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「コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦」グランドファイナル、出場チームインタビュー

激戦を終えた2チームが見据える先は?

9月22日開催

会場:幕張メッセ

 9月22日に東京ゲームショウ2018の「e-Sports X Blue Stage」で開催された、「コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦」のグランドファイナル。リーグ戦を首位で終えたDetonatioN Gamingと2位だったLibalent Vertexで争われたこの1戦は、Libalent Vertexの勝利に終わった。

 本稿では、試合後に行なわれたそれぞれのチームへのインタビューをお届けする。

Libalent Vertex――日本一を決めた今、世界を目指して

怒濤の追い上げからグランドファイナル出場、そして見事優勝まで上り詰めたLibalent Vertex。左からInaba_UR選手、sitimentyooo選手、Nicochaaaaaaaann選手、E3NCOUNT選手

――グランドファイナルを終えての感想をお聞かせください。

Inaba_UR選手:決勝を東京ゲームショウ2018という場でプレイすることができてとても楽しかったですし、優勝できたので、とても嬉しかったです。

sitimentyooo選手:自分はプロゲーマーになったときから世界を目標にしているので、日本一になることでひとつめの関門は突破できたのかなと思います。次は世界へ向けて頑張りたいと思います。

Nicochaaaaaaaann選手:プロ対抗戦を半年間頑張ってきて、グランドファイナルに勝って優勝し、日本一になることができました。これで僕の目標のひとつがクリアできてうれしいです。

E3NCOUNT選手:半年間を通じて自分たちがやってきたことは間違っていなかったと思える最後だったと思います。

――3-0という大差で勝てたことの理由を教えてください。

sitimentyooo選手:はじめのHardpoint戦で勝てたことが大きかったですね。自分のチームは流れに乗ると強いと自分たちでもわかっているので、1マップ目、Hardpoint戦がカギになっていたと思います。

Nicochaaaaaaaann選手:Inaba_UR選手が大量キルを決めた時点で僕たちが勝てる流れが生まれたと思います。うちは流れに乗れば誰も止められないようなチームなので、Hardpoint戦で勝てたことが大きかったですね。

Inaba_UR選手:大量キルを決められたのは、たまたまとも言えますが……。僕個人に関して言うならこれで「やっちまえ!」と流れに乗った感じはありました。そのままの勢いで押し切って勝てたのは大きかったと思います。

――今まで勝てなかったチームを破って優勝するまで成長した、そのカギはどこにあると思いますか?

sitimentyooo選手:試合が終わった次の日にその動画をみんなで見て反省し、何が悪かったかイチから考えることを毎日コツコツと続けてきました。それが結果に繋がったのかと思います。

――休みがほとんどないくらい練習をされたそうですが。

Nicochaaaaaaaann選手:基本は毎日練習が設定されていて、誰かが参加できないときだけ休みになります。時間としては21時にスタートして0時から2時くらいまで。第3回大会の前後、いちばん長かった頃は深夜2時とか3時まで練習していました。

――対戦が決まってから1カ月の時間がありましたが、その間に対DetonatioN Gamingとして特別な作戦を立てられたのでしょうか?

Nicochaaaaaaaann選手:対DetonatioN Gaming用として考えた動きがうまく刺さった感じはあります。

sitimentyooo選手:練習していくなかで、DetonatioN Gamingの防衛の形、攻めの形をずいぶん把握できるようになりました。それらに対応できるような布陣を敷き、グレネードなどを投げる位置なども決めていたところ、うまく実行できました。

Nicochaaaaaaaann選手:チーム特有のクセというものがどうしてもあって、DetonatioN Gamingさんも今日まで自分たちの戦術をあまりバラさないように動いてきたと思うのですが、そのクセを見つけることができました。そのクセというのは、たとえばある動きが上手くいかずに防がれてしまったときに、次にどう展開を変えていくかといった固有のパターンみたいなものです。若干、心理戦も混じっていますね。こっちの読みが上手くハマったところはあると思います。

――やはりチームとしての連携を重点的に練習されたのでしょうか?

Nicochaaaaaaaann選手:自分たちは個人技に関しては能力がとても高いチームだと思います。あとは連携がよくなればどこにも負けないと思っていました。結果としてそれを証明出来たのはよかったと思います。

――今までもの試合はもちろん、今日の試合でもチーム内の雰囲気がとてもよいように思えました。

sitimentyooo選手:実際にとてもよかったですね。大事なキルが決まれば「ナイス!」と声がけしあったり、1ルールが終わるごとにみんなで拳を合わせたり、そういうコミュニケーションを重視していました。それが奏功して流れにのれたかと思います。チームメンバーのなかには住んでいる場所が遠い人もいるのでプライベートまでいっしょに過ごすことはなかなかできないのですが、前日にホテルに泊まったことは、話し合う時間も作れてよい機会だったと思います。

E3NCOUNT選手:前日にホテルに泊まれたことは体調管理の面でもよかったと思います。DetonatioN Gamingさんと話したときにはそれほど調子がよくなさそうに見えたのですが、その点、うちは万全な状態で戦いに臨めました。

――下世話な質問で申し訳ないのですが、賞金の使い道を教えてください。

Inaba_UR選手:ゲーマーなので、ゲームに費やそうかなと思っています。

sitimentyooo選手:僕も趣味がゲームなので、お金を費やすところはゲームやその環境と思っています。

Nicochaaaaaaaann選手:基本は自分がラクをして生きられるように、身の回りのものを強化していきたいなと思っています(笑)。

E3NCOUNT選手:自分はゲームをしている環境が台所なので、それをどうにかしたいと思っています。

――「コール オブ デューティ ブラック・オプス4(以下、BO4)」へ向けての対策や意気込みなどをお聞かせください。

Nicochaaaaaaaann選手:「コール オブ デューティ ワールドウォーII」で日本一になったので、「BO4」でも日本一になることは前提として、世界でどれくらい上を目指せるかに注力していきたいと思っています。

sitimentyooo選手:「BO4」になっての大きな変更点がやはり5人vs5人になることだと思います。チームの形も変わっていくでしょうが、変わっても負ける気はしないですね。

Inaba_UR選手:「BO4」は5人vs5人になったうえにスペシャリストの数も増えているので、戦略の幅が大きく広がりそうです。詳細なルールはわかっていませんが、そうした変更点に対応できればと思っています。

E3NCOUNT選手:ゲームのスピード感も含めて違う部分がたくさんあると思うので、そうした違いに上手く対応していきたいと思います。

――プロ対抗戦の半年間に得られたものを教えてください。

Nicochaaaaaaaann選手:メンバー同士の友情というか連携が大事だと改めて思いました。そうした気づきがなければここまで勝てなかったと思いますし、実力を磨くだけでなく、コミュニケーションの大事さを忘れないでやっていきたいと思います。

E3NCOUNT選手:「継続は力なり」という言葉がありますが、それは本当なんだと思いました。

sitimentyooo選手:本番で普段の練習と動きが違ってしまうことがあるとわかったので、そうならないための練習を心がけられるようになったと思います。

Inaba_UR選手:オフラインでの戦いはネット上と違ってとても楽しいですし、つながりも深まりました。その繋がりを大事にしつつ成長できたのではないかと思います。

Libalent Vertexの優勝を支えた立役者

 筆者が半年間のプロ対抗戦を見て来て痛感したのは、試合中の応援で見せるスタッフの情熱だった。選手たちを鼓舞し、勝利にはともに喜ぶその姿は、選手たちのモチベーションに大きく影響を与えたことは想像に難くない。

 実際のところ、その存在はとても大きなようで、第5回大会の取材案内には「チームマネージャーがおそすすめする注目選手」として、そのチームマネージャーたち自身の名前が挙げられていたくらいだ。

EVA MK 7

チームマネージャー。
社会人経験あり。質問等にユーモアを交えながら的確に答えることが可能。

WENGER 9

チームマネージャー。
WENGER 9は吉本興業所属ゲーマーのひとり。
もともとお笑い芸人でコンビとして活動しており、人前での会話も慣れており、リーグのPRに貢献できる。

 これが彼らの推薦理由だという。優勝後のインタビューの際に短時間ではあるがお2人からもお話をうかがうことができたので、ぜひ紹介したい。

Libalent Vertexの活躍を支えた2人のチームマネージャー。左がWENGER 9氏、右がEVA MK 7氏。

――公式の資料に「おすすめする注目選手」としてお2人の名前が挙がっていました。マネージャーの名前が挙がっていたのは、Libalent Vertexさんだけです。

EVA MK 7氏:え? 僕ですか? 初耳でした。

WENGER 9氏:どなたが書かれたんでしょうか?

EVA MK 7氏:不意打ちすぎて驚いてます(笑)。WENGER 9がデータアナリスト、僕がマネージャーということで2人で半年間、チームのサポートをしてきました。WENGER 9はずっと練習につきっきりで動画を撮影したりとチームからも高く信頼されています。僕は彼らの対外的な活動を支援してきました。

――各大会における試合はもちろん、今日のグランドファイナルでの力の入った応援が見事でした。

EVA MK 7氏:僕らがLibalent Vertexのいちばんのファンですからね。

WENGER 9氏:いちばん近くで見ている僕らにしかわからない苦労がありますし、勝ったときの喜びをいちばん理解できるとは思っています。「選手以上に喜んでいて恥ずかしい」と言われたこともあるんですけどね(笑)。

EVA MK 7氏:プロ対抗戦に“声部門”があれば、我々が確実にランクイン、優勝もあるでしょう。

WENGER 9氏:これで2冠ですね。

EVA MK 7氏:2人いるので3冠王もあるかな、と思います。

 息の合ったお2人の掛け合いを聞くと、データアナリストやマネージャーとしての役割以上に、ムードメーカーとしてチームの運営に大きく寄与していることが感じられた。お2人の存在は、Libalent Vertexの優勝にかなり大きく貢献していると言って間違いないのだろう。プロ対抗戦の第5回大会や、今回のグランドファイナルなど、観客を前にしての大規模な試合ほど、彼らの影響力は大きくなるに違いない。

DetonatioN Gaming――悔しさを次に活かし、常勝無敗を目指す

リーグ戦では無類の強さを誇りつつ、惜しくもグランドファイナルで優勝を逃してしまったDetonatioN Gaming。左からxAxSy選手、GaIiard選手、AIiceWonderIand選手、GenGar_AX選手

――グランドファイナルを終えた今の感想をお願いします。

xAxSy選手:本当に悔しいですね。“悔しい”の一言しかないです。それだけです。

GaIiard選手:自分たちの反省点を見つけることができて、次に活かしていきたいと思いました。

AIiceWonderIand選手:メンバー同士でも話し合っていたんですけど、悔しいとしか表現できないくらい悔しくて。「もう1回やらせて欲しい」という気持ちもあるのですが、そういうわけにもいかないですよね(苦笑)。とりあえず今回の準優勝、つまり決勝戦で負けたことについては、あのステージに立てたこと自体はいい経験でしたが、その場面で負けてしまったことをしっかりメンバー同士で反省して、次回は絶対勝てるように重い経験として活かしていきたいと思います。

GenGar_AX選手:悔しいの一言です。プロ対抗戦では第5回までポイントはずっと首位で走り続けてきて、その分、ある程度の自信もついた状態でグランドファイナルへ臨んだのにで負けてしまって。本当に悔しいです。

――今回の試合で焦点となったポイントを教えてください。

AIiceWonderIand選手:今回は対戦相手が1カ月前から決まっていたこともあって、その相手を意識した練習をして来ました。でも戦ってみた結果、その動きがあまり上手く噛み合わず負けてしまったので、自分たちの理想の形を相手に押しつけられるようにこれからは練習していこうと思いました。

――次の大会に出場したときにトップを取るためには何が必要だと思いますか?

xAxSy選手:油断しないことですかね。油断があったり、緊張していつもの動きができないといったことが僕たちにはあります。でも直そうと思って直せるものではないんですよね。これは経験していかないといけないので、そういう意味ではこの敗北はぜったいに次に活かせるので、悔しいですけど乗り越えていきたいと思います。

――「LONDON DOCKS」でのHardpoint戦では立ち上がりの動きが不安定に思えました。そういった際のチーム内ではどういったコミュニケーションを取られていたのか教えてください。

AIiceWonderIand選手:立ち上がりが不安定だった理由のひとつに、相手のことを意識しすぎたことがあります。相手の動きに対応しようとしたことが普段の自分たちのHardpointにおける戦い方を崩してしまったところがあります。この経験を活かして自分たちのHardpoint戦における戦い方をしっかり作り上げて行きたいと思います。

――Search & Destroy戦を終えた時点でこれまで練習してきた対策が通じないという判断もあったかと思います。そこから作戦変更のようなことは考えられたのでしょうか?

AIiceWonderIand選手:事前に決めていた作戦が勢いを重視した大胆なものだったので、リーダーの僕としては流れを再び自分たちへ持ってくることを考えたのですが、それも止められてしまいました。勢いに任せる作戦を選んでしまったのが間違いだったのかもしれません。

――いつもは防御を重視した作戦を採っていたということでしょうか?

AIiceWonderIand選手:いつもは自分たちが普段練習してきたことを実行して流れを作っていくのですが、今回は慢心もあったのかと思いました。相手への対策をしっかり取った以上、それが決まるとの思い込みが強すぎました。

――半年間のリーグを振り返っての総括と、次へ抱負や期待をお聞かせください。

AIiceWonderIand選手:半年間の戦いのなかでRush Gamingに2回負けているのですが、敗北は気持ちのよいものではなくて、「負けたらどうしよう」、「負けたくない」という感覚はあったのですが、これからはリーグだろうがトーナメントだろうが1回も負けないように戦いたいと思いました。

xAxSy選手:次回作は5人vs5人に決まったので、今までの戦い方が通用しません。より穴のない戦い方になると思います。eスポーツで5人対5人の戦いをすることが楽しみですね。

GaIiard選手:5人vs5人になったことでこれまで以上に連携、戦術ともに練っていかなければならないので、今までの経験を活かして頑張っていきたいと思います。

GenGar_AX選手:5人vs5人になることで新鮮味が生まれると思います。今までの「コール オブ デューティ」における基本の動きをまずは見直して、イチから戦術や動きを5人で考えて行く必要があると思います。それが楽しみです。

――次回は新しい元号での新たなタイトルでの戦いとなります。そこへ向けての意気込みを教えてください。

xAxSy選手:イヤやな、負けて平成が終わったぜ。

AIiceWonderIand選手:まだ終わってない。ワンチャンある。

xAxSy選手:まだ行けるか。

AIiceWonderIand選手:5人vs5人になって新しいメンバーが入ることになると思うのですが、新しいメンバーと今のメンバーで自分の特長を伝え合ってお互いのやりたいこと、やるべきことを話し合いたいですね。新しい元号からは、勝ちに行きます。平成とは相性が悪かったかな、と。

――本日はありがとうございました。