【特別企画】

「HEAVEN BURNS RED LIVE 2026」レポート 「Perfect Goodbye」のステージ演出がファンを泣かせに来る!

カレンちゃんが駄々をこねるライブ用の限定シナリオも披露!

【HEAVEN BURNS RED LIVE 2026】
3月1日 開催
会場:東京ガーデンシアター

 ビジュアルアーツは、同社の美少女ゲームブランドKeyとライトフライヤースタジオが贈るドラマチックRPG「ヘブンバーンズレッド(ヘブバン)」の音楽ライブ「HEAVEN BURNS RED LIVE 2026」を、東京・江東区有明の「東京ガーデンシアター」にて開催した。

 「ヘブンバーンズレッド」は、2022年2月10日より配信中のスマートフォン/PC用RPGだ。原案・メインシナリオを「AIR」、「CLANNAD」、「リトルバスターズ!」、「Angel Beats!」などのヒット作を手掛けた麻枝准氏が担当し、キャラクターデザイン・メインビジュアルは「ソフィーのアトリエ」などで知られるゆーげん氏を起用する。さらに、麻枝氏は作中楽曲の作詞作曲も行なっている。

 今年の2月でサービス開始から4周年を迎えたばかりの本作は、麻枝氏のメインシナリオのみならず、同氏が手掛ける楽曲の数々も高い人気を誇っている。アーティスト・鈴木このみさんとXAIさんによるツインボーカルのガールズロックバンド「She is Legend(シーイズレジェンド)」は、今やツアーと含むライブ公演を行なうほどファンから盛況だ。

 本稿では、そんな「ヘブンバーンズレッド」の音楽ライブに参加してきたのでライブの公演レポートをお届けしていく。なお、メインストーリー第五章中編のクリアを推奨とするライブ演出など、一部ネタバレ要素を含むため、気になる方は留意していただきたい。

(PHOTOGRAPHY BY Takashi Konuma)

4周年の節目に“物語の記憶”を呼び覚ます! 今年で4回目となるライブ公演!

 本公演は「ヘブバン」4周年の節目ということもあり、一部のステージ演出に作中の名場面を再現するかのような仕掛けが用意されていた。やなぎなぎさんとShe is Legendの作中楽曲、そしてステージセットやライブモニターに上映される映像によって、これまでプレーヤーが体験してきた物語の記憶を呼び覚まし、感情を煽っていく構成だ。

 今年で4回目となるライブ公演の魅力も、今やアーティストのパフォーマンスだけに留まらない。聴衆の心をリアル(現実)からライブの世界にいざなうステージ演出は、年々クオリティが向上している。会場の観客たちがこれまでの「ヘブンバーンズレッド」に想いを馳せ、その変化を追いかけて確かめていく時間になっていたとも言える。

 ライブ開演前からファンの目を引いていたのは、第五章中編に登場する「教室」を思わせるステージセットだ。これは主人公・茅森月歌が率いる「第31A部隊」のメンバー、朝倉可憐の精神世界をイメージしたもので、廊下が見える大きな窓から後方で演奏するバックバンドのメンバーが配置されている。さらに机上にはブラウン管風のテレビモニターが設置。これも単なる小道具ではない。ステージで歌唱するアーティストの映像が、ノイジーかつわずかに遅れてミラーリングされる仕掛けとなっている。

 ライブのオープニングを飾ったのは、やなぎなぎさんの「Bougainvillea」だ。第五章前編を象徴する本楽曲を、レーザー演出とペンライト制御で彩り、会場の空気を一瞬にして“ライブモード”に切り替えた。続く「ワルキューレの叙事詩」では、ミラーボールの反射光がまた異なる印象を与える。ライブの冒頭からやなぎなぎさんの序盤から色で空気を作っていく流れが見えていた。

 「Asian Soul」は作中におけるボスバトルの曲という文脈もあり、ライブ会場の音響によって音にさらなる厚みが出る一曲だ。終盤に向けて音が積み上がっていく手応えは、ライブのボルテージを引き上げる役割を十分こなしている。3曲を終えたところで、やなぎなぎさんのMCが始まり、今年で4回目のヘブバンライブであることに触れながら、セット越しに見えるバックバンドを軽く紹介して会場を和ませた。そこから第四章後編の楽曲「死にゆく季節のきみへ」を披露し、会場の温度を再びライブに寄せ第一幕を閉じていく。

【ヘブンバーンズレッド 麻枝 准 × やなぎなぎ「Bougainvillea」リリックPV【ヘブバン】】
【ヘブンバーンズレッド 麻枝 准 × やなぎなぎ「死にゆく季節のきみへ」リリックPV【ヘブバン】】

「She is Legend」ツインボーカルの掛け合いが会場の熱量をまとめあげる!

 アーティストの入れ替わりタイミングなど、ステージの暗転中はライブモニター上に、ライブのために書き起こされた限定のシナリオパートが挿入される。これは「ヘブンバーンズレッド」作中の会話パートを模したフルボイスの会話劇だ。人類のために戦う「第31A部隊」でもあり、ガールズロックバンド「She is Legend」でもある、少女たちの日常が映し出されていく。

 シナリオでは朝倉のもう一つの人格こと“カレンちゃん”が「曲紹介MCを自分でやりたい」と駄々をこねる内容で、これに茅森が“お手本”を見せる形でライブ演奏の楽曲に繋げるという構図だ。茅森のMCに合わせて「次にどんな曲が来るのか」を期待させ、She is Legendの代表曲となる「Burn My Soul」を気持ちよく決めた。

 続く「Come on baby!」では、ライブモニターにサビの歌詞“カモンベイベー!”が表示され、観客のコールを引き出し、会場にある種の一体感を生みだす。楽曲のラストを鈴木このみさんとXAIさんの伸びやかな歌声が飾ったのも印象的だった。また、「闇夜のKomachi Vampire」と、ツインボーカルの掛け合いが映える曲が続き、会場のテンションをさらにまとめ上げていく。

【She is Legend「Come on baby!」/ヘブンバーンズレッド ライブシーン【ヘブバン】】

 冒頭から畳み掛けるようなセトリのやなぎなぎさんに劣らず、ライブ映えするShe is Legendのナンバーを続けて披露したためか、MCでは「熱い(笑)」、「脱ぎたい(笑)」と、2人の率直な気持ちが溢れる瞬間も。ステージの教室セットから“学生時代を思い出す”という話題も挟まれ、2人の意外に不真面目なエピソードが披露されると、会場からは笑いが巻き起こった。

 その後披露された「美しい花咲く丘で」は、気持ちを吐露するかのような、ラップ調の掛け合いパートが続くという、比較的クセのある楽曲だ。She is Legendの数あるナンバーの中でもとりわけ挑戦的で、ライブのセトリとして見ると些か変化球と言わざるを得ないだろう。そんな楽曲だが、サビに入ったときの跳ね方が非常にわかりやすくもある。直後挿入されたシナリオパートでは、この曲に触れた“自虐ネタ”も登場し、会場の笑いを誘った。再び茅森のお手本MCから、「春眠旅団」へと繋いでいった。

劇中の名場面がステージセットの仕掛けと連動。鈴木このみさんソロ楽曲でファンに魅せる!

 She is Legendと入れ替わる形で再登場したやなぎなぎさんが「忘れられた線路」、「Welcome to the Front Line!」を続けて披露した。中でも後者の楽曲は転調が多く、歌詞をメロディに乗せ続ける難しさが容易に想像できる楽曲だ。しかし、やなぎなぎさんは破綻することなく見事に歌い上げた。そこから「太陽航路」へと続き、シナリオパートが挿入されていく。

 やなぎなぎさんの楽曲に関連したネタや、麻枝氏が手がけたアニメ「Angel Beats!」主題歌のオリコン絡みのネタなど、麻枝准らしいメタ発言で自己言及的な笑いが会場を包む。セトリのラインナップからライブの空気をメインストーリーの重い場面だけに寄せきらず、時折り現実に引き戻す緩急の付け方が、実に“ヘブバン的”だと言える。そこから「goodnight seven seas」、「オールトの雲」が披露された。

【ヘブンバーンズレッド 麻枝 准 × やなぎなぎ「オールトの雲」リリックPV【ヘブバン】】

 挿入されるシナリオパートも終盤に差し掛かる。これまでの茅森とカレンちゃんの掛け合いも終わりを迎え、第五章中編を主軸としたライブ公演であったことを改めて思い出させる。鈴木このみさんによるソロ楽曲「Perfect Goodbye」では、歌唱に合わせてライブモニターに第五章中編の映像が流れた。朝倉の別人格である殺人鬼・カレンちゃんとの別れを描く場面に合わせて、サビでは教室セットも左右に開いて消えていくという、粋な演出が聴衆の心を揺さぶった。

 ステージセットがオミットされたことで、表に登場したバックバンドたちの紹介MCを挟みつつ、空気を切り替えて「Dance! Dance! Dance!」を歌唱する。青一色のレーザー演出、ステージの天井から放たれる火花、客席のクラップやコール、さらに背後のバックバンドたちも視界に入る演奏となって“全部入りな演出”がライブ終盤の流れを形づくっていく。

 「Miss Moon Light」は本公演が初披露だ。怪しげな雰囲気の曲調に加えて茅森と朝倉のボーカルメンバー以外のキャラクターたちが、曲中に台詞を掛け合う。続く「Thank you for playing~あなたに出会えてよかった~」は、猫の鳴き声がSEとして入り混じるコミカルさと、楽曲が持つ“カッコよさ”が同居していたように思う。鈴木このみさんとXAIさんの「猫の手」パフォーマンスも、「ヘブンバーンズレッド」のライブにおいてはお馴染みだ。

 MCでは、鈴木このみさんがソロ楽曲「Perfect Goodbye」について、歌えるようになるまで半年かかったこと、いまでも緊張する曲であること、ツアー経験を経て歌えるようになったことなど、曲への想いと裏話を明かした。

 そうした前置きのあとに披露されたのは、She is Legendを代表する楽曲の1つ、「Goodbye Innocence」。ライブにおいては「Burn My Soul」と合わせて欠かせない楽曲だ。ラス前で鈴木このみさんの歌唱が伸び続けるパフォーマンスがホールに響き渡り、人気アーティストに相応しい歌唱力で聴衆を魅了した。本編の締めは、やなぎなぎさんが第五章後編の挿入歌「Ghost in the Snow」初披露。フィナーレに選曲されたことが、第五章中編から第五章後編に続くという、物語の訴求になっているようであった。

【She is Legend「Goodbye Innocence」/ヘブンバーンズレッド ライブシーン【ヘブバン】】

 アンコールでは、She is Legendが「Sound of Waves」を披露した。和やかなMCの中で、やなぎなぎさんステージを呼び込むと「さよならアーリーサマー」を3人のコラボ歌唱で歌い上げる。各パートをかわるがわる歌い分ける形式は、アンコールの名物としてきちんと回収されていたように感じる。トリを飾ったのは「ありふれたBattle Song~いつも戦闘は面倒だ~」。ライブモニターにはこれまでのストーリーを振り返る特別なダイジェスト映像が投影されていた。

 本ライブでは、曲そのものの強度に頼り切るのではなく、会場にあるステージセットの配置、映像、MCなどを通して聴衆にこれまでの「ヘブンバーンズレッド」を訴えかけるような構成だったのが印象に残る。また、やなぎなぎさんの繊細な表現と、She is Legendが持つ爆発的な推進力は、いずれも方向性が違うものだ。それでも互いが物語の文脈に乗ることで、「ヘブンバーンズレッド」の音楽ライブを形作っていることは言うまでも無いだろう。3人のアーティストが共演し、麻枝氏の楽曲を披露するライブコンサートも今年で4回目。ゲームの魅力を語る上では欠かすことができなくなった、「ヘブンバーンズレッド」の次なる音楽ライブにも期待が高まる。