【特別企画】
東京ディズニーランド「スプラッシュ・マウンテン」の記録を残したい!
現存は世界で唯一。今改めて注目したい“小動物の郷”
2025年2月7日 17:53
- 【スプラッシュ・マウンテン】
- 1992年10月1日 オープン
東京ディズニーランドが1992年10月1日より運営しているアトラクション「スプラッシュ・マウンテン」。クライマックスでは約16mの落差がある滝つぼに向かって落ちるというスリル溢れる内容で、2025年2月現在も人気の高いライド型アトラクションとなっている。
東京ディズニーランドではすっかり定番のアトラクションとなっているが、世界的なディズニーパークのなかでは東京ディズニーランド版が現存する唯一のもの。貴重さで言えば、“今こそ行っておくべき”と真っ先に挙げたいアトラクションのひとつだ。
そこで本稿では、「スプラッシュ・マウンテン」とその周辺エリア「クリッターカントリー」を改めて、じっくりと振り返りたい。“小動物の郷(くに)”がテーマのかわいらしさ溢れる世界の記録として、この機会にぜひ残しておく。
なお「スプラッシュ・マウンテン」のクライマックスの内容についても触れているので、その点はご注意いただきたい。
小動物たちがたくさん! 見れば見るほど“かわいい”が溢れるエリア
そもそも「スプラッシュ・マウンテン」とは何なのか。ベースとなっているのは、当時のウォルト・ディズニー・プロダクションズが制作した1946年の映画「南部の唄」。そのアニメーションパートにおける、うさぎどん(ブレア・ラビット)、きつねどん(ブレア・フォックス)、くまどん(ブレア・ベア)にまつわるエピソードがアトラクション化されている。
テーマエリアの「クリッターカントリー」も同じで、こちらはパーク内を流れるアメリカ河のそばで暮らす小動物たちが数多く登場する。そのため、エリア内を歩いていると様々な小動物(クリッター)たちに出会うことができる。
エリア全体の特徴となっているのは、そうしたクリッターたちの暮らしがそこかしこに感じられるところだろう。地面を見れば小さな足跡があったり、景色を眺めていくとクリッター用と思われる小さな家が数々ある。極小サイズからそこそこ大きさを感じるものまで実に様々で、クリッターたちの賑やかな生活の様子を感じることができる。
実際にどのような動物たちが暮らしているかは、フォトスポットや案内板から伺い知ることができる。
たとえばエリアの最奥に向かってみると、記念写真向きな木製の車がある。こちらにはリスやビーバーなどのクリッターたちが集まっており、彼らと一緒に写真を撮れる。どのクリッターたちも表情豊かな点に注目したい。
またレストラン「グランマ・サラのキッチン」の看板を見ると、店主であるジャコウネズミのサラ、ソフトドリンクと軽食の店舗「ラケッティのラクーンサルーン」の看板には、アライグマのラケッティの姿を見ることができる。
ほかにも、看板や案内をよく見ていると、様々な出会いがあるかと思う。小さくて見逃しがちなので、エリアを歩く際は注意深く観察していただきたい。
陽気で楽しくてちょっと怖い傑作ライド「スプラッシュ・マウンテン」
さて、いよいよ本題の「スプラッシュ・マウンテン」を見ていきたい。
「スプラッシュ・マウンテン」があるのは、「クリッターカントリー」の中央辺り。エリアを進んでいくと、水しぶきを上げている大きな山があるので、すぐわかる。
待機列を進んでいくと、山の隣りにある水車小屋に入っていく。水車小屋の奥にもずっと通路が続いており、さらに奥に進むことで洞窟のよう場所へと入っていく。そして気づくと、クリッターたちの暮らす地下の世界へと迷い込んでいる。
待機列の途中では、木の根を利用したクリッターたちの家を見ることができたり、湧き水を受ける水汲みがあったりと、彼らの生活を感じられる箇所が多い。またフクロウのブレア・オウルが、ゲストに向けて「スプラッシュ・マウンテン」の成り立ちを解説してくれる場所もある。乗車前から、見どころたっぷりだ。
ライド乗車後は、川の流れに沿ってうさぎどんの物語を見ていくことになる。笑いがあふれる「笑いの国」を目指す旅立ち、旅の道中で起こるきつねどんとくまどんとの追いかけっこ、クライマックス、その後の大団円と、ストーリーが進んでいく。
風景は色鮮やかで、アニメーションからそのまま飛び出してきたかのようなうさぎどんたちの動きや造形はとてもかわいらしい。オープンから32年以上の時を経ても、なお魅力的だ。
そしてとくに素晴らしいと感じるのは、アトラクション内で流れる楽曲だ。うさぎどんが旅立つ「さあでかけよう」の歌声と、クリッターたちが危険を知らせる「さあ引き返せ」の歌声が呼応する「How Do You Do?」に始まり、「笑いの国」を目指す「Everybody Has A Laughing Place」、そして旅が終わり、素晴らしき日を歌う「Zip-A-Dee-Doo-Dah」。どれも明るく前向きで、クリッターたちの笑い声や風景も相まって乗車するだけで元気がもらえる。
アトラクションとしては、やはりクライマックスの滝つぼへの落下は外せないだろう。
落下直前は、それまでの賑やかで楽しい雰囲気から一転、物静かで恐ろしげなBGMが流れ出す。うさぎどんはきつねどんについに捕まり、今にも命が危ないことがアニマトロニクスによって演出される。
ライドがベルトコンベアに乗り、頂上に向かってキリキリとゆっくり登っていく。「もうすぐ落ちるぞ」という緊張感と、うさぎどんの身に起きている危機とがシンクロする形で、さらに緊張が高まっていく素晴らしい演出だ。
そして頂点に達したのもつかの間、そこから一気に、約16mの落差を滑り降りる。水しぶきによって一瞬だが視界は奪われ、周囲の状況がわからなくなる。東京ディズニーリゾートのアトラクションのなかでも、スリルあふれる瞬間のひとつだ。
無事に着水ししばらく進むと、先程の恐ろしげな雰囲気からまた一転、「Zip-A-Dee-Doo-Dah」が聞こえだす。うさぎどんはいつの間にか生き延びていて、クリッターたちはその帰還を盛大に祝っている。
はっきりした説明がないため少しわかりづらいのだが、落下前のシーンにて、うさぎどんは「頼むから、あの茨の茂みにだけは投げ込まないでくれ」ときつねどんに懇願していた。そして、くまどんの「茨の茂み?」という言葉とともにライドは落下する。
しかし、この茨の茂みこそ、うさぎどんが最初に出発した家の場所。つまりうさぎどんの懇願は芝居であり、住み慣れた家に投げるよう仕向け、実際そのようにさせた、というわけだ。自分が住んでいた家こそ「笑いの国」だった、という形で「スプラッシュ・マウンテン」のストーリーは終わっていく。
乗車時間は合計で十数分くらいだが、体験としてはもっと濃密に感じるのではないだろうか。楽しくて明るく、でも少しだけ怖い冒険を、今こそ改めて楽しんでいただきたい。
まだまだある! 「クリッターカントリー」の見どころ
「クリッターカントリー」の見どころはまだまだある。たとえば「スプラッシュ・マウンテン」の外でも、うさぎどんたちの姿を見ることができる。
最も目立つのは、「スプラッシュ・マウンテン」の出口付近にある像だろう。うさぎどんたち3人が何かを見つめている像で、仲のいい感じもある。アトラクション終わりのフォトスポットにもなっている。
また少し足を伸ばせば、実際にカヌーを漕ぐ体験ができるアトラクション「ビーバーブラザーズのカヌー探険」があったり、その途中には眺めの良い休憩スポットがあったり、巡れば巡るほど楽しめる場所がある。
「クリッターカントリー」は他のエリアと比べると小さめではあるものの、細かい造形をじっくり楽しもうと思うと、かなり長い時間を過ごせる。カントリーサウンドを聞きながら、小動物たちの暮らす楽しくゆったりとした世界に浸れる場所として、今こそ推していきたいエリアである。
(C)Disney