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ARグラス「Nreal Air」にNintendo Switchなどが接続できるアクセサリー「Nreal Adapter」が登場!新製品体験レポート

最大5画面表示可能な3DアプリのMac OS版も発表

【Nreal Adapter】

9月末 発売予定

価格:8,980円(税込)

【Nreal Air】

2022年3月 発売

実勢価格:45,980円(税込)

 日本Nrealは、2022年8月24日に東京・原宿のWITH HARAJUKU HALLで「Nreal Japan 新製品発表会」を開催した。日本では、今年の2月より世界に先駆けて先行販売が行なわれているARグラスの「Nreal Air」。今回発表されたのは、その使い勝手をさらによくするためのアクセサリー「Nreal Adapter」と、自社開発の3Dインタラクティブアプリ「Nebula」のMac OS対応だ。

 そもそも「Nreal Air」ってなんだ? という人のために、簡単にどんなデバイスなのかご紹介しておこう。同社では2020年12月より、「Nreal Light」と呼ばれる3Dグラスを日本でも販売開始している。ARグラスでありながら高精細な美しい映像が表示できるということもあり、XR系のエンジニアを中心に発売前から話題を集めていた。

 「Nreal Air」は、その「Nreal Light」から深度カメラや赤外線カメラなどの機能を省略して軽量化し、よりコンシューマー向けにした製品だ。その特徴は、大きく分けて3つある。ひとつは大画面の映像を高画質、そしてポータブルで観られるところである。イメージとしては、4メートル先に130インチのスクリーンを設置して観ているような感じだ。

ソニー製の最新有機ELスクリーンを採用していることにより、業界最高レベルの映像が楽しめる。

 ふたつ目の特徴は、デザインやファッション性の高さである。ぱっと見の印象は、普通のサングラスのようなスタイルになっている。「Nreal Air」は、デバイス自体に機能はあまり持たせず、スマートフォンなどに接続して使うタイプだ。そのため、VRゴーグルのようなゴテゴテ感はなく、ポケットにしまうこともできるサイズ感になっている。

見た目はまんま普通のサングラスのようだ。手に持った感じも、さほど重く感じない。
ヒンジ部分はある程度柔軟のある作りになっており、広げやすい。そうしたこともあり、装着するときもさほど苦労せず、サクッとかけることができる。
上部はやや厚めになっている。

 3つ目の特徴は、ドイツの認証機関であるTUV Rheinlandより「Low Blue Light」、「Eye Comfort」、「Flicker Fee」といった3つの項目で認定を取得しているところだ。ARグラスのように、目の前にあるディスプレイを長時間見続けるのは健康的にも良くないのではないかと思われがちだが、ほとんど影響ないことが認定されている。

 ちなみに「Eye Comfort」については非常に難易度が高く、これまで世界で216の製品しか認定されていない。そのうちのひとつが、「Nreal Air」というわけである。

スクリーンはこのような形で取り付けられており、その分上部が厚めになっている。

 使い方は至ってシンプルで、USB-C(DisplayPort Alternate Mode)搭載のAndroid端末に接続するだけである。このわずかな作業で、場所を問わずいつでもどこでもすぐに大画面の映像が楽しめるところが魅力なのだ。

 しかし、皆さんご存じのように、日本ではAndroidユーザーよりもiPhoneを使用しているユーザーの方が圧倒的に多い。そのため、「Nreal Air」の発売から半年ほど経つが、「iPhoneじゃ使えない」といったユーザーからの声が同社の元に寄せられていた。そうした意見に答える形で今回発表されたのが、「Nreal Adapter」である。

9月末に発売される「Nreal Adapter」。価格は8,980円(税込)だ。

ゲームをAR内の大画面で楽しめるアクセサリー「Nreal Adapter」

 今年の9月末より発売が開始される「Nreal Adapter」だが、実際にiPhoneに接続して使用するときは、別途アップル純正の「Lightning - Digital AVアダプタ」など、HDMI出力を用意しておく必要がある。ちょうど「Nreal Adapter」は「Lightning - Digital AVアダプタ」の形状に合う作りになっており、ぴったりと取り付けることができる。間にひとつ挟むものが増えてしまうものの、これによりiPhoneユーザーも「Nreal Air」の魅力を体験することができるようになる。

写真右が今回発表された「Nreal Adapter」。iPhoneと接続するときは、写真左のアップル純正「Lightning - Digital AVアダプタ」などを別途用意する必要がある。
「Nreal Air」のUSB Type-Cは、そのまま「Nreal Adapter」に差すことができる。

 この「Nreal Adapter」は、単にiPhoneに対応するというためだけのものではない。HDMIの入力にも対応することができるようになるため、Nintendo Switchなど最新のゲーム機も接続して大画面で遊べるようになるのである。

 これにより、AndroidやiPhone、タブレットにSteam Deckのような形態ゲーム機、そしてHDMIで映像出力が行なえる一般的な家庭用ゲーム機やPCといった幅広いデバイスが「Nreal Air」で利用できるようになるのだ。

「Nreal Adapter」の登場で、「Nreal Air」が接続できるデバイスの数も大幅に増える。

 今回もうひとつ発表されたのが、同社が自社開発した3Dインタラクティブアプリ「Nebula」のMac OS対応である。この「Nebula」にはふたつの機能があり、ひとつは「Nreal Air」に大画面のコンテンツが表示できるところだ。

 もうひとつの機能が「AR Space」である。こちらは多数のコンテンツが目の前に広がるようなUIになっており、スマートフォンをポインター代わりにして直感的に操作できる。ウェブブラウザを開いたときは、画面サイズの調整も行なえる。リアルな3D空間のように、遠くに置いたり近づけたり、拡大したり縮小したりといった感じで、自分好みのサイズや位置を自由自在に調整することができるのである。

 このウェブブラウザは、最大で5画面まで開くことが可能だ。ブラウザごとにSNSやYouTube、検索などに分けて利用することもでき、それらを目の前で切り替えながらマルチタスクで使えるにようになる。実はこちらは、従来まで一部のハイエンドなAndroid端末でしか利用することができなかった。

「Nebula」では、このようにウェブブラウザを5枚開くことが可能だ。

 そのため、ごく一部の人しか利用できなかったのだが、新たにMac OS対応版が9月中旬にリリースされる。Macという制限はあるものの、リアルなディスプレイがなくても複数の画面を「Nreal Air」で使えるようになるというわけだ。

9月中に行なわれるアップデートで、Mac OSにも対応する3Dアプリの「Nebula」。

 このイベントの前日に、中国でもグローバル発表会が行なわれており、そこで「Nebula」のPC版対応についても触れられていた。質疑応答の時間に、記者からNreal 副社長 兼 日本 Nreal 代表取締役の呂正民氏へそのことについて質問があったが、同氏によるとPC対応は簡単に実現できるわけではないため、メインとなるPCに対応できる状態になった後でリリースされると語っていた。

Nreal 副社長 兼 日本 Nreal 代表取締役 呂正民氏。

「Nreal Adapter」を使ってNintendo Switchのレースゲームを体験!

 発表会の後、実際に「Nreal Air」が体験できるタッチ&トライのコーナーも用意されていた。こちらは大きく分けて3つのエリアに分かれており、カフェをモチーフにした「Ringoエリア」では、自分のiPhoneをデバイスに差していつも観ているコンテンツを「Nreal Air」越しに楽しむことができた。

 ためしにYouTubeの映像を適当に選んで流してみたのだが、AR越しに観る映像もさることながら、耳からも音が聞こえてくるため、動画コンテンツを楽しむときはこれでも十分だと思わされた。

いつも観ているYouTubeの映像も、ARグラス越に観ると新鮮な気分になる。

 ホテルのラウンジをイメージした「New Nebulaエリア」では、「Nebula」を実際に体験することができた。映像系のコンテンツではよく見えるよな、横に並んだようなスタイルになっており、スマートフォンで操りながら選べるというのは慣れてくると快適に感じる。ただ、初見では勝手がわからず若干操作に止まってしまう部分もあった。

 「Nebula」で面白いと思ったところは、手に持ったスマートフォンでポインターのように操作してコンテンツを選ぶことができるところだ。それに加えて、ARグラスという3D空間を利用したコンテンツらしく、ブラウザなどの位置も自分の好みに合わせて変えられるところも、なかなか新しい体験であった。

慣れれば快適に使えそうな印象だった、3Dアプリの「Nebula」。
スマートフォンを使った操作は、わりと直感的で相性の良さを感じた。

 最後に体験したのが、「GAMEエリア」である。こちらでは「Nreal Adapter」を使ってレースゲームが楽しめるようになっていた。ゲーム自体は、普通のディスプレイで遊ぶときとまったく変わらない印象で、快適にプレイすることができる。元々発色の良さも「Nreal」のウリのひとつだったが、それが思う存分活かされている感じがした。ちなみに、近くにいたスタッフに軽く話を聞いたところ、フレームレートは最大で60fpsほど出すことができるそうなので、ゲームで遊ぶ分には十分なレベルといえるだろう。

「Nreal Air」で映像を見ながら遊ぶゲームは、思っていた以上に快適だった。

 VRゴーグルとは異なり、ARグラスの場合は基本的にシースルーになっているため、まわりの状況も把握しやすい。それでいながら、VRにも負けないような大画面での映像コンテンツも楽しむことができるのは、かなりの魅力だ。今はまだゲームなどの映像は2次元のディスプレイに出力することが当たり前といった感じだが、将来的にはこうしたデバイスがもっと普及していき、ゲームなどエンターテイメントの楽しみ方も変わっていくのかもしれない。