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「LoL」で世界を獲った韓国選手と世界を獲らせた韓国コーチが日本プロリーグに参戦!

6月4日 開催

 プロゲーミングチームSengoku Gamingは6月4日、PC用MOBA「リーグ・オブ・レジェンド(以下、LoL)」部門の新ロースター発表会を開催した。

 Sengoku Gamingが出場する「LoL」の日本プロリーグ「League of Legends Japan League(以下、LJL)」は例年春と夏の2期制で行なわれており、現在は6月15日に開幕となる夏季シーズンに向けたオフシーズンに当たる。

 オフシーズン中には野球やサッカーなどのスポーツと同じように、水面下で選手のチーム移動や新規選手の獲得などが行なわれる。ファンは噂や断片的な情報を元に、ロースターをあれやこれやと推測するのがオフシーズン中のひとつの楽しみでもある。

 そんな折、Sengoku Gamingは夏季シーズンよりBlank選手がチームに加入することを5月27日に発表。Blank選手は世界大会を連覇し、かつて世界最強の名を欲しいままにした韓国SK Tlelecom T1(以下、SKT)に所属していたジャングラーで、2016年より2017年にかけてのSKT躍進の立役者でもある。

 LJLでは各チーム2名までの外国人選手の起用が認められており、地理的にも近く、「LoL」の強豪国である韓国から助っ人として選手が日本チームに移籍してくるという例はこれまでもあったし、世界的にみるとまだまだ未熟なLJLのレベルが彼らの活躍によって引き上げられてきた歴史もある。しかし、世界大会での優勝経験を持つ超有名選手が日本リーグに参加するというのは史上初のことであり、端的に言ってこれは「LoL」界において特大のニュースであったのである。

 さらにSengoku GaimingはBlank選手と同じく、SKTで選手、コーチとして活躍したPoohManDu氏がヘッドコーチとして加入したことも明かしており、まさかまさかのニュース連発で注目を浴びていた。

 そんな中行なわれた発表会ではSengoku Gaming夏季シーズンに向けた新たなロースターが改めて紹介されたほか、Blank選手、PoohManDuヘッドコーチ加入の経緯が語られた。

新たにSengoku Gamingに加入するBlank選手、PoohManDuヘッドコーチ

 なお、Sengoku Gamingの新ロースターは春季シーズンから引き続き出場するTopのReiya選手、MidのTaka選手、ADCのOddugi選手、サポートのRaina選手にジャングラーのBlank選手を加えた5名。また、ヘッドコーチはPoohManDu氏、サブコーチはMaplestreet氏が務め、サブメンバーとして4月に行なわれた合同トライアウト「スカウティンググラウンズ」にて見出されたEngeo選手、DonShu選手が加入する。

左からMaplestreet氏、Reiya選手、Blank選手、Taka選手、Oddugi選手、Raina選手、PoohManDu氏

世界を制した男2名、Sengoku Gamingに加入

 発表会ではまずSengoku Gamingのオーナー、岩元良祐氏が登壇。岩本氏はBlank選手の獲得にあたり、自ら韓国を訪れ、直接交渉に臨んだことを明かした。SKT脱退直後のBlank選手にはやはり世界中からオファーがあったとのことだが、Blank選手曰く「あなたが必要だ!」という熱烈なアピールに心を動かされ、契約に至ったのだという。

Sengoku Gamingのオーナー、岩元良祐氏
岩元氏からは新たにQTnet、サントリーがSengoku Gamingのスポンサーになったことも発表された

 Blank選手は文字通り桁違いの実力を持つジャングラーであり、「日本でも大暴れするのでは?」というのは当然の予測だ。こうしたメディアの直球な質問に対してBlank選手は「その質問に答えるにはまだ早いです。やってみないとわかりません。ただ、やはり優勝以外には意味がないと思うので、優勝を目標に最大限に頑張りたいと思います」とその意気込みを語った。

 ちなみにチームメイトの話によればBlank選手は「とても優しくて、一緒にやりやすい(Reiya選手)」、「一緒にカラオケに行ったら歌がうまかった(Raina選手)」、Taka選手は「2日目くらいでもう友達のような関係になれた。でも試合中は結構厳しく怒られますね(笑)」とのこと。既にチームの一員として馴染んでいることが伺え、Blank選手自身も「チームメイトはみんな優しい。早く日本に慣れるように気を使っていてくれるのがわかる」と返していた。

岩元氏よりユニフォームを受け取るBlank選手

 一方、PoohManDu氏もSKTを始め世界中のチームを率いた経験のある名コーチだ。氏の獲得についても正直「なぜそうなったのか?」というのがLJLファンとしては大いなる謎であったわけだが、氏は先に移籍が決まったBlank選手の紹介によってSengoku Gamingとの交渉が始まったとのこと。Blank選手とは同門であったこともあり交流が深く、「次は知らない選手よりも、知っている選手がいるところでコーチをやりたいと思った」のがヘッドコーチ就任の理由だと明かした。

 LJLについてはやはりリーグ1位を独走し、世界大会の出場経験も積んでいるDetoNation Forcus Me(以下、DFM)に注目しているとのことで、「日本1位だけあってやはり上手い。特にTopのEvi選手は韓国のソロランクでも上位に入る、アグレッシブで実力のある選手」と評した。

余談だがPoohManDu氏は非常に背が高く、岩本氏がユニフォームを渡すのに苦労する一幕も

 一方で、PoohManDu氏は「Sengoku GamingにはBlankもいるので、チームの実力を上げていけると思う」とも語る。Oddugi選手は「(Blank選手の加入で)モチベーションが上がり、優勝を目指していく雰囲気になっている」とコメントしており、Blank選手の実力はもとより、トッププレーヤーに刺激を受けてチーム自体も大きく成長することが予想される。

取材陣からの質問に答える選手たち。やりとりの節々からチームの雰囲気のよさが感じられた

 LJLの他のチームもロースターの発表を控えており、夏季は現日本王者DFMが連覇して一大世界大会「Worlds 2019」に駒を進めるのか、はたまた他のチームが頭角を現わしてDFMを下すのか。現時点ではその行方を予想することしかできないが、少なくともSengoku Gamingが台風の目になることは間違いない。Blank選手、そしてPoohManDu氏を迎えたチームが一体どのような成長を遂げ、どのような戦いを見せてくれるのか、夏季シーズンの楽しみがまたひとつ増えた。