard」も公開


6月5日開催(現地時間)

会場:LA Exchange



 昨年12月のリリースから約半年が経過したBethesda Softworksの「The Elder Scrolls」シリーズ最新作「The Elder Scrolls V: Skyrim」。じっくり少しずつプレイしている人もいれば、すでに遊び尽くしたという人もいるだろうし、DLCあるいはコンプリートエディション待ちという気の長い人もいるだろう。

 今年のE3では、その「The Elder Scrolls」シリーズに2つの動きがあった。ひとつは「The Elder Scrolls」シリーズのオンラインバージョン「The Elder Scrolls Online」の実機によるデモが実施されたこと。もうひとつは、昨年リリースされた最新作「The Elder Scrolls V: Skyrim」の初のDLCとなる「Dawnguard」がプレイアブル出展されたことだ。さっそく紹介していこう。


■ 「The Elder Scrolls」の世界がMMOで存分に楽しめる「The Elder Scrolls Online」

「The Elder Scrolls Online」クローズドシアター
ゲームデザインのイメージを表している3頭の龍
未踏の地のひとつBlack Marsh

 「The Elder Scrolls Online」は今年5月に電撃的に発表された「The Elder Scrolls」シリーズをモチーフにしたMMORPG。しかしその存在は、Bethesda Softworksの親会社ZeniMaxが、オンラインゲーム専門のデベロッパーZeniMax Online Studiosを設立した時から噂されていた。ZeniMax Onlineは、2007年に「Dark Age of Camelot(DAoC)」の開発元として知られるMythic Entertainmentのクリエイター陣を中心に設立した会社で、「The Elder Scrolls Online」を開発していることは長らく公然の秘密とされていた。

 会社設立から5年後にようやく表舞台に姿を現した格好となるが、発表から1カ月後のE3 2012では早くも実機のデモを行ない、2013年に北米およびヨーロッパでサービス予定となっている。気になる日本サービスについては、「まったくの未定」ということで、ZeniMaxグループとしてもMMORPGは初の試みだけに、まずは北米、ヨーロッパのローンチ次第というのが正直なところのようだ。

 発売プラットフォームは現時点ではPC(Windows/Mac)のみなので、この点でも日本展開の可能性は低いと考えた方がいいかもしれない。ただ、流れによっては北米、欧州に加えて、アジア地域にもサーバーを立てる計画もあるということで、そうなれば英語版ながら日本でのサービスもグッと現実味を帯びてくる。いずれにしても北米、欧州の結果待ちということで、日本は気を長くして待ちたいところだ。

 さて、Bethesda Softworksブースのクローズドシアター内でのプレゼンテーションでは、20分ほどの実機ベースの録画映像を参照しながら、担当者がかいつまんで解説を加えていくという形でゲームの紹介が行なわれた。

 ゲームの時代設定は「Skyrim」の1,000年前ということで、シリーズ5作品と直接絡む要素はなく、遙か昔の物語が描かれる。カバーされるエリアは初代「The Elder Scrolls」以来となるタムリエル全域で、過去5作品の舞台となったスカイリムやモローウィンド、ダガーフォールなどを含みつつ、未だかつて描かれていない未踏のエリアも含まれるという。

 タイトルイメージとして使われている月桂冠のような輪は、3頭の龍が互いの身体を食い合うイメージがあしらわれており、これが基本的なゲーム設計となる。つまり、北東のEbonheart Pact、北西のDaggerfall Covenant、そして南西のAldmeri Dominionの3勢力が中央の肥沃なシロディールを目指して戦いに明け暮れるという設計になっている。デモでは、数百人規模のPCたちが集団戦に挑むシーンも見ることができ、「DAoC」を彷彿とさせるRvRが最大の魅力となるMMORPGとなるようだ。

 デモのほとんどは村や古代遺跡、モスク、砂漠地帯、ジャングル、海辺、ダンジョンなどなど、タムリエル世界の豊かな景色の点描に費やされた。ゲームエンジンは「Skyrim」や「Fallout 3」などで使用されているBethesda Game Studios謹製のものではなく、どちらかというと質より量を重視した「DAoC」寄りの汎用ゲームエンジンで、「Skyrim」ほどのビジュアルインパクトはない。アニメーションやモーションについても同一で、この点、「Skyrim」という兄貴分の偉大さで、若干マイナスイメージになっている印象がある。

 バトルシステムは、「DAoC」ライクのオーソドックスなリアルタイムバトルで、サードパーソンビューで、剣を振り回し、魔法をはじき出していく。ユーザーインターフェイス(UI)はいかにも仮のものという感じだったが、クラスシステムやスキルなどもいくつか見ることができ、従来の「The Elder Scrolls」とはまた異なる解釈で、実装されていることを伺わせた。

 今回のデモでは、DaggerfallのCambray Hillsを舞台に、いくつかのクエストが披露された。本作のクエストは基本的にソロでも進行可能になっており、パブリックエリアもしくはインスタンスエリアを舞台に、様々なクエストを用意しているという。今回のデモは全体的に散漫としていてやや物足りない印象だった。次回機会があればプレイアブルで試してみたいところだ。

【「The Elder Scrolls Online」トレーラー】


【「The Elder Scrolls Online」スクリーンショット】


■ 「Skyrim」DLC第1弾「Dawnguard」のテーマはバンパイア! Xbox 360版先行リリース

「Dawnguard」試遊コーナー
このデーモンハンターになれる。さすが「The Elder Scrolls」シリーズと納得の不気味さである
バンパイアロードのPerk

 「The Elder Scrolls V: Skyrim」ユーザー待望のDLC「Dawnguard(ドーンガード)」がいよいよリリースされる。リリース時期は夏を予定し、提供プラットフォームはXbox 360のみとなる。価格は1600MSP。PS3版やPC版についてはリリースされるのはほぼ確実だが、リリース時期については未定となっている。また、日本での取り扱いもすでに決定している。

 「Dawnguard」のテーマとなっているのはバンパイア。北方の雪原エリアの奥が拡張され、「Dawnguard」における主な冒険の舞台となるエリア「Castle Volkihar」と「Soul Cairn」が追加される。

 「Dawnguard」がユニークな点は、「Fallout 3」のDLCのように単純に新しいクエストが発生して、新しいエリアでそれを解く、というだけでなく、初っぱなから重大な選択を迫られるところだ。具体的にはバンパイアロードとなってバンパイアを支援する側に回るか、それともバンパイアハンターとなってバンパイア撲滅に手を貸すかを選ばなければならない。ちなみに「Dawnguard(夜明けの防衛者)」は、対バンパイアに特化した組織で、無限の活動時間を手に入れるために“夜明け”そのものをなくさんと暗躍を続けるバンパイアを殲滅するのが目的となる。

 バンパイアは、「Skyrim」でも実装されていたが、バンパイアプレイは、バンパイアとしてのわずかなメリットと引き替えに、人間的な人生のほぼすべてを犠牲にする超上級者向けの高難易度プレイだったし、病としてのバンパイアも丸ごとやり直しするか迷う程度にやっかいな存在だった。

 と考えている人は、まさにバンパイア撃滅の側に回って思う存分積年の恨み(?)を晴らせばいいし、幸運にもこれまでバンパイアに縁の無いプレイをしてきた人は、この機会にバンパイアの一員になり、さらにバンパイアロードとしてバンパイア勢力に加わって、彼らの新武器やシャウト、魔法、Perkなどを手に入れるといいだろう。その代わり、人間的な人生はほぼ失われるが、本当に夜明けが来ない世界が訪れるとすれば、それはもはや人間的な生活は難しいと思われる……。また、「Dawnguard」でプレイすれば、トレーラーにも登場する強力なクロスボウなどが手に入るようだ。

 試遊では、「Dawnguard」の中盤がプレイできた。すでにバンパイアハンターになっていて、ワンキーでバンパイアの姿に変身して、強力なかぎ爪を使って敵を攻撃することができた。向かったのは、魂とアンデッドが棲まう闇の世界「Soul Cairn」。女性吸血鬼Serenaと共に、ほぼ何もない荒涼とした大地を、途中にいるさまよえる魂と会話しながら、奥へと進んでいく。奥にはバリアで包まれた城砦があり、そこに囚われている女性とSerenaが会話し、さあこれからというところでタイムアップ(笑)。Bethesda Game StudiosのRPGは会話を読まないとわけがわからないが、読んでいると体験があまりできないというジレンマ。このゲームはやはり日本語版が望ましい。

 担当者の説明によれば、このシーンは全体のごくごく一部でしかなく、他のRPGのゲーム1本分のボリュームがあるという。プレイ想定時間は短くて10時間、長ければ20時間ほど。バンパイアハンターには専用のPerkツリーが追加され、成長させることで多くのPerkが入手でき、非常に強力なキャラクターとなるようだ。日本でのリリース時期が不明なところが残念だが、この夏期待の大型DLCだ。

【「The Elder Scrolls V Skyrim: Dawnguard」Official Trailer】


【「The Elder Scrolls V Skyrim: Dawnguard」スクリーンショット】

(C) 2012 Bethesda Softworks LLC, a ZeniMax Media company. All Rights Reserved.

(2012年 6月 7日)

[Reported by 中村聖司]