マンガで振り返る「ドラクエII」の思い出その3：ドキドキのふくびきやユーモア溢れる竜王の「ひ孫」ネタなど【HD-2D版「ドラクエI＆II」発売記念】

　手強いモンスターとのバトルと、難解な謎解きで何度も苦しめられた「ドラクエII」ですが、本編とは別の場面でもたくさんの思い出があります。

　例えば、発売前から雑誌の記事で何度も紹介されていた福引き。道具屋で買い物をするか、または特定の敵を倒したときに出現する宝箱から入手できる福引券を、福引所まで持って行くと1枚につき1回遊べるイベントで、1～5等までの賞品が用意されています。

　実は筆者、初回で3等の賞品「まどうしのつえ」をまぐれで引き当て、以後ムーンブルク王女の武器にはしばらく困らずにプレイできたのが、今でもプチ自慢のネタです。その後、2等のいのりのゆびわ、4等のまよけのすず、5等のやくそうは何度も当てましたが、1等のゴールドカードだけでは手に入れることができませんでした。当時、少ないながらも見事に1等を当てた友人が何人かいたのですが、本当に羨ましかったですね……。

　本作の発売後には「週刊少年ジャンプ」をはじめ、各ファミコン専門誌の裏技コーナーにたくさんの裏技が載っていたことも今なお忘れらません。

　今なお有名と言っても差し支えないであろう「ゆうていみやおうきむこうほりいゆうじとりやまあきらぺぺぺぺ……」と綴った復活の呪文、サマルトリア王子とムーンブルク王女の名前が変えられる隠しコマンド、ムーンブルク王女が死んだ状態で話し掛けると「ぱふぱふ」に会話が変化する女性キャラなど、新たに知った裏技を試すたびに何度も驚き、そして笑わされましたね。

　個人的に一番おかしかったのが、前述の福引券を使用した小ネタです。本作では、道具コマンドで福引券を「つかう」と「ふくびきけんをにぎりしめた。ふきびきけんがしわくちゃになった。」と表示されるのですが、初めて見たときは「確かに、そりゃあそうなるよね！」と腹を抱えて大笑いしました。

　竜王の城では、前作の経験を生かして「ロトのつるぎ」を早々に入手できたことも嬉しかったのですが、最奥部に竜王ではなく、竜王のひ孫がいたことも忘れられません。

　「ご先祖様の恨み」とばかりにリターンマッチが始まるのかと思いきや、竜王のひ孫は「さいきん　ハーゴンというものがえらそうなかおを　しているときく。じつに　ふゆかいじゃ。」とボヤき、冒険のヒントまで教えてくれたのでビックリ仰天。かつて、アレフガルドの人々を恐れさせた王の中の王の末裔が、まさかこんなにも落ちぶれてしまうとは……。前作から100年後の世界であることを改めて実感させる、ユーモラスで洒脱なセリフの数々は子供心に唸らせらましたね。

（次回につづく）

　リメイク作品などの発売に合わせてオリジナル版の思い出や当時の背景などをマンガでユル～くふりかえるコーナーです。

絵：橘 梓乃

　ゲーム歴40年超のフリーライター。主な著書・共著は「ファミダス ファミコン裏技編」、「ゲーム職人第1集」、「デジタルゲームの教科書」、「ビジネスを変える『ゲームニクス』」、「ナムコはいかにして世界を変えたのか ゲーム音楽の誕生」など。2014年より日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表も務める。

テキスト：鴫原 盛之（フリーライター）