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Wargaming.net、本拠地ロシアおよびベラルーシからの完全撤退を発表

旧本社のベラルーシ ミンスクの開発スタジオも閉鎖に

4月5日発表

 「World of Tanks」などを開発・運営するWargaming.netは、昨今のウクライナ情勢を鑑み、ロシアおよびベラルーシより撤退することを明らかにした。両地域のビジネスは、非提携関係のLesta Studioに移管される形で継続されるものの、両地域における収益は受け取らないとしている。移管日は3月31日。

 Wargaming.netは、ミンスク ベラルーシで誕生したオンラインゲームメーカー。2010年にサービスを開始した「World of Tanks」がロシア圏を中心に大ヒット。ベラルーシを代表する世界的企業に成長した。

【ミンスク開発スタジオ】
写真は、2017年に訪れたミンスクツアーのもの。世界水準で見ても巨大な開発スタジオだったがすべて閉鎖されることになる

 その後、世界展開に合わせてキプロスのニコシアに本社を移し、現在に到っている。昨今のウクライナ情勢に関してはいち早く懸念を表明し、3月1日の時点でウクライナ赤十字社に100万ドル(約1億2200万円)の寄附を発表。さらなる人道的支援を行うことを表明すると同時に、ウクライナ キーウ支社の従業員に対してあらゆる便宜を図ることを約束していた。

 ロシアおよびベラルーシは同社にとって本拠地であり、ロシアの首都モスクワでは、「World of Tanks」のプロリーグWargaming.net League(WGL)のグランドファイナルも開催されていた。当然ビジネス規模も最大だったが、同社はそれをすべて破棄し、新しい形で出直すことになる。リリースには「本決定により深刻な損害を受けることを予想」としており、引き続き従業員の安全確保とサポートに努めていくとしている。

 合わせて、旧本社となるミンスク ベラルーシの開発スタジオも閉鎖する。同社では、「会社として今後のビジネスの自信を持ち、プレーヤーの皆様に質の高いゲームを提供することに全力を尽くして参ります」と結んでいる。

【モスクワで行なわれた世界大会】
「World of Tanks」で最後に行なわれた世界大会「WGL The Grand Finals 2017」はモスクワ開催だった。多くのロシア人ファンが集い、CIS代表のNAVIとTornado Energyが優勝を競い合う。こうした風景は二度と見られない。ロシアによるウクライナ侵攻がもたらした影響は甚大と言える