インタビュー

「アナザーエデン ビギンズ」はバトルシステムを革新! 平澤プロデューサーにインタビュー

内容がガラッと変わるマルチエンドを採用。フルボイス化などの変更点こだわりは?

【アナザーエデン ビギンズ】
9月17日 発売予定
価格:4,980円~

 ライトフライヤースタジオのNintendo Switch 2/Nintendo Switch/Steam用タイムトラベルRPG「アナザーエデン ビギンズ」が9月17日に発売される。

 本作は現在もサービスを展開しているスマートフォンRPG「アナザーエデン 時空を超える猫」をベースとしつつ、“買い切り型”のコンシューマーゲームとして再構築された作品。シナリオ・演出は「クロノ・トリガー」などで知られる加藤正人氏が手掛けている。そのほかキャラクターのフルボイス化やバトルシステムの刷新、「ニューゲーム+」モードの追加など、さまざまな変更が加えられていることも大きな特徴だ。

 今回は本作のプロデューサーを務めるスタジオプリズマ代表・平澤信之介氏にインタビューを実施し、ゲームの魅力や開発陣の目指すところについて詳しく話を伺った。購入を検討している人は、ぜひ参考にしてほしい。

スタジオプリズマ代表・平澤氏信之介氏
【「アナザーエデン ビギンズ」ファイナルトレーラー】

“新作”として開発! ベースとなった「時空を超える猫」との違い

――今作はスマートフォンRPG「アナザーエデン 時空を超える猫」がベースとなった作品ですが、どういった違いがあるのでしょうか?

平澤氏:「アナザーエデン 時空を超える猫(以下、「時空を超える猫」)」は元々“スマホで本格的なRPGを遊べるように”と意識して作ったもので、コンソールライクな内容です。そのためコンソール化にあたってもベースの仕組みは大きく変えておらず、同様のプレイ体験を引き継いでいます。ですが操作性やグラフィックなどに関しては、今回大きくクオリティを引き上げていますね。

 またモバイル版はガチャシステムでキャラクターを入手する形式ですが、今作は冒険を通してキャラクターが仲間になっていくように変えています。それに合わせて、シナリオ部分のボリュームアップを行いました。

 さらにキャラクターのクエストも含めて、フルボイス化したことが1つの大きなポイントになっています。かなりコストをかけて作り直し、コンソール向けにチューニングしているので、我々としては“新作”という感覚です。

――コンセプトとしては、新作ゲームとして新規ユーザーを開拓する狙いがあったのでしょうか?

平澤氏:そうですね。今でも遊んでくれている「時空を超える猫」ファンの方々はいらっしゃるのですが、その一方で「モバイルゲームで本格的なRPGはちょっと……」という方がいることも承知していました。今作はぜひそうした方にも手に取っていただければと思っています。

 また今回、色々な媒体に取り上げていただくことで“気軽に遊べるRPG”として広く知ってもらう機会にしたいなとも思っています。

“タイムトラベルもの”の第一人者・加藤正人氏が手掛けるシナリオ

――今作は「クロノ・トリガー(スクウェア・エニックス)」などで知られる加藤正人氏がシナリオ・演出を手がけています。シナリオ面の魅力はどんなところにあると思いますか?

平澤氏:やはり加藤さんならではの脚本ですね。いわゆる「加藤節」と呼ばれるような要素がふんだんに入っているので。また時間を過去に遡って物事を解決するとか、未来を見に行ってワクワクするとか、“タイムトラベルもの”ならではの魅力も詰め込まれています。タイムトラベル系のゲームを過去に楽しんだことがある方には、肌に合う作品になっているんじゃないでしょうか。

:加藤正人氏。現在はライトフライヤースタジオに籍を置くゲームクリエイターで、スクウェア・エニックスのRPG「クロノ・トリガー」などを手掛けた人物。

――ゲームのボリュームについては、どれほどのプレイ時間を想定していますか?

平澤氏:まず第1部と呼んでいる本編の部分は、ボイスを聞きながら遊んでも20~30時間ほどのボリュームになります。ですがその後、いわゆる「強くてニューゲーム」にあたる2周目が用意されています。

 1周目とは内容がガラッと変わっており、マルチエンディングが10種類以上追加されています。「実はこんな話だったんだ」と分かったり、新しいキャラクターが出てきたりと色々な要素があるので、そこまで遊び尽くすと50~60時間くらいのボリュームです。ぜひ2周目まで含めて遊んでもらえるとうれしいですね。

爽快感を増した戦闘システム! 新要素「チェイン」システムも

――戦闘システムについてのこだわりはありますか?

平澤氏:アクション性を大きく要求しない、ゆっくり考えながら遊べるコマンドバトルという点は「時空を超える猫」と共通です。とはいえコマンドを選択するだけのRPGだと、昨今のゲームとしては物足りないのではないかという問題意識がありました。

 そこでバトルに爽快感を足すために、「チェインスキル」のシステムを追加しています。これは技を撃つと落ち物パズルの連鎖のように、追加で別の技がどんどん出るという仕様なんですね。戦略的にパーティーを編成することで、技がつながって気持ち良く感じられるんです。

 また「時空を超える猫」にも存在するのですが、「アナザーフォース」はゲージが溜まったら一定時間、技が撃ち放題になるモードです。本作では「チェイン」や「アナザーフォース」を使いながら、バンバン敵に技を撃ち込んで気持ち良くなってくださいという感じでチューニングしています。

――今作には総勢19人のキャラクターが登場します。やはりスキルの組み合わせによって、戦略の幅が出てくる仕組みになっているのでしょうか?

平澤氏:先ほどの「チェイン」に関しては、「味方の誰かが会心攻撃を出したら」、「誰かが弱点を攻撃したら」といった条件が付いており、パーティの組み方次第で技がどんどんつながっていきます。ストーリーの途中で寄り道をして仲間を増やしていくと、面白いパーティーが組めることもあるので、そうしたところが楽しい部分になっていますね。

――奥が深い戦闘システムになっているんですね。

平澤氏:そうですね。結構カスタマイズの幅はあるかなと思っています。

キャラクターが冒険を通して仲間に! フルボイスでそれぞれのドラマを表現

――今作では「時空を超える猫」に登場するキャラクターたちの新たな一面が見られると思うのですが、その辺りはどんな風に描かれているのでしょうか?

平澤氏:「時空を超える猫」では、1人につき3つのキャラクタークエストが存在します。一部のキャラはそのままシナリオが収録されていますが、新しくシナリオを追加したキャラもいるので、まずはこれを楽しんでいただきたいです。

 またガチャシステムではなく、冒険のなかで仲間になるという流れに変えたことで「出逢いクエスト」が追加されました。これは完全に新しい要素となっており、「このキャラはこのような経緯で仲間になったんだ」ということが分かる内容となっています。

 一緒にバトルなどをすることで親密度が上がるようになっていて、仲良くなったら見ることができる特別なクエストも用意しています。もちろん全部フルボイスなので、それぞれのキャラを愛してもらえるとうれしいですね。

――新規ファンだけでなく、従来のファンも楽しめる作りになっているんですね。

平澤氏:シナリオだけでなく、フルボイスで声が付くことによって雰囲気も大きく変わりますよね。「こんな雰囲気のやりとりだったんだ」という発見もあると思うので、モバイル版のファンの方にも楽しんでもらえるんじゃないでしょうか。

――フルボイスの実装に関してですが、声優の演技について注目ポイントはありますか?

平澤氏:元々モバイル版には声がついていなかったので、ドラマとしての仕上がりを楽しんでもらいたいです。また「とある時代で大事件が起こってしまって……」というようなグッとくる場面もあるので、そのようなところの演技はぜひ味わってもらいたいなと。ボイスが入ることで、喜怒哀楽の部分がだいぶ増幅されていると思います。

――既存のキャラクター以外に、「ラミュ」という新キャラクターが登場することも明かされています。さらなるキャラの追加も想定されていますか?

平澤氏:現在ダウンロードコンテンツは第5弾までを発表していて、追加キャラは総勢10名となっています。今のところはここまでの予定ですが、たくさん応援していただければ、何かあるかもしれませんね(笑)。

――答えづらい質問かもしれないのですが、平澤氏さんが個人的に好きなキャラクターを伺ってもよろしいですか?

平澤氏:キャラに優劣は付けにくいのですが(笑)。何度も通しプレイをやるなかで、主人公のアルドがさらに好きになりました。

 アルドは今までもプロモーションビデオなどでは話していたのですが、今回の冒険でも声が付きました。しかも過酷な運命を辿るなかで、心の動きが表現されます。それを見て、もう一度彼のことが大好きになりました。

マルチエンディングが生むプレイ体験! 加藤氏が“お茶目”を発揮したシナリオも

――本作のやり込み要素について教えてください。

平澤氏:2周目の「ニューゲーム+」では内容が大きく変わるので、そこをまず楽しんでほしいです。あとはマルチエンディングの要素。加藤さんが面白いエンディングを追加してくれたので、ぜひ見てもらいたいですね。すでに「時空を超える猫」を遊んでくれている方が「おっ」と思うような要素も入っています。

 そのほかキャラの育成やアイテム収集、各所にいるかわいい猫の収集なども用意しているので、そうしたところもやり込み要素として楽しんでもらえるんじゃないでしょうか。

――マルチエンディングの導入によって、プレイヤーにどんな体験が提供できると考えていますか?

平澤氏:マルチエンディングのルートに入るかどうかという部分、「ここでこの選択をしたらどうなるのか」という部分が冒険中の選択に委ねられているのですが、これこそタイムトラベル系の醍醐味じゃないかと思います。

――ちなみに複数のキャラクターの話があるなかで、「これはとくにオススメしたい!」というものはありますか?

平澤氏:加藤さんがお茶目なところを発揮したエピソードがありまして、「とあるキャラクターがアイドルデビューする」というアイデアを採用したエンディングがあるので、これはぜひ見ていただきたいです(笑)。あとは少し気付きにくいところに用意したエンディングなどもあるので、探してもらえると面白いんじゃないかなと。

時代が追いついた? タイムトラベルRPGの第一人者としての矜持

――他のゲームにない、本作ならではのセールスポイントがあれば教えてください。

平澤氏:タイムトラベルRPGというジャンルにおいて、我々は第一人者であるという自信を持っています。10年ほど運用を行ない、積み重ねてきた“面白い部分”を凝縮した1本になっているので、その辺りを味わっていただけるとうれしいです。

――ゲーム業界にかぎらず、エンタメ作品では「タイムトラベルもの」が流行っているイメージがあります。世間の需要にシンクロする部分もあるのかなと感じました。

平澤氏:転生ものなど、色々なエンターテインメントで、ループやタイムトラベルのような要素がありますよね。今作はそうした要素の“いいとこ取り”をしている部分があるので、気になった方はぜひ触ってみてほしいです。

――近年、RPGのヒット作が目立っているようにも感じます。RPGの需要が高まる状況で本作をリリースすることについて、何か思うところはありますか?

平澤氏:世界的に見ても、RPGが人気ジャンルとしてもう一度盛り上がっているなということは強く感じますね。そうしたなか、我々はRPG1本で10年やっているという自負があるので、自信を持って本作を出すつもりです。

 その一方、今流行っているRPGはグラフィックが綺麗であったり、最先端の技術を使っていたりするので、どう競争するかですよね。我々はどちらかというと、気軽に遊べることや、かわいい見た目で入りやすいことを大事にしています。そのためRPG作品に興味はあるけどあまり触れたことがないという方に、“入門編”として遊んでいただいていいのかなと。

原作の魅力とトレンドの融合……開発陣がこだわったポイントとは

――「開発陣の方々がここにこだわっていた」という部分は何かありますか?

平澤氏:今作は「時空を超える猫」のメインストーリー第1部がベースになっていますが、元々あったユーザー体験を絶対に壊してはいけないという意識を持っています。みんなに愛されているものを変えちゃいけないだろうと。どれだけクオリティを上げるために弄り回したとしても“根本の部分は変えないぞ”ということはすごく大事にしました。

 ただ、10年前にリリースしたゲームなので、そのままだと古い部分はあるし、最近のゲームと比べたときにその差が目立ってしまいます。ですので根本の部分を大切にしながら、どのようにトレンドを取り入れていくかというところで、開発スタッフで頭を使いながら頑張りました。

――元のゲームから受け継ぐ部分と、新たに挑戦する部分があるというお話だと思うのですが、挑戦の部分でとくに意識されていたことはありますか?

平澤氏:先ほど話したバトルシステムの革新はまさにその1つです。あとはフルボイスにすることで、ドラマとしての盛り上がりを高めたいということもありましたね。

 またユーザービリティの部分や操作性の良さ、レスポンスの良さ、UIの分かりやすさなどは、しっかりと作り直しました。

――音楽に関して、「時空を超える猫」からアップデートされた部分はありますか?

平澤氏:元々あった楽曲をアレンジしたり、新曲を用意したりと、素晴らしい楽曲が増えていると思います。

 あと実際にSwitchや携帯機で遊ぶ時や、テレビに出力して大きな画面で遊ぶ時に物足りなくならないよう、音回りは一通り見直しています。モバイル版にはフィールドの環境音がありませんでしたが、今回は風の音、水の音などが聞こえるようにしています。没入感を上げるような音の使い方を意識しました。

――より一層臨場感のあるプレイが楽しめるんですね。

平澤氏:やはりスマートフォンの画面を眺めるのと、大きな画面でプレイするのでは体験として違いがありますよね。今作は大きな画面用に合わせて、しっかり音響を作り込んでいるので、ぜひテレビに繋いで遊んでもらいたいです。

――ゲームの発売に向けた意気込みがあれば、お聞かせいただいてもよろしいですか?

平澤氏:「アナザーエデン」というゲーム自体は、もう10年ほど運営しています。今でも自信作ではありますが、今さら手を出しにくいという人も当然いますよね。今回は新作として、あらためて今の時代に合ったかたちで作り直しているので、ぜひ遊んでみてください。

――今後の展開についても想定されているのでしょうか?

平澤氏:我々チームとしても会社としても、「アナザーエデン」というIP自体をもっと盛り上げていきたいし、大きくしていきたいなと思っています。ですがそこはみなさんの応援次第ですね(笑)。背中を押してもらえるとありがたいなと。

――本日はありがとうございました。