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「クラロワリーグ 世界一決定戦2018」、PONOS Sportsは準決勝敗退

Rolaporon選手「結果を出して恩返しをしたかった」

12月1日 開催

会場:幕張メッセ 国際展示場ホール6

 Supercellは12月1日、Android/iOS用対戦型カードゲーム「クラッシュ・ロワイヤル(以下、クラロワ)」の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ」において、「クラロワリーグ 世界一決定戦2018(英語正式名称:Clash Royale League World Finals 2018、以下:世界一決定戦)」を幕張メッセ 国際展示場ホール6にて開催した。

 結果は既報の通り、日本代表PONOS Sportsは準決勝でラテンアメリカ代表のVivo Keydを相手に敗退。決勝戦は準決勝シードの中国代表Nova Esportsと日本を破ったVivo Keydの対決となり、Nova Esportsが優勝を飾った。

【クラロワリーグ 世界一決定戦2018】
【会場の模様】
会場ではミニP.E.K.K.Aのフォトスポットや公式グッズのショップも設置されていた
フードトラックでご飯を買って、食べながらモニターで観戦できるスペースも
来場者にはプリンセスのフィギュアやスタンプのボードが配布された
【試合会場】

 世界一決定戦は世界5地域で開催されたプロリーグ「クラロワリーグ」の優勝チームであるIMMORTALS(北米代表)、Team Queso(ヨーロッパ代表)、Vivo Keyd(ラテンアメリカ代表)、Nova Esports(中国代表)、KING-ZONE DragonX(アジア代表)と開催国である日本の代表としてPONOS Sportsが出場。6チームが一堂に会し、世界一のチームを決定するというものだ。

 試合は準決勝まで3セット先取のBO3形式で行なわれ、まず2v2、1vs1の試合をそれぞれ1セット(各2本先取)行ない、ここで決着がつかなければ「KING OF THE HILL(以下、KOH)」として各チーム3名による1vs1の勝ち残り形式で勝敗が争われた。

トーナメント表。Vivo KeydとVivo Keydはシード枠となっている

 「クラロワ」は「エリクサー」というリソースを用いて場にカードを繰り出し、相手の本拠地を破壊するというゲームだ。1試合の時間も短く、ルールそのものはシンプルだが、勝利のためには「どんなカードをいつ、どこに出すか」という、デッキ構築とプレイング、そして戦略性が強く問われる。今大会は世界代表が集うだけあってそのレベルは極めて高く、会場を沸かせるようなプレイが続出した。

 そんな中、日本代表として出場したPONOS Sportsは、大会初戦、第1試合で北米代表のIMMORTALSと激突。2v2を得意とするPONOS Sports(みかん坊や選手、天GOD選手)は、IMMOTALS(ah Craaaap選手、thegod_rf)相手に2連勝。危なげなく1セットを先取する。

 しかし、続く1v1ではIMMOTALS Royal選手が冷静なプレイイングでPONOS Sportsライキジョーンズ選手を下し、勝負はKOHにもつれ込む。KOH初戦ではthegod_rf選手がPONOS Sports フチ選手を下すが、続くライキジョーンズ選手がフチ選手のリベンジを果たして勝利。さらにそのままの勢いでIMMOTALS OHH YEAHHH選手を倒して2人抜きを達成する。

 最後に立ちはだかるのはIMMOTALSの大将、Royal選手。先の1v1で負けてはいるものの、この勢いならば……と思わせたが、Royal選手は背水の陣にありながらもきっちりとライキジョーンズ選手を抑えて勝利。KOHは最後の大一番、大将戦を迎える。

 第1試合からしてセットカウントは1-1のフルカウント、KOHも大将同士の戦いまでもつれ込むという波乱の展開となったが、開催国代表としてここはなんとか勝って欲しいところ。そんな会場の期待を一身に背負い、みかん坊や選手は「エアバルーン」を的確にRoyal選手の右タワーに差し込み、ダメージを出し切ってこれを破壊。その後のRoyal選手の猛攻を丁寧に凌ぎ、勝利を収める。

 この勝利には観客も大歓声を送り、会場は割れんばかりの歓声に包まれた。もちろん、日本というPONOS Sportsのホームということもあるが、みかん坊や選手の大胆なプレイイング、そして勝負強さは本当に素晴らしかった。

みかん坊や選手の「エアバルーン」には配信のコメントも大盛り上がり
勝利を喜びあうPONOS Sports

 続くPONOS Sportsの相手はラテンアメリカ代表のVivo Keyd。準決勝シードとなるVivo keydは今回、諸事情により監督、一部チームメンバーを欠いた3名での出場となっており、試合に参加できるプレーヤー数はギリギリ。プレイ上の負担はもちろん、精神的な影響も懸念材料となっていた。

 ところがそんな逆境もなんのその、Vivo Keydは2v2(みかん坊や選手、天GOD選手vsGabo選手、Kiki選手)のセットを2-1で先取すると、続く1v1でもJavi14選手がPONOS Sports Rolaporon選手を下して2セットを連取。決勝への進出を決めた。

勝負を決めた瞬間、ガッツポーズを見せるJavi14選手

 試合後のインタビューで、Vivo KeydについてPONOS Sportsはやはり自信があった2v2での敗北が大きかったとコメント。相手のデッキは想定できていたものの、「3分という準備時間で対策をしきれなかったのが敗因だった(みかん坊や選手)」という。また、1v1では個人の力量の差を強く感じたというコメントも聞かれた。「クラロワリーグ」の世界大会が日本で開催されたことについては、やはり応援が自分たちに向けられていることが強く感じられ、力になったとしており、ライキジョーンズ選手は「会場の人に『ライキー!』と名前を読んでもらえたことがとても嬉しかった」と語った。それだけに「結果を出して恩返しをしたかった(Rolaporon選手)」という思いも強く、悔しさをにじませていた。

 今年始まったばかりの「クラロワリーグ」初の決勝戦の舞台は日本となった。グローバルで展開している「クラロワ」において、大会会場の候補地は多数あったこととは思うが、Supercellは「日本のファンの熱量やスキルに注目して日本を選んだ」と前日に行なわれた記者会見で語っていた。これは非常に喜ばしく、意味のあることであると同時に、日本のファンが大規模なeスポーツ大会を目の当たりにできる極めて貴重な機会となったのだ。

 「チケットは2時間で売り切れた」との話通り、会場には極めて熱量の高いファンが訪れており、会場が一体となってPONOS Sportsを応援していたのはもちろん、PONOS Sportsの敗退後も熱心に決着の瞬間までを見守っていたのが非常に印象的だった。また、日本のファンのみならず、各国のメディアやファンが自地域のチームの取材や応援のために遥々日本を訪れていたのも、「クラロワ」の注目度の高さ、そしてファンの愛情の深さを感じさせた。

 また、日本語実況、解説を務めた岸大河氏、ドズル氏も今大会のレベルの高さ、それ故の面白さについて熱く語り、今日の一大大会が日本で行なわれたことの意義を強調した。

中国から訪れたであろうNova Esportsの応援団
試合後、インタビューに応じたドズル氏(左)と岸大河氏(右)

 今季の「クラロワリーグ」はNova Esportsの優勝となったが、「クラロワリーグ」は今後も継続していくことだろうし、日本代表として初めて世界戦を経験したPONOS Sportsは今回の経験をバネにさらなる飛躍を遂げてくれることだろう。今回の大会が「クラロワ」、ひいては今後の日本eスポーツにどのような影響を及ぼすのか、注視していきたい。