【特別企画】
ゲームファンは必見! 映画「セガvs.任天堂/Console Wars」先行試写会レポート
2大ゲームメーカーで勃発した、ゲームハード戦争の真実が明らかに!!
2020年12月4日 00:00
ゲームファンならタイトルからして無視できない映画が、動画配信サービスU-NEXTにて本日12月4日より配信開始される。その名も「セガvs.任天堂/Console Wars」。この穏やかではないタイトルだけで惹かれるものがあるだろう。
本作品は、1990年代にアメリカで実際に起きたコンシューマゲーム機市場における戦争を描いたドキュメンタリー映画である。イチゲームファンとして、若干セガに肩入れ気味でこの映画をさっそく観たので、ネタバレにならない程度に見所や感想を語っていきたい。
絶対王者の任天堂に挑む、セガの戦い!
物語は、ゲームハード戦争の渦中にいたセガと任天堂の主要メンバーが当時を振り返りながら語っていく。
テニスゲーム「PONG」などを開発してきたアタリ社が発売したゲームハード「アタリ2600」はアメリカで大ヒットし、テレビゲームという存在を世界中に浸透させた。しかし、1982年にはアタリ2600でリリースされた質の低いゲームが引き金となりゲームファンは離れていき、テレビゲームという文化自体崩壊してしまった。俗にいうアタリショックである。
その後アメリカでは“テレビゲームなんて絶対に流行らない”という空気の中、任天堂は海外版のファミコン「Nintendo Entertainment System(以下、NES)」を発売して大成功を収める。これによりテレビゲーム市場は任天堂一強の時代に突入する。
アメリカの子供から絶大な支持を得ている任天堂のNES。ゲーム産業でやっていくならば任天堂と良きパートナーとして手を組むのが賢い選択であり、当然の選択だ。そんな中セガだけは、覇権を握っている任天堂に対抗する16bit機を開発して真っ向勝負を挑むのだった。
任天堂が市場のシェアを握ってる状況で、セガのハード「ジェネシス(日本ではメガドライブ)」は小売店からも全く相手にされないという壁にぶち当たる。詳しくは言えないが、この状況を打破する方法が破天荒でセガ節が炸裂している。
セガは任天堂への対抗心を隠そうともせず、任天堂ファンだったら激怒しそうな方法で自社のジェネシスの販促をしていくシーンも見所。日本の冷戦的な空気とは違い、アメリカらしい(?)直球で喧嘩を売っている様は見ていて面白い。
セガのことを初めは全く相手にもしていなかった任天堂だったが、次第に市場の風向きが変わっていくと、セガをライバルと意識するようになりバチバチの戦いへと発展していく。任天堂の本社には、セガ・オブ・アメリカの社長トム・カリンスキー氏の写真がダーツの的になっていたというドロドロなエピソードも飛び出し、ノンフィクションとは思えないドラマチックな展開は必見である。
日本の感覚だと、ライバル企業同士のゲームハード戦争といっても“所詮は売り上げの数字を競い合っているだけ”と思ってしまうが、この映画を観ると当時の裏側はそんな生ヌルいものではなかったようだ。相手企業からの引き抜き、裏切り、妨害工作など、ゲーム市場の取り合いはまさに戦争であった。
物語としても非常に面白かったが、映像の見せ方もとてもうまい。NES、ジェネシスの発売日の様子や子供たちが楽しそうにプレイしている姿など、当時の映像が使われており90年代の活気がダイレクトに伝わってくる。
当時のエピソードを語る回想シーンは、ゲーム調な映像で展開していくのもセンスが光る。もちろん実在するゲーム画面もふんだんに盛り込まれているので、「この時代はこのゲームがヒットしたのか」などのゲームの歴史を辿ることができるのも、この映画の面白いポイントだ。
30年近く前の話とはいえ、現在でもゲーム業界で一線級の活躍をしている企業同士のぶつかり合いを、ここまでぶっちゃけた内容で映像化できたことに正直驚きである。
セガファン、任天堂ファン、見る人の視点次第でこの作品の映り方が変わってくると思うが、セガファンの筆者としては「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」誕生の瞬間や、ジェネシスを牽引する「ソニック」の爆発力など見所が満載であった。
ドリームキャストを最後にセガはゲームハード事業から撤退してしまうが、ゲームハード戦争で戦ったメンバーは当時のことを楽しそうに振り返ってるのがとても印象深かった。
本作品はセガが中心の物語となっているが任天堂がただの敵役という訳ではなく、どちらの偉業もしっかりと描いた“両者をリスペクトした内容”になっているのでどちらのファンにもオススメだ。
「セガvs.任天堂/Console Wars」はU-NEXT限定で本日12時より配信開始。ゲームファンならこの壮絶な戦いの歴史と戦いの決着をぜひその目で見てもらいたい。
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