【特別企画】
「レッド・デッド・リデンプション」が発売15周年! 決闘、縛り首、列車強盗……西部劇の全てを体験できる、ろくでなし達の痛快ロックスターズ・ウエスタン
2025年10月7日 00:00
- 【レッド・デッド・リデンプション】
- 2010年10月7日 発売
- ※日本発売
西部劇をテーマにしたオープンワールドアクション「レッド・デッド・リデンプション」(以下、「RDR」)が日本発売15周年を迎えた。開発はロックスター・ゲームスで、対応機種はXbox 360とプレイステーション 3、国内ではテイクツー・インタラクティブが販売を行っている。
開拓時代が終わりつつある20世紀初頭のアメリカ西部・メキシコをオープンワールドとして構築し、ガンマンのジョン・マーストンを主人公に西部劇を繰り広げる本作。前作の「レッド・デッド・リボルバー」がステージクリア型のアクションゲームだったのに対し、続編となる本作は「グランド・セフト・オート」シリーズの流れを汲むオープンワールドのアクションアドベンチャーとなった。
アメリカ西部の荒野で、映画のシーンをほうふつとさせる決闘や銃撃戦、列車強盗などを追体験できる本作は、ワールドワイドで2,400万本のセールスを記録している。現在はリマスター版がプレイステーション 4、Nintendo Switch、PCなどでプレイ可能で、Xbox Series X|SではXbox One X Enhanced対応による高解像度のXbox 360版をプレイできる。
本稿では2023年にリリースされたNintendo Switch版を使って、発売から15年を迎えた本作を振り返ろう。
開拓時代末期のアメリカ西部をオープンワールドで構築
「西部劇」というジャンルや「ウエスタン」というワードは、1960~1970年代の映画やドラマのブームを発端に、日本のカルチャーやエンタメに広く浸透し、親しまれてきた。カウボーイに憧れた子どもたちは“西部劇ごっこ”に没頭し、ドラマやアニメにもウエスタンスタイルを意識した演出が取り入れられた。
西部劇をテーマにしたゲームは少なくなく、古くは「ウエスタンガン」や「ワイルドウエスタン」、「バンクパニック」といったアーケードゲームに始まり、「ワイルドガンマン」「ロウ・オブ・ザ・ウエスト」「サンセットライダーズ」「ワイルドアームズ」「GUN」「コール オブ ファレス」など、筆者が思いついただけでもこれだけあり、そのジャンルも多彩だ。
日本人にも比較的相性のいい西部劇だが、実は筆者はそれほど詳しくなく、上記タイトルのゲームをいくつか遊んだことがある程度。映画も「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3」ぐらいしか見たことがなかった(あれを西部劇と呼んでいいのかは微妙だが……)。
そんな筆者がなぜ本作に惹かれたのかはごく単純な理由で、2010年に入手した新型のXbox 360で遊ぶゲームを探していたからだ。同年10月に発売された「RDR」は、同時発売されたPS3版よりも解像度が高かったこともあり、筆者は迷わずXbox 360版を購入した。
「GTA」シリーズもニンテンドーDSの「Chinatown Wars」をプレイした程度で、本格的な3Dのオープンワールドアクションを体験するのは本作が初めてとなった。主人公のジョンが降り立つ1911年のアメリカ西部をモチーフとするフィールドは、西部開拓時代の終わりの乾いた荒野だ。
建物のほとんどは木造で床を歩くとギシギシと音が聞こえてくる。街外れには駅馬車が止まり、遠くから蒸気機関車の汽笛が響き、街中では銃声や悲鳴が聞こえることもある。西部劇には欠かせない2枚の扉が前後に開くスイングドアや、荒野を転がるタンブルウィード(回転草)を見たときは、前述の「BTTF PART3」のマーティのようにはしゃいでしまった。
いわゆるモータリゼーションが起こるのはこの後の時代なので、車も少しだけ出てくるが、主な移動手段は馬か徒歩になる。道は舗装されていない獣道で、街にある建物なども少ないため、ほとんどの建物に入ることができたのはある意味リアルでもあった。
時代に翻弄されたガンマンの数奇な運命を描く
主人公のジョン・マーストンは、かつては無法者(といっても金持ちに強盗を働き、それを貧しい人に分け与える義賊)として名を馳せていたが、現在は足を洗い、農場で家族と暮らすカウボーイである。政府から過去の犯罪歴に目を付けられ、家族を人質に取られたジョンは、昔の仲間で現在も無政府主義を貫き、無法者として政府にあらがう“ダッチ”ファン・デル・リンデを筆頭とするギャング3人を追い詰めるよう強要される。ジョンがこの西部を旅するのは、無法者だった頃に自身が犯した罪への贖罪と、仲間や政府とのしがらみにけりを付けて自由を勝ち取ることが目的である。
開拓時代が終わろうとしているこの頃がいかに混沌としていたかは、ジョンと出会う人々がそれを表している。ダッチらは未だ開拓時代から抜けられず、銃による暴力をよりどころとしている。彼らを探すためにジョンが協力を請うのは、彼をサクラに使って商売をする詐欺師や、嘘八百の飲んだくれ、トレジャーハンター気取りの墓荒らし、敵対する革命軍を虐殺する軍人等……本当にロクな人間がいない。
行った先で任意に進められる「出会いミッション」に絡む人物も、今で言う“クセ強”な連中ばかりで、ジョンがミッションとして干渉した結果、不幸な結末を迎えてしまう気の毒なキャラも多い。そんなことになるのであれば、干渉しないほうがよかったと思うぐらいのエグい展開がこの時代の空気を演出している。
ジョン自身もダッチら3人の無法者を探すために傭兵となり、無意味な犯罪や殺人に手を貸し、その手を汚していく。彼がそれを拒むことなく、淡々とこなしているのも悲痛だ。勧善懲悪ではなく、なすこと全てがハッピーな結末を迎えるわけではないのもロックスターらしさを感じられる。時代への皮肉がたっぷり込められたその結末には、筆者も胸が締めつけられる思いがした。
爽快なガンアクションを絡めた自由度の高い西部の旅を満喫できる
本作はガンアクションを特徴としており、決闘における早撃ちや賞金首の確保、人質の救出など西部劇では定番のシーンを体験できるのがその醍醐味でもある。ただしシューターというほど戦闘が頻繁でなく、精度の高いエイムアシストや前作から継承する「デッドアイ」もあるので、アクションを多少かじっていれば進められるのも魅力だ。
武器は定番のリボルバーやショットガン、ライフルなどがあり、西部劇ならではの投げ縄も存在する。投げ縄の使いどころは結構多く、逃げる人間の拘束や馬の捕獲に重宝する。馬に乗って賞金首を捕獲し、そのまま引きずっていくなんて芸当もできるが、引きずった人間はことのほかあっさり死んでしまうので、あまりやらないほうがいい。
狩りは旅の資金獲得の手っ取り早い手段となるが、動物を甘く見ると痛い目に遭うこともある。オオカミ、イノシシ、グリズリーあたりは対処を誤ると致命傷を喰らうこともあり、中でも最凶とされるクーガーは馬で走っているときにも突然襲われて、愛馬とともにお陀仏になってしまうこともあり、油断できない。
アクションにおける自由度の高さは「GTA」シリーズ譲りだ。ストーリーが進行するメインミッションに期限はないので、その間何をしようと自由。宝探しや薬草の採集、賞金首の捕獲、ギャング団のアジトの殲滅、より速い馬の捕獲など、できることはたくさんある。筆者はあまりやったことはないが、自身が悪行を重ねて賞金首となり、追われる緊張感の中でプレイしたり、自首してブタ箱に入ってみたりするのも面白いかもしれない。
ゾンビが蔓延する西部を奔走するもう一つの「RDR」、「アンデッド・ナイトメア」
本作の追加コンテンツとして発売され、リマスター版にも同梱される「アンデッド・ナイトメア」についても触れよう。これは「RDR」後半部分から展開するパラレルストーリーで、西部とメキシコで人々が突如ゾンビになってしまう現象が発生。ようやく再会したジョンの家族もゾンビ化してしまい、彼らを助けるための旅が始まる。
アクションのプレイフィールはほぼ同じだが、ゾンビ用の武器も登場する。攻撃に使う銃弾がお金よりも重要なものとなる(この世界はそもそもお金の概念が存在しない)。当然ながらミッションは本編とは様変わりし、街の防衛や生存者への協力、墓地の浄化などが主な目的として進行していく。
ゾンビ以外にもビッグフットやチュパカブラ、“黙示録の馬”といった怪物も登場し、本編とは打って変わって「西部劇×ホラー」というエンタメ色の強いゲームが展開していくのがポイント。ハッピーエンド?と言えるかどうかはわからないが、この物語ならではのオチがあるのも魅力的だ。本編の進行度に関係なくプレイできる追加コンテンツとなるが、本編の登場人物が多数登場しているので、リマスター版をプレイするのであれば本編を終えてからプレイすることを勧めたい。
15年経過しても色あせない、自由度の高い西部劇アクションの功労者
筆者は今回記事に使用したSwitch版を「アンデッド・ナイトメア」も含め70時間程度プレイしている。Xbox 360版の頃から数えると、かなり長い間遊んでいると思うのだが、好きな映画を何度も観るような気分で飽きることなく楽しめていて、改めて本作のフィールドの居心地の良さを噛みしめている。
後に体験する「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」や「DEATH STRANDING」のような荒れたフィールドが登場するオープンワールド作品に心惹かれるのは、本作に原点があるのかもしれない。
15年前のゲームなので、今から見るとシステムや操作の一部に古さを感じるが、個人的には許容範囲だと思っている。現在のオープンワールドタイトルの選択肢が多数ある中で、積極的に本作を推すことはないが、現在もプレイできる環境があるので、機会があればこの西部の地にも足を運んでいただければと思う。
(C) 2005-2023 Rockstar Games, Inc.



































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