インタビュー

PS3/Xbox 360「LIGHTNING RETURNS:FINAL FANTASY XIII」プレイ&インタビュー

プロデューサー&ディレクターインタビュー

プロデューサー&ディレクターインタビュー
「FFXIII-2」で広げた世界を収束させる、完結編の「LRFFXIII」

インタビューに応じてくれたプロデューサーの北瀬佳範氏。チームのまとめ役として、これまでの経緯や秘話を語ってくれた
同じく、ディレクターの鳥山求氏。ゲームシステムやデザイン、「FFXIII-2」シリーズの世界観の構築など、詳しく語ってくれた

――インタビュー前にE3プレビュー版をプレイさせて頂いたのですが、非常に新しい、独特なゲームになっていると感じました。まずは、「LRFFXIII」というプロジェクトがスタートした時期やコンセプトから、お聞かせ頂けますか?

北瀬氏:「LRFFXIII」の構想が生まれたのは、前作にあたる「FFXIII-2」の制作途中です。「FFXIII-2」というゲームは、1本のゲームに収まらずDLCや小説など、いろいろなアプローチでどんどん広げて行きたいというコンセプトがありました。

 その延長線上、「FFXIII-2」で広げていった世界を収束させる作品として「LRFFXIII」という作品が動き始めました。「FFXIII-2」が終わった後も、開発チームはDLCでの追加エピソードを制作し続けていて、最終エピソードとしてDLC「女神の鎮魂歌」を製作しました。その先にある完結編として「LRFFXIII」が立ち上がったという感じです。

――「FFXIII-2」で描いた世界とは、また別の世界で最終章をやるべきだ、という考えがあったのでしょうか?

鳥山氏:世界は、完全に別の世界というわけではなく、「FFXIII-2」のときに1度完全に壊れてしまったのですが、それから500年くらいの時代を経て、最後に唯一残された4つの大陸がノウス=パルトゥスと呼ばれています。ルーツを辿っていくと「FINAL FANTASY XIII」(以下「FFXIII」)や「FFXIII-2」の世界と同じところになっています。

――「FFXIII」シリーズで描かれた世界の最後の姿というわけですね。「FFXIII-2」の物語はDLCを含めて一段落して……。

鳥山氏:「FFXIII-2」のDLCでの一区切りがあって、全部の最終章としてライトニングを主人公とした作品を作る。それが「LRFFXIII」の最初のスタート地点です。

徹底的にライトニングを出す! 制作は「FFXIII-2」から休みなく続けて行なわれている

新たに公開されたライトニングのキャラクターCG。今作のコンセプトは“ライトニングを中心にしたゲーム”だ

――ゲームシステムが「FFXIII-2」からだいぶ変わって独特なものなっています。特にバトルシステムは、ある意味アクション寄りになったと感じるのですが、コンセプトはどういったものでしょうか?

鳥山氏:最初のコンセプトは“ライトニングを中心にしたゲームにしたい”です。「FINAL FANTASY」(以下「FF」)シリーズだと結構珍しいんですけど、移動中も含め、プレーヤーは基本的にライトニングのみを操作するので、今までのバトルシステムとは大きく変える必要があると最初から思っていました。そこで、ライトニングをかっこよく見せたり、彼女の強さや華麗さをより引き出すために、自然とアクションゲームのような入力方式になりました。

――今作ではパーティーメンバーという形式はなくて、プレーヤーはライトニングのみを操作する。これは最初からあったというわけですね。

鳥山氏:徹底的にライトニングを遊びつくすというか、遊びの面でもそうですけど、彼女の内面なども含め、エピソードでもライトニングが中心です。彼女の隠されていた部分とか、描けなかった魅力みたいなところも含めて全部さらけ出すというコンセプトになっています。

――描けなかった魅力というところですが、「FFXIII-2」を作り終えた時点でも、まだまだライトニングというキャラクターにおいて、ユーザーの方に伝えきれていない設定なりアイディアがあったのですか?

鳥山氏:「FFXIII-2」は、妹のセラと主人公のノエルを中心にしたストーリーだったので、ライトニング自身は1歩引いた位置で妹の旅を見守っていたような立ち位置でした。

 「FFXIII」の時に、1度は平和が訪れ心が和んだはずだったのに、「FFXIII-2」では最終的に世界は壊されてしまった。それらの2つの大きな試練を経て、彼女はより覚悟を強めていった。そういう部分を今作で描いていきます。

――今作のライトニングの旅は、「FFXIII-2」のDLC「女神の鎮魂歌」のラストシーンから始まっていくんですか?

鳥山氏:見知らぬ大地でクリスタルから目覚め歩き出すみたいな……ラストシーンです。そうですね、夢とも現実ともつかぬ、あのシーンが今作のプロローグのような位置になっています。

――制作のタイミングとしても「FFXIII-2」のDLCと「LRFFXIII」は、ほぼ重なっている状態だったんですね。

北瀬氏:「FFXIII-2」の最終エピソード「女神の鎮魂歌」は、2012年の5月ぐらいに配信しましたが、そちらの開発が完了したのはリリースの1カ月ぐらい前です。「LRFFXIII」の企画は2012年の4月ぐらいに立ち上がったのでほぼ同時期ですね。

鳥山氏:DLCでのライニングのエピソードでは、「FFXIII-2」のバトルシステム上でガードのタイミングを適切に入力するといった要素を「FFXIII-2」のATBでやるとどうなるのか? を試してみたんです。「LRFFXIII」のバトルシステムのプロトタイプと言えます。

操作キャラクターは常にライトニング1人。だが、バトルシステムはウェアを活かして3人分の操作ができるようになっている

――物語だけでなくシステムの変化も順当な進化と言えるのかもしれませんね。パーティーという概念から離れ、ライトニング1人がプレイアブルになって、結果としてアクションゲーム寄りな操作感になったんですね。

鳥山氏:例えば、3人パーティーを操作するシステムで過剰な入力をさせるとプレーヤーにとっては難しすぎるゲームになります。そういう点で1人のキャラクターを動かすのなら、よりキャラクターの移動も含めて、ダイレクトな入力形式にできる。まずそういう考えがありました。

 ただ「LRFFXIII」のバトルが、単純にアクションゲームに近づいているというよりは、「FFXIII」や「FFXIII-2」のバトルでの頭の使い方というか、ある特定の敵や、そのタイミングに対してどういう攻撃を仕掛けたらいいのかをしっかり考えた上で、しかもATBと照らし合わせつつ、1番効率的なアビリティを入力していく。そういう、すごくストラテジーチック(戦略的)なところは今作でも維持されています。

――アクションゲーム的な操作スピードで戦略的な戦い方をする。操作キャラクターが1人だからできるものですね。融合しているというか、進化しているというか……。

鳥山氏:なんて言えばいいんだろう、しかも文字で伝えるとなると難しいですね(笑)。とにかくプレイ感覚として、いままでにない新しいバトルになっていると思います。

――ゲーム全体のジャンル表記だけでも表現が難しいぐらいですね。

鳥山氏:「FFXIII」の時から、よりスピード感のあるATBを追及していたんです。そういう意味では、やっぱり新しいATBなのかもしれませんね。

 初期のプロトタイプの時は、今みたいにATBのゲージが3つなかったので、何を目安にスタイルを切り替えて戦ったらいいのか、ちょっとわかりづらかったんです。それが今はATBのゲージが3本になったことで、ゲージをしっかり見ながら効率的なスタイルを選んで戦っていくという軸がしっかり作れています。そういう意味では“ATBとしての最終形”になってくれれば良いなと思います。

Amazonで購入

(山村智美)