オンラインゲーム事業本部運営部ゲームディレクターの的場貴徳氏

オンライン事業本部技術開発部チーフの美土路光氏

　キューエンタテインメント株式会社は、Windows/プレイステーション 3用MMORPG「AngelLoveOnline（以下、ALO）」において、「Season7.5 ちょい規模アップデート ～夏が来る前に～」を5月21日に実装した。

　今回のアップデートでは、新たなサイドストーリーが展開されるとともに、「Season6 ～緑の聖域～」から続くストーリーの最終章も追加される。それらの舞台として「光明神殿」を含む4つの新マップと、インスタンスダンジョン「天空聖域」が実装される。さらに、エンブレムウォーの仕様変更や、カード収集システムの新カード追加が行なわれる。

　今回「ちょい規模」と名付けられたのは、既存のシステムに様々な要素を加えているうちに、日頃行なっているアップデートよりも肥大化してしまったためだそうだ。大型アップデートのような新機能や新大陸追加はないものの、ボリューム的には大型アップデートと言っていいほど。さらにこのアップデートと同時に、PS3では「PlayStation Home（以下、PS Home）」にも参入し、アバターの衣装が配信されている。

　これらの情報について、同社オンラインゲーム事業本部運営部ゲームディレクターの的場貴徳氏、同事業本部技術開発部チーフの美土路光氏に説明していただいた。

■ 新マップとインスタンスダンジョン「天空聖域」を実装。「緑の聖域」のストーリーも完結！

「龍息の岩窟」には、サイドストーリーの鍵を握る巨大なドラゴンが横たわっている

　今回のアップデートにより、「神殿遺跡」の奥地が開放され、レベル80以上のパーティを推奨とした4種類のマップ「龍息の岩窟」、「隠者の湿地」、「花舞回廊」、「光明神殿」が追加される。これらのマップは連続しており、プレーヤーは遺跡、岩窟、湿地、回廊、神殿という順に突破していく。最終的に「光明神殿」に侵入することが目標となるが、それに従って巨大なドラゴンに関連したサイドストーリーも展開していく。

　物語の発端は、神殿遺跡で神秘的な洞窟が発見されたこと。「洞窟の奥には巨大なドラゴンが守っている財宝や豪華な神殿がある」という噂がエデン大陸に流れ始め、大勢のエデン大陸の住民が、その噂に惑わされるかのように洞窟内へと導かれていく。しかし、大天使ミカエルはこの噂に悪魔学園の陰謀を感じ取り、洞窟に隠された謎と陰謀を究明するため、天使達を洞窟に送り込む。

　サイドストーリーは、今回は本格的には展開せず、まだ序章的な位置付けだという。ゲームの洞窟内部には、巨大なドラゴンがいたものの、襲いかかることもなく、話しかけると「……」という反応を返すのみ。何やら意味深だが、今のところはまだ何もわからない。さらに洞窟内を進み続けると、今度は温厚なはずのエデン大陸の住民達が暴徒化して襲い掛かってくる。巨大なドラゴンはなぜそこにいるのか、エデン大陸の住民達は悪魔学園の手先となってしまったのか、サイドストーリーは多くの謎を秘めている。

【龍息の岩窟】

【隠者の湿地】

【花舞回廊】

【光明神殿】
4種類のマップが追加され、新たなサイドストーリーが動き始める。これらのマップ内では、街中などで見るNPCの外見をしたキャラクターが敵となって襲い掛かってくる

　そしてもう一方のストーリーは、2008年5月に実施されたアップデート「Season6 ～緑の聖域～」の完結編にあたる。「緑の聖域」のアップデート時に1つだけ未開放だったインスタンスダンジョン「天空聖域」がついに実装されることになり、これでようやく全ての謎が解明される。「天空聖域」はレベル115以上推奨とされており、パーティを組んだ状態でのみ入場できる高レベル向けのダンジョンとなる。内部には大量の巨大なモンスターが待ち構えており、通路には毒の罠も仕掛けられている。現在のレベルキャップが130なので、難易度はかなり高いと言える。

　「天空の聖域」について的場氏は、「今回のインスタンスダンジョンはかなり難しいですが、『ALO』は職業間のバランス調整にも力をいれているので、そこを上手く活用してもらいたい。同じ職業ばかりではクリアできないので、様々な職業の方と一緒に遊んでいただきたい」と語っていた。

　今回のアップデートは比較的高レベル者向けのため、PS3版から始めたユーザーにはなかなか手が届かないコンテンツかもしれない。ただ、4月末のアップデートでレベルの高いモンスターにも攻撃が当たるように変更されているため、「パーティメンバー次第では行けないこともない」という。

【天空聖域】
パーティを組んだ状態でのみ入場できるレベル115以上推奨のインスタンスダンジョン「天空聖域」。モンスターが大量に出現する上、毒の床などのトラップも設置されている

■ 「エンブレムウォー」に上級秘境を実装

　PvPシステムにおいては、毎週火曜日と土曜日に行なわれている「エンブレムウォー」に上級秘境が追加され、それに伴い仕様も変更される。これにより、今まで4つあった秘境は、3つの上級秘境と、9つの一般秘境に分けられる。

　上級秘境は、「竜の墓場」、「棘の荒野」、「雷轟の廃墟」の3つで、あとの9つが一般秘境になる。一般秘境は今までの秘境と呼称が変わっただけで、出現するモンスターのレベルに違いはない。上級秘境に対応したマップを占有すると、レベル15から63までのモンスターが出現する一般秘境と、レベル45から85までのモンスターが出現する上級秘境の両方が与えられる。上級秘境ではレベル61から91までの資源採集が行なえるほか、通常よりも多くの経験値がもらえるボスモンスターも出現する。またハウジングシステムの魔力値も秘境の占有状態により変動し、一般秘境の場合は5%、上級秘境の場合は10%追加される。

　さらに「エンブレムウォー」では、領地の占有がギルド単位に変更された。また所属国による秘境の共有も廃止されるため、各ギルドで話し合い、上級秘境を狙うか、それとも上級秘境よりも比較的占有しやすい9つの一般秘境を狙うか、攻める領地の選択も重要になる。また今までの秘境システムでは、同じ所属国のプレーヤーが同じマップに大勢集まっていたため、上級秘境の追加によって、狩場の分散や負荷の改善にも効果があるという。

　今回の「エンブレムウォー」の仕様変更について的場氏は、「最初のうちはユーザーさんも戸惑うとは思うのですが、深くなったシステムはぜひ楽しんでもらいたい要素だと思っています。各ギルドの戦略も変わってくるため、上級秘境の3領地を狙う大手ギルド同士の戦いと、一般秘境における小さなギルド同士の戦いになり、次第にバランスが取れてくるのではないでしょうか」と語った。

【一般秘境】
一般秘境には、これまでと同じくレベル15から63までのモンスターが出現する

【上級秘境】
こちらは新たに追加される上級秘境。レベル45から85のモンスターが出現する上、レベル61から91までの資源採集もできる

　PvP以外では、カードを集めることで様々なアイテムと交換ができる「カード収集システム」に、新たに68枚のカードが追加される。今回追加されるのは、「緑の聖域」アップデート時までのモンスターなどで、ヒトデやオットセイなど可愛い海の生物が多い。またこれに伴い、サイドストーリーとしてカード収集クエストが15個追加されており、よりカード収集の魅力が高められている。

　カードの追加に伴い、新たなクエストも追加される。このクエストは従来よりトリッキーなものになるそうで、的場氏によると「『これをここまで届けてくれ』というクエストで届ける途中でテレポートをした場合は、『おまえはずるをしたな！』と言われて無効になってしまいます。また、けが人を運ぶクエストでテレポートを使うと『そんな乱暴な運び方をするから怪我人が酷いことになっているじゃないか！』と怒られてしまいます」といった仕掛けがあるという。

【追加カードの一部】
「カード収集システム」に追加される新カードの一部。「緑の聖域」までのモンスターやNPCなどで、可愛らしい海の生物などが多い

■ 「PS Home」で機甲デザインのTシャツを販売

　このほかPS3では、「PS Home」のアバター用の帽子とTシャツが男女あわせて10種類配信される。ペンギンや犬、ネコの機甲がプリントされているTシャツや、耳の辺りに羽が生えたピンクの帽子などがあり、男女合わせて8種類が各100円で販売される。また今回は「PS Home」初参入ということで、青地に「ALO」のロゴが描かれている「エンジェルTシャツ」が無料で配布される。

　今後は「ALO」のゲーム内のアバター用衣装を「PS Home」に追加したり、「PS Home」からのゲームの直接起動や、キューエンタテインメント専用のラウンジを開設してそこに「ALO」を加えるなどの、PS3の特性を活かしたサービスも検討しているという。しかしゲーム内においては、Windows版とPS3版は平等という考えを守るとしており、プレイするプラットフォームによる差を出ない形でサービスが続けられる。

【PlayStation Homeのアバター用衣装】
帽子の正面には「AngelLoveOnline」のロゴが描かれており、耳の近くには羽のアップリケがついている。下段の恰幅のいい男性アバターが機甲デザインのTシャツを着ると、まさに機甲そのものという感じ

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