ニュース
東京ゲームショウに新たな名物企画「PUBG企業対抗戦 in TGS」が爆誕!
ライバルメーカー同士が壮絶な撃ち合い。事前にドン勝宣言したサードウェーブは勝てたのか!?
2018年9月23日 22:50
また東京ゲームショウに新たな名物企画が誕生した。
東京ゲームショウで2015年からスタートし、業界関係者とPCゲームファンの間で愛されてきた「World of Tanks」PCメーカー対抗戦。ゲーミングPCを扱うPCメーカーが7人1組のチームを編成し、時にはパートナー企業から助っ人を募り、どさくさに紛れてアイドルやプロゲーマーも交えて、1日かけてトーナメントを繰り広げるというものだ。最初は「WoT」推奨PCを販売するPCメーカー同士の交流イベント的な雰囲気だったが、年を経るごとに“ガチ”になり、各メーカーともしっかり事前にトレーニングを積み、その見事な仕上がりぶり、チームでの連携ぶりが話題となった。
昨年行なわれた「第三次PCメーカー対抗戦」では、ディフェンディングチャンピオンであるGALLERIA(サードウェーブ)が、G-GEAR(ツクモ)の挑戦を受け、GALLERIAは、スポンサードするプロチームCaren Tigerから助っ人を3人も呼んでいたにもかかわらず、G-GEARのチームとしての仕上がりがGALLERIAを上回り、まさかの敗退を喫した。チームGALLERIAには尾崎健介社長から「油断ですよね。たるんでるんですよ」という激しい叱責もあり、リベンジに燃える1年になったようだ。
ところが、である。既報のように今年はウォーゲーミングジャパンで大幅な体制変更があり、東京ゲームショウへの出展が見送られ、第4次PCメーカー対抗戦も開催されないことになった。水面下でPCメーカーブースでの開催も模索されたというが、ウォーゲーミングジャパン側の協力も得られず、企画は頓挫。チームGALLERIAはまさかのリベンジの機会を与えられないという絶体絶命の危機を迎えた。
そうした中、新たに手を挙げたのがPUBG Corpだ。今回企画された「第一回 PUBG企業対抗戦 in TGS」を手がけたのは、元ウォーゲーミングジャパンで、PCメーカー対抗戦を含むオフラインイベント等を担当していた三輪木大氏。過去3年間のPCメーカー対抗戦のノウハウをそのまま活かす形で、今度は「PUBG」に戦場を移す形で実施されることになった。
「第一回 PUBG企業対抗戦 in TGS」には、「第三次PCメーカー対抗戦」に参戦した6社のPCメーカーのうちGALLERIAや、G-GEARを含む5社が参戦。さながら第四回PCメーカー対抗戦の様相を呈してきた。サードウェーブは、いち早くプレスリリースで参戦を表明。
リリースでは「昨年、別タイトルの大会にて優勝宣言をしたにも関わらず、惜しくも敗退した当社。今年は出場選手を一新し、全く負ける気がしません。出場選手の一人はこう語ります。『社内のesports/コミュニティに携わる精鋭とRascal Jesterのブレーンにサポートして頂き挑みます。ドン勝頂きます!GLHF』」とコメント。誰も頼んでいないのに自ら優勝を宣言し、勝手にハードルを上げていくスタイルは、もはやお家芸になりつつある。
強気の理由は、元々GALLERIAには、現/元プロゲーマーが数多く在籍しているほか、傘下には「PUBG」Grade1に所属するRascal Jesterがいることだ。今回は助っ人枠が1名あり、プロゲーマーの参戦が認められている。社内の「PUBG」ユーザーとRascal Jesterの参戦で必勝を期す計画だ。
参戦したメーカーは、上記PCメーカーに加え、スクウェア・エニックスやバンダイナムコオンライン、コーエーテクモゲームスといったゲームメーカーや、NVIDIAやロジクール、アイ・オー・データ機器などの周辺機器メーカー、そのほか課金決済系やメディア、それから小田急エージェンシーのようにゲームとはまるで関係ないメーカーまで実に多彩な顔ぶれが揃った。
三輪木氏が誤算だったのは、「PUBG」の凄まじい人気の高さだ。当初の計画ではなんとか20社集められればというつもりで募集を掛けたところ、50社近くが応募。慌てて2部制にしたものの、抽選で漏れてしまったメーカーも出てしまったという。
実況解説は、「PUBG」公式プロリーグPJSの実況も担当しているシンイチロォ氏、「PUBG」ファンだというインパルス板倉俊之さんで行なわれた。板倉さんは、「PUBG」はモバイル版を遊んでいるそうで、PC版のグラフィックスの美しさについて繰り返し褒めていた。
入場後すぐ試合開始というわけではなく、参戦するメリットとして、メーカー紹介タイムがやや長めに取られていた。参加するのが目的といった感じの初めてプレイするという悲惨な人もいれば、にじさんじのようにバーチャルライバーが参戦し、ノートPCに映し出された女の子が挨拶するなど、カオスな風景がおもしろい。しかもそれが、PJSの会場で行なわれているところがおもしろさに輪を掛けている。
ルールは4人1組のSQUAD、視点はTPP、マップはERANGEL。1部、2部で、それぞれ一発勝負、ドン勝したチームが勝ちというシンプルな内容だ。
さて、試合の方は、“玉石混淆”という言葉がこれほど相応しいと思えることはないぐらい差の激しい戦いが繰り広げられた。チームを牽引するのは、各チームに1人ずつ加入しているプロゲーマー。ただ、キャラクター名には、PJSで使用しているゲームネームではなく、本名が使われており、どのチームに誰が参加しているのかわかりにくかった。
注目のGALLERIA改めGALLERIA GAMEMASTERは、Rascal JesterからBillon選手がGLGM_Fukushimaという名前で参戦。序盤で2人人数を減らし、プロのスキルで活路を見いだしたいところだったが、フルメンバーが生存するスクウェア・エニックスと正面衝突し、23分というかなり早い段階で脱落していた。
正直な所、プロレベルのプレーヤーが多数ひしめく試合で、ドン勝を有言実行できるほど「PUBG」は甘いゲームではないという印象だが、Billon選手の名誉のために追記しておくと、その翌日、翌々日に行なわれたPJSでは、DAY1では常に上位に食い込み総合4位、DAY2ではついに待望のドン勝をもぎ取り総合3位につけている。RascalJesterの活躍はともかく、チームGALLERIA GAMEMASTERに対する尾崎社長の叱責は避けられそうにないが、eスポーツ界を盛り上げてくれる存在として、今後も引き続き自らハードルを上げる方向性で頑張って欲しい。
試合を見ていておもしろかったのは、スクエニvsCygames、ALIENWAREvsコーエーテクモゲームス、バンダイナムコオンラインvsセガ・インタラクティブ、ニコニコ動画vsロジクール、という具合にパートナー企業同士が、自社の名誉を賭けて激しくぶつかり合うところだ。まさにPCメーカー対抗戦同様のおもしろさがあり、客席から散発的にあがる自社の応援にも力が入る。これはおもしろい企画だと思った。
最終的にドン勝を勝ち取ったのは1部はWekids、2部はバンダイナムコオンライン。それぞれWekidsにはoracleNoxのyuu_v_icm選手、バンダイナムコオンラインにはSCARZのBONON選手が助っ人として加入しており、まさにプロらしい容赦の無い戦いぶりで優勝に大きく貢献していた。
「PUBG企業対抗戦 in TGS」は、早速「第一回」と銘打っており、来年以降も継続して実施する気満々だ。もともとPJSを実施するために、コストを掛けて豪華な舞台を用意しており、一般日のPJS向けのテスト運用という側面もあり、業者日の有効活用プランとして企業対抗戦はうってつけだ。
もっとも、抽選に漏れる企業も居る中で、操作すら覚束ない選手が出場しているのはどうなのかとか、来年さらに出場を希望する企業が増えた場合、オンライン予選を実施するのか否かとか、色々調整すべき要素はありそうだが、東京ゲームショウに新たな名物企画が誕生したことは間違いない。今年見逃したという方はぜひ来年こそは観戦してみよう。