【特別企画】

10周年を迎えるセガNET麻雀ゲーム「MJ」、新コンテンツ「役姫」の秘密などをプロデューサーに聞く!

そして、11年目に向け「MJ」の今後の展開とは?

7月18日 「役姫」実装

 2013年7月25日に配信を開始して以来、現在までに累計1,400万ダウンロードを超える絶大な人気を誇る、セガのネットワーク対戦麻雀ゲーム「MJ」シリーズが今月で10周年の節目を迎えた。2002年9月に稼働を開始した、アーケード版「四人打ち麻雀MJ」(現在も後継作の「MJ ARCADE」が稼働中)まで含めると、実に20年以上も多くのプレーヤーに愛され続けているのは驚異的だ。

 現在までに、各社から数え切れないほどの麻雀ゲームがリリースされる中で、なぜこれほどまでに「MJ」は人気を維持できるのか? そして、サービスインから11年目に突入した本作は、今後どのような新サービスやイベントを実施するのか? 本作のプロデューサーを務める、セガの吉田一馬氏にお話を聞いてみた。

「MJ」のプロデューサーを務めるセガの吉田一馬氏にお話を伺った
【セガNET麻雀MJモバイル「10周年」直前生放送!【セガNET麻雀MJ】】

ベテランも若手プレーヤーも楽しめる新コンテンツが続々登場

――今月でサービス10周年を迎えた「MJ」の人気の秘密から伺いたいのですが、10年にわたり多くのプレーヤーから支持されている理由は何だと思われますか?

吉田プロデューサー:モバイル版で10周年を迎えられた背景には、20年以上も続いているアーケード版「MJ ARCADE」の存在があります。モバイル版のサービスを開始したときに、ちょうど10周年だったアーケード版がすでにあった、そういった意味で「MJ」は完全新作ではなく、10年にわたりアーケード版を支持していただいたお客様が存在していたことが大きかったですね。

 10年前は、まさにスマートフォン用のゲームが多くリリースされ始めた時期です。麻雀ゲームもいろいろと出始めていた中で、我々が作った「MJ」を選んでプレイしていただいて本当に感謝しています。

――7月10日にYouTubeで配信された「10周年直前生放送」では、さまざまな記念イベントなどの開催が発表されましたが、その内容を改めて教えて下さい。

吉田プロデューサー:お陰様で今月で10周年を迎えることができましたので、何か皆様に喜んでいただける、あるいは驚いていただけるようなものができないかと考えて、今回いろいろな企画をご用意いたしました。

 「MJ」と言えば、やはり実況・解説を聞きながら麻雀を楽しめるのが1番面白いところだと思いますが、最近はこちらの更新を実施していませんでした。そこで、5年前から始まったMリーグで人気を集めている方々を我々のほうでも起用したいと考えました。そこで、10周年企画の大きな目玉として、実況に松嶋 桃さんと浅見真紀さん、解説に渋川難波さんと河野直也さんのボイスを新たに追加することにしました。

Mリーグで人気を集めている方々を中心に実況・解説を追加

 もうひとつの目玉は、特に若いプレーヤーに楽しんでいただくためのコンテンツとして「役姫」という女性キャラクターを導入することです。「MJ」でお客様アンケートを実施すると、年齢が上の方々には支持されている一方で、若いプレーヤーは少ない状況が続いていました。その結果から、そもそも若い方々は麻雀に興味がないのではないかと思い、取り込むのは諦めて既存のプレーヤーの皆様向けのコンテンツばかりを作っていた時期がありました。

 ですが、最近はMリーグやVTuberの方達の配信を見ていると、麻雀に興味がある人と若い人たちの好きなコンテンツとのつながりから、実は若い人の中にも麻雀好きがいるのではないかとあるとき思ったんです。これがヒントになって、昔ならではのUIで個性が強いキャラクターがすでに存在している「MJ」にあって、若い人にアプローチする新コンテンツとして可愛らしくてとっつきやすいキャラクターを出してみようと思い付き、全部で41種類の役を擬人化した「役姫」を登場させることにしました。

7月18日より実装となった、麻雀の役をモチーフとした女性キャラ「役姫」。大きな話題となった

――「役姫」は現在、ドラ、タンヤオ、ピンフの3人のデザインが公開されていますが、どうすれば入手できるのでしょうか?

吉田プロデューサー:「役姫」ごとに3話構成のシナリオがありまして、第1話が文章での会話で、2話のCPU戦に勝つと第3話に進み、ここで話が合えば「役姫」を1人ずつ入手することができます。

――「役姫」には育成の要素もあり、成長させるといろいろ演出が変わるそうですね。

吉田プロデューサー:はい。育成は対人戦と、シナリオをプレイする方法の2種類があります。対人戦では、例えばピンフちゃんがいる状態でピンフの手をアガると手に入る、輝石(きせき)を集めることで「役姫」のレベルが上がる仕組みです。

 シナリオでは、CPU戦に1度勝つと次回以降は輝石を獲得するためのクエストに切り替わりますので、こちらでも「役姫」の育成が可能です。「役姫」のレベルがアップすると、「ツン」が「デレ」に変わるようなイメージでボイスが新しくなり、さらに服装や装備がだんだんしっかりしたものに変わる演出もあります。

【ドラ CV:種﨑敦美】
ドラです! 一人前になれるように、一生懸命がんばりますっ!
【断幺(タンヤオ)CV:花守ゆみり】
やあやあ、断幺(タンヤオ)さんですよ~。できればみ~んな仲良く、ゆる~くがんばってこ~。
【平和(ピンフ)CV:高橋李依】
平和(ピンフ)と申します。規則正しく公正に、そして基本に忠実にまいりましょう。

――「役姫」を育てるほど、対局中にいい牌がツモりやすくなるとか、あるいはアガりやすくなるみたいな効果があるのでしょうか?

吉田プロデューサー:いいえ。麻雀の技術には一切関与しません。「MJ」では、麻雀は麻雀だけの領域であると決めていますので、対局中は「役姫」が「ポン」とか「チー」とかしゃべるような演出もありません。「役姫」は、アガリが出たときのリザルト画面……例えば立直してアガったときはリーチちゃんが「立直」としゃべり、1発でアガると「イッパツ」ちゃんが「一発」としゃべるようになりますので、たくさんの「役姫」を集めておけば、役の読み上げを全部「役姫」のボイスにすることができます。

――対局中に関与しないとはいえ、今までの「MJ」ではあり得なかった斬新な演出ですね。その「役姫」を登場させるにあたり、特に勝負にこだわる既存のプレーヤーから「もし反対意見がたくさん出たらどうしよう」などと不安はありませんでしたか?

吉田プロデューサー:そこは我々も心配していたところでした。先日の配信後にSNSなどの反応を見ていますと「いらないよ」という声も確かにあったのですが、「役姫」の演出はオン、オフの切り替えができるようにしてありますので、ご心配はいりません。

 「役姫」はかなり豪華に作り込んでいますので、本当はオフにする機能を付けなくてもいいのかなと考えもしたのですが、今までずっと遊んでいただいていたお客様に「やらないよ」と思われてしまっては申し訳ないと思い、オフに設定すればリザルト画面でもボイスが流れず、以前とまったく同じ状態で遊べるようにしました。麻雀の邪魔をしないように、使いたい人だけが使えるようにしたということですね。

「役姫」のリザルト画面。取得した役姫の一覧をはじめ、それぞれ役姫のグラフィックスを大きく表示することもできる

――「役姫」の声優さんの配役は、どのようにして決めたのでしょうか?

吉田プロデューサー:先日の配信で、3人の声優さん(ドラのボイスは種﨑敦美さん、タンヤオは花守ゆみりさん、ピンフは高橋李依さん)を発表させていただきましたが、皆さんアニメ番組では主役級の方々ばかりです。

 まだ具体的に発表はできないのですが、声優事務所さんに「41人分のボイスを録りたい」とご提案をさせていただいたうえで、ほかのキャラクターの配役や収録、それからキャラクターのデザインとクエストの制作も並行して力を入れて作っています。

――各キャラクターをデザインするにあたり、特に苦労したのはどんなところでしょうか?

吉田プロデューサー:これは私自身の苦労話になりますが、開発スタッフ全員が「こういうものが作りたかった!」とテンションがすごく高くて、率先してどんどん作り込んでしまうので「完成まで時間が掛かり過ぎないよう、早めに作るように」とみんなにお願いして回ったことですね。

 実は、当初は「役姫」ごとにそれぞれ武器を持ったデザインになっていました。麻雀なので、戦うイメージがあるのは確かにそのとおりなのですが、みんな愛情が強過ぎるせいで、任せておくと後から後からいろいろなものを作り込んでしまうんですよ(笑)。

 お客様にいいものをお出ししようと一生懸命こだわって作りましたので、クオリティはかなり高いものができたと思っています。豪華な声優陣を選び、シナリオもセガのスマートフォン用ゲームでシナリオを作っているスタッフを起用したので、開発費用もボリュームも非常に大きなものになりましたね。会社に申請した際に「これで『MJ』とは別のゲームを1本作ったら?」と、上の人間から言われたぐらいですから。

育成要素もあり、遊んで行くほどに育っていき、グラフィックスやボイスの内容などが変化していく

――「役姫」たちのシナリオや性格も、それぞれの役にちなんだ設定になっているのでしょうか?

吉田プロデューサー:仰るとおりです。例えば、一気通貫のイッキツーカンちゃんであれば一本筋を通したような性格になっています。シナリオも「あ、この『役姫』を獲得すると、この役はこういう意味があるんだ」ということがわかるように、進めていくうちに女の子の性格や役の特徴が何となく読み取れるようになっているのが面白いところだと思います。

――「役姫」のシナリオを作るにあたり、特に工夫したところ、または苦労したことは何かありますか?

吉田プロデューサー:麻雀に詳しいスタッフが多いので、スタッフ間では「こういう麻雀用語を使って、こういう話にすれば『あ、そうきたか!』」とバックボーンが伝わります。ですが、私のほうから麻雀にあまり詳しくないプレーヤーでも楽しめるように工夫してほしいと伝えました。麻雀の役は誰でも知っている前提で作るのはやめて、役を知らなくてもシナリオやクエストを楽しめるようにするのが、「役姫」のシナリオ作りで1番苦労したところです。

 もしイッキツーカンちゃんのシナリオを作るのであれば、最初に「一気通貫という役はどんなものか」を頭に入れたうえで、そこから始めるようにしようと。シナリオには、役の漢字をもじった文章を出すようにして、役の意味と内容を知っていると「ああ、そういうことか」と、すごく面白くなる作りにしてあります。さらに、似通った役同士の「役姫」たちが、姉妹関係で登場するシナリオもありますのでご期待ください。

――ナルホド。単に女の子のキャラクターを追加するのではなく、本作を通じて特に若い麻雀プレーヤーの人口を増やしたいお考えがあるんですね。

吉田プロデューサー:そうですね。掛け算の九九のように、「役姫」の性格やシナリオが役の覚え方にもつながればというイメージです。麻雀に詳しいプレーヤーであれば思わずクスっと笑えるような、役に関するしゃれたセリフやシナリオを作ってあります。麻雀に初めて興味を持った人が、いきなり雀荘に出掛けるのはかなり抵抗があると思いますし、最初のうちは点数計算も難しいと思いますので、我々の「MJ」が麻雀人口を増やすハブ役になれたらいいなとも思っています。

凝りに凝ったシナリオが、役姫ごとに用意されている。もちろんそれぞれの役姫の性格に沿ったシナリオが用意されており、麻雀を知っていればより楽しめるようになっている

――ちなみに、4人目以降の「役姫」の追加配信は、いつ頃を予定されていますか?

吉田プロデューサー:具体的にいつ、誰を出すのかまでは決まっていませんので、これから順次発表させていただく予定です。私としては、状況にもよりますが今期中(来年の3月まで)には全員出せればと思っています。

【セガNET麻雀「MJ」2023年7月18日「役姫」登場!】

今後のイベント開催と展望と運営方針。11年目に突入した「MJ」が目指すものとは?

――先程、雀荘のお話がありましたが、ちょうど今月の30日に公式オフラインイベント「リアルでプロと対戦しよう!」の実施が予定されていますよね?

吉田プロデューサー:はい。雀荘を貸し切りにして、お呼びした女流プロ雀士と9人の「MJ」プレーヤーの方が最新の全自動卓の上にiPadを置いて「MJ」で対局するイベントになっています(本イベントの募集は7月10日に締め切られているので、今から応募しても間に合わないのであしからず……)。会場には9台の卓を用意して、毎回すべての卓に1人ずつプロ雀士に入っていただき、実況は河野プロ、解説は醍醐大プロが務めます。こちらのイベントも、後日YouTubeで配信する予定です。

――今月10日の配信では「『MJ』10周年10大トピックス」と題して、今後もさまざまなイベントが実施されることが発表されました。ファンの皆さんの反応はいかがでしたか?

吉田プロデューサー::Mリーガーの豪華メンバーが集まったことで「嬉しい」との反響をたくさんただきました。ここは我々も自信があったところですね。7月30日のオフラインイベントのほかにも、7月25日にはMリーガーの皆さんが登場する「10周年記念大会」を配信しますし、8月20日には「MJ」の上位2名のプレーヤーがMリーガーと対局できる「『MJ杯』10周年記念 最強決定戦」も開催予定で、これらのイベントも「見たい」、「楽しみ」といった声も多くて、本当に嬉しかったですね。もしかしたら「MJ」では、「リアルでプロと打つことに対する需要がないかのかな?」と正直心配もあったのですが、皆さんからの評判が良かったので安心しました。

 あくまで私の個人的な考えですが、これを機に「MJ」では今まで実施していなかった、強豪プレーヤーとプロ雀士が対局する最強決定戦をどんどんやっていけたら、と思っています。

公式オフイベントが7月30日に開催される。リアルイベントへの参加募集は終了しているが、当日の様子は生中継で配信される

――7月25日でサービス開始から10周年、そして11年目に突入しますが、今後は「MJ」をどのような形で運営したいとお考えですか? 差し支えのない範囲で教えてください。

吉田プロデューサー:まだスタッフとの調整はこれからですが、まずは「役姫」がお客様にどのように受け止められるかを参考にしつつ、もっとキャラクターをカスタマイズできるようにするなど、バージョンアップさせることも考えています。もしカスタマイズの必要がないようであれば、また何か新しい方向を目指すべきか、いろいろと見極めたうえで決めたいなと思います。

 今後も11年、12年と運営を続けるうえでは、現在の「MJ」には存在しないコミュニティの要素を何か追加するべきなのか、それとも今のままでいいのかを検討していきたいですね。

 私は今までに、複数のモバイルゲームでプロデューサーを務めてきましたが、モバイルゲームの世界ではよくあるギルドやチームのような、麻雀ゲームであれば団体戦やチーム戦みたいなものが来年辺りでできないかと構想を練っているところです。

 こちらも私個人の考えで、まだ仕様書を作っていない段階ですが、それはお客様が本当に望んでんでいるものか、参加したプレーヤー同士の関係が変にギクシャクしないか、不要なものを強制されたと思われないようにするにはどうすべきか、いろいろと悩んでいるところです。

 10周年を記念して、ギルドのようなハコだけを用意するのではなくて、そこに参加すると何か新しいものが利用できてみんなで楽しめるメリットがある、なるべくいいものを出せるようにしたいですね。

――以前から「MJ ARCADE」も含めて、ほぼ毎週開催している大会イベントも引き続き実施するのでしょうか?

吉田プロデューサー:はい。すでにコラボ企画も含めて、年内のイベントの予定はすべて決まっています。以前はコラボ企画の開発は1ラインだったのですが、今は3ラインに増やして、コラボするIPの知見を深めるための十分な時間を取れるよう、なるべく早く着手できるようにしています。

――それでは最後に、GAME Watchの読者に向けてメッセージをお願いいたします。

吉田プロデューサー:繰り返しになりますが、皆様のお陰で「MJ」が10周年を迎えられたことを深く感謝しています。今後は「役姫」のほか、今までの「MJ」にはなかったものを出し続けて、常に皆様に新しさや驚きをご提供していければと考えています。長く「MJ」を遊び続けている皆様には、「以前よりも遊びにくくなった」などといったご迷惑を絶対にお掛けしないよう、お客様第一の姿勢を心掛けていきますので、これからも応援を宜しくお願いいたします。

――ありがとうございました。今後も楽しいコンテンツやイベントが配信されることを期待しております!

8月20日には「『MJ杯』10周年記念最強決定戦」が開催される。こちらも注目だ