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ピーターがスーツをパワーアップ! 「Marvel's Spider-Man」先行体験

科学者として物語、凝った戦闘システムや、ニューヨークを駆け巡る探索も注目

9月7日 発売予定

価格:
6,900円(税別、パッケージ版)
7,452円(税込、ダウンロード版)
9,612円(税込、デジタルデラックス版)
CEROレーティング:審査予定

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、9月7日に発売を予定しているPS4向けオープンワールドアクション「Marvel's Spider-Man」のメディア体験会を実施した。このイベントでは開発元であるInsomniac Gamesのコミュニティ・ディレクターJames Stevenson氏のQAセッションに加え、本作を3時間先行プレイすることができた。

 「Marvel's Spider-Man」は、ピーター・パーカー、ヒロインのMJことメリー・ジェーン・ワトソン、メイおばさんなどおなじみのキャラクターが登場するが、彼らの立ち位置もオリジナルとなり、本作ならではの物語が展開する。「ピーターの世の中の貢献はヒーローとしてだけなのか?」というテーマに挑んだ、とても挑戦的な物語が展開するという。

 街を移動するエキサイティングなウェブ体験、単純に攻撃ボタンを連打しているだけでは勝てない戦闘、様々な要素が詰まったオープンワールド、そしてピーター自身がスーツやガジェットを強化していく要素など、本作は様々な要素が盛り込まれている。体験できた要素を紹介していきたい。

【「Marvel's Spider-Man」 発売告知トレーラー】

インソムニアック・ゲームズによる新しいスパイダーマンの物語

 最初にStevenson氏によって本作の概要が語られた。今回は、ローカライズプロデューサーのSIE JAPANスタジオ石立大介氏が通訳を務めた。「Marvel's Spider-Man」の制作のオファーはインソムニアック・ゲームズにとって、“夢が叶った”瞬間だったという。皆がスパイダーマンの大ファンだったし、スパイダーマンのキャラクター性はインソムニアック・ゲームズに合っていると社内の誰もが感じたという。

Insomniac Gamesのコミュニティ・ディレクターJames Stevenson氏
ローカライズプロデューサーのSIE JAPANスタジオ石立大介氏

 そして本作はゲームだけのオリジナルの「ユニバース」であることをStevenson氏は強調した。ちなみに、ユニバースとは、ヒーローやキャラクター性など共通項を持ちながら、オリジナルの世界を構築していることを指す。映画で言えば、サム・ライミ監督の3部作、その後のリブート作「アメイジング・スパイダーマン」、そしてマーベル・シネマティック・ユニバールの1つとして作られた「スパイダーマン:ホームカミング」が、同じスパイダーマンというヒーローを扱いながら、時代設定や役割が大きく異なっているというところで理解しやすいかもしれない。

 「Marvel's Spider-Man」もまた、ピーター・パーカーという青年を主人公にしながら、他の作品とはキャラクターの配置が大きく異なっている。「この作品では彼らはこうなのか」と驚かされるのも今回のユニバースならではの楽しみである。本作はオリジナルに敬意を払いつつも、新しい風を吹き込みたいという。その1つがスパイダーマンのスーツだ。基本はスパイダーマンのラインを守りつつ、手足に白い色を盛り込み、蜘蛛のマークも白くなっている。

コスチュームは本作オリジナルデザインだ

 ストーリーもオリジナルだ。「Marvel's Spider-Man」のピーターはスパイダーマンになってから8年、彼は23才になっており、大学を卒業し、科学者の助手として仕事をしている。彼は熟練したスパイダーマンであり、本作では大人としてのピーター、大人としてのスパイダーマンを語っていくという。本作で彼は“科学者のピーター”としてこの世界に貢献できるかもしれないという可能性に気が付く。今作ではピーターとしての生き方、を考える要素があるという。

 人間関係も考えさせられる。本作ではMJはピーターと別れたりくっついったりする関係で、MJはジャーナリストとして活躍している。ゲームではピーターだけでなく、MJとしてプレイできるパートも用意されている。敵役として最初に登場するのはキングピン。メイおばさんはホームレスの支援施設で働いており、マーティン・リーという人物がその施設を運営している。

 この他、Stevenson氏は、本作ならではのアクション、戦略性、移動の楽しさ、様々なサブミッションや、アップグレード要素などの概要を説明した。これらの要素は、実際に体験プレイのレポートから語っていこう。

ストーリーも本作オリジナルだ。ピーターや、MJ、メイおばさんやヴィランの立ち位置は、他の作品と異なっている

宿敵キングピンとの対決! 激しく軽快なアクションが楽しめる戦闘要素

 体験会はゲームの冒頭から3時間プレイできるというリッチなものだった。様々な要素をピックアップしていきたい。本作では警察官であるユリというキャラクターとピーターは知り合いで、ピーターはユリと連絡を取りながら警察と協力、キングピンを追い詰めていく。

 キングピンは、スパイダーマンやデアデビルのヴィランで、ものすごく太ったように見えるがその身体全てが筋肉であり、ヒーロー達と素手で渡り合えるほどの力を持つ。彼は暗黒街のボスであり、「Marvel's Spider-Man」の世界でも8年ものあいだスパイダーマンと戦いを繰り広げてきた。そして悪事が明るみに出て、ついに警察に包囲されたのだ。……しかしそれこそがキングピンの罠だった。キングピンの猛反撃に、苦境に陥る警官達。ピーターは彼らを助けるべく急行する。

ゲームの冒頭、スパイダーマンはキングピンと対決する

 キングピンとの戦いは本作のチュートリアルになっている。まず最初に学ぶのは町の移動方法。スパイダーマンと言えばウェブを使った移動だ。「Marvel's Spider-Man」では、R2を押していればスイング、離すことで空中を飛び、再びスイングする事で進む。×を押すことで前方にジャンプし加速することもできる。壁にぶつかったときにR2を押しておくと壁面を駆け上がるウォール・ランを行なっていく。

【「Marvel's Spider-Man」、探索要素とウェブを使った移動】

 敵との戦闘は□ボタンの攻撃が基本。△でウェブで敵を絡め取り、長押しで投げ飛ばすことが可能。○は回避で、敵に囲まれたり、銃で撃たれたときに使う。便利なのが□長押しのエア・ランチャーである。強力なアッパーカットで敵を浮かせ、さらに□ボタンを連打することで空中で敵にコンボを繰り出せるのだ。本作では敵に囲まれる状況が多く、敵の攻撃が届きづらいこのコンボはとても有効だ。

 キング・ピンはビルの中に立て籠もっている。スパイダーマンは敵と戦いながらフロアを上っていく。吹き抜けの空間で戦ったり、時には換気口に潜り込んだりする。目指す場所に飛び移るときはL2+R2、エレベーターの壁を垂直に駆け上がるときはウォールランが有効だ。

 本作で重要なのは“コンボ”である。いかにコンボを繋げていくかが重要となる。連続攻撃を繰り返すとフォーカスゲージが上昇、これを消費することで体力が回復できるし、フォーカスゲージがたまることで敵を派手に打ち倒すフィニッシュ・ムーブを繰り出すことができる。常にフォーカスゲージは貯めておきたいところだ。

【「Marvel's Spider-Man」、華麗なコンバットアクション】

 ゲーム冒頭のクライマックスはキングピンとの対決である。彼は通常攻撃で攻撃してもはじき返されてしまう。ボスとの戦いは様々な方法を活用して戦うのが有効だ。キングピンの場合はR1のウェブシューターで動きを封じてから、エア・ランチャー、そして連続攻撃。動かせるオブジェクトを見つけたらL1+R1でウェブを使って引き抜き、振り回してぶつける。今後も様々なボスとの戦いが待っているようだ。

 キングピンを倒すと街中を歩き回り様々なミッションに挑戦できるようになる。ここからが本当の「Marvel's Spider-Man」のスタートとなるのだ。

序盤ではゲームの基本要素が学べる

多彩な要素が詰まったオープンワールド。スパイダーマンのパワーアップも

 「Marvel's Spider-Man」では、様々なサブミッションをこなしていきながら、メインのストーリーを進めていくこととなる。サブミッションで大きなポイントとなるのが「犯罪監視システムの再起動」。オズコープ社の犯罪監視システムがニューヨークに設置されたのだが、何者かに変調されてしまっている。ピーターは周囲を回り、このシステムを再調整することで、様々なイベントをアンロックしていくのだ。

 この監視システムを起動することで、強盗や窃盗犯など犯罪が起きていることを察知することができる。犯罪者と戦い、叩きのめすことでスパイダーマンは経験値とポイントを得ることができる。また、これまでの活動でピーター自身が様々な場所にバックをウェブではりつけ、忘れているので、これを回収するコレクション要素もある。

 キングピンの手下の残党が活動している場合もある。その拠点を見つけ出し、犯罪者を捕まえるのも重要なサブミッションだ。ニューヨークの名所をカメラで収めるというカメラマンであるピーターらしいサブミッションもある。他にも様々なサブミッション、コレクション要素がマップに盛り込まれている。

 プレーヤーはスパイダーマンとしてニューヨークの空を飛び回りながら犯罪者と戦ったり、監視システムを起動させたり、コレクション要素を満たしていく。これらの活動はスパイダーマンの強化に必要なものとなる。様々なサブミッションをクリアしていくことで、スパイダーマンはどんどん強力な存在となっていくのだ。

街を飛び回りサブミッションに挑戦していく
犯罪者達を倒すのも大事な役目だ

 「Marvel's Spider-Man」では、スパイダーマンは様々なポイントが強化されていく。1つめが「スキル」だ。このスキルには3つのスキルツリーがあり、レベルアップで得られるポイントを使って強化を行なっていく。戦闘をさらに強化したり、コンボゲージを上げやすくしたり、新しいアクションを取得したりと何を上げていくか悩ましい。自分なりのスパイダーマンとしての強化を模索していくこととなるだろう。

 そして今作ではピーターの科学者としての側面が強く出ている。ピーターは様々な機能を持つスパイダースーツや、蜘蛛型ドローンなどを開発できるのである。これらのアンロックは、犯罪の阻止や、回収したバッグ、撮影した名所などで得られるポイントを消費して行なう。サブミッションをクリアするほどスパイダーマンを強化することができるのだ。

能力を強化していくことでアクションの幅が広がっていく

「Marvel's Spider-Man」ならではのキャラクター配置。ヴィランも多数登場

 そしてストーリー要素である。キングピンは収監された。しかし、そのことは逆に彼が抑えていた悪を突き動かすことになってしまった。今作では「ミスター・ネガティブ」という的が大きくピックアップされる。彼はピーターとどんな関係を持つか、ストーリーが気になるところだ。

 ピーターの大切な人、メイおばさんも注目だ。今作で彼女はホームレス支援施設で働いている。この施設のオーナーは、マーティン・リー。スタッフにも気を配る高潔な人物だが……。彼らがストーリーにどう絡んでくるのだろうか。

 そしてMJことメリージェーン・ワトソン。「スパイダーマン」のヒロインとして知られる彼女は、「Marvel's Spider-Man」ではピーターと別れている。愛情はあるのだが、スパイダーマンとしての使命を優先する彼とは疎遠になってしまっている。そんな彼女がキングピンの秘密を探り、ジャーナリストとして活動していく中で、危険と直面することとなる。

今作では、メイおばさんはホームレス支援施設の職員となっている
MJは新聞記者として、キングピンの秘密を追っている

 今回の体験プレイでは、MJとなってステルスアクションを繰り広げるシーンを体験できた。Stevenson氏によればMJとしてプレイできる要素は今後もあるとのことで、どんな活躍をするか期待したい。他にもプレイできるキャラクターはいるのだろうか。

 そしてヴィランである。「Marvel's Spider-Man」では、ショッカーやエレクトロ、ライノ、バルチャー、スコーピオといったヴィランが登場することがすでに明らかになっている。彼らとどう戦うのか、様々な敵に対し、スパイダーマンに味方するヒーローはいるのか、気になるところだ。「Marvel's Spider-Man」のニューヨークにはマーベル・コミックスに登場する建物などもあるとのことで、おなじみのキャラクター達との共演にも期待したいところだ。

ヴィランがどのように表現されるかも注目したい

 スパイダーマンのゲームは過去にはActivisionから発売されており、筆者は何作かプレイしたことがある。オープンワールド要素を取り入れているところなど本作に近い部分があるが、やはりストーリーが大きく違う。本作はスパイダーマンの要素を多く取り入れながら、全く新しい物語を作ろうという強い気合いを感じさせられる。

 筆者のようなスパイダーマンファンならば、スパイダーマンの新しいユニバースの1つとして楽しめるし、スパイダーマンを知らない人にとっては、本作ならではのキャラクタードラマを楽しめる。多くの人が楽しめる要素をきちんと盛り込んでいるのだ。

ストーリーこそが「Marvel's Spider-Man」の鍵となる。ヴィランの描写にも注目

 最後のセッションではメディアからStevenson氏への質疑応答である。「これまでのスパイダーマンのゲームとどう差別化したか」という質問にStevenson氏は、「ストーリー」と答えた。映画など過去のスパイダーマンで名作と言われているものは“ピーター・パーカー”を掘り下げている。「Marvel's Spider-Man」でもピーターとスパイダーマンの間で揺れ動く、その葛藤を楽しんで欲しいとStevenson氏は語った。

 Stevenson氏のお気に入りのワザは空中のコンボで、できるだけ長く叩きのめすのが好きだという。お気に入りの攻撃は、ウェブをアップデートして使えるようになるトラップ型のもの。設置しておくと敵が近づいたときに発動する。敵の背中につけると2体の敵を貼り付けられる。天井に張り付けておき、敵をコンボで空中に跳ね上げるとトラップが発動し、敵を動けなくしてしまう。この攻撃が大のお気に入りとのことだ。

空中コンボの楽しさを力説するStevenson氏

 またゲーム内でスパイダーマンはSNSを活用しているが、これにより街の様子がわかるようになっている。SNSでは他のアカウントの会話から街の状況がわかるし、様々な視点で事件を見ることができる。スパイダーマンへの評判なども知ることができるという。

 「Marvel's Spider-Man」開始時点では、多くのヴィランが刑務所に収監されている。しかし、ある理由で彼らは出てくる。彼らはなぜ街に再び出てきたのか、その動機はヴィランごとに異なる。Stevenson氏は彼らの理由に注目して欲しいという。「ヴィランは彼自身の物語においてはヒーローである」というのがマーベルの公式コメントだが、「Marvel's Spider-Man」のヴィランも単なる悪役ではないということだ。

今作では「ミスター・ネガティブ」というヴィランがフォーカスされている。彼はどんな秘密を持っているのだろうか?

 話を聞いていて、やはりストーリーに強いこだわりを感じた。3時間プレイできたが、物語は序盤であり、キャラクター達が出てきたばかり、まだまだ足りないというのが正直なところだ。オリジナルのスパイダーマン像、というものがどのように描かれるか、とても興味が惹かれるところだ。

 そしてアクションである。敵が強く、囲まれることが多いので、序盤ではエア・ランチャーで浮かす戦いを繰り返す単調なものになりがちだ。もっと凝ったワザを使って戦いたいし、スパイダーマンらしい機転を利かした戦い方ができるようになりたい。「もっともっとスパイダーマンになりたい」と強く思わせてくれるゲームだ。じっくりとやりこみたい。

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