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【GDC 2019】リアルタイムアクションとローグライクが融合した傑作「One Step From Eden」
操作がめっちゃ忙しい……けどそれが面白い!無数のスペルを組み合わせてなんとか切り抜ける快感がここに
2019年3月24日 19:45
GDCでは開発者や業界関係者によるセッションの他にも様々な展示やイベントが行なわれており、部屋数が最も多く、メインのセッション会場となるMoscone Center西館の3Fでは「Indie MEGABOOTH」が展開されていた。
「Indie MEGABOOTH」はPAXやGDCなどのイベントを渡り歩いてインディーゲームの展示を行なうとともに、開発者とプレーヤー、あるいは開発者同士を繋ぐ役割を担った組織だ。GDC 2019においても多数のタイトルが出展され、椅子やソファ、人を駄目にしそうなビーズクッションなどに腰掛けてリラックスしながらゲームを試遊できる環境が完備されていた。
出展タイトルの中でもひときわ目を惹いたのはThomas Moon Kang氏が手がける「One Step From Eden」だ。「ロックマンエグゼ」に強い影響を受けて開発されたという本作は、4×4マスの自陣(敵陣も同じく4×4マス)を駆け巡りつつ、手にしたスペルデッキを駆使して敵とのハイテンポなリアルタイムバトルをくぐり抜けていくというもの。
ゲームは短い1ステージ毎に区切られた"面クリア型"で、クリアする毎に表示された3つのスペルの中から1つを獲得してデッキを強化できる。スペルは時間経過で回復するマナを用いて使用することができ、使う度に一旦デッキから外れ、全てのスペルを使い切るか任意のタイミングでデッキをシャッフルして使ったスペルを手元に戻すことができる。
スペルには「前方に貫通する銃を撃つ」、「4マス先に雷を落とす」、「自陣にタレットを設置する」などなどバリエーションに富んだものが用意されている。中には「攻撃範囲は広いが自分もダメージを食らってしまう」といったハイリスク・ハイリターンなものもあるようで、このスペルデッキをどう組み上げていくか、もっと言うと"毎回何を取得し何を捨てるか"、という小さな選択の繰り返しで状況に応じた戦術を組み上げて行く楽しみがある。このあたりは非常にローグライク的だ。
デモ版でのスペル総数がどれほどかはわからなかったが、自分のプレイや他のプレーヤーのプレイを眺めていた限りでは毎回見たことのないスペルが登場していたので、既に結構な数が用意されているものと思われる。ちなみに、その大量のスペルや説明文とは別に添えられたフレーバーテキストには、筆者が気づいた限りでも「東方」シリーズや「VA-11 Hall-A」などをモチーフにしたものが存在していたほか、敵キャラクターのセリフには「geeettttttt dunked on!!!」というかの名台詞(?)なども確認できた。ゲーム好きなら思わずニヤリとさせられるような仕掛けが随所に盛り込まれているようだ。
また、戦闘は非常にハイテンポで進行していく。敵は敵陣を動き回りながら自陣に弾をばら撒いてきたり、こちらに突っ込んできて一定範囲を薙ぎ払う死神のような姿をしたキャラクターなどもいる。さらにデモ版に登場したボスは自陣のタイルを破壊してこちらの動きを制限した上で、1マスだけ安全地帯を残した範囲攻撃などをしてきたりもするので、一時たりとも気が抜けない。
毎ステージ自陣の状況を見て苛烈な敵の攻撃を避けつつ、今使えるスキルを把握しながら効果範囲に移動して攻撃する必要があるし、スペルの発動に必要なマナの管理も必要だ。アクション要素とリソース管理を同時に行なうという意味で操作はかなり忙しいが、それだけに敵の攻撃を掻い潜って上手く敵を倒せたときにはさながら弾幕シューティングのような気持ちよさがある。さらに1ステージそのものは短いので、メリハリの効いたプレイができるという意味でゲームシステムとしっかりと噛み合っている印象もあった。
率直に言って結構難易度は高めで、ブースでもボスまで辿り着けないプレーヤーが続発していたりしたが、ゲームテンポが良いことと、ローグライク的な要素からくるリプレイ性が極めて高いがゆえに、思わずもう1回、もう1回と何度も挑戦したくなるタイトルだった。グラフィックスもクラシックなドット絵スタイルでありながら、味方・敵キャラクターのアニメーションはよくよく作り込まれているし、音楽もゲームシステムに合わせたハイテンポなもので、曲に合わせてノリノリでプレイができる。
「One Step From Eden」は現在デモ版の配信を「itch.io」にて行なっており、発売は2019年の第四四半期を予定している。また、以前行なわれていたKickStarterでのクラウドファンディングの成功(達成率はなんと460%!)により、PC版に加えてNintendo Switch版の発売も明言されている。製品版ではさらなるスペル、モンスター、プレイアブルキャラクターも追加されるとのことで、発売が非常に楽しみだ。