【特別企画】

マンガで振り返る「ドラクエII」の思い出その1:「いやー さがしましたよ」3人パーティプレイ導入の衝撃【HD-2D版「ドラクエI&II」発売記念

【ドラゴンクエストI&II】
10月30日 発売予定
※Steam版は10月31日発売予定
価格:7,678円

 10月30日に発売が予定されているスクウェア・エニックスの国民的RPG、「ドラクエ」こと「ドラゴンクエスト」と、その続編「ドラゴンクエストII」のHD-2D版「ドラゴンクエストI&II」。

 本稿は、本作が発売されるまでの間に、ファミコン時代の「ドラクエ」シリーズの懐かしいヨモヤマ話をお届けする連載第5回である。前回までは初代「ドラクエ」について語ってきたが、今回より、今から38年前の1987年1月26日に発売された「ドラクエII」登場の衝撃を振り返ってみよう。引き続き、懐かしい思い出に浸りつつ楽しんでいただければ幸いだ。

当時について

 時は1986年の夏休みが明けた9月頃。初代「ドラクエ」をクリアして久しい友人からソフトを借り、いちいち返すのが面倒だからとそのまま買い取ってやり込み続け、ようやく自力で竜王を倒しました。あまりの嬉しさに、パッケージに同梱されていたアンケート葉書きに「面白かった!」などと書いてエニックスに送ってしまいました。

 それから約1カ月後のある日、自宅にエニックスから一通の絵葉書が届きました。そこには、何と「あの『ドラゴンクエストII』が、ついにベールを脱いだ!!」と書かれていたのでビックリ! そう、この絵葉書は次回作の発売決定を知らせるダイレクトメールだったのです(※ネットを介したダイレクトメッセージではありませんよ、念のため……)。

 さらに絵葉書には「マップの広さは前作の4倍」、「20以上の呪文、100種類のモンスター、200人以上の登場人物、60以上のアイテム」、「仲間を捜して3人でパーティプレイができる!」とも書かれており、一読しただけでスーパーハイテンション状態に。その直後に発売された「週刊少年ジャンプ」には、前作と同様に本作の詳細な紹介記事が掲載され、さらに面白が増していると確信した筆者は「絶対買うぞ!」と即決しました。

 そして迎えた1987年1月26日。発売日に本作を無事購入できた筆者は、帰宅途中に自転車で大コケして手のひらから出血していたのですが、手当をそっちのけで光の速さでゲームを開始(苦笑)。

 最初はローレシア王子のみを操る一人旅なのに、スライムやアイアンアント、おおなめくじなどのモンスターが2、3体のパーティを組み出現するので、まさに多勢に無勢。あっという間にHPを減らされ、前作よりもはるかに難しいことを実感しました。敵の攻撃ターンの最中は、画面に向かって「早く順番回って来い!」と、いったい何回念じたことか……。

 苦労しつつもローレシア王子のレベルを上げ、サマルトリア城にたどり着いたと思いきや、サマルトリア王子は勇者の泉がある洞窟へ出掛けたという。早速、洞窟へと向かったらここも強敵ぞろいで、やくそうと本作から新登場のどくけしそうが何個あっても全然足りず。特に攻撃力が高いおおねずみと、毒を持つキングコブラには何度も負かされましたね。そして、やっとの思いで勇者の泉に着いたら、老人から「ひと足違いであった!」との非情な通告が。そんな、ひどい……。

 サマルトリア城に帰還後も、相変わらずの行方知れず状態がしばらく続きましたが、某所でやっとこさでサマルトリア王子を発見。仲間に加わった直後に心地良いジングルが流れ、生まれて初めて2人パーティによるバトルができたときは嬉しくてたまりませんでした。

 その後ムーンブルク城に進むと、城はすでに廃墟と化し、魔物の巣窟になっていたのでかなりのショックを受けました。やがて王女を自力で発見することに成功して3人パーティをついに完成させると、フィールドのBGMがノリノリの曲に初めて変わったときの感動も、今なお忘れることができません。

(次回につづく)

「マンガで振り返る○○の思い出」とは

 リメイク作品などの発売に合わせてオリジナル版の思い出や当時の背景などをマンガでユル~くふりかえるコーナーです。

絵:橘 梓乃

 ゲーム歴40年超のフリーライター。主な著書・共著は「ファミダス ファミコン裏技編」、「ゲーム職人第1集」、「デジタルゲームの教科書」、「ビジネスを変える『ゲームニクス』」、「ナムコはいかにして世界を変えたのか ゲーム音楽の誕生」など。2014年より日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表も務める。

テキスト:鴫原 盛之(フリーライター)