【特別企画】
残暑はアニメ三昧で乗り切る! 夏休みに観たい“夏っぽいアニメ”3選
2023年8月14日 00:00
大御所も、声優・アーティストの草分けも、メジャー製作会社も……若さが眩しい「ニニンがシノブ伝」
「ニニンがシノブ伝」は、古賀亮一氏が「月刊コミック電撃大王」で2000年8月号~2006年3月号まで連載したコミックを原作に、2004年7月~9月まで放送されたTVアニメ。連載開始20周年にあたる2022年には、記念のBD-BOXが発売された。
下ネタ満載のドタバタギャグストーリー&キャラクター紹介
ある日の夜、期末試験前日の女子高生・楓(かえで)の部屋に突如、くのいちの忍(シノブ)が侵入する。忍者学校に通う見習いの忍(シノブ)は、エッチな頭領の指令で「女子高生のパンティ」を奪取するためにやってきたのだった。謎の鷹、音速丸の助けもあって無事パンティを手に入れた忍は、楓と仲良くなり、妹の雅(ミヤビ)や忍者たちと共に下ネタ満載のドタバタな日々を過ごしていくこととなる。
導入部から下ネタ満載のハイテンションギャグアニメとなっている本作で、ドタバタコメディを演じるのが水樹奈々さんを初めとする豪華声優陣である。
主人公・シノブは、忍者学園「い組」所属のくのいち。未熟さ故に腕だけが増えるホラーな分身の術や、脅威の身体能力を誇るが、天然な面もある。
声を務めた水樹奈々さんは、当時24歳で、同年9月放送開始の「魔法少女リリカルなのは」フェイト・テスタロッサ役で大ブレイクを果たし、翌年には声優・アーティストとして日本武道館でのライブを成功させた。
ブレイク直前となる助走期間の締めくくりがこのシノブ役である。百合描写に定評のある原作者・古賀亮一氏だけに、楓にガチ恋をしているいう描写も多く、声優ファン、百合萌え必見なのが本作である。
筆者は本稿執筆に当たって配信で作品を見返していたところ、「嵐にしやがれの人の声だ」と、特にアニメファンではない筆者の妻が気付いたのが、謎の鷹・音速丸を演じていた若本規夫さんの声である。ハードボイルド風でありながらギャグ調に節をつける、独特の言い回しでバラエティ番組のナレーションを担当することも多い若本規夫さんだが、以前は外画の吹き替えを多く務める堅実な声優だった。50歳を機に一念発起して現在に繋がる様式を確立したのが音速丸なのである。
下ネタ満載の言動で周囲をドタバタに巻き込むが、時折、忍の総領の顔を覗かせるのはまさに“若本節”。所属する声優事務所「シグマセブン」の後輩だった水樹奈々さんとの丁々発止の軽快な掛け合いが、下ネタでありながら不快な印象になることなく、笑えるのだ。
また、シノブの妹役で釘宮理恵さんがツンデレ幼女を演じ、忍者2役として小野Dと呼ばれる前の若き小野大輔さんがレギュラー出演しているのも声優ファンには見逃せないポイントとなっている。
夏に観たい理由と本作の魅力
物語は春から春への1年間が舞台だが、ABパートで異なるエピソード2話の組み合わせで1回となっており、12分の短い時間で笑いながら気楽に見進めていけるので暑い夏にぴったりだ。
特に夏のエピソードである第5話で、水樹奈々さんによる「シノブ音頭」が流れるBパート「忍者、夏祭りを行う」が夏にオススメしたい理由である。
「魔法少女リリカルなのは」ではOPを担当するなど、出演作のタイアップソングを数多く歌っている水樹奈々さんだが、本作ではOP/ED共に歌唱していない中、唯一劇中歌「シノブ音頭」を歌っており、サウンドトラック「『ニニンがシノブ伝』サウンドトラック&ソングス」に収録されている。
美空ひばりさんを目指して上京してきた水樹奈々さんは、声優・アーティストでのデビューに際してそれまで鍛錬してきたこぶしを利かせた歌謡曲らしい歌い方を封印していた時期があり、「シノブ音頭」もそこに該当する。
今では高BPMのハイテンポな曲にかつて培った歌謡曲の歌唱法も採り入れて独自のアーティスト性を確立した水樹奈々さんだが、本作ではポップな歌い方で爽やかに「音頭」を唄っているのだ。
9年後、2013年の「戦姫絶唱シンフォギアG」の劇中歌「恋の桶狭間」では昭和歌謡そのもののこぶしを回した歌唱を披露しているだけに、非常に新鮮である。あまり聴くことがない「シノブ音頭」が流れる本作、是非、音頭の季節に見てほしい。
声優陣による掛け合いが大きな魅力の本作だが、今や「鬼滅の刃」で世界的に有名なアニメーション制作スタジオとなった「ユーフォーテーブル」が製作しているという点も、アニメファンにとっては注目すべきポイントである。
現在公式サイトでは2005年以前の作品が割愛されているが、近藤光代表が製作プロデューサーとしてクレジットされており、前述の第5話も「鬼滅の刃」の外崎春雄氏が絵コンテなどを担当している。
同社のスタッフの名前をOPとEDクレジットで探してみるのも、本作の楽しみの1つだろう。