【特別企画】
いよいよ発売! アクションRPG「Atomic Heart」の魅力に迫る!
ロボットの反乱! 未来幻想と過激な破壊が入り交じるパワフルなアクションRPG
2023年2月20日 22:00
- 【Atomic Heart】
- PC/Xbox One/Series X|S版:2月21日発売予定
- PS4/5版:4月13日発売予定
- 価格:
- 9,680円(通常版)
- 18,480円(限定版)
アクションRPG「Atomic Heart」がついに2月21日に発売される。本作はPCとXbox One/Series X|S向けに2月21日に、PS4/5版向けは4月13日に発売予定。開発はキプロスのゲームスタジオMundfish。Mundfishは世界中からゲーム開発者が集まって作られたスタジオで、本作がMundfishの処女作となる。
「Atomic Heart」は現実の世界とは異なる歴史を歩んだソ連が描かれる。第2次世界大戦に勝ったソ連はロボット技術を発展させ、さらに「神経ポリマー」により人間同士の思念を共有。この神経ポリマーを通じ、“ポリマー化”したすべての人々がニューロネットワークによって繋がる「コレクティブ2.0」の実行があと数日に迫っている。ニューロネットワークに繋がれば、様々な知識を共有し、新しい時代がやってくるという。
しかしその世界に今不安が生まれようとしている。最先端技術を扱う「3826番施設」で何やら不穏な動きがあるようなのだ。主人公である特殊部隊の兵士・P-3は、この国の中心的科学者の1人サチノフ博士の依頼で調査に赴く……。
本作はこの“現在とは異なる発展を遂げたソ連”での戦いを描くアクションRPGだ。プレーヤーはP-3となり、彼の左手に宿る人工知能「チャールズ」と共に過酷な戦いに飛び込んでいく。ショットガンや斧、電磁銃などの武器の他に、チャールズをアップデートさせ様々な特殊能力を使いこなしていく。サバイバル要素も強く、この世界観と、ゲームプレイが魅力な作品だ。
今回は発売に先がけてゲームをプレイした。基本的な要素は1月に紹介したファーストインプレッションで語っているが、今回はそれらの要素をおさらいしつつ、さらに深く本作ならではの魅力を紹介していこう。
崩壊した楽園。1960年代の科学万能主義を感じさせる独特の世界観
「Atomic Heart」では序盤で科学都市「空中都市チェロメ」でこの世界の“発展”が描かれる。その名の通り空中に浮かぶこの都市では化学者と作業員が住んでおり、ロボットを使役している。ロボットは屋台の店員、荷物の搬送、清掃など様々な形で人間を支えている。ソ連のロボットは今やアメリカなどにも出荷されている。
P-3はこの都市を散策しながらサチノフ博士の元に赴く。チュロメは数日後に迫った「コレクティブ2.0」の開始を祝うパレードの真っ最中だ。神経ポリマーを注入した人間はニューロネットワークとの接続が可能となり、ロボットや各種機器を思念で命令できる。さらに他国の言語や科学知識なども瞬時に学ぶことができる。全国民がニューロネットワークで繋がるその計画こそが「コレクティブ2.0」なのである。
P-3は水路を進みながらチュロメの生活を見る。ロボットの補助で便利な生活を送り、来たるべき祭典に浮き立つ人々。ロボット達が行進する派手なパレード、そして君臨する権力者……。プレーヤーの前の壮大な光景は思わず圧倒されるだろう。このユニークな世界観は本作の大きな魅力だ。
そしてP-3はサチノフ博士から指令を受ける。追うべき人間はヴィクター・ペトロフ。彼はコレクティブの中央ハブをハッキングし、ロボットに人間を襲うように仕向けたという。P-3は調査をすべく最先端技術の研究施設である3826番施設に向かうが、そこではロボット達が人間を殺戮しており、施設もめちゃくちゃに破壊されていた。ペトロフを追って地下施設に向かったP-3は生き残るための戦いを繰り広げていくこととなる。
「Atomic Heart」の前半部分では、地下の研究施設での戦いとなる。プレーヤーの主な武器は“斧”。ゲームは1人称視点で、物資を手に入れて武器をアップグレードしていくが、斧の次に手に入るショットガンは弾数が少なく切り札として使う。地下施設での敵は「ラボテック」と呼ばれる人間型ロボットで近接攻撃が主な戦い方。プレーヤーは斧を振り回して、つかみかかってくるロボットを撃退していく。
ゲーム前半のこの研究施設はかなり広大だ。様々な研究を行っており、「この施設が正常に稼動していたらどんな光景が広がっていたか」を想像させられる。しかし現実ではロボットの反乱により各施設は無残に破壊され、一部は暴走しており、地獄のような光景が広がっている。チェロメとの対比が楽しい。
「失われた楽園」というテーマで未来世界を描くゲーム作品は少なくない。「バイオショック」は、地獄と化した海底都市ラプチャーを探索したし、「Fallout」シリーズはかつて栄えていた文明が核戦争で滅び、その残骸の中を人々は生き抜いている。「Atomic Heart」では数日前まで稼動していた研究施設が破壊された世界として目の前に広がっている。
今回改めて本作をじっくりプレイしたが、魅力の1つがこの地下研究所の魅力である。ロボットを作業員とした効率の良い運用。遠距離も素早く移動できるモノレール。凄まじい速度で地下を掘削し研究所を増築していく巨大ミミズ型ロボット、膨大なエネルギーを運用する施設などもある。
そして「ポリマー」の研究。「Atomic Heart」ではこのポリマーという化学物質が技術の根幹にある。P-3とチャールズを繋いでいたり、国中の人々をネットワークに接続するのもポリマーである。ポリマーは“柔らかな壁”として楽々と内部に侵入し、中で泳ぐこともできる。ポリマー内では呼吸もでき、溺れる心配もない。P-3は階段がない場所でもポリマー内を泳ぐことで高所に行けたり、建物内にも侵入できる。
研究所ではポリマー関連の研究も盛んだ。このポリマーを使うことで宇宙空間でも鶏や牛、ブタを育成可能かもしれない。また宇宙空間で生存できそうな植物の開発など、科学者達が“他の星への進出”を真剣に考えていたことがわかる。
この未来への幻想は日本でも共感できるコンテンツは多い。最も代表的なものは、1970年大阪で開催された「日本万国博覧会」だろう。この時、電気自動車や、リニアモーターカー、動く歩道などが展示された。1966年の特撮番組「ウルトラマン」にも未来への憧れが感じられる。
「Atomic Heart」の科学技術の発展した世界も、過去にあった未来への強烈な憧れを具象化したようなところがあり、世界観を大きく膨らませている。この世界観こそが、作品の大きな魅力の1つといえるだろう。次章ではゲームシステムを掘り下げていこう。
スキルやシステムを使いこなし、強力な敵と渡り合え!
ここからはゲームシステムを掘り下げよう。本作はFPS感覚でプレイできるアクションRPGだ。前半は斧による近接戦闘が多いが、マウスで視点移動、WASDで移動、Fでアクション、スペースキーでジャンプといったインターフェースは一般的なPCゲームを踏襲している。ゲームコントローラーでの操作もカバーしており、すんなりとプレイできるだろう。
本作は特に前半の地下研究所では前へ進むための道を探していく展開になる。敵を倒し、仕掛けを探しながら進む感覚は、オープンワールドの多い昨今のゲームと較べるとレガシーに感じるが、だからこそ目的がわかりやすい。そしてこのゲーム性は中盤以降は自由度の高い広大なフィールドを舞台とした冒険へと変化していくのだ。
スキルの話をしていこう。P-3は左腕のチャールズをアップグレードすることで様々なスキルが使える。自身のHPや回復力、移動速度を上げる「キャラクター」、左腕から電気ショックを放出する「SHOK」、さらに相手を凍結させる「フロストバイト」、敵浮き上がらせる「マステレキネシス」、ポリマーを噴出させられる「ポリマースロー」、さらには敵の攻撃を防ぐ「ポリマーシールド」といった能力がある。
初心者にオススメなのがフロストバイトとマステレキネシスだ。フロストバイトで相手を凍結させることで、敵を一方的に殴ることができる。一定のダメージを受けると氷が溶けてしまうが、うまく立ち回ればかなり有利に戦える。
マステレキネシスも浮き上がらせた敵は無防備になり攻撃ができる。発動中は目前の敵を次々と浮かせられるので敵の集団を強行突破したいときにも有効。浮かせた敵をガンガン攻撃できるのも良い。ただし技の発動中は左腕が使えなくなってしまうので、ショットガンのリロードができなくなるので注意したいところだ。
ポリマースローはちょっと癖がある技だ。相手にゲル状のポリマーを吹きかけるのだが、これだけではダメージは通らない。ここに“属性”を付与することで強力に作用する。敵の集団に地面を含めポリマーを散布し、そこにSHOCKで電撃ダメージを与えれば広範囲に電気ダメージが与えられる。武器に属性のカートリッジを付ければ様々な属性が付与可能だ。連携を前提とするかなり特殊なスキルで、正直まだ使いこなせていない。
「Atomic Heart」では探索中に入手した神経ポリマーでスキルを成長させていくのだが、本作の面白いところは端末があればスキルが切り替えられること。スキルを一端“戻す”事で使用していた神経ポリマーが回収できる。頻繁にスキルリセットと再構築ができるのだ。このシステムは特にボス戦で有効だ。ちょっと使いにくいと感じたり、ボスとノ戦いでもっと有効と感じるスキルがあれば組み合わせを変えられる。様々なスキルを気軽に切り替え、より効率的な戦い方も模索できるのだ。
また、パズル要素も本作は多い。先に進むためにどう進んでいくか。チャールズの磁気システムを使い透明な管の中にボールを通したり、制御盤を動かしたり様々な仕掛けがある。天井に磁石があって、SHOKで磁極を切り替え進む仕掛けもある。時にはジャンプ中にダッシュすることでの空中移動が必要な場合など、アクション的な仕掛けも多い。
筆者がお気に入りなのは植物プラントの戦いで成長を加速するため移動する足場の上で戦いながら各機械に電気ショックを与えていくシーン。移動する足場から落ちない様に気をつけて空中に浮遊する敵と戦う感触は面白かった。
このほか各所には「鍵」がある。解除法は色々なのだが、多いのはタイミングで指をスナップすると鍵が解除されるもの。ランプがついたときにボタンを押す方式なのだが、コツがつかめないと難しい。落ち着いてランプが光る順番を見極めれば大丈夫だ。
研究所を出て、広大なフィールドへ
もう少し先の展開も触れておこう。地下の研究施設を抜けると広大なフィールドでの冒険となる。ここでは閉鎖空間と異なり、監視カメラを逃れて敵に見つからないように目的を果たしていく形になる。追っかけてくる敵ロボットは倒しても再生されてしまうのでまともに戦ってもキリがない。できるだけ敵をやり過ごしながら進むのだが、建物の中にはリソースもあり悩ましいところだ。
車や磁力列車などの建物も登場する。キノコの形をした住居や、ユニークな建物が緑豊かな場所に建っているのだが、ロボットに殺された人間や壊された残骸が転がっているのが異様だ。ここでは敵から逃れつつ武器や能力を強化していく。武器を強化していないと逃げるのも一苦労。ここはまず腰を落ち着け探索をしていくのが得策のようだ。
もう1つ、「住人」達にも触れておこう。ロボットが反乱するまで3826番施設にはたくさんの科学者と作業員がいた。フィールドでは「チャーパー」という懐中時計型の録音機に様々な声が吹き込まれている。平和だったとき、ロボットに襲われて最後のメッセージを吹き込む者、実権経過の報告……様々なドラマがそこには記録されている。また、研究所の端末では電子メールで様々な状況が確認できる。
さらに“死人”との会話すら本作では可能だ。神経ポリマーの副作用かどうかはわからないが、生命は既に奪われているのに神経ポリマーによってまだ精神が肉体に宿っているようで受け答えが可能な死体があるのだ。彼等の情報が道を切り開く役に立つこともある。死後数日たっているために自分の状況を理解しているようで冷静な受け答えをする死体が多いのもなんだか怖い。
なぜこんな反乱が起きてしまっているのか、科学技術の発展の裏に何があったのか? これらは徐々に語られ始める。「Atomic Heart」はやはりストーリーと、この世界が最大の魅力だ。筆者もようやく中盤近くに到達したところ。もう少しプレイをしていくことで本作ならではのゲームプレイのリズムや、キャラクターの育て方が見えてきそうである。
本作はプレイしてすぐに明確なゲーム性が見えてくるタイプの作品ではない。実際、前半の研究所の先へ進もうとするゲーム性から、中盤からは広大なしかし敵が多いステージを駆け回りながらリソースを集めキャラクターを強化を目指すゲームに変化している。今は追いかけてくるロボットから逃げるのに精一杯だが、キャラクターが強くなり、武器やスキルの選択の幅が広がると、また違った感触が得られそうだ。
もちろんストーリーも未だ全貌が見えない。この世界の真実は? 「コレクティブ2.0」とは何なのか? この疑問こそがプレイを後押ししている。本作の最大の魅力は間違いなくストーリーではあるが、さらにまだ体験しきれていない楽しい要素が待っているのを感じている。じっくり攻略したいゲームである。
(C)2023 Atomic Heart, the game developed by Mundfish and published by Mundfish, 4Divinity and Beep Japan Inc. in Japan under license of Slimao Limited dba Mundfish. Atomic Heart and Mundfish are registered trademarks of Slimao Limited dba Mundfish. (C)2022-2023 4Divinity Pte. Ltd. All Rights Reserved. 4Divinity is a company of GCL. Unreal(R) Engine (C)2004-2023, Epic Games, Inc. Mercuna (C)2017-2023 Mercuna Developments Ltd.
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