【特別企画】

トランシルバニアへの特急便! 古今東西のドラキュラサウンドを収めた決定版「ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ」26枚組+特典1枚991曲を一足先に堪能してみた

【ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 黒・赤】

12月15日 発売予定

価格:各14,300円(税込)

 コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)から「ミュージック フロムシリーズ」の第二弾として、「ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 黒」および「ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 赤」がいよいよ12月15日に発売される。

 「ミュージック フロムシリーズ」第一弾は「ミュージック フロム コナミアーケードシューティング」と銘打たれ、KONAMIのアーケード用シューティングゲーム全22タイトルのBGMをCD10枚組に収録したものであったが、今回は「ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 黒」13枚組、「ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 赤」13枚、そして同社の通販サイトでの早期予約・セット購入の特典CD1枚も含めると総計991曲27枚組という前回の倍以上の大ボリュームになっている。

 主に「ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 黒」は「悪魔城ドラキュラ」シリーズの黎明とも言えるステージクリア型のタイトルを中心に、そして「ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 赤」は「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」から始まった探索型のシリーズを中心に収録されており、今までCD化されていなかったタイトルや、限定発売としてCD化されたが即完売になり入手困難となっているレア盤も収録されている。

 「悪魔城ドラキュラ」シリーズは、1986年にファミリーコンピュータ ディスクシステム用に第1作が同社より発売されて以来、数多くのタイトルが様々なプラットフォームで発売されてきたホラーアクションゲームの金字塔である。中世ヨーロッパを舞台とした、ドラキュラを討伐せんとするヴァンパイアハンターと、魔王ドラキュラを筆頭とした怪物軍団との戦いがベースになっており、ゴシックホラーの世界観をリアルに表現したグラフィックや、ストイックかつ硬派なゲーム性、そしてなんといってもその世界を彩る流麗なサウンドが特徴となっている。

 本シリーズを第1作目からプレイしており、ドラキュラサウンドの虜になっている筆者にとってはドラキュラサウンドの集大成とも言える今回の「ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ」のリリース情報は「とうとう来たか!」という喜びであり、発売を待ちきれずに発売元のコナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)に事前レビューの相談を打診したところ快諾を頂くことが出来た。以下に改めて存分に触れることが出来たドラキュラサウンドについて、筆者のおすすめポイントなどを交えてご紹介していきたいと思う。

【ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ】

ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 黒 収録タイトル

悪魔城ドラキュラ (ファミリーコンピュータ ディスクシステム)
悪魔城ドラキュラ (MSX2)
悪魔城ドラキュラ (アーケード)
悪魔城ドラキュラ (スーパーファミコン)
ドラキュラII 呪いの封印 (ファミリーコンピュータ ディスクシステム)
悪魔城伝説 (ファミリーコンピュータ)
ドラキュラ伝説 (ゲームボーイ)
ドラキュラ伝説II (ゲームボーイ)
悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲 (ゲームボーイ)
悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん (ファミリーコンピュータ)
悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん (ゲームボーイ)
悪魔城ドラキュラX 血の輪廻 (PCエンジン SUPER CD-ROM2)
悪魔城ドラキュラXX (スーパーファミコン)
悪魔城ドラキュラ (X68000)
悪魔城年代記 悪魔城ドラキュラ (PlayStationR)
悪魔城ドラキュラ黙示録 (NINTENDO64)
悪魔城ドラキュラ黙示録外伝 LEGEND OF CORNELL (NINTENDO64)
悪魔城ドラキュラ Circle of the Moon (ゲームボーイアドバンス)
白夜の協奏曲(ゲームボーイアドバンス)
悪魔城ドラキュラ Xクロニクル (PSPR(PlayStationRPortable))
悪魔城ドラキュラ Judgment (Wii)
悪魔城ドラキュラ THE ARCADE (アーケード)
ドラキュラ伝説 ReBirth (Wiiウェア)
Castlevania II Simon's Quest (Nintendo Entertainment System)
Castlevania III Dracula's Curse (Nintendo Entertainment System)

ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 赤 収録タイトル

VAMPIRE KILLER (メガドライブ)
悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲 (PlayStationR)
悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲 (セガサターン)
悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲 (PSPR(PlayStationRPortable))
Castlevania 暁月の円舞曲(ゲームボーイアドバンス)
Castlevania (PlayStationR2)
悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架 (ニンテンドーDS)
悪魔城ドラキュラ 闇の呪印 (PlayStationR2)
悪魔城ドラキュラ ギャラリーオブ ラビリンス (ニンテンドーDS)
悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印 (ニンテンドーDS)
悪魔城ドラキュラ Harmony of Despair (Xbox 360)

特典CD:MIDI from 悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲(黒・赤セット購入特典)

01 失われた彩画 -Piano Arrange Version
02 パール舞踏曲
03 黄金の舞曲
04 水晶のしずく
05 月下の夜想曲
06 異形の血族
07 大理石の廊下
08 しもべたちの祭典
09 ドラキュラ城
10 悲境の貴公子
11 さまよえる魂
12 虹の墓地
13 異形の血族 -GameSound Simulation
14 さまよえる魂 -GameSound Simulation

「ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ」の外観。27枚(26枚組+特典1枚)が積みあがった様は圧巻としか言いようがない。化粧箱の正面には黒・赤それぞれの顔とも言える「悪魔城ドラキュラ」と「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」が飾られている。

ドラキュラサウンドの祖がここにある!「ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 黒」

【ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 黒】
「ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 黒」の外観。タイトルを横文字で記せるほどの分厚さである。裏面は収録タイトルのゲーム画面が並んでいる。MSX2版のドラキュラの巨大な肖像画に目を引かれるが、印象的なのは「血の涙」であろうか。
13枚をずらりと並べてみた。それぞれの封を切るのが勿体ない。

 まずは「ミュージック フロム 悪魔城ドラキュラ 黒」から紐解いていこう。「悪魔城ドラキュラ」、「ドラキュラII 呪いの封印」そして「悪魔城伝説」と、DISC1だけでも無人島に持っていきたいCDに挙げたくなるラインナップである。

 当時はサウンドに大きな容量が使えず、1ループが短く曲数も多くはないが、まさに一騎当千と言える珠玉の名曲の数々である。その中でもやはり「Vampire Killer」、「Bloody Tears」、「Beginning」が名曲中の名曲と言わざるを得ないであろう。この3曲はファンの間でしばしば起こる「お気に入りの悪魔ドラキュラBGMは?」という論議で真っ先に挙げられる事が多く、当時の厳しい容量制限の中で磨き抜かれた短くも印象に残るメロディは30年以上経った今なお親しまれており、その後のドラキュラシリーズでも幾度となくアレンジされて登場している。筆者個人的には「悪魔城伝説」の「Pressure」が流れているステージのギミック(ずっと立っていると崩れ落ちる床や、急いで進まないとミスになる強制スクロール等)が緊張感ある曲と相まって焦りを誘発させ、何度も残機を減らした事が強烈に印象に残っている。

【DISC1】
62曲全てが名曲と言っても過言ではない。余談だが、弊誌編集長は「Wicked Child」派、筆者は「Beginning」派で時々論争が巻き起こる。

 DISC2からDISC3にかけては「ドラキュラII 呪いの封印」と「悪魔城伝説」の海外(NES)版も収録されているが、NESはファミリーコンピュータのように外部拡張音源が使えないので日本版のような重厚な構成ではないが、これはこれで本来のファミコン音源で構成されている味のあるBGMと言えよう。また、DIDC2収録の「ドラキュラ伝説」はハードがゲームボーイということもあり、ステレオサウンドが存分に活かされているのもポイントだ。ファミコン版やゲームボーイ版を聴いていて感じたのだが、1音1音がとても輪郭が際立っており、トラックを全部バラして1トラックごとに調整をかけたような丁寧なマスタリングをしているように思えたことを付け加えておきたい。

【DISC2】
「Battle of the Holly」がオススメ。どのシリーズも1面BGMの気合の入れ方がハンパではない。

 DISC3のスーパーファミコン版「悪魔城ドラキュラ」も聞き逃せない。ハード性能上昇に伴いサウンド環境も大幅に進化し、中世ヨーロッパで使われていた楽器をふんだんに使いゴシックホラーの世界をより明確に打ち出している。中でもステージ1のBGMである「シモン・ベルモンドのテーマ」が代表曲ではなかろうか。

【DISC3】
「Castlevania III Dracula's Curse」とDISC1の「悪魔城伝説」を聴き比べてみるのも面白い。

 DISC4は外伝的作品である「悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん 」が収録されている。タイトルや曲名から見て分かる通り、うってかわってコミカルな曲調で統一されている。その中でも1面BGMの「お城でゴーゴー」を良く聴いてみると、「悪魔城伝説」の「Beginning」がコミカルにアレンジされていることが分かる。あの勇壮な曲がここまで明るく化けるとは……と脱帽モノである。

【DISC4】
トラック52の「未使用曲」もとても雰囲気が出ていてオススメ。

 DISC5から6にかけては「悪魔城ドラキュラX」が収録されている。特に「血の輪廻(ロンド)」はハードの特性を存分に活かしたCD-DA音源となっている。1面BGMの「乾坤の血族」を始めとし、歴代人気曲「Vampire Killer」、「血の涙」、「Beginning」もCD-DA音源でのお披露目となっており、リリース当時はよくソフトをCDプレイヤーに入れて聴きこんでいた記憶が蘇った。

 筆者の個人的オススメは「Op.13」で、PCエンジン CD-ROM2のシステムカードを誤って旧バージョンにして起動してしまった際にシステムカードバージョン違いの警告画面を兼ねたミニゲームでも流れている。なお、同社から発売されているPCエンジンminiでも同様の事象を起こせるので、お持ちの方は是非試してみて、幻の作品である「あくまぢょおどらきゅらX(ペケ)」をプレイ(?)していただきたい。

【DISC5】
「Slash」や「Cross a Fear」等、どれも良いのだが、トラック20のマリアでクリアしたときのエンディングで流れる「マリー・サンバ」は「悪魔城ドラキュラ」とは思えないくらい光溢れる1曲となっている。

 そしてもう一つ、「血の輪廻」には幻の曲が存在する。それが「十字架を胸に」である。この曲は後述する「悪魔城ドラキュラ (アーケード)」のステージ1のBGMをアレンジしたものであるが、「血の輪廻」では使用されておらず、1993年にリリースされたサウンドトラック「悪魔城ドラキュラX」にボーナストラック(未使用曲)として収録されていたレア曲である。しっかり「血の輪廻」風にアレンジされており、ゲーム中で使われていても何の違和感も無い素晴らしい出来である。アーケード版や「血の輪廻」をプレイしていた方には是非聴いていただきたい逸品だ。

【DISC6】
トラック28の「乾坤の血族(Airwave ver.) (アレンジver.)」がトランス調でアレンジされておりオススメ。

 DISC7はドラキュラシリーズ初の3D作品となった「悪魔城ドラキュラ黙示録」である。全篇に亘って映画音楽のような雰囲気がとてもよくマッチしている。「オープニング - "血脈の印"」は「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻」の「乾坤の血族」のメロディが取り入れられており、他にも「Bloody Tears」のフレーズが顔を覗かせたりしている。

【DISC7】
トラック39の「A night in peace and quiet (ボーナストラック)」のピアノとバイオリンの掛け合いがほっとする。

 DISC8から10にかけてはX68000版「悪魔城ドラキュラ」が収録されている。この作品も知る人ぞ知る名作であるが、当時“パーソナルワークステーション”と言われていた名機X68000の機能をふんだんに活かしたグラフィックとサウンドであった。特にサウンドは内蔵音源版、MIDI(CM64・SC-55)版があり、いずれも勝るとも劣らない3バージョンが全て収録されている。

【DISC8】
オススメはトラック4の「難破船攻略開始」全篇に亘った緊張感溢れる展開が特徴。あとはトラック38の「Thrashard In The Cave」。実質1音しか使えないPCMトラックでよくぞここまでドラムを鳴らせるものだと当時感動した。

 筆者は幸運にも友人宅でSC-55版のサウンドに触れることが出来たが、「LOAD BGM」からの静謐な中に不気味さをはらんだ「Black Mass」がタイトルと共に流れた時の衝撃は今でも忘れることが出来ない。本作は「悪魔城年代記 悪魔城ドラキュラ」としてプレイステーションに移植されているので、PS3やPS Vita等をお持ちであれば是非遊んでいただきたい。どの曲も良いのだが、満月の下で戦うステージ6前半で流れる「Moon Fight」がオススメである。

【DISC9】
CM64版とSC-55版を聴き比べてみるとそれぞれの音色に特徴があって面白い。「Vampire Killer」などは曲の展開すら違っているのが分かる
【DISC10】
トラック5のボス戦「Creatures In The Depth (アレンジモードバージョン)」が緊張感溢れる曲でオススメ。また、トラック26の「シモンのテーマ (X68000 Arr ver.)」の男性ハミングパートと、心臓の鼓動を刻む分厚いキックが特徴的。

 DISC11はゲームボーイアドバンス版の「悪魔城ドラキュラ Circle of the Moon」「Castlevania 白夜の協奏曲」そしてアーケード版「悪魔城ドラキュラ」が収録されている。アーケード版ドラキュラは馴染みの無い方もいらっしゃるかもしれないが、名曲の宝庫であり、特に「十字架を胸に」「夜まで待てない」「悪魔たちに送るララバイ」が曲名の秀逸さも相まって最高である。1ループ収録なのが実に惜しまれる。また、スタートデモで流れる「悲劇のWedding March」の、結婚行進曲からの悲鳴からのドラキュラの笑い声でストーリーが把握出来てしまうところがポイントである。

【DISC11】
トラック23の「宿命を継ぐ者 (ジュスト・ベルモンドのテーマ)」とトラック40の「宿命を継ぐ者 (ジュストテーマ・バリエーション)」をセットでオススメしたい。あとはトラック47の「悲劇のWedding March (スタート・デモ)」を是非聴いていただきたい。

 DISC12はWiiで発売された「悪魔城ドラキュラ Judgment」が収録されている。本作は3D対戦アクションゲームであり、各シリーズの代表キャラクターが一堂に会した「ドラキュラオールスターゲーム」になっている。そのキャラクターが登場している作品の代表曲がステージBGMになっており、例えば「シモン・ベルモンド」との対戦では「悪魔城ドラキュラ」の「Vampire Killer」が、「ラルフ・ベルモンド」との対戦では「悪魔城伝説」の「Beginning」と歴代の名曲が目白押しである。

 本作のBGMはオールスター名盤であり、どの曲もゴシック調で統一された音色にロックを掛け合わせた、非常に聴きやすくかつ雰囲気満点に仕上がっている。もし『過去のドラキュラシリーズの名曲を一通り聴いてみたい』という方にはこの「悪魔城ドラキュラ Judgment」をオススメしたい。

【DISC12】
ここはあえてトラック1の「Darkness Of Fear」を推したい。このノリで最後まで突っ走ってくれる。

 最後のDISC13には「悪魔城ドラキュラ THE ARCADE」と「ドラキュラ伝説 ReBirth」が収録されている。「悪魔城ドラキュラ THE ARCADE」は端的に言うとゲームセンターで稼動していたガンシューティングゲームであり、各ステージBGMも歴代の名曲アレンジがずらりと並んでいるが、様々なアレンジの「Vampire Killer」を聴くことが出来るのが面白い。その中でも「あれっ?」と思ってしまうのが同社の人気作「ときめきメモリアル」の曲が混じっていることだ。これは特定の条件を満たすことでとんでもないエンディングに進んでしまった時に流れるBGMである。硬派一直線である本作の一服の隠れた清涼剤と言えようか。作品名のとおりアーケードゲームのみのリリースとなっており、家庭用ゲーム機への移植が待ち望まれる一作である。

【DISC13】
トラック4・6・8と、3度美味しく「Vampire Killer」が聴けるのがポイント。
ライナーノーツを少しだけ紹介
Hisroyのページを見ただけでももう堪らない。