インタビュー

「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY JOURNEY OF 100」インタビュー

アーニー氏「100回というのが信じられない!」、植松氏「VOICESの“II”をやりたい」

1月22日開催



会場:東京国際フォーラム

 1月22日から3日間の日程でスタートした「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY JOURNEY OF 100」。その模様については公演レポートでお伝えしたとおりだが、本稿では公演後に行なわれたメディアインタビューの模様をお届けしたい。

 2007年からアーニー・ロス氏と植松伸夫氏の二人三脚ではじめて足かけ8年。両氏はどのような想いで100回目の公演を迎えたのだろうか。インタビューにはアーニー氏と植松氏に加え、ソリストを務めた白鳥英美子氏とスーザン・キャロウェイ氏も参加し、4人で行なわれた。

ついに100回目を迎えた「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY」

インタビュー風景
アーニー・ロス氏
白鳥英美子氏
スーザン・キャロウェイ氏
植松伸夫氏

――100回目の講演を終えられた感想を

アーニー・ロス氏:100回というのがとても信じられません!(笑)。クレジットが表示されて昔の写真を見たときに、ああ、これだけのことをやってきたんだなということを改めて感慨深く思いました。

 あとは、レパートリーがこれだけ増えていることにも驚きました。「Distant Worlds」のレパートリーは100曲以上になっているんです。それでも未だに新曲が書かれていて初演できていることは嬉しいですし、新しいゲストもお迎えできました。白鳥さん本日はありがとうございました。来週はアメリカニュージャージー州でコンサートがあるんですけど、そこにRIKKIさんも来るんですよ。本当にステキなことだと思います。これからも成長していくコンサートに出会うことができてとても嬉しいです。チョコボも今日はありがとう(笑)。

白鳥英美子氏:皆さんが100回という偉業を成し遂げたということで、私はこの「Distant Worlds」というコンサートに参加させていただくのは初めてで、それ以外に3回ぐらい参加させていただいているんですけど、100回も世界中で実施した事はただただ驚きです。

 今回初めて「Distant Worlds」を聴かせていただいたのですが、ゲーム音楽という枠を外れて、純粋なクラシックコンサートを聴いているような、それでいて迫力もあって、素晴らしいコンサートだったと思います。これからも110回、120回、130回と回を重ねていくんでしょうけど、また参加できたら嬉しいです。100回公演おめでとうございます。

スーザン・キャロウェイ氏:これまでずいぶん長い期間一緒に仕事をしていますが、(100回というのは)本当に信じられません(笑)。今年で何年かしら?

アーニー氏:2007年から始めたから8年だよ(笑)。

スーザン氏:ウソ!?(笑)。本当に才能のある2人とご一緒させていただいて、私は楽に楽しく仕事をすることができました。「ファイナルファンタジーXIV」のお仕事(編注:キャロウェイさんは「FFXIV」主題歌「Answers」のボーカルを担当)も本当にステキでしたし、こういう楽しい仕事に参加できて本当に幸せです。楽しかったからあっという間でした。

植松伸夫氏:100回目ということで、アーニーさんが仰られたように数えていくと信じられない数なんだけど、別に100回を目指してやっていたわけではなくて、“ちっちゃいできること”を続けさせて頂いていただけというお話なんですよね。だから僕は偉業だとは思ってないですね。みんなでできることを続けてきただけです。でも、やる度に楽しいんで、こういう機会が増えるといいなあと思っています。

 そのためには美しいメロディーの歌と、みんなの心がウキウキするような激しいアップテンポのバトル曲のような曲とのバランスを考えてこれからも曲を作っていきたいなと思っています。たぶんレパートリーを全部使ったら1週間のコンサートができるんじゃないかな。「ファイナルファンタジーウィーク」(笑)。これからも応援して下さい。

アーニー氏:2週間できるよ(笑)。

植松氏:それはないわ。2週間はないわ(笑)。

――観客の雰囲気はいかがでしたか?

植松氏:いやあ、静かだったですねえ(笑)。「Distant Worlds」は海外公演の方が数は多いのでやっぱり良い意味で日本の方は礼儀正しいので、喜んで貰えているのかそれとも「この曲は俺が聴きたい曲じゃない」と不満に思われているのかがちょっとわかりにくい感じですよね。だから冒頭でもステージの上から言ったんですけど、全然かしこまる必要ないと思うんですよ。ゲームの音楽を聴きに来ているんであって、ブラームス聴きに来たわけじゃないので、好きな曲が来たら叫んでくれると、もっと変わった雰囲気のオーケストラコンサートができるんじゃないかと思います。うるさい、観客ががやがやしているオーケストラコンサートって良いじゃないですか、新しくて(笑)。

――では、明日の東京・大阪公演ではもっと賑やかになることを期待?

植松氏:そう。だからもっと煽ろうかなと思っています(笑)。

――100回の公演で様々な曲を演奏されてきたかと思うのですが、今後新たにやろうと思っている曲はありますか?

植松氏:そうねえ。あるにはあるんだけど、たとえば「FFXI」のゲーム中に出てきた寸劇みたいなシーンがあって、音楽も流れているんだけど、劇自体はゲーム中では見せていないんですけど、あれをあのまんま劇にしちゃえばおもしろいんじゃないかなあとか。

――「マリアとドラクゥ」(「FFVI」に登場するオペラ)みたいな?

植松氏:そう、「マリアとドラクゥ」みたいなね。ほかにもいろいろありますよ。こういうシリーズで続けていってもいいですし、オーケストラとバンドが一緒に演奏する曲が増えてもいいかもしれませんしね。中には弦楽四重奏のコーナーや木管四重奏のコーナーがあっても良いと思いますし、そういう1つのコンサートの中でもバリエーションというのはまだまだ付けられると思っています。

――それでは植松さんのバンドのEARTHBOUND PAPASとの共演もあるかもしれない?

植松氏:いつかはやろうと思っていますけど、なかなかね(笑)。リハーサルとかに時間が掛かっちゃうんで、でもいつかはやってみたいなと思っています。

――今回のセットリストのコンセプトを教えて下さい

アーニー氏:色んな要素を加味して決めていきました。たとえば、2010年、2012年で演奏していた曲目、それ以外の記念公演で何を演奏したか。過去には「FFVI」のトリビュートもやったし、「FFIX」を取り上げたこともあります。あとはコンサートを構成するときに、後半にエピックと呼ばれる叙事詩的な、コンサートの中核となるナンバーを入れるようにしているんですけど、今回はバトルメドレーでした。

 これまでにオペラやダンシングマッドなどを主軸に置いたこともありますが、今回はバトルメドレーで、録音したときのコンセプトとしてはこれは生で演奏することはないだろうということだったのですが、今回演奏することができてとても興奮しています。ビデオともとても合いましたし、それもまた嬉しいことです。

 長くなりましたが、今回は100回であること、日本で上演すること、皆さんに新鮮さを受け取ってもらえることなどを考えて構成しました。

――白鳥さんに質問です。「FFIX」が2000年にリリースされて、その主題歌を担当されて、今回15年ごしで歌われたわけですが、今のお気持ちを聞かせて下さい。

植松氏:もうそんなになりますか(笑)。

白鳥氏:私も今日どれぐらいたったのかなと思っていましたが、15年ですか。本当に感慨深いものがあります。最初に歌わせて頂いたときは15年若かったので(笑)、すんなり歌えたのですけど、今や還暦を過ぎ、同じキーで歌えるのかなと思っていましたが、普通に同じキーでしたけど(笑)。歌えている私も凄く嬉しいし、呼んでいただけたこともとても嬉しいし、時を経て、あの時、植松さんから初めて頂いた楽曲を歌ったときの新鮮な気持ちが今日凄く蘇ってきて、興奮しながらも凄く感動していたんです。今日はもの凄く緊張しながら歌ったので、明日はもう少しリラックスして歌いたいと思います。ありがとうございました。

植松氏:あの~最後にいいですか? これからどんな曲をやりたいかという質問で言うのを忘れていたんだけど、もしファンの皆さんが興味があるんだったら「VOICES」(2006年に実施された「FF」ボーカルコンサート)の“II”をやりたい。歌ものだけで構成されたコンサートで、あれも10年近く前にやったきりなので。

白鳥氏:早くやっていただかないと歌えなくなります(笑)。

場内:(爆笑)

植松氏:スクエニさんがご興味おありでしたらよろしくお願いいたします(笑)。

(中村聖司)