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サイコロジカルホラー「Blair Witch」インプレッション
映画を彷彿とさせる巧妙に仕組まれた、たたみかけてくるホラー体験がここに
2019年8月23日 07:18
- 8月31日発売予定
- 価格:3,090円(税込、Steam版)
「Layers of Fear」や「> observer_」など奇抜なホラーゲームを次々に生み出しているインディデベロッパーのBloober Teamの新作サイコロジカルホラー「Blair Witch」が8月31日にいよいよリリースされる。本作はXbox Oneのほか、Windows PCでもリリースされ、Steamから日本語版も購入できる。今回、一足先にデモビルドをプレイすることができたのでインプレッションをお届けしたい。
「Blair Witch」は、199年にリリースされたアメリカの映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」をモチーフにしたサイコロジカルホラー。映画の翌年2000年にもそのゲーム版が3作リリースされているが、今回19年振りのゲーム化は「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の世界観をモチーフにした完全オリジナルストーリーが展開される。
ただ、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の場合、その“世界観”というのが一癖も二癖もあり、“疑似ドキュメンタリー”と呼ばれる、日本の「カメラを止めるな!」のような映画内映画という手法を用い、あえて現実世界からの情報を織り交ぜつつ、視聴者を恐怖の術中に填めていくという特殊な作品となっている。
今回のストーリーは、1996年のメリーランド州バーキッツビル近郊にあるブラック・ヒルズの森で、1人の少年が消息を絶ち、過去に心の傷を負った元警官のエリスが、1匹の犬と共に創作を開始していくというもの。
微妙に原作との相似形を維持しながら、やはり森に入っていくという展開になるが、ビデオカメラ、電話、メモといったキーアイテムは、今回も重要な役割を担っており、現実世界のストーリーと思わせつつ、精神世界と現実の境目が曖昧になるような出来事が次々に起こっていく。
中でも「バイオハザード7」をはじめ、様々なゲームでも活用されている“フィルムを使ったギミック”は本作でも多用される。ホラーゲームは恐怖体験がひとつの醍醐味だが、このゲームの場合、わざわざ自ら仕掛けを拵えつつ、自らその仕掛けを爆発させるようなところがあり、自ら恐怖を煮詰めていく感覚がおもしろい。
ちなみにこのゲームの一服の清涼剤となっているのが犬だ。犬は手がかりとなるアイテムを探し出したり、主人公を誘導してくれたり、ガイド役も兼ねている。この犬が、謎解きにどこまで大きな影響を与えるのかはわからなかったが、「Blair Witch」というホラー作品に新たな味わいをもたらしてくれる。
謎解きは、まだ序盤だったこともあり、難しくない。ただ、少人数制作のインディタイトルということもあって、UIがこなれておらず、ところどころでエキサイトメントを下げる感じがあるのがもったいないと思った。たとえば、ビデオカメラに映る映像が決定的に重要なのに、狭い廃屋の中を行き来する際、右手にオブジェクトが差し掛かるたびに、ビデオカメラのモニターが見えなくなり、イライラさせられた。
ただ、全体としては、クラシックな作りながら質の高いホラーゲームで、ウンザリするほど恐怖体験が味わえる。ゲームは全体で6時間ほどと、ほどよいボリューム。Bloober Teamによる「Blair Witch」の再定義ということで、同社ホラーゲームのファンなら間違いなく楽しめるだろうし、往年の「Blair Witch」ファンも懐かしさを感じながら楽しめると思う。完全新作ながらハーフプライス(Steamで3,090円)なのも嬉しいところ。秋の夜長にでも楽しみたい、ホラーゲームの小品といえる。