【特別企画】
まだまだ埋もれていた良作が! 「イーグレットツー ミニ アーケードメモリーズ VOL.2」全タイトルレポート
2023年12月20日 00:00
- 【イーグレットツー ミニ アーケードメモリーズ VOL.2】
- 12月21日 発売予定
- 価格:8,778円
タイトーは、懐かしのアーケードゲーム10タイトルを収録した「イーグレットツー ミニ」専用SDカード「アーケードメモリーズ VOL.2」を12月21日に発売する。
本作は2022年に同社が発売した、「スペースインベーダー」をはじめとする歴代のアーケードゲーム40タイトルを収録した復刻ゲーム機「イーグレットツー ミニ」専用の追加タイトルを収録したSDカード。「イーグレットツー ミニ」本体とセットになった「イーグレットツー ミニ+イーグレットツー ミニ アーケードメモリーズ VOL.2」と、アナログスティックとスロットルを搭載したコントローラー「サイバースティック」を同梱した「イーグレットツー ミニ アーケードメモリーズ VOL.2 + サイバースティックセット」も、8月から予約販売が始まっている。
収録タイトルは、1985~1995年にかけて発売された以下の全10作品。特典として全32ページの攻略本「電撃 TAITO STATION VOLUME 3」、本体上部の装飾用アイテムである「インストラクションカード ミニ」、タイトー70周年記念ステッカーが同梱されている。
<「アーケードメモリーズ VOL.2」収録タイトル>
以下、本作に収録された全10タイトルの特徴や見どころを、筆者がざっとプレイして気付いたことなども加味したうえで、一挙まとめてお伝えしよう。読者の皆さんのご参考となれば幸いだ。
なお本稿では、別売りのサイバースティックは使用せず、すべて「イーグレットツー ミニ」本体のレバーとボタンを使用したうえで執筆していることを、あらかじめお断りしておく。
全10タイトルレビュー:初移植&レアタイトルにも要注目!
「リターンオブザインベーダー」(1985年)
超有名タイトル「スペースインベーダー」をリメイクしたシューティングゲーム。左右2方向のみ移動する自機を操作して、ビームで敵を倒していく。敵のインベーダーはカニ歩きだけはなく、時には曲線的に動いたり、体当たり攻撃を仕掛けたりすることもある。ときどき出現する元祖「スペースインベーダー」のUFOにあたる敵を破壊すると、ビームの連射効率がアップしたり、ビームの威力が増すパワーアップアイテムを入手することも可能だ。
敵軍を全滅させればステージクリアとなる基本ルールは同じだが、「ZICON」と呼ばれる敵を3つ以上残した状態でクリアするとチャレンジステージへと移行し、マザーシップを倒すと高得点ボーナスが獲得できる、ユニークなアイデアを取り入れている。また急所の中心を狙わないとビームを跳ね返す「レガード」がしばしば出現するなど、単にショットを連射するだけでなく、敵を倒す順番やタイミングなど、撃ち方を工夫しながらプレイする戦略性が存在するのが本作の面白いところだ。
「ワイバーンF-0」(1985年)
本作の元祖アーケ―ド版は、ハーフミラーを利用して2台のモニターの映像を1画面に合成する専用筐体を使用してプレイする、斬新なアイデアを導入していた縦スクロールシューティングゲームである。
実は筆者、本作はゲームセンターでプレイしたこともなければ、筐体そのものを見たこともまったくない。筆者が本作の存在を初めて知ったのは、1987年にアルファレコードが発売したゲーム音楽アルバム「タイトー・ゲーム・ミュージック」で、BGMは知っていてもゲームの中身は久しく知らなかった。今も昔も、プレイヤー仲間や同業者に話を聞いても、本作は遊んだ経験を持つ人が極めて少ない、まさに幻の作品である。
元祖アーケード版は、映像の合成により自機が浮いているように見える立体感のあるビジュアルが大きな特徴だったが、ハーフミラーのない「イーグレットツーミニ」版では、おそらくその完全再現はできていないと思われる。とはいえ自機、敵機ともに高低差で見える影を表現したり、対空と対地の2種類のショットを使い分けて敵を倒していく楽しさはきちんと再現されている。
自機が画面最上部にいるときに、レバーを上方向に入力するとスクロールが加速し、逆に最下部で下に入力すると減速するのも本作の面白いところ。さらにゲージが満タンのときに「転回」ボタンを押すと、自機が反転して逆方向にスクロールするすることも可能。「転回」を利用すれば、特定の地点に対地ショットを当てると出現するアイテム類を、一度取り逃しても再び獲得できるチャンスが得られる、実に素晴らしいアイデアだ。
「ワードナの森」(1987年)
レバーとショット、ジャンプボタンで主人公の少年を操作し、魔法の炎で敵を倒したり、数々の障害物をかわしながら全5ステージクリアを目指す、任意スクロール方式のアクションゲーム。開発は「究極タイガー」、「TATSUJIN」など、本体に収録されている数々のシューティングゲームを手掛けたことでも有名な東亜プランが担当している。
初期状態の主人公は炎を単発でしか撃てないが、敵を倒すと出現する丸型のアイテムを取り続けていると、最高8連射までパワーアップする。主人公は、どんな攻撃でも一発当たるだけでミスになってしまうが、パワーアップはリセットされず、直前の状態を維持した状態でリスタートする。マップ上に配置された宝箱や、敵がドロップしたドル袋を取って所持金を集め、ショップでさまざまなアイテムを購入することでも主人公がパワーアップする。特に、敵の攻撃を防ぐ効果を持つ「マント」と、壊れた「マント」を一度だけ修復する効果を持つ「針と糸」は、持っておくととても役に立つ。
主人公も敵キャラクターもデザインはコミカルだが、ジャンプのタイミングや軌道を少しでも間違えると即ミスになってしまう場所が非常に多く、本作は見た目とは裏腹にかなりハードなゲームだ。だが、本作を遊ぶことで敵の倒し方、あるいは障害物の避け方を少しずつパターン化しながら先に進んでいく、いかにも80年代に登場したアーケードゲームならではの楽しさが存分に堪能できることだろう。
「オペレーションウルフ」(1987年)
元祖アーケード版は、ガンコントローラー付きの専用筐体を使用して発売された一人称視点のガンシューティングゲーム。あくまで筆者の私見だが、数あるアーケード用ガンシューティングゲームの中でも指折りの傑作である、本作の移植が久々に実現したのは本当に喜ばしい。
トリガー(ボタン)を押すとフルオートで連射するマシンガンと、単発だがヘリや装甲車をあっという間に破壊できる、強力なロケット弾で敵を倒す爽快感の高さに加え、うっかり撃ってしまうとプレイヤーのライフが減る民間人や人質への誤射を避けたり、思わぬタイミングで至近距離から敵兵が突然現れたりする演出も実に面白い。
「イーグレットツーミニ」版では、ガンコントローラーの代わりにレバーとボタンで操作することになるが、もし思ったように操作できない場合は、ゲーム設定から「レバー調整」を選択し、全5段階の中から好みのスピード(※照準の移動スピード)を選んだうえでプレイすることをおすすめする。また照準の上下移動は、初期設定でレバーを上に入力すると下に、上に入力すると下に動く「REVERSE」に設定されているので、こちらもプレイしにくい場合は「NORMAL」に設定を変更するといい。
本作は、本来はガンコントローラーで遊ぶゲームなので、本体のレバーとボタンで操作するのは違和感があるかもしれない。もし違和感がある場合は別売り、または同梱版でサイバースティックを購入したうえでプレイするといいだろう。
「特殊部隊U.A.G.」(1987年)
バイクに乗った主人公を操作して、ショットと援護爆撃(ボム)で敵を倒していく縦スクロールシューティングゲーム。本作も今回が初の移植で、前述の「ワイバーンF-0」と同じく、筆者は発売当時からゲームセンターで見た記憶も、プレイヤー仲間の間で話題になった記憶もない、非常にレアな作品であると言えよう。
本作ならではの特徴は、特定の位置、または街路樹や建物などを破壊すると出現するサイドカーを装着することで、主人公の攻撃力がアップすること。サイドカーは最大で左右2台まで装着が可能で、その種類によって正面、または左右いずれかにショットを発射することができる。サイドカーは敵弾に当たると破壊されてしまうが、主人公を守るバリアとして使えるメリットもあるので、敵キャラ以外にも街路樹などの障害物もなるべく破壊しておき、いつでもサイドカーを補充できるようにしながらプレイするといいだろう。
主人公が戦車などの敵や敵弾に当たるとミスになるが、敵兵には触れてもミスにならず、逆にバイクで体当たりをすることで敵兵を倒せるのも本作の面白いところ。援護爆撃は、ボタンを押すと上空に味方の爆撃機が出現し、強力な爆弾攻撃で敵を一掃できるだけでなく、ボタンを押した瞬間に画面内の敵弾を消す効果もあるので、敵に囲まれてピンチになったときは実にありがたい存在だ。
主人公のショット、および緑色のサイドカーのショットは、いずれも射程がやや短いため、遠く離れた敵にはいくら撃っても届かない点には注意したい。どうしても射程が気になるのであれば、より射程の長いオレンジ色のサイドカーを優先して取るといい。
また本作は、コンティニューすると既定の位置に戻されてから再開するが、2人同時プレイの場合はコンティニュー時もその場で復活ができるので、なかなか先へ進めない場合は2人でプレイ遊ぶのがオススメだ(※ただし、2人同時にゲームオーバーになった場合は、コンティニュー時に既定の位置まで戻される)。
「中華大仙」(1988年)
主人公の仙人マイケル・チェンを操作して、ショットと法術で敵を倒していく横スクロールシューティングゲーム。文字どおり中華風の世界観が特徴で、黄河や万里の長城などを舞台に、シューマイやラーメン、餃子などユニークなデザインの敵キャラが多数出現し、ステージの最後には、これまた独創的なデザインの巨大なボスキャラが登場する。
シューマイや餃子など特定の敵編隊を全滅させると、「速(マイケルの移動速度アップ)」、「力(ショットのパワーアップ)」、「強(ショットの2段階パワーアップ)」、「連(オート連射)」、「命(1UP)」のいずれかのアイテムが出現する。さらに中ボスを倒すと出現する秘密の扉に入ると、4種類のうちいずれかの法術を獲得することができる。法術には、炎が四方に飛ぶ「炎四宝」や、マイケルの分身が7体飛び出す「分身」など全13種類の法術があり、いずれも強力かつ連射しまくると実に気持ちがいいものばかりだ。
筆者の私見になるが、本作はマイケルの当たり判定がやや大きめで、ミスをすると規定の位置に戻ってから再開することもあり、けっして簡単なゲームではない。とはいえ、アイテムを取り続けるとショットの発射弾数や攻撃範囲がどんどん増し、特に通常ショットが障害物を貫通するウェーブに変化すると、ザコ敵を次々となぎ倒せるようになるので実に快感だ。
「ナイトストライカー」(1989年)
1989年に発売された、専用筐体を使用した3Dシューティングゲーム。高速でマップや障害物が動くスピード感と、その名のとおり夜景を描いたビジュアルの美しさが特徴で、自機の高速戦闘ホバー「インターグレイ」は、敵や敵障害物に触れるとシールド(ライフ)が減り、シールドがゼロのときにダメージを受けると破壊されてゲームオーバーとなる。
「イーグレットツーミニ」版でも、本作のスピード感と美しいビジュアル、サウンドがバッチリ楽しめる。ショットを連射しまくり敵を倒す快感に加え、「インターグレイ」に向かってホーミングする敵弾を紙一重で避けたり、狭い通路で障害物をかわしていく快感は、何度遊んでも飽きることがない。本作は「ダライアス」シリーズと同様に、ステージをクリアするごとにルートが2つに分岐するので、1度クリアした後も全ゾーン制覇を目指して繰り返し遊べるのも大きな魅力のひとつだ。
「イーグレットツーミニ」版では、超高速でショットが撃てる、連射ボタンが標準搭載されているのも実に嬉しい。なお本作は、元々アナログスティックで操作するゲームゆえ、「イーグレットツー ミニ」のレバーとボタンでの操作に違和感がある人も中にはいるかもしれない。どうしてもレバーとボタン操作になじめない場合は、「オペレーションウルフ」と同様にサイバースティックを使用するといいだろう。
「クライムシティ」(1989年)
刑事である主人公のトニー(2Pはレイモンド)を操作して、ガンまたは回転アタックで敵を倒していくアクションゲーム。「ワイバーンF-0」などと同様に初移植となるタイトルであり、こちらも今回の目玉のひとつであると言えるだろう。
本作の特徴は、敵が放った銃弾に当たると即ミスとなってしまうが、体当たりなどを受けた場合はライフが1個ずつ減るだけで即死にはならないこと。銃撃だけでなく、空中またはしゃがんでいる最中に繰り出せる、回転アタックで敵を倒せる(またはダメージを与えられる)のも面白いアイデアだ。
またトニーは、至近距離にいる敵を攻撃すると、自動で銃の代わりにパンチを繰り出す特徴を持つ。これを利用して、弾数に制限のあるガンを温存する戦略を立てつつプレーするのも、なかなかどうして面白い。2面の前半など、着地に失敗すると即ミスになる場面も登場するので、銃だけでなくジャンプ操作のテクニックも少なからず要求される。
「ゆうゆのクイズでGO!GO!」(1990年)
当時の人気バラエティアイドルで、タイトーのCMにも出演していた、ゆうゆ(岩井由紀子)が司会者として登場するクイズゲーム。1問につき10秒以内に4択クイズに解答し、1分間で一定以上の正解率を上回ればステージクリアとなる。ステージ間では、正解率のノルマを下げる効果を持つ「ゾウフトール」などのお助けアイテムが手に入る、数々のユニークなボーナスゲームも遊べる。
1分間の長短的決戦によるスリリングな展開に加え、正解「数」ではなく「率」を競うルールにしたことで、より得点を稼ぐためには、いかに短時間で多くの問題に正解できるかが問われるところに、本作ならではの面白さがある。後半のステージをクリアするためには、80パーセントを超える高い正解率が必要となるが、収録された問題数は全11ジャンルで1万問ではあるが、繰り返し練習すれば1コインクリアは十分に可能だ。
MC役で登場するゆうゆは、ステージ開始時に本作のタイトルコールをするだけでなく、解答時に「正解!」、「ブブー!」などとしゃべったり、ステージクリアに失敗すると「アッタマ悪いんじゃな~い?」とプレイヤーの奮起を促すセリフをしゃべることもある。場面によっては、ゆうゆがちょんまげや着物、サリー姿で登場し、プレイヤーの目を楽しませてくれる。
「究極タイガーII」(1995年)
1987年に発売された「究極タイガー」の続編にあたる、自機のヘリを操作してショットとボンバーで敵を倒していく縦スクロールシューティングゲーム。前作からパワーアップシステムなどが大幅にアレンジされ、新たに2人同時プレイも可能になっている。
自機のショットは、赤色のパワーアップアイテムを取ると前方集中型のレッドファング、青色は拡散型のブルースマッシャー、緑色は正面のショットとホーミング弾を放つサンダークロウ(※2Pの場合は正面にショットを放ち、命中すると周囲に稲妻が発生するビンチョウレーザーになる)に装備が変化する。レッドファングかブルースマッシャーを装備中は、ショットボタンを素早く連打することでショットの威力が増すのも本作ならではの特徴だ。幸いなことに、「イーグレットツー ミニ」版には連射ボタンが標準搭載されていので、その恩恵を存分に受けつつゲームが楽しめる。
ボムを発射した瞬間に自機は無敵状態になり、しばらくの間は敵の攻撃を一切気にせず反撃することができるのも嬉しいところ。また、ボムのストックが6個以上の状態で発射すると、より強力なハイパーボムとなり、周囲の敵にまとめて大ダメージを与えることができるので実に快感だ。ぜひお試しあれ!
まだまだあった良作の数々。「VOL.3」にも期待
筆者が「VOL.2」の全収録タイトルをプレイして改めて思ったのは、まだまだ歴史の彼方に埋もれていた良作が存在することである。特に「ワイバーンF-0」は生まれて初めて見た作品だが、今から38年も前に発売されたとは思えないほどカッコよく、かつ面白かったので本当に驚かされた。契約の手間や採算性の問題などがあることから、総じて移植されにくい印象がある、いわゆる版権モノの移植を実現、すなわち「ゆうゆのクイズでGO!GO!」を収録したことも嬉しいサプライズであった。
前述したように、「ワードナの森」は東亜プランが開発したタイトルだが、実はほかにもタイトーが外注した作品がある。セタが開発した「特殊部隊U.A.G.」と、ホット・ビィが開発した「中華大仙」がこれに該当する。「イーグレットツー ミニ」の発売当初から、引き続き同社の外注、あるいは販売のみ手掛けたタイトルの移植を続けることで、本機の楽しさの幅を広げている点も高く評価したいところだ。
「VOL.2」のラインナップは、次回以降もレアタイトルの移植だけででなく「タイトー内製以外のタイトルもどんどん追加されるのでは?」と、ファンの期待が大いに高まるよう、開発スタッフが意図して選んだように思えてならない。まだ気の早い話だが、先日まで公式サイトで実施されていた「収録希望ゲームアンケート」の結果を踏まえ、いずれ発表されるであろう「VOL.3」のラインナップも今から本当に楽しみだ。
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