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DFMが悲願達成!「LJL 2018 Summer Split FINAL」、DFMが優勝をおさめ日本一に
2018年9月16日 22:14
ライアットゲームズは9月15日、PC用MOBA「League of Legends」の国内プロリーグ年内最終戦「LJL(League of Legends Japan League) 2018 Summer Split FINAL」を中野のRed Bull Gaming Sphere Tokyoにて開催した。
LJLでは全6チームによるリーグ戦が行なわれ、その結果に応じて1位は決勝進出、2位と3位はプレイオフにて決勝進出チームを決定。1位とプレイオフで勝ち上がったチームとの一騎打ちが行なわれ、その勝利チームが「Mid-Season Invitational」や「World Championship」などの世界大会に駒を進めることになる。
今季、決勝戦で激突したのはリーグ戦を9勝1敗という圧倒的なまでの戦績で勝ち抜いた「DetonatioN FocusMe(DFM)」と、通算でシーズン4連覇を成し遂げた「PENTAGRAM(旧Rampage。以下、PGM)」をプレイオフで下して決勝へと勝ち進んだ「Unsold Stuff Gaming(USG)」。
DFMはリーグ戦において圧倒的な強さを誇り、常に優れたスコアで決勝に進出する最古参の強豪チームでありながら、決勝の舞台では同じく常勝集団であるPGMを相手に勝ちきれず涙を呑むということが続いていた。
一方USGはLJLに参加以来、初めてファイナルの舞台に登った。プレイオフの相手はLJL連覇中の王者PGMであっただけに、またもPGMが勝ち抜き、決勝はお馴染みのDMF対PGMというカードになるのではないか……そんな声も聞こえる中、USGはなんと3-0のストレートでPGMに勝利した。
こうして破竹の勢いで決勝へと臨むUSGと、雪辱に燃えるDFM。LJL史上初となる決勝カードの会場には両チームのファンや関係者が押し寄せ、声援、歓声、そして怒号が飛び交う熱気に溢れた舞台となった。
これぞ日本最高峰!両チームのマクロ・ミクロがぶつかり合う決勝戦
互いのチームのファンによる息の揃った「DFM、ファイティーン!」、「USG、ファイティーン!」というエール交換から始まったFINAL初戦。散発的な小競り合いが続くが、はじめにキルが発生したのは10分過ぎ。
TOPレーンのDFM Evi選手(カミール)に対し、サイドブッシュに潜んでガンクを試みるUSG Tussle選手(ザック)とUSG apaMEN選手(アーゴット)。しかしその動きを察知した瞬間、TOPサイドに寄っていたDFM Steal選手(ノクターン)がULTで戦闘に参加し、MIDのCeros選手(ジグス)もTOPに駆けつけながらULTを発動。
しかしUSG Gariaru選手(ガリオ)もノクターンのULTの暗転効果が発動する前にTPの詠唱を開始しており、TOPはあっという間に3vs3の乱戦に。結果はDFM Steal選手にフォーカスを合わせて落としきったUSGがファーストブラッドを獲得し、USG apaMEN選手のアーゴットを倒したEvi選手が1キルを獲得。この場は1:1のキル交換となった。
この戦いはいわば「ガンクのカウンターガンクのカウンター」といった様相を呈しており、各選手の判断の速さが際立つ。こうして最初の集団戦からして「相手がこうしてくるからこうして、そうするとこうなるだろうから……」といった高度な頭脳戦が具現化したような展開となっており、最高にアツい。さすがは日本プロリーグ最高峰の試合というところで、この展開には会場からも歓声が乱れ飛んでいた。
さらにゲームは息もつかせぬ展開が続く。13分過ぎには互いのジャングラーによるリフトヘラルドを巡る戦いが勃発し、当然両チームは寄りを見せる。ここでは先に川を下っていたDFM Evi選手、そしてULTで現われたDFM viviD選手(タム・ケンチ)、DFM Ceros選手がUSG Gariaru選手を撃破。Tussle選手のZacに追撃をかけようとするDFM Evi選手だが、やや前のめりになり過ぎたかタワーダイブ気味の立ち位置となり、USGの反撃を受けてHPは残り数ミリ。再び1:1での交換か……と思いきやviviD選手のタム・ケンチが「丸呑み」でDFM Evi選手を匿い、壁超えフラッシュで無事救出。恐ろしいまでのチームプレイでDFMは被害ナシで1キルを獲得する。
ところで、DFM Evi選手の得意とするカミールは「フックショット」で相手に急接近し、さらにULTの「ヘクステック・アルティメイタム」で相手を囲い込むことができるので、1度育つと逃げようにも逃げられない、というチャンピオンだ。
18分過ぎにはDMF Evi選手の上述のコンボを基点に、ミッドレーンでUSG Gariaru選手がもはや理不尽といってもいい奇襲を受け、そこに合わせたノクターンとジグスのULTによりあえなく撃沈。流れはDFMに傾いたかと思いきや、USGはなんと4:5の状況でここから反転する。
USG Gango選手(トリスターナ)の「ロケットジャンプ」による壁超え+フラッシュによる完璧な位置調整とダメージ計算によってDFM Evi選手を落とすことに成功した上、USG Tussle選手のザックが再び突っ込んでいき、復活したUSG Gariaru選手の合流、そして集団戦の乱戦のさなかフックを当て続けるUSG Enty選手(スレッシュ)の活躍によりUSGは集団戦で勝利を収める。
このように高度な……というより正直理解が追いつかないレベルの展開が次々に繰り広げられ、もはや書ききれないほどのせめぎ合いの末、DFM Evi選手のカミールが八面六臂の活躍を見せて最後の集団戦はDFMが勝利。このまま1セットを獲得した。
続く2セット目では勢いに乗ったDFMの"エビール"(Evi選手がプレイするカミールの意)、そして"セイマー(Ceros選手がプレイするハイマーディンガーの意)"、がレーンを支配してDFMが2セット目を連取。次のセットでこのまま勝負が決まってしまうのでは……とも思えたが、USGは続く3セット目で「カミール」をBAN。この日大活躍のDFM Evi選手を抑え込む選択を取った。
これが功を奏したか、序盤のDFMによるTOPガンク以外ではなかなかキルが発生しないジリジリとした展開のなか、後半戦のバロンを巡る戦いでUSGが2連勝。特に2回目では先にバロンを触っていたDFMに対するUSG Tussle選手のスティールが決まり、その直後に突入した集団戦でもUSG Gango選手が冴えた動きで火力を出し続け、USGは勝利をおさめる。
そして迎えた第4セット。この試合ではUSG Gariaru選手(エイトロックス)がDFM Ceros選手(アカリ)をソロキルしたり、寄ってきたDFM Steal選手(グラガス)をも倒したりとミッドキャリーの風格を見せる。DFM Ceros選手を潰し、ミッドレーンを基点にゲームを進めていけるかに思えた。
しかし16分過ぎに発生した「リフトヘラルド」を巡る集団戦では、DFM Steal選手のULTによるイニシエートから、DFM Ceros選手のアカリが絶妙な位置取りからキルを次々と回収。DFM Yutapon選手(ヴァルス)もここでキルを獲得したことによりビルドを進め、指定方向に矢を放つ「乾坤一擲」1発でUSG Gango選手(カリスタ)のHPを7割近く削り取るほどに成長した。
こうなると集団戦をしようにも、その前にDFM Yutapon選手のスキルでHPを削られ、いざぶつかるとDFM Ceros選手がバックラインに突っ込んでくるという、USGにとってかなり厳しい展開となる。このプレッシャーを武器にDFMは次々とオブジェクティブを獲得していき、バロンを巡る戦いでもエース(敵チームの全滅)を獲得。その勢いのままネクサスを破壊して、3-1で優勝を勝ち取った。
自他ともに認める強豪でありながら、これまでここ1番で優勝を逃してきたDFM。その心中はいかなるものだったのだろうか。試合後のヒーローインタビューにおいて、選手たちは口々に試合前の不安、そして今勝ち取ったばかりの勝利の喜びを語り、なかでもCeros選手は涙混じりにこれまでの結果からviviD選手が進退を考え始めていたことに言及しつつ、「本当に勝ててよかった」とコメントした。
普段はクールなイメージのあるCeros選手の涙、そしてその裏にあるチームメイトへの想い、渇望してきた勝利への想いには心揺さぶられるものがあり、ここに至るまでのドラマを思い返すと筆者も思わず涙腺が緩んだ。ふと周りを見わたすと号泣しているファンもおり、DFMがファンから本当に愛されていることがよくわかる。
その後行なわれたファンミーティングでもDFM、USGファンの列は途切れることはなく、次々に祝福と健闘を称える言葉がかけられた。中には着用したユニフォームから見るに、相手チームへも握手を求めにいったファンもいたようだ。LJLのプロシーンがこれだけ多くの人の心を動かし、選手やチームにファンが付いていることは本当に喜ばしいことだと思う。
さて、今回で晴れて優勝を飾ったDFMは、今後世界大会に日本代表として出場することになる。「自分たちの『LoL』をする」とその抱負を語ったDFMだが、世界ではどのような戦いを見せてくれるだろうか。本当に楽しみだ。