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【BFG 2013】ベセスダ、「The Elder Scrolls Online」プレビュー
「Oblivion」や「Skyrim」の世界がついにMMORPGになる!
(2013/5/28 23:00)
「BFG 2013」続いてのレポートは、E3 2012で秘密のヴェールを脱いだ「The Elder Scrolls Online(ESO)」。「Dark Age of Camelot(DAoC)」の開発元として知られるMythic Entertainmentの元メンバーを中心に設立されたZeniMax Onlineが2007年より開発しているMMORPGだ。現在、北米では小規模のクローズドβテストが実施されており、2013年のサービス開始を見込む。日本展開については残念ながら未定となっている。
今回は初となる実機による試遊を体験できたが、E3 2013では満を持してサービススケジュールやビジネスモデルが発表される見込みで、いよいよZeniMaxグループ最強のIPを使ったMMOがリリースされることになる。今回は、「ESO」に関して試遊と開発者インタビューが行なわれた。本稿ではまず試遊レポートの模様からお届けしたい。
「The Elder Scrolls」シリーズの世界観に即したキャラクターメイキング
今回プレイできたのは、「DAoC」のメインコンテンツであり、「ESO」でも盛り込まれる予定のRvRやPvPではなく、MMORPGの基本となるキャラメイクとクエストだった。昨年のE3のプレゼンでは、どちらかといえばRvRを重視したMMOであることが強調されていたが、今回は本来の強みである「The Elder Scrolls」シリーズらしさを前面に押し出し、「Oblivion」や「Skyrim」をプレイする感覚で、じっくりクエストを堪能することができた。
最初に行なったキャラメイクでは、ゲーム世界タムリエルの西端に位置する勢力「Daggerfall Covenant」固定だった。残る2つの勢力、北東のEbonheart Pactと南西のAldmeri Dominionは選択不可で、これら固有の種族やクラスも選択することができなかった。
Daggerfall Covenantで選択できる種族はBreton、Redguard、Orcの3つ。ちなみに、Ebonheart PactはHigh Elf、Wood Elf、Khajiit、Aldmeri DominionはDark Elf、Nord、Argonianといった具合で、それぞれの地域で著名な種族がキャラクター種族として選ばれている。一般的なファンタジーMMOではモンスターとして登場するOrcやKhajiit(虎型ヒューマノイド)、Argonian(トカゲ系ヒューマノイド)といったマニアックな種族も選択可能なところがポイントだろう。
クラスは戦士系のDragonknight、キャスター系のSorcerer、ヒーラー系のTemplarの3つが選択できた。各クラスによって3系統の固有スキルを持ち、ベースとなるHPや装備可能なアイテム群が異なる。
そのほか、キャラメイクは「Skyrim」以上に非常に細かく設定できる。さすがはMMOの老舗であるMythicの元スタッフによる最新作といった感じだ。今回確認できた限りでは、体型、ボディの各部位の大きさ/長さの調整、スキンカラー/タトゥー、顔立ち、顔の各パーツに至るまで、スライダーを使って細かく設定できた。作り込むことによって、同じ顔のキャラクターはまずいなくなるだろう。
没入感の高いクエストシステム
キャラメイク後は早速、冒険スタートとなった。今回はβ版ということで、チュートリアルやプロローグシーンなどはカットされ、Daggerfallの城下町と外を結ぶ橋の上から始まり、試遊台の周囲にいたスタッフに促され、スキルポイントを使ってスキルを覚え、それらをショートカットに放り込むまでレクチャーされたら、あとは自由にプレイすることができた。
まずは城下町に行くと、一匹の犬が出迎えてくれた。犬に促されるままに後ろを付いていくと、街の外れで死体を見つけ、同時に追いはぎにも襲われた。この死体の人物は謎の文書を残しており、これを手がかりに街中で話を聞いたり、副次的なサブクエストをクリアすることにより物語が進んでいく。最終的にはDaggerfallの王Casimirの暗殺計画まで話は膨らみ、王を直接助ける役目を担うことになる。それをクリアして城の外に出ると今度は遠方の村人が王に面会を求めており、事情を聞くと村がモンスターに襲われ助けを求めていることを知る、といった具合だ。
こうした展開は「The Elder Scrolls」シリーズではまさにお馴染みの流れで、途中、同じルームでプレイしているメディアのキャラクターが動き回るのを見た以外はほとんどシングルプレイのような感覚で遊ぶことができた。多少UIが違う以外は「The Elder Scrolls」シリーズそのままで、何の違和感もなくプレイすることができた。これが「Oblivion」や「Skyrim」を遙かに上回るかつてない規模で世界が構築され、アップデートによりどんどん世界が拡張されるとなると、そこに住んでみたいと思うファンタジーファンは多そうだ。
ちなみに、「The Elder Scrolls」シリーズ最新作の「Skyrim」とは、似ているところもあれば違うところもある。似ているところは精巧で美しいグラフィックスやバトルシステム、ロックピックなどの謎解き要素など。戸棚の本には読める本が沢山あり、時間を忘れて読んでしまうところなど、没入感はそのままだ。繰り返しになるが「Skyrim」がMMOになったらこうなるだろうなという興奮は確かにある。クエストも、規模の小さいサブクエスト以外はフルボイスで喋りまくる。これもまたMMOとしてはリッチな仕様だ。
逆に似ていないところは、やはりゲームエンジンが「Skyrim」で採用されているCreation Engineではなく、ZeniMax Online独自のものであるため、キャラクターのアニメーションやモーション、UI、ターゲッティングシステムなど、細かいところに違いがあるところだ。後は、屋内外のオブジェクトに関して、入手できるものがかなり少なくなっており、チェストや箱、樽などに限定されているところだ。ここは膨大な人数のデータをリアルタイムで処理しなければならないMMOでは仕方がない部分だが、たとえば野党の拠点で、テーブルの上にある一切合切のアイテムを奪っていくみたいなそういう感覚的なプレイができないのはちょっと寂しいところだ。個々は「Skyrim」に似せているものの、全体として見ると、やはり別のゲームだと感じた。
気になる日本展開について、今回の取材に同行したゼニマックス・アジアゼネラルマネージャーの高橋徹氏は「英語版の販売はやりますが、日本語版についてはノーコメント。E3をお待ち下さい」と日本展開にも含みを持たせるコメントを残してくれた。「The Elder Scrolls」シリーズは日本でも支持の高いRPGだけに、その可能性は十分あるといえそうだが、現時点ではゼニマックス・アジア内に、オンラインゲームの運営を行なう部署は存在しないだけに、どのような形なら実現可能なのか様々な可能性を探っているという印象を受けた。E3での発表を待ちたいところだ。
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