【特別企画】

今度は“パズル的ループ”! 期待のPS5新作「DEATHLOOP」メディア発表会レポート

開発リソースをPS5に集中したArkane渾身の「チャレンジ作」

9月14日 発売予定

価格:8,778円(税込)

 プレイステーション 5専用タイトルの新たなラインナップとして期待されているファースト・パーソン・アクションシューティングの「DEATHLOOP」。発売予定の9月14日を前に、今回本作のゲームシステムなどのより詳細な内容がメディア向けに公開された。

 発表は、本作の冒頭を含む実際のゲームプレイ映像を交えたのち、開発者が記者の質問に答える形で行なわれた。その中で明らかになったのは、「DEATHLOOP」が開発スタジオのArkane Studiosが「やりたいことをとことん詰め込んだ」という独自の切り口で打ち出された“ループもの”であることだ。さっそく、発表会の内容を追っていきたい。

【『DEATHLOOP(デスループ)』 - ゲームプレイトレーラー #3 - 「デジャ・ヴ」】

エリア×時間帯×ループ。探索して暗殺の糸口を見つける

 「DEATHLOOP」は、1人用のストーリーキャンペーンをメインとするFPS。1日のループを繰り返す謎の島「ブラックリーフ島」が舞台であり、島には8人の暗殺ターゲット「ヴィジョナリー」が潜んでいる。プレーヤーは主人公のコルトとなり、島で繰り返される死とループの打破を狙う。ループ打破の条件は、「1日のループ内で8人全員を暗殺すること」だ。

 ゲーム冒頭では、コルトは記憶を失っている。プレーヤーと同様、何が起きているのか、島に何があるのか、まったくわからない。それでも死を繰り返すうちに情報が集まり、新たな事実が判明することで、だんだんと全貌が明らかになっていく。

 本作では、1日の過ごし方に特徴がある。「DEATHLOOP」の1日は朝、正午、午後、夜と4つの時間帯にわかれていて、それぞれの時間帯を順番に、制限時間なく探索できる。じっくり探索して次、じっくり探索して次、といったプレイが可能になる。

 さらにエリアは4つあり、“どの時間帯にどのエリアをプレイするか”はプレーヤー次第。研究所、ウプダーム、フリスタッドロック、カールスベイと呼ばれる各エリアは訪れる時間帯によって大きく状況が変わるほか、探索可能な場所も変化する。ほかにも、特定の時間帯だけターゲットが登場することもあり、要素が複雑に絡み合う。

ループするごとに強くなる戦闘システム

 戦闘システムについては、わかりやすく言うなら「『Dishonored』に銃が入った感じ」だとディレクターのDinga Bakaba氏は語る。

 具体的には、ハンドガンやマシンガン、ライフル、ショットガンといったオーソドックスな銃の種類に加え、サイレンサー付きのネイルガンや自動タレットなども扱うことができる。

【「DEATHLOOP」ゲームプレイ映像 殺しのバリエーション】

 さらには「スラブ」と呼ばれるアイテムを獲得すれば、超能力がコルトに備わっていく。たとえば、死んでも2回だけループせずに直前に戻れる「リプライズ」、ステージ内をテレポートできる「シフト」、体を透明にする「エーテル」、敵を投げ飛ばす「カーネシス」、敵同士をリンクして体験を共有させる「ネクサス」などなど。能力に関しては、「Dishonored」を知っていれば馴染み深いものもある。

 また銃やスラブ、コルト自身の性能や能力はカスタマイズできる。これは「トリンケット」というアイテムによって可能になるもので、エイムの高速化、リコイルの減少、弾の貫通などのボーナスが付与される。効果は、トリンケットのレアリティが高くなるほど上昇する。

 入手した武器やトリンケットなどは、最初はループすると失われるが、謎のリソース「レジドゥム」を注入することでループしても保持できるようになる。情報やアイテムを集め、ループを繰り返すごとにコルト自身や装備を強化しながら、クリアを目指す。これが「DEATHLOOP」の基本的なプレイサイクルだ。

何から手を付けるか、どうカタを付けるか

 Bakaba氏いわく、本作は「暗殺パズル」という。島にいる8人のターゲットは、どこに誰がいるかは最初はわからない。島に残されたメモや、敵同士の会話などから居場所を特定する必要があるし、そもそもどうやったらその場所までたどり着けるかも見出さなければいけない。

 ある情報は他の時間帯のエリアの情報になっていたり、エリアのギミック(暗殺に使用できる)のヒントになっていたり、すべてが相互作用的に関わってくる。一般の敵(エターナリスト)はうじゃうじゃいるし、最初は1人の暗殺だけでもハードルが高そうだが、最終的には“1日の中で8人を暗殺”しなくてはならない。どのような手順で、どのように暗殺するのか。解き明かしていく過程は、まさに「パズル」というわけだ。

【「DEATHLOOP」ロケーション映像 鮮やかでレトロな世界】

 「たどり着くゴールは1つだが、そのたどり着き方は様々な方法がある」とBakaba氏。主にはステルスプレイが有効そうだが、正面突破することももちろん可能。ループがリセットするとほとんどは状況がリセットされるそうなので、いくらでも挑戦して楽しめる。

 発表会では中盤くらいのゲームプレイを見ることができたが、超能力と銃撃を駆使して敵を翻弄するようなプレイができていた。瞬間移動で背後に回って撃つ、敵同士をリンクして敵をまとめて崖の外に投げ飛ばす、投げ飛ばしている最中にヘッドショットを決める……。ループを重ねてプレイを極めるほどに、爽快に敵を蹂躙できるようになるだろう。

本作のアートワーク、音楽は1960年代カルチャーに大きく影響を受けている。公式サイトにもその理由と「『DEATHLOOP』に影響を与えた映画リスト」が書かれており、本作を知る上で大きな参考になる

強敵、だがプレイアブルの「ジュリアナ」

 ただし、コルトの宿敵として立ちはだかるジュリアナには注意。ジュリアナはヴィジョナリーのひとりだが、ストーリーにも深く関わる最強の敵。ループを終わらせないために、コルトを何度も殺しに来るやっかいなキャラクターだ。

 ジュリアナはいつどこで登場するかわからず、ジュリアナが近づくと特別な音楽が鳴る。しかも、そのジュリアナは他のプレーヤーが操っている可能性もある。キャンペーンモードは1人用と冒頭に書いたが、厳密にはマルチプレイ要素が溶け込むようにしてある(マルチ機能のオン/オフは切り替え可能)。

 逆に、プレーヤーがジュリアナを操作して他のプレーヤーのゲーム内に侵入することもできる。この辺りの要素は今回の発表では詳しく紹介されなかったが、今後情報公開があるようだ。こちらも楽しみにしたい。

「レベルアップしたArkaneタイトル」に期待大!

 本作にはほかにも、サイドストーリー的な要素が用意されているなど、エリアを隅々まで楽しめる。PS5専用タイトルとしたことで開発のリソースを集中的に注ぐことができ、結果として「Arkaneとしてかなりレベルアップしたタイトル」になったそうだ。

 Bakaba氏は「DEATHLOOP」について、「かなりユニークな作品になっている。小島秀夫氏のような有名な方をのぞけば、AAAタイトルの開発スタジオがここまで新しいことにチャレンジすることはあまりないと思う。AAAのゲームだが、他のものよりも違う世界観、キャラクターの演技、ストーリーをArkaneが一致団結して作れた。こんなチャンスを与えられてとても嬉しい」と話した。「DEATHLOOP」は9月14日発売予定。発売を楽しみに待ちたい。

Bakaba氏は「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」や「Returnal」など、偉大なるループものの先人たちの名前を挙げながら、「DEATHLOOP」ならではの“ループ体験”を提示できたら、と語っていた。また「フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと」や「Firewatch」などの傑作インディータイトルからも多くのインスピレーションを受けており、数々のオマージュを込めてもいるそうだ。