【特別企画】

100型画面の「グランツーリスモ7」は圧倒的なド迫力!BenQの4K 4LEDゲーミングプロジェクター「X3000i」徹底検証

狭小スペースでもフル性能を発揮。日本の家庭向けに真打ち登場

【BenQ X3000i】

3月30日 発売予定

市場想定価格:287,000円(税込)

ジャンル:ゲーミングプロジェクター

 多様なゲーミング関連アイテムをリリースし続け、世界中のゲームファンから認知されるようになってきたBenQブランド。その主力といえばゲーミングディスプレイ製品ということになるわけだが、近年では「ゲーミングプロジェクター」という新しいジャンルの製品を意欲的に展開している。

 実は昨年、筆者はそのBenQのゲーミングプロジェクター製品「TK700STi」を評価する機会が与えられたのだが、この製品はゲーミング性能に優れることに加えて、「初めてのプロジェクター入門機」としても興味深い製品であった。今回紹介する「X3000i」は、ゲーミングプロジェクターXシリーズというシリーズ名をつけて打ち出す第一弾の製品となり、「TK700STi」の上位モデルになる製品というから興味が湧く。

 というわけで、本稿では、その「X3000i」の基本性能を評価・紹介しつつ、進化ポイントなどにも触れてゆく。

もはや100型画面は夢じゃない!うちにも導入できるかも?

 「X3000i」は、「ゲーミングプロジェクター」と銘打たれた新製品だが、「初めてのプロジェクター製品としてもオススメ」である。まずは、「X3000i」のどのあたりが初めてのプロジェクター製品としてもオススメなのかを見ていきたい。

最初に挙げたいのは設置のハードルが低いこと。プロジェクターという時点で面倒でしょ? と思う方がいらっしゃるかもしれないが、100型クラスとなるとちょっと話が違ってくる。そもそも100型クラスの家庭向けテレビが日本市場では売られていないし、85型クラスでも「部屋に入るか」、「設置スペースはあるか」、「常設して普段の生活が可能か」といった問題がある。

今回の検証で用いた100インチのスクリーン

 プロジェクター製品だと、巻き取り型スクリーンであれば難なく部屋に持ち込めるし、使わないときには閉まっておけば邪魔にならない。壁掛け型や天井設置型のスクリーンならば生活空間を脅かすことがない。普段は細長い箱に収まっているが、使うときにはパッと立ててスクリーンになる自立型スクリーンなんてものもある。

 スクリーンの価格も気になるかもしれない。しかし、最近ではかなり手頃なものが増えており、入門モデルであれば日本メーカー製でも100インチで1万円台のものが存在するし、紙材質のペーパースクリーン製品なら数千円のものだって存在する。模様のない白い壁があればそこに直接投写するのもいいかもしれない。

初めてのプロジェクター選びで重視したい“二大"スペックは投写距離と輝度!「X3000i」は余裕でクリア!

 そろそろ「だったらどんなプロジェクター製品でもいいわけですね」という意見がやって来そうだが、たしかに「プロジェクター導入に際しての初心者が超えるべき敷居」は下がったが、製品選びにはコツがいる。ちゃんとした製品を選ばないと、満足度の高い大画面エクスペリエンスは手に入らない。

 前置きが長くなってしまったが、ここから、「X3000i」が絡んでくる。

 投写型映像機器であるプロジェクター製品に対する「要求性能」は色々あるが、とにかく「大前提」的に最重要視すべきなのはまず2点。

 1つは投写距離。投写型映像機器のプロジェクター製品においては、投写映像が広がりながらレンズから放たれるので、投写距離を長くすれば長いほど大画面が得られる。しかし、部屋の広さは有限。逆に言えば、小さめな部屋で大画面を得るためには、そのプロジェクター製品の投写レンズの短焦点性能が重要視されることになるのだ。一般的なホームシアター向け入門機だとこれが100インチ画面の投写に際して約3.0mが1つの目安となっている。昨今では、投写光学系に非球面ミラー技術を使い、100インチを数十センチで投写できる高級製品もあるにはあるが、一般的なプロジェクター製品については「100インチ:3m」は今でも“1つの目安"と思ってもらっていい。

 今回取り上げる「X3000i」は、これが約2.5mだ。目安よりも「約50cmだけ短い」だけか、と言われそうだが、一般家庭における使用環境において、この「投写距離が50cm短い」はでかい。「家具の配置の関係で、部屋の一番後ろに置けない」などは、最も「あるある」なシチュエーション。ソファを部屋の一番後ろに置いている場合は、そのソファに座った状態の足先のローテーブルに設置することになる。「X3000i」ならばこうした部屋で100インチ投写ができるケースは多くなるはずだ。

「X3000i」は2.5mの距離で100インチの投写が可能

 ちなみに、一般的な6畳部屋は長辺で約3.4m~約3.8m、短辺で約2.6m~約2.9mになるので、「X3000i」は、理屈上、6畳部屋でも100インチ大画面が設置可能ということである。

 プロジェクターのスペックで最重要視すべき点2つめは「輝度性能」だ。

 映画館において上映前に場内が暗くなることからも想像できるように、プロジェクターの映像はその輝度性能が十分でないと、スクリーンに映った映像が見えづらい。

 そう、投写型映像機器が投写した映像のコントラストは「投写環境の暗さ」と「プロジェクターの輝度性能の高さ」に比例するので、プロジェクターの輝度性能が高ければ高いほどクリアな映像が見られることになる。これも、一般的なホームシアター向けプロジェクター製品に対する目安性能は「1,000ルーメン」だ。1,000ルーメン未満は完全暗室に近い状態でないと使いづらい。ちなみに、安価な入門機にはこれを下回る製品があるので注意されたし!

 対して「X3000i」は、なんと3,000ルーメンの輝度性能を誇る。これは筆者が普段愛用している100万円オーバーのハイエンドホームシアター機(2,000ルーメン)を大きく上回る明るさだ。

 3,000ルーメンは、お世辞抜きで明るいので、蛍光灯照明下でもそこそこ見られる映像が得られるし、窓のカーテンを引いて軽く遮光すればゲームプレイに必要十分なコントラストが得られる。

“プロジェクターの置き場所問題”を一気に解決する「オンシェルフ設置」に対応!

 最初からスペックをつらつらと語っても難しいと言われることが多いので、前節は、最も基本的なことだけに絞って語ったが、ここからはある程度、プロジェクター製品を知っている人向けに「X3000i」の特徴を述べていくことにしよう。

キューブ型のボディ
本体正面はブラックにオレンジの縁取りでゲーミングモデルらしい外観を演出している
I/Oパネルは本体背面上部に配置
操作パネルは本体右側に集約

 「X3000i」は、Android TV機能を装備し、スピーカーを内蔵した、いわゆるオールインワン型のプロジェクター製品になる。なお、Android TV機能はBenQが単品製品「QS01」としてもリリースしているUSBドングル型のものだが、本体カバー内に内蔵できるため、本機運用時に突起するようなことはない。

同梱のAndroid TV ドングル「QS01」
本体上面カバー内の「QS01」専用スペースに内蔵できる

 スピーカーは5W+5Wのフルレンジ・ステレオ構成。TK700STiは5Wのフルレンジ・モノラル構成だった。

 スピーカーユニットはBenQが力を入れるtreVoloチャンバーユニットを採用しており、デジタル音像変調機構「Bongiovi DPS」技術で、そのスピーカーサイズ以上の音質を実現する。このサウンド機能についてのインプレッションは後述する。

本体背面に2基のtreVoloスピーカーを搭載

 本体サイズはW272mm×H207mm×D259mm、重量は6.6kgで、オールインワン型として考えるとかなりコンパクトで軽量だといえる。これならば家内での移動も楽だし、ゲームパーティーなどのためにキャリーバッグに入れて持ち込むことだってできなくはない。

PS5と並べるとサイズ感の手頃さがよくわかる
操作パネルやレンズのズーム・焦点合わせは本体右側に配置
専用のリモコンも付属する

 外観は、シンプルな角を取ったラウンド・キューブ型とも言うべき形状で、むやみに複雑な曲面デザインとなっていないのが特徴。この外観上の特徴は、実は、プロジェクターの裏技的設置スタイルである「オンシェルフ設置」におあつらえ向きなのである。

 オンシェルフ設置とは、別名「疑似天吊り設置」とも呼ばれる設置法で、部屋の最後部の壁際に置かれている本棚(シェルフ)の最上段の天板の上に、プロジェクター本体を天地(上下)逆転させて設置するスタイルのこと。通常はテーブルや床などに置いての設置が基本となるだろうが、このオンシェルフ設置スタイル、"裏技的"と言うだけあって、通常の設置スタイルにはない以下のメリットが生まれるのだ。

 まず、「常設的に設置できる」ということ。さすがにテーブルの上に「X3000i」を置いたままにはできないし、通常の台置き設置にするとしても、使うたびに出し入れすることになる人が多いと思う。オンシェルフ設置ならば、常設しても困らない棚上に置いたままにできるので、床やテーブルを占有しない上に後片付けが不要なのだ。プロジェクターを利用の都度設置する場合は、利用前に毎回角度合わせをしたり、くっきり映るようにフォーカス合わせをする必要があるが、設置したままでよいオンシェルフ設置ならばそうした準備工程も不要になる。

 第2に、プロジェクターを高いところに置くことになるので、投写映像に自分の頭の影などが映りづらいというメリットがある。よほどスクリーンの直近を横切らない限りは、ソファから立ち上がっても映像を遮蔽しないで済む。つまり、天井に設置する天吊り設置と同じメリットを享受できるということだ。だからオンシェルフ設置は“疑似天吊り"設置と呼ばれるのだ。

 第3は、必然的に部屋の最後部に設置することになるので自ずと投写距離が稼げるという利点が生まれること。ユーザーの前に設置する台置き設置では3mの投写距離が稼げない部屋でも、オンシェルフ設置ならば3mの投写距離が実現できる可能性がある。そうなれば、小さな部屋でも大画面の投写が実現できるようになるのだ。

 「X3000i」には、このオンシェルフ設置を想定して、上下逆さまでも設置できる設計となっている。筆者は20年以上プロジェクター製品を評価してきているが、天吊り設置を想定した製品は普通にあるものの、オンシェルフ設置をメーカーが最初から想定して設計した製品はあまり接したことがない。「X3000i」は、これまでプロジェクターを設置場所や調整の手間の問題から諦めていた方にも注目してほしい製品だと言える。

上下逆さまでの設置に対応

 接続端子は背面側にレイアウトされている。HDMI入力は3系統あり、その全てがHDMI2.0(b)/HDCP2.2対応なので、4K/60Hz入力に対応する。3系統あるHDMI端子のうち1つはAndroid TVモジュールに占有されるので、ユーザーが自由に活用できるHDMIは背面の2系統ということになる。Android TVモジュールを使わなければ、ここをユーザーが活用することも可能ではある。

背面端子パネル

 この他、RS232C端子、USB TYPE-A端子、トリガー端子が1系統、角形光デジタル音声端子、φ3.5mmのアナログステレオミニジャックが実装されている。

 RS232C端子とUSB TYPE-A端子はターミナルソフトによるリモート制御やサービスメンテナンス用として実装されているものでユーザー利用を想定したものではない。一応、USB TYPE-A端子は5V/2.5Aの給電端子としては利用可能だとのことである。

 トリガー端子は「X3000i」稼動中にDC12Vを出力し続けるもので、電動遮光カーテンや電動開閉式スクリーンとの連動動作用に実装されている。

 光デジタル端子は、AVアンプやサウンドバー接続用として、アナログステレオミニジャックはアンプ内蔵型のスピーカーやヘッドフォンを接続するためのものとして用意されている。より上位サウンドシステムを所有している人や、あるいはこだわりの音響を楽しみたい人は積極活用するといいだろう。

【「X3000i」主な仕様】
投写方式単板DLP方式
光源4LED
輝度(ANSI ルーメン)3,000
コントラスト比500,000:1
色再現性約10億7,000万色
色域DCI-P3 100%
水平周波数(KHz)15~135
垂直周波数(Hz)23~240
光学ズーム1.3倍
投写距離2.5m:約100インチ
画面サイズ約60~180インチ
最大解像度4K UHD(3,840×2,160)
入力対応解像度VGA(640×480)~4K UHD(3,840×2,160)
アスペクト比16:9
台形補正機能垂直 30度(自動)/水平 30度(手動)
入力端子HDMI×3(HDMI 2.0b)※うち1つはAndroid TV専用隠しポート)
出力端子オーディオミニジャック(3.5mm)×1、S/PDIF×1
制御入出力USB Type-A(給電用)×1、RS232×1(9ピン)、DC 12V 端子(3.5mm)
スピーカーtreVolo スピーカー 5W×2(Bongiovi DPS 技術採用)
ランプ寿命(ノーマル/省電力/SmartEco)最大 20,000/30,000/20,000時間
最大消費電力385W(待機時 0.5W以下)
電源電圧AC100V~240V(50/60Hz)
運転音(通常/エコ)(dBA)約32/28
筐体色パールホワイト
外形寸法約272×207×259mm(幅×高さ×奥行)
本体重量(kg)約6.6
付属品電源ケーブル(約1.8m)、クイックスタートガイド、保証書、リモコン、Android TV ドングル(QS01)