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元韓国SKTの最高峰ジャングラーBlank選手がLJLデビュー! LJL Summer Split開幕
あのチームやこのチームが圧勝かと思いきや……? 今季シーズンは大波乱の予感
2019年6月16日 21:32
ライアットゲームズは6月16日、PC用MOBA「リーグ・オブ・レジェンド」の国内プロリーグ「League of Legends Japan League(LJL)」の夏季シーズン(Summer Split)を開幕した。
今年のLJLはとにかくアツい。何故ってそれは元韓国SK Telecom 1(以下、SKT)所属、で世界大会「Worlds」や「Mid Season Invitational」で次々と優勝を勝ち取った経験を持つ、世界最高峰のジャングラーBlank選手がSengoku Gamingに移籍してきたからだ!
LJLのオフシーズンには野球やサッカーなどのプロスポーツよろしく、選手の移籍や脱退、新規獲得などが話題になる。ファンはそれを見て次のシーズンの戦いを予想しつつ、シーズン開幕直前の正式ロースター発表でまたひと盛り上がりしつつ、開幕戦でその結果の一端を目の当たりにする。それが毎シーズン開幕までのLJLの楽しみ方のひとつだが、今季はサプライズの桁が違う。
Blank選手の所属していたSKTは「LoL」最強国家のひとつ韓国のチームであり、世界大会での優勝経験も非常に多い。一方日本は世界的にみるとまだまだ発展途上のリーグであり、世界を制したようなトッププロの移籍などはこれまでなかったのである。そんな中、Blank選手を獲得したSengoku Gamingは国内外から注目の浴びることになり、もちろん国内リーグでも一躍優勝候補に躍り出た。
また、他のチームも大幅にロースターが変わっている。Yutorimoyashi選手がBurning Coreのコーチから選手に電撃復帰してV3に加入していたり、AXIZは日本人選手のみだった昨シーズンから新たに韓国出身、元Sengoku Gaming所属のジャングラーSmile選手を獲得していたり、Rascal JesterでもAllycat選手がサポートにコンバートした上、Cogcog選手、Zerost選手、そして新たにNinja選手を獲得している。さらに合同トライアウト「スカウティング・グラウンズ」で見出されたSengoku GamingのDonShu選手など新人選手の加入もあり、一方でRascal JesterのYuki選手の引退や、家庭の事情によるUnsold Stuff Gaming apaMen選手の欠場……などなど主力級の選手を欠いたチームもある。
特に今季は書ききれないほどに選手の移動が活発で、名前こそ既存チームのままだがその内情は大きく異なっている。そんな新ロースターの結果のお披露目の舞台となった開幕戦では全8試合が行なわれ、試合結果は下記のようになった。
LJL Summer Split Week1の結果 | |
---|---|
Crest Gaming Act | 2-0 |
V3 Esports | 2-0 |
Burning Core | 1-1 |
DetonatioN FocusMe | 1-1 |
Rascal Jester | 1-1 |
Sengoku Gaming | 1-1 |
AXIZ | 0-2 |
Unsold Stuff Gaming | 0-2 |
正直に告白すると、筆者は前期王者であり世界戦の経験を数多く積んできたDFMがあっさり2-0で勝ち抜けると思っていたし、Sengoku GamingもBlank選手が"無双"して2-0でWeek1を終えると思っていたが、全くもってそうはならなかった。Sengoku GamingはV3 Esportsに1敗、DetonatioN Forcus MeはCrest Gaming Actに1敗を喫することになり、逆にこれらのチームを下したV3 EsportsとCrest Gaming Actは2-0でWeek1を終えたのだ。
V3 Esportsは先述の通り名前に見合わず見事な筋肉を誇るYutorimoyashi選手がADCとして復帰している。Yutorimoyashi選手の全くブランクを感じさせない活躍もありつつチーム間での連携もバッチリ決まり、チームとして仕上がっていることを感じさせた。また、Crest Gaming ActもCeros選手に代わってRamune選手を起用したDetonatioN Forcus Meと取って取られての逼迫した試合を繰り広げたが、ゲーム後半、バロン前での集団戦をモノにして勝利をもぎ取るなどここ1番の勝負強さを感じさせた。
また、戦績こそ1-1で終わったものの、対Burning Core戦で見せたDetonatioN Forcus Me Evi選手のタム=ケンチは手始めにレーン戦で大暴れ。その後はUltの「船旅」でマップを縦横無尽に駆け回って試合を破壊していき、その様子はまさに日本最強トップレーナーの呼び名に相応しい姿だった。
一方のSengoku Gaming Blank選手はやはりマクロ・ミクロ両面で極めて秀でており、チームが勝っていても負けていてもそのパフォーマンスが変わらないあたりは流石世界最高峰のジャングラーの風格であったといえる。
Blank選手は1試合目のAXIZ戦にて「オラフ」をピック。オラフはもともと1vs1の殴り合いに強いチャンピオンだが、小競り合いで1キルを獲得するやいなやAXIZ側の森に入り、我が物顔でガシガシとファームを進めていく。バロン戦前のにらみ合いではBlank選手の背後にゾーイの「スリープバブル(踏むと睡眠状態になり、短時間行動不可&受けるダメージ増)」が着弾して味方と分断される場面もあったが、AXIZ側もキャッチアップのチャンスながらBlank選手のプレッシャーが強すぎて仕掛けられない……という展開なども見られた。
一方で2試合目のV3 Esports戦では「スカーナー」をピック。序盤でキルを獲得して自陣側のキャンプを荒らしに来たV3 Esportsに対し、一旦引いて味方の合流を待ってから再突入。相手のアグレッシブなプレイをうまくいなすシーンも見られたほか、結果としてはV3 Esportsの勝利となったものの、相手の人数が少ないと見るや、スカーナー持ち前の足の速さとULTのキャッチ力を生かして戦闘を仕掛けていくというプレイも目立った。
ちなみに、現地会場にはガラガラとトランクケースを引いていたり、韓国語でやりとりをしている観戦者の姿が散見された。話を聞いてみると彼、彼女たちはBlank選手の熱烈なファンで、Blank選手のLJLデビュー戦のために来日し、早い人だと翌日朝には韓国に帰るという強行軍で観戦に来ていたのだという。もちろんBlank選手は日本での知名度も抜群のため、ファンミーティングでは日・韓のファンが詰めかけて尋常ではない大行列ができあがっており、その人気ぶりを感じさせた。
さて、こうして大波乱のうちにSummer Split開幕戦は幕を閉じた。開幕戦を見る限りでは各チームに「Worlds」に向けたプレイイン進出の可能性があるようにも思われ、特にかつてのLJL CS(LJL2部リーグ。現在は廃止)から成長を続けてきたCrest Gaming ActとV3 Esportsがその力を見せつけてくれたのは本当に素晴らしかった。
一方"絶対王者"DetonatioN Forcus Meがこのまま黙っているわけはないし、PoohManDuヘッドコーチとBlank選手の元SKTコンビがSengoku Gamingをさらなる高みに導くことは想像に難くない。これからどのような戦いが繰り広げられ、どのチームが世界大会への切符を勝ち取るのか、今から本当に楽しみだ。