インタビュー
【E3 2013】「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏合同インタビュー
E3で公開されたペットジョブ巴術士、学者、召喚士について聞く。全クラスに派生ジョブ、上位職構想も
(2013/6/14 20:17)
日本時間の6月14日18時、現地時間の6月14日深夜2時よりいよいよ「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア(以下、「FFXIV: 新生エオルゼア」)」のβテストフェーズ3がスタートする。E3 2013では、このフェーズ3に向けて大量の情報を公開した。大きなものだけ拾っても、PS4版の発表を皮切りに、インタビュー記事や最新スクリーンショットの公開といったβフェーズ3/PS3版関連情報、ブースで展開されたイフリートチャレンジ、そして出張プロデューサーレターLIVE。そしてフィナーレを飾ったのがE3最終日に行なわれた「出張FFXIVプロデューサーレターLIVE Part 2」である。
「出張FFXIVプロデューサーレターLIVE Part 2」は、E3前に告知していた学者関連の情報がトレーラーと共に公開され、ついに正式サービスで実装される9つのジョブがすべて出そろった。E3ではこの実施直後に、日本のゲームメディアを対象にした「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクター吉田直樹氏への合同インタビューが実施された。
インタビューでは、個人的気になっていた巴術士、学者、召喚士回りの話を中心に聞いてみた。合同でのインタビューということで、必然的に話があちこちに飛んでしまっているが、過去のインタビューと重複する内容も多かったため、今回はあえて読みやすくするために筆者の質問を中心に、巴術士、学者、召喚士の話題だけをまとめている。
2つのジョブに分派する新クラス巴術士。将来的には全クラスに派生ジョブを
――巴術士、学者、召喚士のジョブコンセプトを教えてください。
吉田氏: そもそも僕が「旧 FFXIV」を作り直す要因のひとつとして挙げたのが、ペットクラスが作れないことです。サーバー側でペットがコントロールできないという状態で、さらにジョブバランスもアタッカーがやたら多くて、キャスターも少なくて、ヒーラーも1種類しかいないのを、同時に解決したかったところからペットジョブという発想が生まれています。
それからバッファーが足りないと戦術を組み立てられないので、これから今後エンドコンテンツやダンジョンを作ろうという場合、デバフ、弱体という概念がないとおもしろさが欠けてしまうのでそこを埋めるのが巴術士という存在です。
巴術士は、僕が「旧 FFXIV」のプロデューサー兼ディレクターに就任する前から公開されてしまっていたというか、クラスはないのになぜかギルドだけがあるという状態だったので、それをクラスの巴術士として実装することにしました。ペットはキャラ押しという面でカーバンクルがいいだろうと思い、そこから派生するジョブと言えば召喚士だねと、そこまではあっさり決定したんです。
しかし、学者は予定に無くて(笑)、決定したのは去年の9月~10月ぐらいです。開発から残り工数を考えるといけるという判断になりました。コンテンツファインダーをマッチングしていく上で、ヒーラーが足りないところをなんとかしないといけない。白魔道士と幻術士しかヒーラーがいないということは、イコール1種類なので、意地でもヒーラーをなんとかしなければならないというところで、「FF」らしくて、ヒーラーでもおかしくなくて、アタックもある程度できてとなると、学者がいいんじゃないかってことで一気に詰めていったジョブです。
ペットに何を使うか? ということに関してはいろんな意見が出てて、シルフもありだけど、蛮神が呼べなくなると話をしていて、ちょうど「ブレイブリーデフォルト」の話もあったので可愛くてキャッチーなフェアリーでいこうかと。新しいジョブに関しては良いジョブクエストとシナリオができたと思っているので、ジョブクエストも含めて楽しみにしていただければと思います。
――ジョブの派生はバトルクラスのみで、ギャザラーやクラフターはないのですか?
吉田氏: 将来的にやらないとは言いませんが、今のところその予定はないです。それよりもハイレシピを入れてほかのクラフターと協力して凄いものを作ったり、他のバトルクラスが取ってきた素材を使って家の家具や装飾を作ったり、チョコボのパーツを作ったり、魔導アーマーのパーツを作ったりできたほうがいいかなと。要はエオルゼアの経済を動かしていくのがクラフター・ギャザラーのロールであり、エンドコンテンツだと思っているので、さらに凄いものを作るのに、わざわざジョブを作る必要性は薄いと思っています。錬金と鍛冶を50にするのと何が違うのって話になるので、だったら最初からそういうパラメータを伸ばす方向で用意してあげたいです。
――巴術士はカーバンクル、学者はフェアリー、召喚士はイフリート・エギと、それぞれペットを呼び出していましたが、あれはどういう存在で、どのような能力を持つのか教えて下さい。
吉田氏: アクション自体は全然バラバラなものを持っています。前回の「プロデューサーレターLIVE」で戦闘不能にしてしまったバディチョコボですけど(笑)、召喚に関してはあのチョコボのように基本はオートでスキルやアビリティを発動するというものです。「アタックしろ」、「攻撃を中止しろ」、「帰還しろ」、といった大まかな命令は出せます。
それからパッシブ、ガードなども設定できて、パッシブは命令を待っていますが、ガードは攻撃をしてきた敵に対して反撃を行ないます。なぜこのようにしているかというと、ヘイトがのった瞬間に暴れ始めてしまうと、自分が逃げようとしているにもかかわらず、ペットだけが戦っているというようなことが起こってしまうので、そこの切り替えは専用のアクションが用意されます。たとえば、タイタン・エギだと、ヘイトを多く稼ぐことができるスキルを使って敵を引きつけてくれて、近接ダメージ系のアビを使って自分の代わりに戦ってくれて、自分は後ろからデバフ(弱体攻撃)を入れたり、DoT(時間経過系ダメージ)を入れながら戦っていくことになります。
学者のフェアリーはキャラクターとしては1つなのですが、呼び出すアクションでフェアリーの姿が変わり、味方の回復に寄ったタイプと、バフ、強化系という感じで使い分けが可能です。
――フェアリー自身が味方を回復するのですか?
吉田氏: 学者自身が持っているスペルもありますし、フェアリー自身が持っているスペルもあります。全員にバフを配ったりもできます。
――ペットを呼び出す際のコストは?
吉田氏: 呼び出す際にMPを消費します。
――フェアリーは2タイプあるということですが、カーバンクルはどうなりますか?
吉田氏: カーバンクルはタイプの違う複数を選んで呼び出しになります。
――先ほどのトレーラーの中で、本を持って描き込む動作がペットを呼び出すトリガーになっていたようですが、彼らのアクションについて教えてください。
吉田氏: そこはこれからアタック系の動画を配信していくので、それを見ていただいたほうが早いと思います。呪術士のスタンスチェンジなどはまさにそうですが、アストラルファイアやアンブラルブリザードは、言葉では説明できなくて。属性があってスタンスを切り替えてっていっても「は?」という感じなので、百聞は一見にしかずで、動画で説明していこうと思っています。β4の前に最後の情報ラッシュがあると思いますので、そこで発表になると思います。
とりあえず、本で殴るのだけは確定です(笑)。バトルチームは、本を使ったウェポンスキルを作って良いものかどうか悩んでいると言っていました。プレーヤーの皆さんは本で連続して殴りたいみたいですが、その一時の感情に流されて、本のウェポンスキルまで作ってしまっていいものだろうかと言ってました。殴るためには近づかないといけないので、なんで後衛なのに本で殴るために近寄ってんだよって話になるので(笑)。逆に近寄ってのウェポンスキルにしてしまうと、そこだけウェポンスキルの枠を占有してしまって、うまい人ほど使わないことになってしまうので。
――召喚士が扱える召喚獣としてイフリート、タイタン、ガルーダといった名前があがりましたが、そのほかにどのような召喚獣が登場しますか?
吉田氏: レベルキャップが解放されない限り、増えることはありません。蛮神バトルとして召喚獣は今後増えていきますけど、召喚士として呼べるものはレベルキャップが開放されて、ジョブクエストの続きがスタートしない限り増えないので、蛮神と召喚獣は必ずしもイコールではないです。召喚獣は「新生FFXIV」の世界にどんどん下りてきますが、それが全部呼べるということではありません。ただ、まだいってないものもありますし、今回3つ(イフリート、タイタン、ガルーダ)言ったのはかなりサービスのつもりです(笑)。
巴術士のクラスとしての大きな特徴は、ジョブが2つに派生することだと思いますが、今後、他のクラスも複数のジョブに派生していくと考えて良いのですか?
吉田氏: はい、その考えでいいです。
――たとえば剣術士はどう派生させるつもりですか?
吉田氏: 何がいいですかね? ナイトがいたら暗黒騎士はほしいよねという話はしていますが、僕がダークファンタジー好きなので、暗黒騎士のジョブクエストならダークなことをしないと暗黒騎士になれないようにしたいのですがどうしようかなと。
――「FFXIV」は初期構想から大きくコンセプトが変わっていますよね。初期コンセプトだと、武器を変えるとロールが変わると、だから剣だったり斧だったり槍だったりアタッカー系が多いわけですが、「新生エオルゼア」はジョブを主体としたクラスシステムに変わっていますよね。こうした中で、各クラスをどのように派生させるつもりですか?
吉田氏: 剣なら剣で、武器種を増やすことは可能だと思いますし、二刀流にしてもいいと思います。なのでそんなに困ってはいないです。バトルというかコンテンツがおもしろくなるように、何を足したらバトルがエキサイトなものになるかというのと、プレーヤーは何を欲しがっているかというのを一番折り合いの付きそうな所に決めるだけです。僕はダークが好きなので暗黒騎士を早く入れたいですけど、またアタッカーを増やすのかという話もあるので。今回悩んだんですよ。銃術士を実装するかどうか。ギルドはあるし、そもそもリムサの提督が銃使っているので、ガンブレードという手もあるんだよなと、いつか回収しようかというところです。
――現行のクラスについて、1クラス2ジョブに派生するという理解でいいのですか?
吉田氏: そこは2ジョブにこだわらず、長いことをやっていればもっと出てくることもあると思いますよ。それが単純に並列で並ぶジョブではなく、たとえばですけど、剣術士からナイトと暗黒騎士に派生して、この2ジョブのジョブクエストをコンプリートし、特定の条件を満たすと、この上にさらにジョブがあるというのも、将来的にはないとはいえないですよ。単に選択肢が増えるより、前に進めた方がおもしろいし、最上位があったほうがコンテンツが作りやすいので。バトルシステムも最初のものに固執するつもりもあんまりないので、ある程度時代が進んだら、ガラッと変えることもなくはないので。
――派生ジョブの実装時期はいつ頃を考えていますか?
吉田氏: 拡張パック前に1つぐらいは何かやりたいと思っていますが、メインのタイミングは拡張パック発売時になると思います。皆に興味を持って貰いたいし、使えるジョブが増えますというのは一番わかりやすいセールスポイントになるので。そうはいってもまだ「旧 FFXIV」からまだ一度もレベルキャップを解放していません。キャラクターの成長を楽しみにしている方も多いと思います。どこかのタイミングでレベルキャップの開放をしなければならないと考えているので、そのタイミングで何か追加することはあると思います。
――「プロデューサーレターLIVE」の中で「イシュガルドは拡張パックで実装」という話がありましたが、拡張パックの発売時期と、インタビューの中で少しずつ、発売以降のパッチ「2.xx」の話が少しずつ出てきていますが、正式サービス開始以降のアップデートロードマップがどうなっているのか、現時点でお話しできる範囲内で教えて下さい。
吉田氏: これはまだ精査したわけではなく、正式サービス時期のズレも考慮に入れていませんが、僕としては1年半くらいで拡張パックを出したいです。1年半といっておいて2年近くになるかもというのが大まかとした感覚です。1年は短すぎて拡張パックというボリュームにならない気がしています。拡張パックは相当なフィールド数、コンテンツを盛り込んだ状態でスタートしたいので1年半は必要だと思っています。
パッチによるアップデートについては2カ月半から3カ月に1回ぐらいを考えています。年4回はなんかやりたいねといってますが、超大型のパッチが挟まると3回になってしまうかもという感じです。パッチVer2.3までは色々構想がありますが、プロジェクトマネージャーMから、それを早く資料にしろとせっつかれています(苦笑)。なのでE3の帰りの飛行機の中で頑張ろうと思います(笑)
――ありがとうございました。
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