先行レビュー

【ドラクエI&II】HD-2D版「ドラゴンクエスト I&II」試遊レポート。景色見たさにうろつきたくなるほど息を呑むビジュアルに進化

改良されたUIでより遊びやすくなり現代に蘇る!

【ドラゴンクエストI&II】
10月30日 発売予定
※Steam版は10月31日発売予定
価格:7,678円

 今や国民的大人気RPGである「ドラゴンクエスト」シリーズだが、その始まりは1986年にファミリーコンピュータ用として発売されたタイトル「ドラゴンクエスト」だった。翌年の1987年には「ドラゴンクエストII 悪霊の神々」が、さらに88年には「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」も登場し、それ以降はナンバリングタイトルだけでなく「ドラゴンクエストモンスターズ」などの派生タイトルも数多くリリース。移植作やリメイク作も多数の機種にて遊べるようになり、今やある意味“ドラゴンクエスト”というジャンルを確立しているとも言えるほどの作品群へと成長した。

 それらタイトルのうち、シリーズ1作目から3作目までは同じ舞台設定を持つ“ロトシリーズ”と言われ、後にロトの勇者と呼ばれる主人公たちが活躍する作品となっている。そのうちの1本である「ドラゴンクエストIII」が、現代風にHD-2D版としてリメイクされて2024年11月にPS5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch/Steamなどでリリースされているので、みっちりと遊んだ人も多いのではないだろうか。

 そして、「ロト三部作」のうち未発売だった「ドラゴンクエストI」と「ドラゴンクエストII」が1本の作品になり、新たにHD-2D版「ドラゴンクエストI&II」として10月30日に登場予定となっている。HD-2Dにしたことで映像が格段に美しくなっただけでなく、同時にユーザインタフェースなどの改良なども行なわれたことで、原作から大きく飛躍して“今風”のタイトルとして蘇ることになったのだ。

 その「ドラゴンクエストI&II」について先日メディア向けの先行体験会が行なわれ、短時間ながらも実機にてプレイすることができたので、その模様を簡単にお届けしよう。

【HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』ティザートレーラー】

HD-2Dを用いたことで、どこもかしこも驚異的に美しくなった映像に驚きまくり

 今回の先行体験会でプレイすることができたのはPS5版で、2作品合わせて約30分ほどの試遊時間となっていた。最初に画面に映し出されたのは「ドラゴンクエストI」で、時系列としてはゲームを始めた直後の場面だ。

 なお、すっかりお馴染みの単語となったHD-2Dだが、これはスクウェア・エニックス浅野チームが開発した、ドット絵と3DCGが融合したグラフィック表現を指す。ドット絵のキャラクターと立体的な背景を組み合わせ、これに視覚効果や高精細なエフェクトを加えることで、懐かしくも新しい映像表現を実現する技術となっている。

 今回プレイしている「ドラゴンクエストI&II」でもそれが用いられており、最初に表示されたラダトーム城のグラフィックは驚くほどに綺麗になりつつも、ドット絵のどこか温かくも優しさがある感じが残されていた。また、見慣れたトップビューではなく奥行きのある3D視点で描かれるため、視認性が非常にいい。しかも、画面右上にはミニマップも表示されているので、プレイヤーの位置も即座に把握できるのもありがたい。

 移動に関しては、方向キーまたはアナログスティックで行なうことができ、○ボタンを押しっぱなしにすれば移動速度も少し早くなる。もちろん、1マスずつ動くということはなく、自由に移動が可能だ。初代「ドラゴンクエスト」はこれまでに何度も移植やリメイクされてきたので、それらを見ていれば順当な進化と感じるだろうが、当時プレイして以来という人であれば、その画面の美しさと操作のし易さにいい意味でショックを受けるかもしれない。

試遊はラダトーム城から始まったが、画面が映った瞬間に「うわめっちゃ奇麗」と、思わず声がでてしまったほど。各キャラクターの服装など細かな部分まで描かれており、昔にプレイしたっきりの人間としては、豪華すぎて慣れるまで違和感があったほど(笑)

 プレイデータは、装備品は身に着けていたもののほぼ最初からということで、どのような感じなのかを知るべくフィールドへ出て戦ってみることにした。そこで、当時の記憶を思い出しながら次の目的地へと移動してみたが、あまりにも過去のこと過ぎて奇麗さっぱりマップを忘れてしまい、どの方角へ行けばいいのかすら悩んでしまう始末。

 ところが、今なら□ボタンを押せば現在地や“せかいの地図”を見ることができるので、迷子になる可能性はゼロ。加えて、次の目的が画面上に表示されるだけでなく地図にも記されるので、ゲームをしばらく放置して完全に忘れたとしても、次に何をすべきかで困ることもないようになっていた。このあたりは今風ではあるが、こういう親切さこそ「ドラゴンクエスト」シリーズだよね、と改めて思った。

 フィールドには敵がいるのだが、これまでと同様にランダムエンカウントとなっている。敵と遭遇すると戦闘開始となるが、システム自体は昔と同じオーソドックスなターン制のコマンドバトルのまま。おかげで以前と同じ感覚で戦うことができるのだが、当時と違い、R1とL1でバトルスピードを変更することが可能だ。メッセージを見たいときは遅く、通常のザコ戦闘は早くすれば、快適に進めることができる。“さくせん”を指示しておけば、それに従った行動で戦ってくれるので、何かと便利なのも変わらず。

当時と同じく、序盤は少しの敵と戦うだけでサクサクとレベルが上がっていく。この簡単に強くなっていく気持ちよさは、最近のRPGではなかなか得られないものだ。なお当時と違い、出現する敵は1体だけとは限らない

 そうこうしながら地図を見つつロトの洞窟を発見して入ると、原作にはいなかったNPCの他パーティがウロウロしており、途中では会話イベントも発生した。これにも少々驚かされたが、実際にプレイしてみると程よいアクセントになっており、先へと進む意欲が湧く仕組みになっていて感心しきり。もちろん、洞窟内のマップは原作と同じなので、覚えている人ならば迷わず目的地点までたどり着ける。例え忘れていたとしても地図を見られるので、何の問題もなく到着できるだろう。

あのイベントが、ここまで豪華になったことには素直に驚いた。見た目だけでなく、迷子にならないような配慮や次の目的・場所を教えてくれるなど、親切さも充実している

「ドラゴンクエストII」景色見たさにあちこちうろついてみる

 続けて、「ドラゴンクエストII」のプレイタイムへと突入。こちらは仲間を集める過程が終わり、3人でパーティを組んだところからスタートとなっていた。背景の美しさなどは先ほどプレイした「ドラゴンクエストI」と変わらずで、景色見たさに早速あちこちうろついてみることに。美しい背景を見続けても食傷気味にならなかったのだが、これもHD-2Dの持つ柔らかい雰囲気のおかげかもしれない。

 本作の試遊では、最初からルーラが使える状態になっていたため、画面に表示されている目的を達成すべく王子と王女のふるさと3国巡りに出かけてみた。途中、カギのかかった扉が出現するのだが、そのような場所ではチュートリアルが表示されるので操作に戸惑うことはない。これなら当時プレイして以来という人だけでなく、これまでの移植作やリメイク作は全部遊んだというプレイヤーでも、何の心配もいらないというもの。なお、このチュートリアルは新しく導入された要素の説明時に表示されるので、今後明かされるであろう新要素についても楽しみにしていてほしい。

イベントシーンも全画面で表示されるため、非常に迫力あるものになっている。また、イベントや戦闘終了時には自動的にセーブが行なわれるため、当たり前だが“ふっかつのじゅもん”で苦労することはもうない

 3つの国へ赴いた後、今度は次の目的地となる風の塔へと向かってフィールド上を進んでいくと、おもむろに戦闘シーンへと突入。ある程度はレベルが上がっているので、あまり深く考えずに×ボタンを連打しているだけでも勝てるのだが、やはりプレイヤーが操作してこそ面白くなるというもの。そこで、わざわざ“とくぎ”や“じゅもん”を使ってみると、表示されるのは演出控え目なエフェクト。処理も速いので、イライラすることもなく快適な戦闘が体験できた。

3人でパーティを組んでいるので、戦闘シーンは「ドラゴンクエストI」よりも賑やかになっている。エンカウント時はシームレスにバトルシーンに突入するのではなく、従来のように画面が切り替わる方式を採用していた

 しかし、調子に乗って先へと進んだところ、強敵に出会いパーティメンバーが次々と倒されてしまった。戦闘中にHPが0になると、その場で棺桶のグラフィックに変わるためわかりやすいのだが、これはこれでなかなかに悲しいものがある。ちなみに、HPが0になったキャラがいる状態で戦闘が終われば、お馴染みの棺桶を引きずりながら移動する姿も見られた。あまり見たくない光景ではあるが……。というところで、「ドラゴンクエストII」の試遊プレイタイムも終了となった。

フィールドにはキラキラと光っている場所があり、そこを調べればアイテムなどがゲットできる。そういった場所や戦闘で得た装備品は、プレイヤーが一つ一つ装備し直さなくてもメニューから“自動そうび”を選べば、その時点で最適な装備に変更してくれるので便利だ

見た目が豪華になったり新要素が追加されたものの、その中身は「ドラゴンクエストI&II」そのもの

 非常に短時間の試遊だったため駆け足での体験となったのだが、映像の美しさとプレイの快適さに感心させられっぱなしの時間だった。原作しか知らない人が本作を遊べば、あまりの進化っぷりに思わず言葉を失ってしまうのは間違いないだろう。

 当時そのままに移植するのも悪くはないが、やはり時代に合わせてしっかり改良を加えるのも大事だと思わされた本作。まだまだ開発途中なので、これから更に新要素が追加されたりしていくと思われるが、そのあたりは情報が入り次第、随時お伝えしていきたい。