インタビュー

【E3 2014】Xbox One「Forza Horizon 2」開発者インタビュー

孤高のリアル系オープンワールドレースゲームはXbox Oneでどう飛躍を遂げるのか?

6月10日~6月12日開催(現地時間)



会場:Los Angeles Convention Center

 日本の「Forza」ファンにとって今年は大漁の年になる。1年待たされた「Forza Motorsport 5」がようやく遊べるだけでなく、E3 2014で初公開された「Forza Horizon 2」も世界同時発売(北米は9月30日、日本は今秋)が予定されているため、2本の新作をほぼ同時平行して遊べることになるからだ。

 「Forza Horizon 2」については概要はこちら、E3 2014のインプレッションはこちらにまとめたとおりだが、「Forza Horizon」が従来のオープンワールドスタイルのレースゲームと決定的に違っていたのは、リアル系レースシムの「Forza Motorsport 4」のゲームエンジンを採用していたことだ。

 通常、オープンワールドスタイルのレースゲームは、ゲーム性は非常にカジュアルだ。物理シミュレーションはほとんど考慮されず、ぐいぐい曲がるし、ガンガン止まる。これはレーシングよりカーライフやカーバトルを重視しているためだ。この分野には過去に「BURNOUT」シリーズや「TESTDRIVE」シリーズ等の傑作が存在するものの、続編の声がなかなか聞かれず、先細りの状況にある。

 そうした中で燦然と登場したのが「Forza Horizon 2」である。「Forza Motorsport 5」のゲームエンジンを採用し、リアル系のシミュレーション設定で本格的なレースが楽しめるだけでなく、1080p/30fps(前作は720p/30pfs)のグラフィックス、「Forza 5」直伝の光が踊るコクピットビュー、クラウドを使ったAI技術「ドライバター」の搭載などなど、これはもう期待するなというのは無理な話である。

 しかも、実在のコースでひたすらストイックなレースが続く「Forza Motorsport 5」と違って、「Forza Horizon 2」は、オープンワールドであり、様々なアクティビティがあり、ボリュームたっぷりのサウンドトラックがあり、豊かなカーライフを楽しむことができる。レーシングゲームの最高峰である「Forza Motorsport 5」最大のライバルは、「Forza Horizon 2」といっても過言ではない。

 「Forza Motorsport 5」についてはE3 2013レポートで詳しく取り上げたので、そちらを参照いただくとして、今回は、スペックシートや試遊だけではわからない部分を、Xbox One版「Forza Horizon 2」をPlayground Gamesと共に開発しているTurn 10 StudiosのDesign Director John Wendell氏に話を伺った。

【Forza Horizon 2: E3 Gameplay Trailer】

【2015 Lamborghini Huracan】
Microsoftブースには「Forza Horizon 2」のイメージカー2015 Lamborghini Huracan(ウラカン)実写が展示されていた。Wendell氏によれば、まだ世界に数台しか存在せず、アメリカにはこの1台しかないという。価格は20万ユーロ以上(約2760万円)。「Forza 5」のイメージカーMcLaren P1の1億円よりは安いか(笑)

「Forza Horizon 2」は真の意味で次世代のオープンワールドレーシングゲーム

道無き道を走行するワイルドな走りにもドライバターは対応するという。適当に走ってばかりだと、相当変なドライバターが生まれそうだ

――「Forza Horizon 2」が「Forza Horizon」と比較してもっとも違うポイントはどこだと考えてるか?

Wendell氏:最大の違いはプラットフォームがXbox 360からXbox Oneへ変わったこと。そして「Forza Motorsport 5」のグラフィックスエンジンを採用したことだ。これにより、1080pのグラフィックスで、真の意味で次世代のオープンワールドレーシングゲームを実現することができたと考えている。

 そのほかにも特徴は多い。ダイナミックな昼夜の変化、ダイナミックな天候の変化、「Forza Motorsport 5」に搭載されたAI技術ドライバターなどだ。ドライバターは、プレーヤーの走行スタイルをAIがクラウドテクノロジーを通じて学習し、走行に反映してくれる。「Forza Horizon 2」では、どういう走りをするかだけでなく、どういうショートカットを選んだかなども含まれる。それからカークラブもある。カークラブには最大1,000人のメンバーが加入でき、クラブ内でランキングを競うことができる。

 「Forza Horizon」が大事にしている要素は3つある。ユーザーのニーズに応えること、美しいグラフィックス、そして高い自由度。「Forza Horizon 2」でもそれはまったく変わらないし、今回はさらにソーシャル性を重視し、シームレスなマルチプレイが楽しめるようになっている。ロビーで待ったりすることなく、クラブメンバーのドライバターとレースをしたり、一緒に走ったり、協力プレイなどもある。

――「Forza Horizon 2」のドライバターについてもう少し詳しく教えて欲しい。

Wendell氏:「Forza 5」のドライバターは、プレーヤーの走行内容をクラウドに送り、クラウドパワーを活かして学習し、人間味のあるAIとして機能させるというものだが、「Forza Horizon 2」ではこれをさらに強化し、よりスマートに、より細かく学習し、それを走りに反映させることができるようになっている。

 最大の違いは、オープンワールドでの走りに対応していることだ。君がどのような走りをするか、どのようなコースを通るかを学習し、AIに反映させる。自分だけでなく、友人も同じように学習し、これによって未だ見たことがないようなシームレスなマルチプレイを実現するというわけだ。

ウェットコンディション
夜間走行

――それは「Forza Horizon 2」独自要素の夜間走行や、ウェットコンディションにも対応する?

Wendell氏:もちろんだ。昼と夜の変化や、雨、嵐など状況の変化に合わせて適切な走りをしてくれるよ。デモでも、雨が降り出して路面の状態が変化すると、AIはそれに対応した走りに変えている。

――シームレスなマルチプレイについてもう少し詳しく教えて欲しい。

Wendell氏:通常のマルチプレイは、ロビーで仲間を待ったり、ゲームにジョインする必要があるが、「Forza Horizon 2」ではそういった手間がない。シングルプレイとマルチプレイの境界がないんだ。

――最大何人で走れるのか?

Wendell氏:最大16人だ。

――収録しているクルマの数は?

Wendell氏:ローンチ時で200以上。ご存じのように「Forza」シリーズはダウンロードコンテンツで、リリース後も随時新しいクルマを追加していく。「Forza 5」では、毎月新しいクルマやコースを追加しているが、「Forza Horizon 2」もそうなる予定だ。

デモで使用できたクルマ
ショーケースイベントでは飛行機ともレースができる
舞台は南欧。前作とはまったく異なるヨーロッパならではの風景が展開される

――フェラーリやポルシェは最初から乗れるのか?

Wendell氏:具体的な収録車種については今夏の遅い時期に発表する予定なのでそれまで待って欲しい。現時点で出せるのは、デモで見せたランボルギーニ ウラカン、日産スカイラインGTR、シボレー コルベットスティングレイの3車種だけだ。

――ファクトシートには飛行機や列車とのレースがあると記載されているが、これはどのようなレースか?

Wendell氏:「Forza Horizon」で、飛行機とレースするショーケースイベントがあったことを覚えているか? 基本はあれと同じで、今回は飛行機に加えて列車ともレースできるし、実はそのほかにもレースができる要素を用意している、詳細は夏に発表できると思う。「Forza Horizon」と比べてもさらに自由度の高いレースが楽しめるよ。

――トレーラーでは美しい景色が描かれているが、ゲームの直接のモチーフになっているのはモナコやヴェニスか?

Wendell氏:南欧地域一帯。国でいうとフランスやイタリア。この点は「Forza Horizon」とは大きく違っているところだ。モナコなどは直接のモチーフにしているわけではないが、より詳しい情報は夏発表するつもりだ。

――今回のゲームのボリュームは?

Wendell氏:とにかくデカい!(笑)。どれぐらいデカいか答えるのは難しいが、ショーケースイベントもそうだし、友人との協力プレイ、ソロ、オンライン、実績解除などなど、100時間以上のゲームプレイが詰め込まれている。マップの広さも前作の3倍になっている。その分、遊びの幅も深くなっているよ。

――Top Gearとのコラボレーションはあるか?

Wendell氏:コラボレーションに関しても、夏まで待って欲しい。

――収録されるBGMやラジオチャンネル数は?

Wendell氏:それについては前作同様に複数のラジオチャンネル、サウンドトラックを用意している。Xbox Musicともコラボレーションして、収録曲を買うこともできる。楽しんで貰えると思うよ。

――「Forza Horizon 2」にはXbox One版のみならず、Xbox 360版も存在するが両者の違いは?

Wendell氏:まず、開発元が違う。Xbox One版は、前作と同じPlayground Gamesだが、Xbox 360版はSumo Digitalだ。Xbox One版は「Forza Motorsport 5」のゲームエンジンを採用し、Xbox 360版は「Forza Horizon」のゲームエンジンを使っている。開発元もゲームエンジンも異なるため、それぞれ別のゲームという扱いになっている。クロスプラットフォームプレイにも対応しない。

――そのほかにゲーム性やコンテンツなどについて違いはあるか?

Wendell氏:Xbox 360版の詳細についてはまだ話せないが、Xbox 360ではクラウドを使えないのでドライバターが利用できないなど、プラットフォームの違いによる制限は当然あるだろう。

――クロスプラットフォームプレイに対応しないのは残念だ。

Wendell氏:我々Turn 10としては、「Forza Horizon 2」では、ベストな経験をユーザーに提供したい。そのために「Forza Motorsport 5」のゲームエンジンを採用し、1080pのグラフィックスを実現している。クロスプラットフォームプレイに対応させるには、Xbox 360版に合わせる必要があるが、我々としてはそれはしたくなかった。ただ、Xbox 360ユーザーに、新しい「Forza」経験を提供することは大事だと考えたんだ。

――Kinect操作には対応するか?

Wendell氏:音声入力だけ対応する。ゲーム内にアナという女性キャラクターが登場し、彼女がガイド役を担ってくれるが、彼女と話すことで目的地を設定して、グリーンラインを道路に標示させたりできる。ハンドル操作などには対応しない。

――クルマのカスタマイズはできるか?

Wendell氏:もちろん。カーカスタマイズシステムは「Forza Motorsport 5」と同じものを搭載しているので、「Forza Horizon」より遙かに細かいカスタマイズができる。

――ありがとうございました。発売を期待しています!

【スクリーンショット】

(中村聖司)