【特別企画】
「ダンガンロンパ」15周年! こんなにも「愛される力」に満ちた作品はなかなかない、ハイスピード推理アクション
2025年11月25日 00:00
- 【ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生】
- 2010年11月25日 発売
スパイク(現スパイク・チュンソフト)より2010年11月25日に発売されたPSP用ソフト「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生」(以下、「ダンガンロンパ1」)が、本日発売から15周年を迎えた。
本作は、「超高校級」と言われる優れた能力を持つ高校生ばかりが集められた「希望ヶ峰学園」に入学した生徒達が謎の黒幕によって校内に閉じ込められてしまい、「外に出たければ仲間を殺すこと」というルールの下に次々と発生する殺人事件を「学級裁判」で解決していくという、ハイスピード推理アクション。
サブタイトルの「希望の学園と絶望の高校生」にもあるように「希望」と「絶望」をメインテーマにしたシナリオとなっており、希望が見えたと思ったら絶望に打ちのめされ、絶望に膝を屈しかけると希望が見える、といったシナリオ作りにも定評がある。シナリオは、現トゥーキョーゲームス所属の小高和剛氏が務めている。
本稿では、そんな「ダンガンロンパ」の15周年を記念して、本作を振り返っていく。なるべくネタバレを避けており、画像もネタバレにあたらない画像を使用しているので、まだ未プレイの方も安心して読んでほしい。
希望ヶ峰学園を舞台に巻き起こるコロシアイ学園生活
特筆すべき才能を持たず、勉強も運動も普通、趣味はゲームというごく普通の高校生だった苗木 誠。苗木は「超高校級の才能」を持つ現役高校生しか入学できない希望の象徴「希望ヶ峰学園」に「超高校級の幸運」として抽選で選ばれて入学することになる。
「卒業すれば人生の成功が約束される」というこの学園への入学式の日、苗木は学園の玄関ホールで突然意識を失ってしまう。
苗木が目を覚ますと、そこは学園の教室内だった。だがなぜか校舎の窓は鉄板で塞がれ、監視カメラとテレビモニターが至るところに設置されており、校舎全体は静まり返っていた。
校舎の玄関ホールに戻ってきた苗木はそこに集っていた他の新入生達と出会うが、彼らも全員、苗木と同様に意識を失っていて、意識を取り戻したばかりだった。
さらに玄関にはいつの間にか鋼鉄の扉が設置されており、外界から完全に遮断されてしまっていたのだった。
困惑する面々を前に現れた謎のキャラクター「モノクマ」。そしてモノクマは「学園の中で一生暮らし続けること、外に出たければ誰か他の生徒を殺さなければならない」というルールを告げる。
果たしてここから出るために誰かが誰かを殺めるのか?
それともみんなで一生この学園生活を送るのか?
みんなが腹を探りあう中で、第一の殺人事件が起こってしまう。「コロシアイ学園生活」の始まりであった。
クロを見つけて「学級裁判」へ! 大ヒットシリーズへの道
……とはいえ、「殺せばそれだけで学園の外に出られる」というほど甘くはない。
本作の殺人には一定のルールがある。
・殺人を行った者をクロ(犯人)とする。
・遺体が3人以上に発見されると捜査開始となり、生存者によって捜査が行われる。
・捜査結果に基づき、その時点の生存者全員による「学級裁判」が開催される。
・学級裁判後の投票で、クロが犯人だと特定された場合クロだけが「おしおき」(公開処刑)される。
・クロではない人物を選んでしまった場合、クロは「卒業」となり学園からの脱出が許され、クロ以外の全員が「おしおき」される。
・共犯がいたとしても、クロになれるのは直接手を下した犯人だけである。
という上記のルールがあり、学級裁判で上手くみんなを出し抜けなければ卒業はできないのである。さらにクロの卒業を許してしまえば他の全員はおしおきとなるので、生存者たちは本気でクロを探しにいかなければならない。
何をやらせても凡人のはずの苗木が、超高校級の才能たちを相手に戦い抜けるのかが見どころとなっている。
ちなみに本作は数万本の売り上げ程度しか見込まれていなかった、ということは知っているだろうか。
しかし当時、本作をプレイしたプレーヤーが「このゲームは本当にすごい。何がすごいかはネタバレになるから言えないけど、みんなプレイしてほしい!」というような口コミで火が付き、あれよあれよという間に10万本を突破。2025年7月の時点でシリーズ全体の全世界累計出荷数が850万本を超えるという、大人気タイトルとなったのだ。
とはいえ本作は、アドベンチャーゲームとしては非常にベーシックな作りとなっており、他の学生との交流や校内の探索を行える(非)日常編パート、事件発生による捜査を行う非日常編パート、そして学級裁判パートと、この3つを繰り返していくことになる、推理物のアドベンチャーとしてはよく見られるサイクルだ。
ではなぜ本作がそこまでヒットしたのだろうか。その理由と考えられるものは様々挙げられるのだが、ひとつは「超高校級」の登場キャラクターがいずれもかなりぶっ飛んだ個性的なキャラクターだから、ということがあるだろう。また、声優陣も非常に豪華。主人公の苗木を演じているのは緒方恵美さん、モノクマ役は故・大山のぶ代さん、他にも櫻井孝宏さん、日笠陽子さん、石田彰さん、沢城みゆきさんなどなど、まだまだ有名な声優が出演している。
しかも推理の難易度としては決して高いほうではない。だからこそ、キャラクターや声優に惹かれて試しにプレイしてみたという層をうまく取り込むことに成功したのではないだろうかと筆者は推測する。
もちろん、それだけではない。推理物の難易度としては高くないものの、学級裁判の出来は非常に素晴らしい。
特に「ノンストップ議論」では、テーマごとに生徒たちが話し合い、その中の矛盾点を見つけ論破するのだが、発言のポイントとなるべき箇所はわかりやすく表示され、その部分に矛盾する「言弾(コトダマ)」を撃ち込むことで論破でき、BGMも相まってテンションが上がる。
このノンストップ議論はこれまでのゲームにないシステムで、非常に斬新だった。
本格ミステリーとしての厳密さよりも、「この人が殺されなければいいな」「この人がクロじゃなければいいな」というプレーヤーの感情をうまく突いてくるストーリー運びと、ノンストップ議論を始めとした学級裁判パートの噛み合いが、プレーヤーをどんどん沼にハマらせていったように感じられる。
(非)日常編パートで友情を育んだのに、非日常編パートで感じる嫌な予感、そして学級裁判パートでおしおき(処刑)をする……まさに「希望と絶望」が入り混じったストーリー展開には、プレーヤーがのめりこんでいく要素しかなかった。
おしおきシーンは非常にシュールながらも、デザインがポップ寄りでかつコミカルさも入れることによって、残酷な場面を笑いに変えてしまう力があった。時には推しが処刑されてしまうということもあったが、そこから立ち直る希望が毎エピソードにあったというのも大きい。
人によって「私はこんなところが好きだった!」という部分はまだまだあると思うのだが、異例の大ヒットとなった背景としてはこれらが主だったところではないだろうか。
シリーズは「ニューダンガンロンパV3」で完結しつつ、末永く愛される作品に
「ダンガンロンパ」シリーズは、基本的にゲームとしては「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生」、「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園」、「絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode」、「ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期」の4作品で実質完結している。「ニューダンガンロンパV3」が発売されたのは2017年1月12日なので、約8年前には完結しているのだが、前述の通り「ダンガンロンパ」シリーズのファンの熱気はまだまだ衰えることがない。
アニメ化、舞台化、リマスター版など、常にそれなりの周期で話題を作っているのもあると思うが、超有名声優陣が演じる魅力的なキャラクターたちが次々と容赦なく死んでいくというストーリー構成に魅せられてしまったプレーヤーが、圧倒的に多いはずだ。
プレイすれば、なぜこんなにも愛されるのかがわかる。しかし、愛される理由の詳細を語ろうとするとネタバレになる。そんな地団駄を踏みたくなる布教しかできない自分がもどかしい。それが「ダンガンロンパ」なのである。
この先「ダンガンロンパ4」の位置づけとなるような作品が出るかどうかはわからないが、2026年には、「スーパーダンガンロンパ2」をベースにした新作としてPS5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/Steam用「スーパーダンガンロンパ2×2」の発売が予定されている。こちらはクロや被害者、トリックがまったく異なる新シナリオが展開されるという。しかもボリュームは原作シナリオと同程度とのことで、とても楽しみだ。
そして「ダンガンロンパ」シリーズは基本的に「1」から順番にプレイしていくことで、より一層おもしろさが増す作品となっている。「1」は、Nintendo Switch/PC/Android/iOSのほか、「ダンガンロンパ1・2 Reload」としてPS4でもプレイできる。まだプレイしたことがないという人はぜひ「スーパーダンガンロンパ2×2」の発売前に「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生」をプレイしてみてはいかがだろうか。
(C)Spike Chunsoft Co., Ltd. All Rights Reserved.










































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