【特別企画】

SNSで話題「Coffee Inc 2」のすごさとは? ビジネスマンも魅了する“本格経営SLG”のリアリティ

App Store有料ゲームランキング1位を獲得した話題作に迫る

【Coffee Inc 2】

2020年7月30日 配信

価格:300円

 Side Labsにより2020年7月から配信されているiOS用経営シミュレーション「Coffee Inc 2」が、今大きな注目を集めている。口コミで人気が爆発した結果、「App Store」の有料ゲームランキングにて「スイカゲーム」を抜いて1位となったことでも話題を呼んだ。

 本作は販売価格300円で、本格的な“コーヒーチェーン店”の経営をシミュレーションすることができる作品。SNS上の反応を見てみると、ゲーマーのみならず、ビジネス界隈の人々が盛り上がっている姿も見受けられる。

 「楽しく経営の勉強ができる」と評判の本作について、具体的にどんな面白さが盛り込まれたゲームなのか紹介していきたい。

経営のいろはを教えてくれるゲームシステム

 全体的なゲームの流れとしては、コーヒーチェーンを立ち上げ、各都市にコーヒーショップを展開していき、経営者としての成功を目指すことが目標。ライバルチェーンと競い合いつつ、やがては上場や企業買収といったフェイズに突入していくことになる。

 最初は出店する地域を選び、テナント料や周囲の交通量などを考慮しながら、店舗の建設を行う。自由度はかなり高く、外装やインテリア、エスプレッソ機などをいくつもの選択肢から選ぶことができる。

繁華街の近くなど、人通りが多い区画を見極めて出店するのがポイント
立地条件がいいテナント物件だと、その分賃料も高額になる
外装や機材などを選ぶと、見積り金額が表示される

 また開店後には店員の人数や時給、商品メニューやサービスの内容、マーケティングの方法などを事細かに設定可能。「無理してでも店員を増やしてサービスを充実させる」、「コーヒーの価格をおさえて薄利多売で勝負する」、「サービス内容より宣伝に力を入れる」……ビジネスに正解はないので、自分なりの経営哲学で勝負していく。

コーヒーの価格を設定する際には原価と粗利をチェック

 毎週、客の反応がレビューとして届くので、それを参考にすることで“お店に足りないもの”を把握できる。とはいえあくまでビジネスなので、客の満足度を上げることだけを考えていると、コストがかさんで採算が取れなくなってしまうかもしれない。「経理」の項目を見ると、店舗の売上高や費用、営業利益などが詳細に記載されているため、経営方針を決めるための大きなヒントになるだろう。

人件費をケチっているとクレームが届くことも……
売上だけでなく「いかにコストカットするのか」も重要

 とくに最初は資金にかぎりがあるため、“すべてが完璧なコーヒーショップ”を立ち上げることは不可能に近い。まずはどの部分に力を入れるのか、よく考える必要がある。高速の無料Wi-Fiを設置して利便性をよくするのか、ネット広告の出稿によって新たな客層を開拓するのか、はたまたリサイクル容器の導入によってSDGsへのコミットをアピールするのか。経営者としての腕の見せどころだ。

限られた資金で、売上を高める方法を考えるのが序盤の醍醐味

 経営が安定し、運転資金が増えれば、また新たな店舗を出店する元手になるだろう。出店できる地域は東京や大阪、ニューヨーク、ロンドン、パリ、アムステルダム、ローマなど、実在する世界の大都市がズラリ。それぞれリアルに街並みが再現されており、憧れの街に自社チェーンで乗り込んでいく楽しさを味わえる。

東京タワーがそびえたつ東京・港区の周辺
エッフェル塔が存在感を発揮する花の都・パリ

 ただし、気にするべきことはコーヒーの売上だけではない。たとえば各都市では「最低賃金法」が施行されて人件費が増えたり、「男女機会均等法」が施行されて店長の男女比に配慮する必要が出てきたりと、さまざまな政策がビジネスに影響を及ぼしてくる。

 政策の内容は市長の政治理念によって変わってくるのだが、プレーヤーはロビー活動会社を通して、別の候補者が市長選挙で勝つように支援することもできる。経営者たるもの、ビジネスだけでなく社会や政治の動きにも敏感でなければならないというわけだ。

コーヒーショップに大きな影響を及ぼす「砂糖税」
市長選挙は各都市で定期的に行なわれる

 また国ごとに異なるGDP成長率や政策金利など、さまざまなファクターが絡んでくるため、ゲームを続けていくだけでも“経営者ならでは”の世界の見方が身に付いてくるのではないだろうか。

自社の業績だけでなく社会で起きた出来事も新聞でチェック

 ……と、これだけでもよくできたシミュレーションゲームと言えるのだが、「Coffee Inc 2」の真の魅力はさらにこの先に待っている。プレーヤーは経営者として次のステップに上り詰め、より幅広く複雑なビジネス業務に携わっていくことになるのだ。

コーヒーショップの店長から世界有数の経営者へ

 自店舗の運営は必ずしも自分で行なう必要はなく、店長を雇えば、日々の業務を任せることができる。店舗数が増えると、1人ですべてを管理することは難しくなっていくため、事業を拡大していくうえで必要不可欠といってもいい仕組みだ。

店長に与える裁量もプレーヤー側で決められる

 そしてリース物件に自社のオフィスを構えると、もう一歩先の段階へと進むことができる。「人事部」を設置することで、世界中にある店舗の人事を一括してコントロールできるようになるからだ。なお「人事部」では各社員の福祉厚生を充実させることも可能で、厚生年金や健康保険から育児支援、無料ランチに至るまで、リアリティに富んだ選択肢が用意されている。

会社が大きくなったら福利厚生を充実させて社員に還元

 そのほかにも自社ブレンドのコーヒーや新商品を開発する「商品開発部」、自社のアプリケーションを開発する「技術部」など、さまざまな部署を設置できる。ライバル企業に負けないよう、多方面でビジネスを拡大していく作業にはワクワクせざるを得ない。

ホット・アイスドリンクのほか、スイーツや軽食なども開発できる
自社アプリの開発とアップグレードでリピーターを確保

 さらに「取締役フロア」を追加することで、COO(最高執行責任者)やCFO(最高財務責任者)、CPO(最高製品責任者)など、各部署のトップを務める重役を任命できる。彼らに各部署の業務の統括を任せることもできるため、ここまでくると日々の仕事から解放されて悠々自適な生活を送るという選択肢も出てくる。もちろん、「新商品の開発だけはいつまでも自分の目でしっかり管理する」といった現場主義のスタンスを貫くのもプレーヤーの自由だ。

COOがいれば各店舗の管理を丸投げすることもできる

 もう1つの大きな転換点となるのが、企業の上場。いくつかの条件を満たすことで株式を公開できるようになるのだが、これをきっかけに自社に関わる金銭のスケールが一気に大きくなっていく。

上場の条件は「取締役会の設置」、「CFOの任命」、「直近三四半期の純利益をプラス化」、「300,000株以上の発行」

 また株式市場には自社だけでなく、さまざまな銘柄が並んでおり、毎週株価が変動していくシステムとなっている。自由に株の売買を行なえるため、“資産運用ゲーム”として楽しむこともできるだろう。

株式市場では巨額の富が動き続けている

 しかも本作では、個人資産と会社の資産が別物として切り離されている。そのためロールプレイとして、役員報酬や配当金を元手に投資を行ない、“早期リタイア”を目指す……という展望のもとプレイしてみるのも面白そうだ。

リアリティたっぷりの財務諸表

 「いかにして新規事業を成功に導くのか」というシミュレーションをゼロから体験できるゲームとして、本作はかなり解像度が高い。またチュートリアルがほとんど用意されておらず、経営が破綻すれば容赦なくゲームオーバーになるため、トライ&エラーで企業を成長させる方法を模索していく必要があるところも、ほどよく挑戦心を搔き立ててくれる。

現金が底をつくと破産手続きに突入……

 それ以上に本作の魅力を支えているのは、何といっても“数字”の作り込みだ。ゲーム内では週間業績や店舗損益計算書、株価などのデータが、ことごとくリアルに表示される。さらに極めつけは、オフィスの「経理部」で閲覧できる損益計算書と貸借対照表、キャッシュフロー計算書という財務諸表のデータだろう。

 そこには自社の財務状況がこれ以上なく克明に記されており、「費用に占める人件費の割合はどれほどなのか」「今の会社の純資産はどれくらいあるのか」などを手に取るように把握できる。多くのビジネスマンがSNS上で本作に反応しているのは、こうした作り込みの深さがもっとも大きな理由ではないだろうか。

会社の業績を判断するために重要な「財務三表」

 またビジネスに関する知識がないゲーマーにとっても、いろいろな学びを得られる機会になるはずだ。たとえば財務諸表は、一見難しい数字の羅列に見えるかもしれないが、本作では自分の選択やゲーム内の出来事がすべての数字に反映されているため、そこに何が書かれているのか理解しやすい。そのため「店舗を経営する時の費用の内訳」や「売上高と営業利益、純利益はどう違うのか」などの知識を、ゲームを通して楽しく吸収していくことができる。

 ちなみに本作の要素はこれだけではなく、アプリ内課金として、各300円の「不動産ビジネス拡張パック」や「スポーツビジネス拡張パック」、「オークション拡張パック」なども用意されている。さらなるビジネスの奥深さを味わいたい人にはうってつけだ。

 ゲーマーでもビジネスマンでも没入できる「Coffee Inc 2」の世界。ビジネスのいろはをカジュアルに学びつつ、“コーヒーチェーンの世界一”を目指してみてほしい。

各都市ではさまざまな不動産が売りに出されている
新進気鋭のベンチャー企業の情報も入ってくる