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GoogleのモバイルVRプラットフォーム「Google Daydream」がいよいよ日本上陸
日本ローンチのキラーコンテンツは「釣りスタVR」、VRパートナーはLGに
2017年12月1日 15:58
Googleは12月1日、モバイルVRヘッドセット「Daydream View」の記者発表会を開催し、12月13日より日本市場で発売することを明らかにした。価格は12,000円(税込)で、Googleストアにて販売を行なう。対応デバイスはLG V30+、Moto Z、ZTE Axon 7、ASUS ZenFone AR、Samsung Galaxy S8/S8+/Note 8の7モデル。カラーはチャコールグレー1色のみとなる。
「Daydream View」はGoogleが推進する独自モバイルVRプラットフォーム「Daydream」専用のVRヘッドセット。Googleが最初にリリースした「Cardboard」がスタンダードなモバイルVRシステムだとするなら、「Daydream View」はその上位モデルに位置づけられ、独立した新たなVRプラットフォームとして提供する。
ハードウェアとしては、2016年に公開されたリファレンスモデルから随所に改良が施された改良モデルで、デバイス表面にはあたたかみのあるファブリックを採用し、持った感じの触り心地やフィット感にこだわっているだけでなく、非常に軽い。重量はわずか261gで、スマートフォンの重量を150gと計算しても、PlayStation VR(610g)や、HTC Vive(現行モデル:468g、初期モデル:550g)、Oculus RIFT(470g)といった現行のあらゆるVRシステムよりも軽い計算になる。しかもケーブルレスで、取り回しの良さは抜きん出ている。
インターフェイスは、クリック可能なタッチパッドを備えたDaydream Viewコントローラーを採用。UIの制限から上記VRシステムで提供されているようなリッチなゲームコンテンツのプレイは難しいものの、9軸センサー(3軸ジャイロ、3軸加速度、3軸地磁気)を搭載しており、今回ローンチタイトルのひとつとして紹介された「釣りスタVR」(グリー)のような現実世界の手の動きを再現するようなコンテンツとの相性は抜群に良く、Daydream Viewならではのコンテンツが今後続々生まれる可能性がある。なお、このDaydream Viewコントローラーはコンパクトボディのメリットを活かして、Daydream Viewのヘッドバンドに収納することが可能となっている。
Daydreamでは、快適でリッチなVR体験を提供するために、HTC ViveやOculus RIFTといったPC向けのハイエンドVRシステムと同様、対応デバイスをVRに最適化されたハードのみに制限し、Google独自の審査に通過しなければリリースできないなどハードルを高く設定。現時点ではわずか7モデルのみの対応に留まるものの、将来的には多くのAndroid端末で手軽にリッチなVR体験を提供することを目標としている。
日本でのローンチ時の対応デバイスは、先述したようにLG V30+やSamsung Galaxy S8/S8+/Note 8などわずか7モデルに限られる。これらと同等のスペックを備えたAndroidデバイスや、ソニーのXperiaシリーズを筆頭に日本ではもっとシェアの高いAndroidデバイスが存在する。また、米国ではGoogle自身がリリースしているスマートフォンPixel、Pixel 2も対応モデルに加えられているが、このタイミングでの発売は見送られている。なぜ日本ではこんなに対応モデルが少ないのか?
Googleの担当者によれば、Googleとしてはできるだけ多くのプロダクトをグローバルで展開しようと考えており、また、ソニーを含む様々なスマートフォンメーカーと協議を行なっているものの、現時点で発表できることはないという。その一方で、日本ローンチが遅れた理由として、ベストなVR体験を提供するためにパートナーと密接に協業し、端末をVR向けにチューニングした上で展開しているためとも答えており、パートナー獲得についてはかなり苦戦している様子が窺える。
なお、日本でのパートナーとなったLG V30+については1月よりキャンペーンをスタートし、NTTドコモでLG V30+を購入すると、全員に「Daydream View」をプレゼントする。数量限定ということだが、これからAndroid端末の購入を検討している方には魅力的なキャンペーンと言える。
気になる日本でのローンチラインナップについては、ざっくり「250タイトル以上」とアナウンスされ、日本発のコンテンツとして「釣りスタVR」(グリー)や「REZ Infinite」(Enhance Games)などが紹介された。「釣りスタVR」については、プロデューサーの渡邊匡志氏もゲスト登壇し、ゲームの紹介に加えて体験会まで行なわれたが、すでに米国ではリリース済みで、「REZ Infinite」についても既存のVRシステムですでにリリースされているなど、新プラットフォームとしてはいささかパンチ不足の印象は否めないローンチとなる。
ただ、渡邊氏は、Daydream Viewの魅力について、既存のAndroidの開発基盤がそのまま活かせるため、ローカライズや課金システムなどを一から作り直す必要がないのは大きいとコメント。また、VR向けのSDKがしっかり整備されていることや、プレビュー機能の充実、開発ノウハウの共有、審査項目の内容にも納得できることが多いなど、Google自身のVRプラットフォームであることのメリットを再三強調。Google Playがそうであったように、コンテンツ次第では今後大きく化ける可能性を示した。
なお、「Daydream View」は、Googleが2018年に展開を予定しているDaydreamの最新バージョン「Daydream 2.0 Euphrates」(ユーフラテス)にも対応している。「Daydream 2.0」では、キャプチャ機能やそのシェア機能など、基本機能が拡充されるほか、スマートフォンを使用しない単体のVRヘッドセットの開発も可能となる。「Daydream View」ともどもDaydreamプラットフォームの今後の展開に注目したいところだ。