インタビュー
フロントウイング×グッスマのタッグが送るノベルゲーム「KANADE」インタビュー
終末世界を舞台とした“ド直球のラブストーリー”ができるまで
2025年6月10日 00:00
- 【KANADE】
- 6月12日 発売予定
- 価格:1,980円
数多くの美少女ゲームを手掛け今年25周年を迎えるフロントウイングと、フィギュアを中心に様々なプロダクトを発信するグッドスマイルカンパニーがタッグを組んでお届けする新作ノベルゲーム「KANADE(カナデ)」が6月12日に発売される。
本作は植物の増殖しつつある未来の地球を舞台に、主人公の悠登(ゆうと)とヒロインのカナデという2人を中心としたノベルゲーム。シナリオは「euphoria」や「リルヤとナツカの純白な嘘」を代表作に持つ浅生詠氏、キャラクターデザインは「ATRI -My Dear Moments-」や「GINKA」を手掛けるゆさの氏のPC用ノベルゲームとなる。
今作の注目要素はやはりグッドスマイルカンパニーがコンシューマーゲーム、ひいてはノベルゲーム(ビジュアルノベル)に携わるという点にあるだろう。2024年9月にグッドスマイルカンパニーとフロントウイングが資本業務提携を行なうことを発表。この際に「KANADE」の存在も明かされたほか、その先の作品についても公開され、情報量の多さに筆者は大変驚いた。今回そんな「KANADE」の発売を控えるタイミングに、ディレクターのかづや氏、企画・シナリオを担当する浅生詠氏、グッドスマイルカンパニーのプロデューサーの佐藤允紀氏へインタビューを行なった。
本作についてどこに重きを置いたストーリーになっているのかや、絵作りへのこだわり、さらにフロントウイングとグッドスマイルカンパニーがタッグを組む事になった経緯について伺ったのでその内容をお届けする。
終末世界を舞台としつつも「KANADE」の主軸は2人の恋
――改めて自己紹介をお願いします。
かづや氏:フロントウイングで「KANADE」のディレクターを担当しておりますかづやと申します。
浅生詠氏:浅生です。「KANADE」では企画とシナリオを担当させていただきました。
佐藤氏:グッドスマイルカンパニーの佐藤允紀(まさき)と読みまして、今回プロデューサーを担当しております。
――本作「KANADE」のストーリーはどういったものになりますか?
かづや氏:本作は植物の異常増殖現象によって、緩やかに滅びを迎えようとしている未来の世界が舞台です。ヒロインのカナデと悠登が恋をし、歌を歌って世界を救おうとするという話です。
そこで、世界を救うためには「最高のラブソングを歌わなければいけない」と。それを2人で叶えていくという話です。
――今作のテーマや世界観を決めた経緯は何でしょうか?
浅生詠氏:元々「ちょっと終末ものがいいよね」という案がありました。そこで、少年と少女を中心とした恋愛にするか、ジュブナイル作品や青春ものにするか、といった内容をかづやさんと企画段階からブレストをしながら考えた感じですね。
なので構想段階においては世界観として「砂だらけになった世界でオアシスを舞台にしようかな」とか、「ずっと続く冬の世界でドームの中のお話みたいな世界観もいいよね」、といった形でいくつか世界の舞台を提案しました。
かづや氏:そうですね、早い段階で終末世界にするという案がありました。ですが「今にも死にそう」というような悲壮感がある終末世界ではなく、緩やかに滅びを迎えている世界になっており、ちょっとしんどいキャンプぐらいのテンションで日々を生きている人たちの話にしようとなりました。
あくまでも今作はヒロインのカナデと主人公の悠登の恋に焦点を当てているので、世界観設定が2人にとって障害にならないようにしています。
――本作は「GINKA」に引き続きシンプルなタイトルになっているかと思いますが、その理由は何でしょうか?
かづや氏:これは「GINKA」の頃から一貫してまして、ヒロインの名前をタイトルにしています。物語としてそのヒロインに焦点を当てていますよということをタイトルから伝えるためです。このため本作ではカナデというキャラクターに焦点をあてたゲームになっています。
――今回制作する上でこだわった部分はどこになりますか?
かづや氏:先ほども少しお伝えしましたが、本作の世界は植物が緩やかに侵食し、それによって緩やかに滅びを迎えようとしてる世界ってどんなところだろう? っていうところからスタッフみんなで話し合い、グラフィックの色彩や、このぐらい緑が世界を覆ってた方がいいよねなど、話し合いの上で決めていったというところが1番ですね。
あと僕と浅生さんの方では「この世界では電気とか水道はどうなってるんですかね」など、世界の文化レベルのお話についてもかなり詰めてます。まだ世には出してないんですけども、バックグラウンド設定という長い設定がありまして、そこには浅生さんのこだわりがたくさん詰まっています。
――かなりしっかりとした世界観設定が設けられているとのことですが、この設定を決めるにあたってはお2人のどちらから意見が出た形ですか?
かづや氏:当初、いくつかの候補がある中で「植物ですかね」っていう話にはなったと思うんですけど、どうでしたかね?
浅生詠氏:そうですね。まず自分がビルに緑が生い茂っている廃墟みたいな世界観のイラストが好きだというのがあります。先程も少し出てきましたが、あまり過酷な世界ですと「恋愛してる場合じゃないよね」となってしまいます。ですので、緑が生い茂る世界でアウトドアのような状況で暮らしてるぐらいがいいかなと。悪い意味でなく「牧歌的な終末感がいんじゃないですかね」という話はしたような覚えがあります。
――本作はいつ頃から制作がスタートしましたか?
かづや氏:これまた難しいお話でして、フロントウイングは複数の制作ラインがあります。作品づくりが並行して行なわれている中で「KANADE」を作り始めましょうと決まったのは2023年12月になります。
――なるほど、ではその頃に世界観などを決め始めた形なんですね。
かづや氏:そうですね。こういう作品を作りましょうというところで世界観を決めてから、大体4カ月ぐらいで浅生さんがシナリオを書き上げています。
グッスマとフロントウイングが組むきっかけはシナリオの完成度
――今作はグッドスマイルカンパニーとフロントウイングが初のタッグを組む作品かと思いますが経緯を教えて下さい。
佐藤氏:最初に同チームが企画している「KANADE」と「COCORO」という2作品のご相談をいただきました。私もノベルゲームというものに興味があり、まず「KANADE」のシナリオをテキストで読ませていただき、グッスマとしてプロジェクトに関わることを決めました。
フロントウイングさんが携わった「ATRI」はリリース当初から注目させて頂いていて、「GINKA」を含めて海を舞台にしたものと「KANADE」の緑に覆われた世界に相対するような雰囲気と魅力を感じました。
いただいたシナリオは頭から読んでいたのですが、先の展開が気になり、我慢できなくなって1番最後のシーンを読んでしまい……。ただ、そこのシーンが凄く良い感じでですね、「これはやるべき作品だ」と強く感じたことを覚えています。
――なるほど。その時点でシナリオだけでも完成度が高かったという感じなんですね。
佐藤氏:そうですね。テキストだけでもそのシーンが頭に思い浮かぶというか、世界を救うお話なのでかなりのスケールを感じるというか。それが十分想像できまして、最終的にどういう風に表現されるのか楽しみですね。
――タッグを組むにあたってどちらからお声がけをしたのかお伺いできますか。
佐藤氏:フロントウイングさんです。ノベルゲームの制作・宣伝、発売後含め一緒に多くの作品を盛り上げていければと思い、会社同士という枠組み(提携)としても取り組ませていただいてる感じです。
――順番的としてはノベルゲームのお話が先に挙がっていた形なんですね。
佐藤氏:そうですね。先ほど企画の検討段階でシナリオを先にいただいたとお話しましたが、個人的に新海誠監督が手掛けた昔の映画が好きでして、「KANADE」にはそういった作品の雰囲気も感じています。
過去に、崩壊する世界の中での少年少女たちみたいな映画があったと思うんですけど。なんかああいう感じのものをゲームとして表現するというのはすごくありだなとは常々思っていたので。そこにはまっていた企画だなと思いました。
浅生詠氏:それは「ほしのこえ」ですか?
佐藤氏:そうです。「ほしのこえ」とか「雲のむこう、約束の場所」ですね。
浅生詠氏:当時渋谷に映画を見に行きました。
佐藤氏:作中(「KANADE」)に近しいものが出てきますよね。
浅生詠氏:そうですね。ちょっとイメージはありました。
――そうなんですね! それはかづやさんから浅生さんに向けてそのようなお話があったのでしょうか?
かづや氏:作品のボリューム感や内容をお伝えする際に少し話題には出たと思いますね。
浅生詠氏:そうですね。話したと思います。
かづや氏:ただ具体的に「あの作品を作ろう」といった話ではなく、少し話に出たぐらいだったかなと。
――グッドスマイルカンパニーとしてはすでにスマートフォン向けのゲームを展開されていますが、今後買い切り型のゲームも視野に入れていく形になりますか?
佐藤氏:もちろん「KANADE」、「COCORO」の2作品を中心とした形になりますが、2026年末までに数タイトルのリリースを予定しています。ジャンルが全然違うというか、切り口が違ったものになるかなと。
スマホゲームはアップデートやイベントを続けつつサービスを展開していくのですが、ノベルゲームはそれとは全く違ったペースや手法でお客さまと向き合えるかなと思いまして。僕の中では異なるユーザー層がターゲットというわけではなく、キャラクターと深い世界観に共感いただける同じお客さまに対して異なるゲームの型でお見せしている感じで考えています。
今回はフロントウイングさんが制作主体になっているので、グッドスマイルカンパニーとしてはどちらかというと宣伝や、どのようにして作品を見せるかといった点に注力しています。
なにより本作をフロントウイングさんのお客さまにだけに届けるのはもったいないとも感じ、今回はそこに加えて我々グッドスマイルカンパニーのお客さまへの見せ方をできればと思っています。それこそアニメジャパンやコミックマーケット、スマイルフェスや京まふといった弊社出展のイベントにも積極的に露出させていただいたりしています。
――改めて、今回タッグを組んだことで変化した部分や強みに感じた部分はありますか?
かづや氏:我々としてはやはりグッスマさんが出展されている大きなイベントで展開いただき、そういった場所での露出においてお力添えをいいただいてます。もちろんクリエイティブの側面に関しても、色々アイデアをいただいて、こうしようああしようといったお話をしていたりと、密に取り組んでいます。
佐藤氏:強みに感じた部分ですが、作り手の方々のやりたいことがもちろん大事だとは思うんですけど、お客さまから期待されているものを意識すべきだと思います。今作だと「元気で明るい姿と崩壊する世界のギャップ」だったり、CGの見せ方でもどういったラインナップでお客さんに期待させるのがいいのかなど、そのようなお話もフロントウイングさんとはポジティブにできるなと思っていて、「俺がやりたいのはこれだ」みたいな職人気質というより、お客さまを意識された仕事をされてるなという印象があります。
シナリオやビジュアルなどこだわり満載の「KANADE」
――浅生さんの手掛けるシナリオの得意分野はなんでしょうか? また、ポストアポカリプス系のシナリオは初めてですか?
浅生詠氏:そうですね、得意分野は人間ドラマというか、人間同士のコミュニケーションといいますか、登場人物の心の機微だったり、(最近のスラングでいうところの)巨大感情にのた打ち回ったりするようなシナリオは得意というか好む傾向にあると思います。「KANADE」では、いちゃいちゃする2人の描写みたいな部分を割と楽しく書けましたので、そういったものは得意だと思います。
これまでの代表作もそうなんですけど、仕掛けや伏線を意識した物語作りというかプロットは好きなんですけど、最初からそれに頼りきりになることへの危機感みたいなものを抱いていました。そういうアイデアだけで勝負すると多分早々に潰れるなという意識がかなりあったので、「euphoria」の後に人間ドラマを主体とした「夏ノ鎖」を書いたという経緯がありましたね。
浅生詠氏:おかげさまでそちらも好評でしたので物語上のきちんとしたストーリーラインと、人間ドラマという両輪で進められたらいいなと考えています。ただし今回の「KANADE」に関してはかなりストレートなラブストーリーなので、仕掛けとかは意識せずに、2人の微笑ましい関係性を見てほしい気持ちが1番ですね。
ポストアポカリプス系のシナリオについては本作が初めてですが、個人的に好きでずっと読んだり見たりしてました。新海誠さんの「ほしのこえ」は当時すごく話題になって、絵コンテ本とかも持ってましたし、その次の「雲のむこう、約束の場所」も、渋谷の単館シアターに見に行ったりしたので好きですね。新海さんの世界観はいいなと思っております。だから、先ほど佐藤さんからお話があって「やっぱりそういう影響があるんだなあ」みたいな感じがありました。
――どちらかというと物語のメインは2人の関係性になりますか?
浅生詠氏:そうですね。それぞれの要素が生きてるといいなと思いますが、やはり大事なのはラブストーリーの方かなと思います。
――今作のシナリオ作りは大変でしたでしょうか?
浅生詠氏:やりたいことそしてやるべきことを、かづやさんとガンガン話し合い、ストーリー上の設定や枠組をバシッと決めて作ったので、今回はどちらかというと非常にスムーズでしたし書いててとても楽しかったです。
――なるほど。同じくシナリオを担当された「リルヤとナツカの純白な嘘」のリリースからおよそ1年弱で本作が発売されるかと思いますが、筆は早い方ですか?
浅生詠氏:シナリオは例えば速く書いたとしてもゲームとして発売されるのが2、3年後になったりすることが割とあったりします。制作ラインが多い会社ですとそういったことが多いですが、今回は運がいいことに結果として連続して出せたという感じです。
かづや氏:そうですね。でも、はっきり言いますが浅生さんは筆が速いですよ!
浅生詠氏:今はフロントウイングに所属していますが、フリー時代、周りに非常に筆の速いライターさんが多かったため、「自分はそこそこかな」とは思っていたりしました。まあでも平均よりは速い方かなと思います。
――かづやさんへの質問です。ディレクターとして本作で大変だった部分はどこですか?
かづや氏:これもうはっきり言えるんですけども「GINKA」と色(色彩設定など)を変えたことです。
厳密に言うと「ATRI」から「GINKA」も違うし「GINKA」から「KANADE」も違うんですよ。これは緑に覆われていく世界や、滅びゆく舞台というものをキャラクターデザインを担当するゆさのさんが想像した時に「色はこうでしょう」、「じゃあこの廃墟と緑が合わさった時にこういう色の方が綺麗でしょう」というようにこだわりと思いと熱意があって、キービジュアルをはじめとした何から何まで「GINKA」と全然違う色になってます。
「GINKA」は夏っぽい世界をイメージして彩度も高めで制作していました。一方で「KANADE」は彩度も抑えめで、ちょっと涼しそうだったり、植物が生い茂ってるから気温がちょっと低めなのかな? みたいな。そういった部分をビジュアルでお客さんに届けられるように取り組んだところが1番大変でした。
わかりやすい部分としては空の色ですかね。本来、空に色はないですが「GINKA」ではとても青く、濃い青になっています。対する「KANADE」はちょっと抑えめの水色みたいな。毎回、そういうところから決めています。同じくキャラグラフィックも「GINKA」の塗りとは全然違っています。
かづや氏:また、今回は歌がキーポイントになるため、フロントウイングの作品としては珍しく、歌に様々なバージョンがあります。ですのでそういった要素もあって歌にもかなりこだわってます。そちらの部分も楽しみにしていただきたいなと。
――「歌のバージョン」というのはどういった形でしょうか?
かづや氏:楽器が違うなどそういった点になります。
――歌にアレンジが加えられているといった感じですね!
かづや氏:ラブソングを作るっていうことはじゃあ歌う人ともう1人何がいるんだろうと考えた結果こういう形になりました。主人公(悠登)とカナデの関わりとして表現している部分でもあります。
――今回ヒロインのカナデは声優の夏吉ゆうこさんが起用されているかと思いますが、歌も歌える方を決め手にした形ですか?
かづや氏:本作は元から歌をテーマにして、ラブストーリーを描こうっていうのは決まっていました。過去作の「ATRI」も「GINKA」もヒロインが1曲歌っていたので、今回もヒロインが歌を歌ったら一体感が出るよねという思いがありました。その上で、今作は歌をテーマにした作品なので、キャスティングは歌唱を含めて考えました。
個人的に「GINKA」の完成後に次回作のボイスをご依頼するのであれば夏吉さんだなと思っていて、決めるにあたって出演されてる作品や音楽ユニット(Arika)の歌声を聞いてもうこの人しかない! と決めました。
――ヒロイン自身が歌う楽曲はゲームをクリアする前と後で印象が大きく変わりますよね。
かづや氏:開発スタッフからも「カナデってボイスが入るとすごい可愛くなりますね!」という声があがりましたので、夏吉さんが素敵なお芝居をしてくださったお陰かなと。
また、本作ではカナデと並んで寝るといったようなシーンがあるのですが、そのシーンはちょっとASMR感があるように感じました。「耳元でちょっと囁かれてる!」みたいな。そういった点もご期待いただけるかなと。
――今回メインビジュアルに東京タワーを彷彿とさせる赤い塔が描かれていますが、ロケハンなどは実施されましたか?
かづや氏:この物語(「KANADE」)はフィクションなので、実際に登場する人物・場所・団体とは関係がないとした上でロケハンには行っておりません。一方で、制作上では精巧な3Dデータを用意しイラストに落とし込んでいます。細かい話をしますと、この塔の赤さをどれだけ残すかなどもグラフィックの際に検討していたりもしてます。
――ちなみに物語上で、この赤い塔は最初から登場させることが決まっていたのでしょうか?
浅生詠氏:あまり自分たちが知っている世界から遠すぎるとその世界観説明に時間がかかってしまい、お客さんがストーリーに集中できなくなってしまう可能性があるので、できるだけ身近な世界にしようと決めていました。
かづや氏:じゃあせっかくなら「あそこに住んだらすごいっすよね」みたいな話ですもんね。
浅生詠氏:そうですね。自分からかなり強く「あの赤い塔で暮らす男の子がいい」と希望を押し出しました。
かづや氏:もう普通の人は登るのが大変だから高いところに行かない世界なので、逆にあの高さのところに住んでるっていう。
――現実だと塔に生活するというのは考えつかないですが、お話ならではの設定ですね。
――フロントウイングのPC版の作品としては前作「リルヤとナツカの純白な嘘」(2024年7月発売)よりフルHDに対応されているかと思いますがこの理由はなんでしょうか?
かづや氏:これはですね、すごくストレートな理由がありまして「GINKA」を発売した際にSteamで「1080P(フルHD)がほしい!」、という意見を多くいただきました。そこで我々のゲームの解像度は720P(HD画質)では小さいんだということを切に感じまして、そこから大きくしようと決めました。
浅生詠氏のダークめな作品も!? 今後の展開についても聞いた
――浅生さんはご自身のXにてゲームに関するポストを多く投稿されているかと思いますが、最近遊んで面白かった作品はありますか?
浅生詠氏:そうですね、「未解決事件は終わらせないといけないから」(Somi氏)がすごく面白かったです。それとディストピアものの「Minds Beneath Us(BearBoneStudio)」ですね。こちらは非常に重いストーリーですが読み応えのある内容でとても良かったです。
あとはやっぱり「都市伝説解体センター(集英社ゲームズ)」ですかね。こちらは元々、開発チームのハフハフ・おでーんさんが携わっていた「World for Two(room6、ヨカゼ)」というゲームが好きでした。なので「都市伝説解体センター」も発売前からずっと追いかけてまして、すごい人気が出て本当に良かったと、ちょっと後方支援顔みたいな気持ちでいます。ちなみに「World for Two」は本作のキャラクターデザインを担当しているゆさのさんに教えていただいたタイトルでもあります。
浅生詠氏:あと、これは少し前にリリースされた作品ですが「MECHANICA――うさぎと水星のバラッド――(Loser/s)」を先日プレイしてすごく良かったです。シナリオはライトノベルなども執筆されている逢縁奇演さんで、今イチオシのライターさんです。
――ノベルゲームだけでなくアドベンチャーゲームを多くプレイされている感じなんですね。
浅生詠氏:全体的にストーリーベースのゲームは勉強と趣味を兼ねてプレイしていたりします。それ以外だとパズルゲームも好きで「GRIS(Devolver Digital)」というアクションパズルゲームも綺麗で面白かったり、これと少し似てる「Chants of Sennaar(Focus Entertainment)」という作品も面白く、また美少女ゲームだと「プトリカ 1st.cut:The Reason She Must Perish」が良かったです!
――フロントウイングでは25周年記念としてすでに第3弾までが予定されているかと思いますが、これ以降の作品展開も予定されていますか?また、発表済みの「COCORO」についても動き出している形でしょうか?
かづや氏:第3弾以降も予定しています。「COCORO」についても「KANADE」と共に発表させていただきましたので動き出しております。
佐藤氏:「KANADE」をプレイしつつ、「COCORO」の続報も是非お待ち下さい。
――プラットフォームについて、今後もPCをメインで展開するのか、それとも他のハードも視野に入れている形になりますか?
佐藤氏:そうですね、グッズとしてのパッケージ版については本作に限らず検討したいなと思っております。
かづや氏:他のプラットフォームについても検討中の状態です。皆さんに応援していただけたら嬉しいです。
――それぞれ今後やってみたいことはありますか?
かづや氏:引き続き「COCORO」も僕がディレクターということになっております。先日、ぜひお声がけしたいと考えていたグラフィック関連の方にオファーのOKを頂きました。弊社はラインが複数ありますので、フロントウイングとして開発・販売をする作品に限らず、グッドスマイルカンパニーさんと一緒に展開させていただく作品についても楽しみにしていただけたらなと思います。
浅生詠氏:そうですね。フロントウイングに所属しておりますので、「Lilac」のように他メディア作品のゲーム化に協力したり、提案された企画やアイデアにも積極的に関わっていきたいと考えております。
あとはそうですね。そろそろちょっとダークめのお話も出せたらいいなぁなんて、考えておりますがどうでしょうかね。
かづや氏:是非楽しみにしてていただきたいですね。
――浅生さんの代表作といえば「euphoria」がありますもんね。
かづや氏:「euphoria」が好きな人ほど「KANADE」を遊んだらびっくりすると思います。
浅生詠氏:そうなんですよ。なので、そういう意味では昨年「リルナツ」が出ているので、「『euphoria』の浅生詠が『KANADE』みたいなの書けるの?」みたいな疑問を感じる方には「リルナツ」を遊んでいただければ。
佐藤氏:僕は先ほどかづやさんが仰っていたように、引き続き色々な形で作品を継続して出し続けられたら良いなと思ってます。Steamはなんだかんだ海外のお客さんが多いため、日本と海外のお客さまが同じタイミングにプレイして感動したり感想を共有し合うことができる作品をより多く出せるといいなと思っています。
アニメだとこういう環境は当たり前になりつつありますが、ノベルゲームだとあまりこのような環境がないと感じているので、そういった点で、今後も継続的に展開をしていきたいです。
――最後にメッセージや意気込みなどあればお願いします。
かづや氏:ヒロインの名前を冠しているゲームとして、今回もカナデというキャラクターをいかにかわいく見せられるかという点にこだわって制作しておりますので、公開中のグラフィックや、オープニングムービーなどを是非ご覧いただければと思います。
佐藤氏:僕が我慢できずに読んでしまったラストじゃないですけど、非常に見所のある展開になっていると感じますので、そこを目指して楽しんでいただければと思っております。また、これを皮切りにノベルゲームデビューする方も出てくるといいなと思ってますので、まだこのジャンルを遊んだことがない方にぜひ手に取っていただけるとありがたいなと思ってます。
かづや氏:そうですね、本作は初めてビジュアルノベルを遊ぶ方向けのタイトルにもなっているか思いますので、ぜひそういった方にもプレイしてもらいたいです。
浅生詠氏:「KANADE」はこれまでのライター家業の中で一度は書いてみたかった“ド直球のラブストーリー”を目指しました。2人の恋路と世界の行く末を是非見届けていただけると嬉しいです。
――ありがとうございました!
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