【特別企画】
ゼットンとウルトラマンが驚くほど間近に! 西武園ゆうえんちの新ライド「ウルトラマン・ザ・ライド」を体験
2023年7月14日 15:15
恐怖の中にたたき込まれる面白さは出せた――山崎貴監督×津野庄一郎氏インタビュー
ライド・アトラクションの体験の前に、本作を手掛けたクリエイターとして監督の山崎貴氏と様々なテーマパークの体験設計を手掛けてきた津野庄一郎氏へのインタビューが行われた。
――ついにこの夕陽館に「ウルトラマン・ザ・ライド」がオープンしますが、今のお気持ちはいかがでしょうか?
山崎氏:「ゴジラ・ザ・ライド」で皆さんに喜んで頂きました。それを超えなきゃいけないという意味で、頑張ってきました。皆さんがどう見てくれるか、すごく楽しみです。
津野氏:「ゴジラ・ザ・ライド」を作った時に、とにかく本当にやばいアトラクションを作ったと思っていたのですが、今回はそれを上回る体験を目指して開発してきました。とにかく早く、ゲストの反応を見たいなと思っています。すごく楽しみです。
――ウルトラマンに関する思い入れなどはございますか?
山崎氏:最初に見た特撮がウルトラマンだと思います。子供の時に衝撃を受けた、原体験に近いものです。それを自分で手掛けられるのはすごく幸せなことですし、子供時代の自分に教えてあげたいですね。将来ウルトラマンをやれるぞって。
津野氏:この西武園ゆうえんちという場所で、日本が世界に誇るウルトラマンというIPでライド・アトラクションが登場するのは、私たち刀(株式会社刀)にとっても意義深いことです。このようなテーマパークの大型ライド・アトラクションは、海外のクリエイターたちによって作られる場合がほとんどです。今回の「ウルトラマン・ザ・ライド」は、このクオリティと完成度を、日本のクリエイターたちが作ったというところで、日本のエンターテイメントの底力を改めて示せたのかなと思っています。
――ウルトラマンやゼットンの造形やデザインのこだわりについて教えていただけますか?
山崎氏:今回は、完全にオリジナルデザインのウルトラマンとゼットンで映しています。しかも球形で、ほぼ180度視界を覆う10メートルくらいの巨大なスクリーンに映し出されます。なので、ウルトラマンが出現する時に、すごく近くで見たかったんですよね。すごく接近しても大丈夫なように、超高精細なディテールをウルトラマンにもゼットンにも付けています。
手間のかかる作業で大変でしたが、何とかスタッフが頑張ってくれて、とんでもなくそこにいるように感じるウルトラマンができたなと思っています。
津野氏:ライド体験をドライブする上で、ウルトラマンのデザインは非常に重要です。今回のウルトラマンは、ひと目見た瞬間に心を奪われる直感的でかっこいいと思えるデザインになっています。
今回の「ウルトラマン・ザ・ライド」の中では、本当にありえないような距離でありえないような角度でウルトラマンを見ることになります。ウルトラマンの登場シーンであったり、宿敵ゼットンとの戦いのシーンであったり、いろんなシーンで本当に鳥肌が立つぐらい神々しく美しいウルトラマンをご覧いただけると思います。
山崎氏:ゼットンは、ゴジラを作った優秀な造形作家にお願いしました。近くに寄っても大丈夫なクオリティと、ウルトラマンを倒すキャラクターなので、めちゃめちゃパワフルで怖いゼットンを作りたくて頑張ってもらいました。おかげさまで、ものすごく怖く追い詰めるのに相応しい強力なゼットンが生まれました。
――山崎さんは、制作中に3Dプリンターでも作ったというお話をお伺いしました。
山崎氏:そうなんですよ。最初はラフな絵を描いて、次に3Dデザインをします。最近は3Dでデザインをするだけでは飽き足らず、3Dプリンターでオリジナルフィギュアを作って、この角度がいいとか、ここから見るとめちゃくちゃかっこいいとか試したりもしましたね。
津野氏:ゼットンはウルトラマンを倒してしまうという、日本中の子供に衝撃とトラウマを与えた唯一無二の怪獣だと思っています。今回の「ウルトラマン・ザ・ライド」は、たくさんの方々に体験していただくと思います。しかし、若い方の中にはゼットンの存在自体を知らない人も当然います。
そういった方々がアトラクションを体験されるときに、ゼットンが登場した瞬間、直感的にやばい奴が出てきたと感じていただけるような、威圧感や不気味さといったものを盛り込んだ、本当に唯一無二のゼットンのデザインが出来たと思っています。
――今回は、ゲスト自身が科特隊の新人隊員として訓練に臨むという体験になっていますが、こちらにも何かこだわりが隠されているのでしょうか?
山崎氏:ゲストはコミューターという乗り物に乗って、訓練の場所まで移動することになります。錯視という手法を使って、まるで巨大なトンネルの中を乗り物で走っているような体験ができるようになっています。これが結構うまくいきました。
建物はもちろん動きませんが、大きい乗り物でどこかに向かっていきます。途中で科学隊の秘密基地の中を通ったり、ジェットビートルが離陸しようとしているところを横切ったりとか、ウルトラマンファンならたまらない体験がリアルサイズでできます。そこもぜひ注目していただきたいなと思っています。
津野氏:ゲストが、いかに没入感を思って飛び込んでいただけるのか考えたときに、ウルトラマンと怪獣が戦っているのをただ見ているだけの傍観者になってもらうのではなく、この物語の中に登場する当事者としてアトラクションを体験していただきたいと考えました。
ただライドに乗るゲストという位置でなく、ウルトラマンと一緒に戦うのが一番いい設定だと思い採用しています。今回このライド・アトラクションに使っているライドシステムは、疾走感や浮遊感を高いクオリティで体験させてくれるものになっています。こちらを、最大限ゲストに体感してもらえるシステムを作っていただきたいという風に考えました。
ものすごく速いスピードで空を飛ぶ体験や、ウルトラマンとゼットンが戦っている最中に飛び込んでいくスリルみたいなのを感じていただきたいと思い、空間科特隊というウルトラマンの本編には出てこない架空の組織を作りました。その新人隊員という設定で、この「ウルトラマン・ザ・ライド」に参加していただく流れになっています。
――映画とアトラクションではカット割りなど見せ方や考え方も異なりますか?
山崎氏:そうなんですよ。ゲストの方たちが逃げたいのに逃げられないという状況に追い込んでいくのが醍醐味です。最初から最後までワンカットなので大変ですが、逃げたいのに逃げられないという恐怖の中にたたき込まれるという面白さはできているかなと思っています。
――ライド・アトラクションの体験設計で大切にしていることはございますか?
津野氏:刀では、常に消費者視点でものを考えていくことを大切にしています。今回の「ウルトラマン・ザ・ライド」も、僕たちが作りたいものを作るのではなく、今ゲストがどんなことを体験したいと思っているのか。ゲストの心の中にある感動や興奮という感情を、どうやれば最大限引き出すことができるか常に考えながら制作しています。
たとえば演出や効果などたくさんの要素が詰まっていますが、このひとつひとつの要素をいかにゲストにつなげていくかというところを綿密に設計することで、山崎さんはじめたくさんのトップクリエイターの方々が作り出すクリエイティブ力を最大限に引き出していけると思っています。そこをすごく大事に考えながら制作してきました。
――「ウルトラマン・ザ・ライド」を実際にご視聴された感想はいかがでしたか?
山崎氏:モニターではずっと見ていましたが、実際こちらに実装されて動く椅子に乗りました。空中に張り出されるんですね、足がグラグラの状態で。めちゃくちゃ怖くて、なんてものを作ったんだと思いましたね(笑)。前半に飛行訓練がありますが、ものすごく狭いところに飛び回ったりキワキワを飛んだりするところが、本当にぶつかるんじゃないかとドキドキしました。
西武園ゆうえんちの、この場所じゃないと絶対に体験できない、とんでもないスイングが体験できるのを改めて確認しましたね。
津野氏:事前にモニター映像ではゲストの体験をイメージしながら見ていましたが、やはり現地でライブモーションと一緒に見ると、本当にヤバイぐらいの体験が襲ってきました。当初から狙っていたスリリングな飛行シーンや、ゼットンやウルトラマンが戦っている中に飛び込んでいくスリルと興奮は本当に素晴らしい完成度で出来上がっているのかなと思います。山崎さんと一緒に、チームで1回目のライドテストを乗り終わった後に、自分たちで拍手をして盛り上がったことをすごく覚えています(笑)。
――苦労した点やチャレンジしたところについて教えていただけますか?
津野氏:ゲストがいかに主人公としてアトラクションの中に入っていただくことができるか、というところですごく悩みました。ウルトラマンとゼットンの戦いの中で、ゼットンという最強の怪獣に立ち向かっていくという、日常生活では絶対にない絶望的なシチュエーションを、いかに当事者感を持ってゲストに感じていただけるのかというところが、このライド体験のすごく大きな鍵です。
没入感を持ってこのライドの中に入っていっていただくために、最初にプレショーをご覧いただき、その体験から徐々に「ウルトラマン・ザ・ライド」の体験の中に引き込んでいくところが非常に重要なポイントだと思いました。
――最後に「ウルトラマン・ザ・ライド」を楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします!
山崎氏:もう乗ってしまったら逃げられません。すごい体験が待っていると思います(笑)。その自信があります。絶対に普段では得られないとてつもない体験が待っていますので、身を任せて100パーセント楽しんでいただきたいなと思います。色々な感想を聞けるといいなと思っています。
津野氏:「ゴジラ・ザ・ライド」を導入した時に、本当にたくさんの方々が「西武園ゆうえんちナメてた!」と、感動と興奮の言葉をたくさんいただきました。今回の「ウルトラマン・ザ・ライド」は、すごく満足度を獲得した「ゴジラ・ザ・ライド」の横に並んでも全く遜色ありません。
「ゴジラ・ザ・ライド」とは全く違う、超絶大興奮できるライド・アトラクションのクオリティになっていると思いますので、ぜひたくさんの方々に体験していただきたいなと思っています。
――本日はありがとうございました!
インタビューの中にも出てきたが、ここでしか得られない絶叫体験ができるライド・アトラクションに仕上げられていることは間違いない。ウルトラマンファンはもちろんのこと、非日常的な体験をしたいという人にもオススメしたくなるような仕上がりだ。この夏休みの期間中、友達や家族をさそってぜひこの素晴らしい作品を楽しんでもらいたい。
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