カプコン、WIN「モンスターハンター フロンティア オンライン」インタビュー
「ラヴィエンテ」や新規コンテンツ「開拓クエスト」の狙いを聞く


11月16日 収録

会場:カプコン東京支店


 株式会社カプコンは、Windows用オンラインハンティングアクション「モンスターハンター フロンティア オンライン(MHF)」において、大規模アップデート「シーズン7.0 “絶島主、ラヴィエンテ”」を12月9日に実施する。

 「MHF」は今年1年を通して「パローネ=キャラバン」や「頼狩人(ラスタ)」などオリジナルコンテンツの開発に注力してきた。今年最後の大規模アップデートとなる「シーズン7.0」は、それらオリジナルコンテンツの集大成として位置づけられており、ボリュームも最大級となる。中でもイベントモンスターの「ラヴィエンテ」は、長い間「MHF」が目指してきた4人以上での協力プレイを実現した注目のコンテンツだ。

 今回も、開発統括本部オンライン開発部 運営プロデューサーの杉浦一徳氏にインタビューに答えていただいた。これまでよりもボリュームが多いアップデートのため、インタビューの日もまだまだ忙しそうではあったが、普段と同じく饒舌に語ってくれた。




■ 最大32人のハンターが協力して討伐を目指す「ラヴィエンテ」

――まず「シーズン7.0」のコンセプトを教えてください。

開発統括本部オンライン開発部 運営プロデューサーの杉浦一徳氏。毎回アップデート準備の追い込み時に話を聞いているが、今回は特に忙しそうな様子だった

杉浦一徳氏 :「シーズン7.0」では、これまでと同じく「パローネ=キャラバン」や「ラスタ」には力を入れているので、多くのお客様に楽しんでもらいたいと思っています。

 オリジナルコンテンツとしては、通常のモンスターではなく、「パローネ=キャラバン」用のイベントモンスターの「ラヴィエンテ」を実装します。ただ毎回「ラヴィエンテ」のようなイベントモンスターが登場するわけではなく、来春実施予定のアップデートでは通常のモンスターを登場させようと考えています。


【スクリーンショット】
「MHF」初の大型イベントモンスターとなる「ラヴィエンテ」。左下のハンターと比べると圧倒的な大きさがわかる


――「ラヴィエンテ」はどのようなモンスターですか?

杉浦氏 :「ラヴィエンテ」はハンター4人を1パーティーとして、最低24人の6パーティー、最高32人の8パーティーで狩猟するモンスターです。クエスト受注は「パローネ=キャラバン」内で可能です。今回「パローネ=キャラバン」のハンターランク(HR)制限を17に引き下げたので、HR17以上であればクエストに参加できます。

 最初に説明しておかないといけないのは、世界観ではなく、システム概念として「ラヴィエンテ」は各ランドに1体ずつ存在するということです。ランド単位より大きく、ワールドやサーバー単位で実施する形も検討したのですが、こうなると処理するデータが膨大になって時間がかかり、討伐の発表が数日または1週間単位になってしまうというような可能性があったので、リズム感を大事にしてランド単位の仕様に落ち着きました。

 またランド内の全員を参加可能にしてしまうと、「ラヴィエンテ」目的のお客様だけでランドが占有されてしまい、それ以外のお客様とトラブルが起きてしまう可能性があります。32人よりも多い64人の場合も考えましたが、それではすぐにランドが満員になって、「ラヴィエンテ」目的とそうでないお客様同士での摩擦もあると思い、1ランド32人までの参加人数に決めました。

 32人の仕様で適正なのかどうかは、アップデート後にプレイされている状況を見て調整が必要なのか判断します。もっと人数を減らす案もあったのですが、大人数でイベントモンスターを討伐するというコンセプトがあったので、減らしすぎると4人パーティーとそれほど変わらない、ということもありました。一旦この32人バージョンで実装してみて、イベントが安定するようであれば、64人や100人バージョンの「ラヴィエンテ」も検討したいと思います。

――1ランドに1体ずつとなると、参加できない可能性もありそうですが。

杉浦氏 :「ラヴィエンテ」のクエストに参加できるのは1ワールドにつき10ランド×ハンター32人で最大320人なので、ピーク時に数万人のお客様が接続していると参加できないこともあると思います。ランド数を大幅に増やせないかとサーバーの担当者と相談しましたが、運用上の安定度から考えると難しいという答えでした。アップデート直後の数日間は参加しづらいお客様も出るかもしれませんが、ある程度経てば落ち着くと考えていますので、ご不便をおかけいたしますがお許しください。

――「ラヴィエンテ」の種族は何ですか?

杉浦氏 :新たな狩りのフィールドである「絶島」の形成と共に最近眠りから目覚めたモンスターなので、種族は「現在調査中」という設定になっています。新種なのかどうかも含め、ハンターの皆さんで調査してもらうことになります。

――実際に挑んでみた印象はいかがですか?

杉浦氏 :現状の「MHF」における最大サイズのモンスターなので、最初は大きさに衝撃を受けると思います。今までの大型モンスターは、目的地に向って進行するのが主で、ハンターを意識した攻撃が少なかったと思いますが、「ラヴィエンテ」はハンターめがけてアグレッシブに攻撃してきます。大きいながらもよく動くモンスターなので、攻撃された場合にどうやって立ち回るかという点が今までの大型モンスターにはないところだと思います。

 あと、「ラヴィエンテ」が出現する「絶島」のギミックを上手く利用して狩るモンスターといった印象が強いです。「絶島」に関する知識によって立ち回りが大きく変わってくると思います。

――「絶島」のギミックとはどういうものですか?

杉浦氏 :詳しくはお話しできませんが、すでに公開した「間欠泉」などの画像から予想していただけると嬉しいです。現段階では「絶島」は「ラヴィエンテ」専用マップなので、「ラヴィエンテ」と結びついたギミックを理解して討伐していただきたいです。


【スクリーンショット】
新たな狩りのフィールドとなる「絶島」。間欠泉など、「ラヴィエンテ」と結びついたギミックが用意されている


――「ラヴィエンテ」は繰り返しクエストに行って討伐すると聞きましたが、どういう仕組みですか?

杉浦氏 :例を挙げますと、「ラヴィエンテ」の体力が仮に1万あって、1回のクエストで1,000のダメージを与えたのであれば、10回クエストに行かないと、そのランド内の「ラヴィエンテ」を討伐できないようになっています。ただ途中でクエストをリタイアした場合でも、それまでに与えたダメージは蓄積されています。そうやって同じランド内のハンターの方々が協力して「ラヴィエンテ」の体力を0にすると討伐成功となります。

 討伐に成功すると討伐ムービーが流れるのですが、その際に素材は剥ぎ取れません。「ラヴィエンテ」の素材は、「パローネ=キャラバン」で開催される「狩ノ宴(かりのうたげ)」の専用クエストで剥ぎ取れるようになっています。

――「ラヴィエンテ」の登場クエストはどれくらいの間隔で配信されるのですか?

杉浦氏 :基本的には狩人祭のない期間と、狩人祭の登録祭の期間に配信する予定です。年内は「ラヴィエンテ」中心に考えているので、アップデートから1カ月くらいは「ラヴィエンテ」を配信して、狩人祭は開催しない予定です。




■ ポイントを消費して強化していく「進化武器」と剛種「ヤマツカミ」

進化武器の一例。派生前の片手剣「大蛇ノ剣」

――「ラヴィエンテ」の素材から生産できる「進化武器」とはどういうものですか?

杉浦氏 :「ラヴィエンテ」の素材から生産して、「撃珠(ゲキダマ)」を使って強化していく武器です。「撃珠」には「上撃珠」などの種類があり、この「撃珠」をNPCに持っていくと、そこで「g(ゲキ)」というポイントに変換されます。これまでの武具とは違い、ポイントを使って強化するという特徴があります。

 進化武器にはLV(レベル)が設定されていて、LV100になると3種類の武器に進化します。それぞれ攻撃力特化、属性特化、リーチ武器となっていて、好みの派生を選択していただきます。派生するとまたLV1に戻るので、そこからさらにLV100まで強化可能です。LVを合計すると200まで存在することになります。

 ただ、「g」さえ使えば最後まで強化できるわけではなく、どこまでLVを上げられるかはHRによって異なります。進化武器はHR17から所持できますが、LV100にして派生させるにはHR300が必要です。その後はHR301から999の間にLVの上限を置いています。

――最後まで強化するとどれくらいの性能になるのですか?

杉浦氏 :HR999でかつLv100であれば、今までの武器の中で1番といってもいいくらいの性能になります。

――進化武器は複数所持できますか?

杉浦氏 :基本的には他の武器と同じなので複数所持できます。「シーズン7.0」では「片手剣」、「大剣」、「ランス」、「弓」の4種類の進化武器が生産でき、さらに3種類それぞれの派生を考えると合計で12種類になります。12種類全てを手に入れることも可能ですが、HR999までかけて最終強化できるように想定しているので、12種類全てを最終強化するにはかなり時間がかかると思います。最初から複数の武器を進化させていくよりも、どの進化武器にするか熟考して1つに絞ることをお勧めしたいです。

 進化武器はLVによって性能が異なるので、HRを200付近で止めて遊んでいたお客様からすれば進化武器よりも剛種武器のほうが性能が高いかもしれません。一方で、すでにHRが700や800になっているお客様にとっては、剛種武器よりも進化武器の性能が高くなると思います。進化武器に関しては、以前からいただいていた「HRに対するインセンティブが欲しい」というご意見を取り入れさせていただきました。


【スクリーンショット】
「ラヴィエンテ」の素材から生産できる進化武器。HR17からHR999まで長い時間をかけて強化していくものだという


――剛種の「ヤマツカミ」はどんなモンスターですか?

杉浦氏 :通常の「ヤマツカミ」とは別のモンスターになっていると言っていいと思います。今までの剛種古龍と比べても変更点がかなり多く、見た目でも驚いてもらえると思います。出現フィールドは塔で、頂上到着までの待ち時間を配慮して移動速度を速くしてあります。また頂上出現時にはその姿に驚いてもらえると思いますので、実際に挑んで確かめてください。

――素材からはどういった剛種武器が生産できますか?

杉浦氏 :今までの「ヤマツカミ」武器の和風っぽさを剛種の強そうなイメージでデザインしてもらっています。性能は、例えば剛種武器のハンマーの場合は、高い攻撃力と、ハンマーの中では高い麻痺属性を持つものになっています。


【スクリーンショット】
剛種モンスター「ヤマツカミ」剛種ハンマー「浮岳槌【天空城】」



■ シミュレーション的コンテンツ「開拓クエスト」や上位スキルなど

シミュレーション的要素の新規コンテンツ「開拓クエスト」

――続いて新規コンテンツですが、「パローネ=キャラバン」の「開拓クエスト」とはどういうものですか?

杉浦氏 :例えるならば、箱庭シミュレーション的な要素ですね。1人1人のハンターが自分だけのフィールドを開拓していくイメージで、フィールドに設置物を置いたり、開拓ネコ達を派遣したりして開拓パラメーターを上げていきます。開拓パラメーターは、ハンター自身が設定したクエストを公開した状態で、通常のクエストなどをプレイしていくと上がっていきます。現状ではクエスト設定とフィールドの開拓度を見て楽しむコンテンツになっています。

 クエスト設定時には、どのモンスターをクエストに登場させるのかといったことが設定可能で、クエストには他のハンターだけでなく、設定者も一緒に参加できます。そしてクエストを達成するとフィールドが開拓されていきます。

――他のハンターが遊ぶメリットはどこにあるのですか?

杉浦氏 :このクエストでしか手に入らないアイテムがあります。また、オンラインゲームならではのコミュニティの活性化を狙いました。自分のクエストを開拓してもらうのであれば、相手のクエストも遊んであげるなどの交流が大事になると思います。

 「開拓クエスト」を導入した意図は、オンラインゲームとしての交流コンテンツの幅をもう少し膨らませたいと思っていたからです。今回実装した設定可能なクエストは試験的に導入したものなので、まだ進化の余地があると思っています。深く遊んでもらえるコンテンツだと思っているので、実装後にアンケートを実施して、クエストのカスタマイズやクエストの報酬についてよりご意見をお聞きし、アップデートしていきたいと思っています。

 今回の「開拓クエスト」によって、クエストを自分で作って、友人知人に遊んでもらおうというコンセプトが一部実現できたのは、とても大きなことだと思っています。他のハンターとの交流を持ちながら、開拓していくというシミュレーション的な要素が入っているのは、アクションゲームとして遊ぶだけではなく、シミュレーション好きのお客様にも楽しんでもらえるコンテンツになっていると思います。私達にとって「開拓クエスト」は、「シーズン7.0」において「ラヴィエンテ」の次に大きなコンテンツだと思っています。

――新たな上位スキルも実装されます。これにはどういう狙いがあるのですか?

杉浦氏 :お客様のスキル構成が画一化されつつあったので、もう少しスキル構成に幅を持たせたいと思っていました。そこでハンターに個性を出して遊んでもらう1つの案として、高いスキルポイントを要求することで、特定のスキルに特化できる上位スキルを導入することになりました。

――具体的にはどういうスキルが入りますか?

杉浦氏 :上位スキルは10種類程度で、例えばスタミナの上位スキルでは、現状のランナーの効果に加えて、回避行動とガード時のスタミナの減りが軽減されます。「シーズン7.0」では双剣の仕様を修正して、鬼人化すると強走効果が解除されるようになりますが、この修正に関しても多少はフォローできることだとは思っていました。しかしこれをもって双剣の修正の結論としたわけではありません。

 他の上位スキルには攻撃や達人、火事場力などがあります。ただ火事場力はマイナススキルに近いコンセプトで導入しています。「剛力珠」をよりたくさん装着するだけで、上位スキルもいいものが発動することは避けたかったので、攻撃と達人は上位スキルを生かしつつ、火事場力だけはスキルポイントを上げすぎるとマイナス効果が出て使いづらいものになるように設定しています。これにより「剛力珠」だけではなく、他の装飾品も利用されることを期待しています。

――スキルに関しては他に、「スキルカフ」も導入されますね。

杉浦氏 :「スキルカフ」は、マイトレプーギーに装飾品をつけることで、ハンターのスキルポイントが上下するものです。「スキルカフ」の装飾品を取り替えることで、ハンターのスキル構成が微調整できます。

 この「スキルカフ」は2つの考えが結びついて生まれました。1つ目は、以前からマイトレプーギー服の有効な使い道を作り、マイトレプーギーをもっとゲームに関わらせたいと考えていたことです。2つ目は、スキルの微調整ができる装飾品を実装しようという考えです。

――「マイトレ」でスキルを変更するのですか?

杉浦氏 :「マイトレ」から出発させたマイトレプーギーのスキルが発動します。マイトレプーギーが3匹いる場合は、それぞれに別のスキルをつけておけば簡単にスキルを変更できますが、1匹でもスキルの入れ替えはできます。上位スキルと「スキルカフ」によってスキル構成の幅が広がり、ハンターの個性が出せると思います。




■ 幅広いユーザーが楽しめることを目指したリファイン

――「マイトレ」と「パローネ=キャラバン」の利用可能HRの引き下げにはどういう狙いがありますか?

杉浦氏 :以前からお客様の動向を見てみると、HR51から99まではコンテンツが足りないようで、飽きているお客様も多いのではと感じていました。そこで新しいコンテンツをと考えていましたが、HR51から99までのお客様だけに向けて作るのは難しいことでした。「マイトレ」の制限HRを51に下げようという話は以前から出ていましたし、「マイトレプーギー」のクエスト登場も好評だったので、多くの方に「マイトレ」を使って喜んでもらおうと思い、HRを引き下げました。今回導入する「スキルカフ」も、HR51以上のお客様であればゲーム内での経験を積んでいらっしゃるので、利用に当たっても問題ないと思っています。

 「パローネ=キャラバン」に関しては、元々HR31に設定していたように、序盤から遊んでもらうことを想定していました。その中でイベントモンスターとして「ラヴィエンテ」を実装するにあたり、「イベントはできる限りたくさんの人に遊んでほしい」という開発チームの要望がありました。では、どこまで下げようかと検討した結果、HR17に落ち着きました。

――「シーズン6.0」のチュートリアル強化もそうですが、今回の制限HR引き下げなど、初心者向けのリファインが目立ちます。

杉浦氏 :チュートリアル強化を実施したのは、「MHF」はアクション要素が強いので、丁寧なチュートリアルを作らなければ、遊び方がわかりづらいと思っていたからです。他のオンラインゲームではクリック連打でモンスターを倒せても、「MHF」では回避したり、ガードしたりする必要があるので、最初に挫折するケースも多いという意見は比較的多いのです。そこでラスタを応用した教官ラスタの実装など、チュートリアルに力を入れています。

 今回の「ラヴィエンテ」の進化武器は、熟練したお客様向けの印象が強いかもしれませんが、なるべく広いHR帯のお客様に提供したいという意識から、進化武器はHR17から所持できるようにしています。それからHR51以上のお客様が狩りの気分転換として利用して欲しいという狙いで、「マイトレ」も楽しめるようにしています。こうしたサブコンテンツにも力を入れることで、メインの狩り以外にもモチベーションを保ってもらえるように心がけています。

――「VSトーナメント機能」が予定されていますが、どういうものですか?

杉浦氏 :これは公認ネットカフェの主催で「VS. クエスト」を利用したトーナメント大会を開催できるようにする機能です。現在開発中で、まずは12月中にカプコン主催でテスト運用をしてみて、それで問題がなければ来年1月から2月頭には公認ネットカフェで運用できるようにしたいと思っています。

――他にもアップデートはありますか?

 「シーズン7.0」で光るエフェクトを導入した武器・防具を実装します。目に負担がかかるような輝きではなく、「MHF」の世界観を壊さない程度に配慮したデザインになっています。剛種武器や進化武器にも実装しているので、ビジュアル的に満足してもらえるのであれば、今後は他の武具にも活かしていきたいと思います。

 また「アイテム販売商品の防具の性能が他の防具より頭1つ抜けている」、「月額課金だけで遊んでいてもアイテム販売商品程度の性能の防具を持てるチャンスが欲しい」という要望から、「F防具」の上位版である「FX防具」を、「シーズン7.0」で実装することになりました。ただ「FX防具」の生産と強化はバランス面を配慮して多少ハードルを高くしてあります。「剛種武器」シリーズよりも難易度が高めといった感じでしょうか。

 特にモンスター系の防具を中心に「FX防具」を導入していきます。モンスター系の防具はアップデートの1番の華ですが、過去は他の防具とのバランスを考慮して性能を抑えていたので、サーバー内のデータを分析しつつ、あまり利用されていない防具から優先して実装していこうと思っています。「FX防具」は相応の性能にしているので、ご評価いただければ、「シーズン7.0」以降のアップデートでも新たな「FX防具」を実装していきたいと思います。

 他には11月18日から、追加倉庫の利用回数が24時間で2回までとなっていたものを、12時間で5回までに引き上げました。追加倉庫の仕様変更でサーバー負荷がそれほどなければ、その後はさらに利用回数を引き上げようと考えています。また次の「シーズン8.0」では追加アイテムボックスのページ数自体を増やそうと考えています。

――「シーズン8.0」のアップデート予定を教えてください。

杉浦氏 :「シーズン8.0」ではHR999以上のコンテンツを考えています。新モンスターについては、今回の「ラヴィエンテ」が熟練したお客様向けに受け取られているので、下位のHRでも楽しめるモンスターにしたいと思っています。ただ、「シーズン8.0」は鋭意開発中のものですので、内容に変更があったら申し訳ありません。

 1年を通しての予定としては、今年と同じような間隔で大規模アップデートを実施しようと思っています。1季節1アップデートの形で、1年間に4回程になると思います。「シーズン7.0」の次の大規模アップデートは来年の春を予定しています。それ以降は夏、秋、冬となります。

――2010年もオリジナルコンテンツに注力するのですか?

杉浦氏 :今年広げたオリジナルコンテンツをさらに拡張しつつ、基本部分をリファインして「MHF」をさらに進化させていきます。2009年は「MHF」の横の広がりを大事にした年でした。そのため、オリジナルコンテンツをかなり意識した年だったと振り返っています。2010年は、基礎であるクエスト部分が「つまらない」、「面白くない」と言われないように、基本である「狩り」の部分を大事にしつつ、その上で3周年を迎える「MHF」に深みを与えるオリジナルコンテンツを追加していけるようにします。

 アップデートを考える際は、メインの狩りを楽しく遊べる方法を考えた上で、その企画を新規コンテンツにすべきなのか、現状のコンテンツの延長線上にすべきなのかを考えています。新規コンテンツを増やそうとしているのではなく、あくまでも狩りを楽しめる、狩りに広がりを与えるコンテンツを考えています。




■ 双剣の修正や韋駄天杯の方針について質問

――双剣の修正にはどういう目的がありますか?

双剣の修正は慎重に検討したうえで今回の仕様に決まったそうだが、今後もユーザーからの意見を取り入れて修正していくという

杉浦氏 :双剣の修正は、色々な要因が混ざった非常に難しい問題で、かれこれ1年以上は悩んでいました。大きな問題は、パーティー構成が双剣3、狩猟笛1といったようにワンパターン化していたことです。使いたい武器があったとしても、パーティーのためになる武器を選択するといったように、協調性を持つことが大事になっていると感じています。その気持ちはよくわかりますが、好きな武器を使おうとすると摩擦が起こったり、嫌な思いをすることがあるので、それを変えていかなければと考えました。ゲームバランス部分というより、オンラインコミュニティの見地ですね。

 とはいえ、双剣「一角双SP」の性能を下方修正した時のように、パラメーターは安易に下げたくないと思っていました。苦労して手に入れた武器のパラメーターが、ある日突然変更されてしまうのではお客様が不安になってしまうので、できる限り避けています。

 お客様からは、双剣を弱体化させずに、他の武器を強くすればいいというご要望もあります。それも1つの方法として検討は続けていますが、他の武器の性能を上げた場合に、また今回の修正前の双剣と同じような状況になる武器が出てくると、さらに別の武器を上方修正することになると思うので、強さのインフレを懸念すると踏み込みにくいところが今でも本音としてありますし、そういう意味でより慎重になっています。その中で今回の内容にたどり着き、双剣を修正することになりました。

――逆にガンランスを上方修正する予定はありませんか?

杉浦氏 :1度に全ての武器のバランスを一気に修正できればいいのですが、難しいところです。ガンランスの上方修正が絶対に不可能なわけではありませんし、それ以外の武器種に関してもバランスを取るための上方修正を考えています。多くのお客様からいただいている要望を優先しつつも、優先順位として初級者のお客様が武器をどう使っているのかも合わせて考えています。いずれは他の武器種を見直せたらと思っています。

――続いて韋駄天杯関連ですが、サーバー対抗猟団韋駄天杯を導入した経緯を教えてください。

杉浦氏 :以前からサーバー対抗で何かをやってほしいという要望がお客様からありました。そこで韋駄天杯を盛り上げたいと考えている際に、サーバー対抗と結び付けようという話になりました。

 今回、個人の韋駄天杯ではなく、猟団の韋駄天杯を利用している理由は、オンラインゲームは人と人のコミュニケーションが重要だという考えがあったからです。サーバー対抗猟団韋駄天杯をきっかけとして、これまで猟団韋駄天杯を遊んだことのなかったお客様にも楽しんでもらえるよう敷居を下げたいと思い、運の要素として「777位」のような切り番賞を入れて、幅広いハンターの皆さんに賞品が行き渡るようにしています。また通常の公式狩猟大会は多数のハンターの皆さんに賞品を配布していますし、回数も月ベースなので賞品はバランスを考慮しなくてはいけませんでしたが、今回は全サーバーでの順位にしたことで全体の賞品の数を絞ったので、インパクトのあるボリュームで賞品を提供できたかと思います。

――現在の仕様では同一猟団内では最上位の記録しか残りませんが、その次点の記録を残した猟団員にも賞品を提供できませんか?

杉浦氏 :今回は猟団韋駄天杯を利用しているので、現時点の仕様では次点の猟団員への賞品提供はできません。その点も考えたのですが、参加した猟団員全員に賞品を提供することになると、賞品の対象者が広がり、賞品が分散されて内容が安くなってしまいます。サーバー対抗韋駄天杯では、猟団のステータスを上げられることと、猟団の中で切磋琢磨できることを意図しています。

――ちなみに、韋駄天杯のクエスト内容はどうやって決めているのですか?

杉浦氏 :プレーヤースキルの高い人がコンマ1秒を競いたいハンター向けのものと、大勢で騒ぎながら楽しみたいハンター向けのものに分けられます。私達の方針を極端に言うと、例えば今後の韋駄天杯に肉焼き納品のクエストを入れてもいいと思っています。その時はプレーヤースキルを求めているハンターの方からは不満がでるかもしれませんが、楽しく遊べる韋駄天杯を求めているお客様も尊重したいと思っています。韋駄天杯はモンスターを狩るだけではなく、多くの人に楽しめるものにしたいです。

――最後に、ユーザーに向けて一言お願いします。

杉浦氏 :「シーズン7.0」は、今年1年間かけた「MHF」オリジナルコンテンツの集大成と言えます。「パローネ=キャラバン」は色々調整しながら、1つの区切りとしてイベントモンスターの「ラヴィエンテ」を実装しました。今回も「ラスタ」の行動を拡張して、罠などを仕掛けるようにもなりました。「パローネ=キャラバン」と「ラスタ」は今回のアップデートでよりよいものになったと思っています。

 今年のアップデートペースを保ったまま、来年もアップデートしていきたいと思っています。来年は3周年を迎えますが、意欲的に新しいことをやっていく姿勢を維持していきたいと思います。おかげさまでハンター人口は150万人を突破しました。私たちとしては、新しいお客様がたくさんメゼポルタ広場に降り立ち、お客様同士がたくさん出会える場をこれからも作っていきたいと考えています。いい意味での話題性を、来年もたくさん振りまいていきたいと思っています。最後にお客様から色々な意見を頂いているうちが華だと私自身は思っているので、これからも「MHF」へのご声援とご意見、ご要望をよろしくお願いいたします。

――ありがとうございました。

(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

(2009年 12月 4日)

[Reported by 日高文典]